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山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

日本が針路を間違えた時代に

2019-10-21 19:48:23 | 読書

 ガンダムを手掛けた安彦良和の漫画『王道の狗』全4巻(白泉社、2004.12)を読む。表題からして難しい。「王道」とは仁徳をもとにした治世。その「狗(イヌ)」は獣としての小犬。明治末の日・清・朝の東アジアが舞台。自由民権運動で捕縛された若者の脱獄から物語は始まる。

           

 主人公はアイヌに逃げ込み、アイヌの生き方を学ぶ。合気道を身につけた主人公は、日本に亡命していた金玉均の護衛に就き、朝鮮近代化を願う清冽なその精神に打たれる。しかし、日本も朝鮮も彼の扱いは事実上冷遇、上海で暗殺される。その時代から朝鮮の権力闘争・内紛は激しく、韓国の覇権争いや腐敗構造へと受け継がれているようだ。

 日本の針路をめぐる波は富国強兵・国家主義へと舵がきられていく。そこに、陸奥宗光・伊藤博文・福沢諭吉・田中正造らが登場していく。

              

 作者は、日本が道を間違えたのは日清戦争からだと指摘する。それを勝海舟の言葉で表現する。「朝鮮の問題で国を煽って西洋のお先棒を担いで支那と戦争をしようとしやがる馬鹿野郎がいるのサ!!こういうのを放っておいたら国は百年の計を誤るよ!!」と。

 明治維新の成果を歪め、アジアに対する加害者に転ずる覇権国家への舵を切ってしまった時代を告発する。李朝朝鮮26代王妃の閔妃(ビンヒ)を暗殺・虐殺したのも日本の軍隊・警察だったのは意外に知られていない。

              

 清の李鴻章・袁世凱・孫文などの政治家も登場し日本の高圧的な姿勢を暴いていくが、孫文らの革命家を支援するのが日本の右翼であったのも興味深い。作者のアジア主義的な視点が全4巻に貫かれているところは他の漫画家の追随を許さない。

 ちなみに、『虹のトロツキー』の舞台は満州国成立前後、そうした国家主義的な背景のルーツを探ったのが『王道の狗』とも言える。しかしながら、後半は、掲載誌の休刊が迫っていたため急ぎ足となったのが残念。日本が犯した誤りを認めたくない政治家や大衆には胸糞悪い内容だろう。だから、中国や朝鮮から「歴史に学ばない日本」を揶揄する声にしっかり応えたのがこの漫画でもある。

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シジミチョウが元気だ

2019-10-20 20:37:07 | 生き物
 畑のアゲハチョウなどの大型の蝶は激減したが、身近なシジミチョウ軍団が目立って元気だ。しかも種類が豊富なようだ。常連の「ヤマトシジミ」夏型♂もよく見るとかっこいい。いつもは、セセリチョウ軍団が勢力があったが、今年はあまり見かけない。ちょっとしたこの変化がどういう意味かはわからないが、天候だろうか。同じ風景の中でもこうした移ろいの発見も大切なことだ。
   
 いっぽう、「ウラナミシジミ」♂もけっこう豊富にいる。飛んでいるとなかなか同定が難しいので、画像に収めてからどれどれ誰かなと特定するしかない。ウラナミシジミは裏の翅に波状の紋があるのが特徴だ。
 きょうは風邪気味で一日中ゴロゴロしていた。小雨の中の作業が続いたせいかもしれない。
 
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小さな村の祭礼本番へ

2019-10-19 15:47:36 | 出会い・近隣
 午前中には手作りの注連縄をわが集落のお宮に付けてからムラの神社に向かう。参道の急坂をのぼっていくと鳥居と神社が見えてくる。杉木立の奥にうやうやしく本殿がある。その隣に数年前合祀した若宮神社があり、そこにある小さな鳥居にかわいい注連縄をつけていく。もちろん、本殿にも直接注連縄を設置する。
    
 最後に、本殿前の鳥居に大きな注連縄をつけていく。立派なサカキも忘れない。そして、午後には再び集落のお宮に戻り、宮司さんの祝詞を受ける。夕方からは「直会(ナオライ)」が始まり、女性部が準備・用意した料理が並ぶ。夜には打ち上げ花火が静寂な夜空をかく乱する。これらの作業をすべて自前でやるのだから疲労も半端ではない。しかし、地元の衆は当たり前のようにこなしていくところが底力ということだろう。
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三夜かけて注連縄完成へ

