音叉
劇団「たまっこ座」に寄せて
きみのまっすぐな瞳は 丹後の黒豆の輝きで
きみのあごひげは 明治天皇の「御真影」もどきで
きみのからだは 軽快なコロポックル人で
きみのまっすぐな瞳は 人生のかなたを捕捉している
この小さな魂は
私の混沌を 掻きむしりし、
この漆黒の瞳は
私の絶望を 粉砕する
きみのいたずらな瞳は 物語を語り始め、
きみのあごひげは
おやじのほおずりを想起させ、
私の心を 痛く洗うばかり
突如 きみのからだは 小鹿のようにはじけ その先の世界を森へといざなう
そんなきみが投げた 太鼓や鉦の音は
今も私の心で 音叉している
この詩は17年前の2003年3月、劇団たまっ子座の公演を観た後にとっさにメモしたポエムだ。今となっては、どんな公演だったかはすっかり忘れている。しかし、舞台のきりりと演じる青年の所作・表情・太鼓が忘れられない。ちょうどぶつかっていた壁に心が折れそうになっていた時期でもあったからかもしれない。1985年に創立した「たまっ子座」は、「人間と自然」とをテーマにしておりいまだ旺盛な公演活動を続けているようだ。その精神は今もオイラを支えてくれる一助になっていることは確かだ。