窪田正孝主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」の最終回を観て、驚いた。
11月27日(金)放送の最終回は、
NHKホールを舞台にした「コンサート」という異例の内容となっていたからだ。
本編としてのドラマパートは一切入らず、
主人公・古山裕一のモデルとなった福島県出身の作曲家・古関裕而の数々の名曲を、
ドラマに出演していた人気キャラクターたちが歌いつなぐ……
その思い切った演出に、度肝を抜かれた。
司会は、古山裕一(窪田正孝)、古山浩二(佐久本宝)、関内吟(松井玲奈)の3人。
ドラマの中で既に歌を披露していた、
佐藤久志(山崎育三郎)、
御手洗清太郎(古川雄大)、
藤丸(井上希美)、
夏目千鶴子(小南満佑子)、
古山音(二階堂ふみ)
関内光子(薬師丸ひろ子)
藤堂清晴(森山直太朗)はもちろん、
ドラマでは歌う機会のなかった
藤堂昌子(堀内敬子)、
岩城新平(吉原光夫)もコンサートでは歌っており、
その歌声にも驚かされた。
※村野鉄男(中村蒼)もギターで参加している。
【コンサート曲目】
(1)「とんがり帽子」(古川雄大、井上希美、小南満佑子、子役)
(2)「モスラの歌」(井上希美、小南満佑子)
(3)「福島行進曲」(古川雄大)
(4)「船頭可愛や」(山崎育三郎、ギター・中村蒼)
(5)「フランチェスカの鐘」(堀内敬子)
(6)「イヨマンテの夜」(吉原光夫)
(7)「高原列車は行く」(薬師丸ひろ子)
(8)「栄冠は君に輝く」(森山直太朗、山崎育三郎)
(9)「長崎の鐘」(二階堂ふみほか全員、指揮・窪田正孝)
個人的に、最も嬉しかったのは、
やはり、薬師丸ひろ子。
本編のドラマでは讃美歌496番「うるわしの白百合」の3分間独唱があり、
大いに驚かされたのだが、(コチラを参照)
最終回のコンサートでも「高原列車は行く」を、
他の出演者よりも少し長めに歌っていたので嬉しかった。
まさか、最終回がコンサートになり、古関裕而さんの歌を歌わせていただけるなんて……
と語り、さらに、
「岩城さん、歌がうまいのよ」と光子の台詞でもありましたが、ドラマでは歌うシーンのなかった岩城さん(吉原)の魂のこもった歌に感動しました。とても幸せな時間でした。
と、岩城新平役の吉原光夫の歌声を褒めていたが、
「イヨマンテの夜」を高らかに歌い上げた彼の声量に驚いた人も少なくないだろう。
ミュージカルファン以外にはあまり知られていないが、吉原光夫は元劇団四季団員で、
2011年、帝国劇場開場100周年記念公演『レ・ミゼラブル』において、
日本公演の歴代最年少となる32歳で主演ジャン・バルジャン役を演じ、
以降、2019年にかけて5度もジャン・バルジャンを演じている実力の持ち主。
最終回コンサートで彼の歌声を知り、ファンになった女性も多いことと思われる。
私が、薬師丸ひろ子の次に嬉しかったのは、
「フランチェスカの鐘」を歌った堀内敬子。
昌子(堀内敬子)は最初、20代の銀行員として登場し、
後に藤堂清晴(森山直太朗)の妻となるのだが、
銀行員時代のコミカルな演技に対し、
後のシリアスな演技の対比が見事で、
藤堂の死を知らされるシーンは涙なくして観ることはできなかった。
堀内敬子も、元劇団四季団員で、
その歌声は折り紙付きであったが、
あれほどゴージャスなドレス姿で歌う彼女を見るのは初めてで、
その美しさにも驚嘆した。
「エール」最終回コンサートに出演させていただけることになり、とても光栄です。昌子としての撮影は終わった後、「また撮影があるかもしれません。」とマネジャーから話がありました。それもどうやら私が歌うらしいということを聞き「歌??昌子が??えーーーどうしましょう。歌わせていただいていいのでしょうか?」という気持ちになりました。ありがとうございます。見どころはたくさんありますが、やはり吉原光夫さんの歌唱でしょう!!私も「エール」を楽しみに見ていただいた皆さま、スタッフ、キャストへの感謝を込めて、歌わせていただきました。お楽しみに。
と語っていたが、
堀内敬子と吉原光夫の歌唱は、
ドラマでは披露されていなかっただけに、
一層の驚きと喜びを視聴者に届けたのではないだろうか……
こうして振り返ると、
今回の朝ドラ「エール」には、
作曲家・古関裕而の人生を描いていただけあって、
歌える人が多くキャスティングされていたのが判る。
それだけに、
最終回のたった15分間のコンサートでは物足りなく感じたし、
今回のコンサートでは歌っていない、菊池桃子、柴咲コウ、仲里依紗、野田洋次郎、マキタスポーツ、松井玲奈、森七菜なども加え、
1時間くらいの完全版を放送してもらいたいと思った。
いつの日か、ぜひぜひ。