2019-10-18 17:16:17 | 出会い・近隣
今週はPM7時から10時まで三夜かけて5か所で使う注連縄を完成させる。とくに、村社の神社に奉納する注連縄は三本の注連縄を撚り合わせるので時間も力も必要とする。一日目は廃校の校庭で藁をしごくのに費やされた。二日目・三日目には近所の広い倉庫を借りていよいよ注連縄づくり。
 
 意気を合わせないと撚り合わせが不完全になるので、お互いに掛け声をかけながら6mほどの注連縄を撚っていく。ときには冗談を言ったりして笑いが絶えない。お互いに仕事がまちまちなのでふだんは地域で出会うことが少ないが、鼻たれ小僧のときからの人間関係が強みだ。オイラだけが都会からの異邦人だが、なんとか優しく受け入れてくれている。しかし話題にはなかなかついていけない。
   
 みんな手には豆を作ったり、腰をカバーしたりしながら適材適所でついにやり遂げる。あとは雨の中だろう本番の明日に注連縄の取り付けがある。「10年後には頼むぜ」と70歳台の元気な高齢者が貴重な50歳台の若手に笑いながら言葉を投げつける。過疎地の現実がまちがいなく迫っていく。
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逆輸入か「サイオン」カー

2019-10-17 14:11:34 | 自動車・エンブレム

 ホームセンターの駐車場でSCION(サイオン)車のロゴを初めて発見。サイオンは米国・カナダ向けトヨタブランドだ。2003年に発売して100万台を超えた若者向け乗用車だったが、2016年発売を停止。ユーザーの平均年齢は36歳という若さだ。サイオンの意味は、若枝とか御曹司とか名門の子孫とかいう成長にまつわる言葉だが、どういう由来でエンブレムの採用をしたかはわからない。エンブレムの{S}は、忍者の手裏剣を想起してしまうが、米国での日本の魂発露を感じさせる。

           

 車のバックボディーには、空気抵抗などを考えたパーツを採用したらしいロゴを張り付けている。車音痴のオイラにはどこにそのパーツが使われているかはわからない。米国トヨタが生産したのを日本に逆輸入したようで、フロントもバックもなかなかこのエンブレムを見ることは稀だ。

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動けないアゲハ一頭秋が往く

2019-10-16 17:55:59 | 生き物

 肥料を「ねこ」に乗せて運搬しているとき、だれかが隠れているのを感じる。何回か同じ道を運搬していたら、それは「キアゲハ」であることがわかった。すぐ近くを車輪の音をさせながら近づいているのに逃げないのだった。大型の蝶はなかなか止まってくれないのがふつうなのにこんなことはめったにない。

  キアゲハの夏型は春型より大きい。しかも、メスの模様が黒っぽい面積が広い。飛んでいるときは、ナミアゲハ(いわゆるアゲハチョウ)とキアゲハとの区別が意外に難しい。ナミアゲハは黒い面はなく筋となっている。地色の黄色はキアゲハのほうが濃いがこの個体はかなり薄くなっている。後期高齢者だろうか、夏の終わりを覚悟している姿だろうか、また、尾状突起のいっぽうが欠損してるのも痛々しい。
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日本と西洋の近代化は「同時平行に進化した!?」

2019-10-15 18:11:31 | 読書

 

 辺境の外国を探検し、山岳登攀を生きがいにした比較文明学者の大御所・梅棹忠夫『日本とはなにかー近代日本の形成と発展』(NHKブックス、1987.5)を読む。世界の国で近代化をスムーズにやり遂げた日本は奇蹟だったのかどうか、それを生態学の立場で読み解き、フランスで講義したものをまとめたものが本書だ。それはちょうど、作者の視力が喪失した最中での出版だった。

        

 著者は「日本の近代化は西洋文化によってもたらされたものだ」という従来の考え方を否定して衝撃を与えた。それは戦国時代からの武士社会の自治的主従関係をベースに、幕末には手工場群・鉱山開発・治水・水道・交通・教育のどれをとっても世界的水準にあり近代化の入口にあったとする。それによって、大阪・京都・江戸は世界的都市でもあったとして、近代化は急に展開したのではなくすでに独自に下地があったと提起した。

       

 要するに、西欧と日本の近代化は平行的に発達したのだとする「平行進化過程」説を唱えた。遊牧民の破壊と征服の繰り返し(いまだに絶えない)は、地理的に辺境にあった西ヨーロパと日本への影響が及ばなかったこと、また土地の生産力の高さなどもあって両者は発展を遂げていき現在に至る。

 著者の理論は首肯できる事柄も多く従来の歴史学にも影響を与えたようだ。日本の近代化は「文明開化」で進展したとする考え方に一石を投じたわけだ。しかし文明の生態史的解明というところでは説得力が粗い気がする。それは1967年に上梓した著者の代表作『文明の生態史観』を11月中には読むことにして宿題にしてみる。

 

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南米原産だけど日本種の仲間?

2019-10-14 11:04:11 | 野菜・果樹

 カボチャの「バターナッツカボチャ」が次々実をつけている。収穫するにはまだ早い。しかし、このところ何者かに食べられているのだ。イノシシにしてはやることがコソ泥のように幼い。当局によれば犯人はアナグマに違いないという。といっても、当局はまったく動いてくれる気配がない。仕方がないので、収穫にはまだ早いが早めに確保することにする。

 瓢箪のような「バターナッツカボチャ」は南米原産ながら日本カボチャの仲間だという。バターのように滑らかでナッツのように甘いというわけで名前が付けられた。煮込んで食べるよりポタージュのようにスープにして食べるのがあっているという。1~2か月追熟してから食べると甘みが出てくる。生でも食べられるのも魅力だ。
 
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台風19号の被害は軽微

2019-10-13 18:36:48 | できごと・事件

昨日の台風による防災無線は5回ほどありいずれも雨量による道路の全面通行止めだった。一日のうちでこうした何回もの放送は初めてだった。そのため、土砂崩れなどで1週間くらい陸の孤島になることを覚悟していたものの、パプリカの実がいくつか落ちていたくらいの軽微な被害だった。心配していたエゴマやヘチマが倒伏するのも予想され、支柱の補強をしていたせいか無事だった。

 いちばん憂慮していたのは、低いとはいえ裏山からの土砂・雨水だ。昨日の雨の中でまずは床下に雨水がいかないよう砂利を置いたり、水の通り道を掘ったりしておいた。さいわい、雨量が思ったほど少なかったので杞憂に終わることができた。

     

 また、レトロなむかしのガラス窓を防御するため、実家のカーポートの屋根に使っていた「ポリカ波板」数枚を網戸のすきまにあててみる。今回の台風が直撃したら役に立たないヤワなものかもしれない。しばらくこのままで活かして次回はもう一回り丈夫なものに変えていくことにする。突風・暴風が思ったより少なかったことが幸いだった。

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注連縄用わらを作る

2019-10-12 10:11:35 | 出会い・近隣

 一昨日の夜、地区の神社(旧村社)の注連縄用わらを作る。9年に1回まわってくる当番だが、軽トラック2~3台分のわらを注連縄用わらを束にしてでかい注連縄を作るというきつい作業だ。旧小学校の校庭にブルーシートを敷いて足踏み機をフル回転してわらの袴やゴミをとりきれいにしていく。

       

 足踏み機の踏むタイミングが初心者=オイラにとっては難しい。二人で同時作業するときも二人の踏むタイミングがあわないと失敗する。場合によっては巻き込まれて危険ですらある。集落の男衆総出で、といっても都合をつけた7人が懸命に足踏み機で藁をしごいていく。7時頃から始めて家に着いたのは9時半ごろ、結構な汗をかいたのですぐシャワーを浴びる。作業する頭数がじわりと減ってきているなか、祭りの作業がひとり一人に重圧となっていく。注連縄は来週の夜間に作ることになった。

   台風19号はわが家への大きな爪跡を残さない程の軽度で済んだようだ。寝る場所も山側でない居間にする予定だったし、玄関も勝手口もレトロなガラス窓を波板で封鎖していたので、出入りに不自由だったが明日は正常に戻れそうだ。
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