一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

第2回 唐津焼の里映画祭 ……秋吉久美子に逢いたくて……

2011年10月15日 | 映画
唐津市北波多出身の脚本家である井手俊郎の生誕百年を記念して、
昨年、「井手俊郎生誕百年記念 第1回 唐津焼の里映画祭」が開催された。
県高齢者大学唐津校のOBらが、
地域ににぎわいを取り戻そうと企画したもので、
ゲストに、
鎌田 敏夫(脚本家)、宍戸 錠(俳優)、二木 てるみ(俳優)を招き、
2010年11月6日(土)・7日(日)の2日間、
北波多社会体育館を会場として、
『青い山脈(前編・後編)』
『チーちゃんごめんね』
『警察日記』
『拳銃は俺のパスポート』
『男はつらいよ・寅次郎子守唄』
『氷雪の門』(36年ぶり劇場公開)
の6作品が上映された。
2日間で延べ約1500人が来場。
成功裏に終わった。


脚本家・井手俊郎について知る人は少ないと思うので、簡単に紹介すると、
1910年(明治43年)4月11日、唐津市北波多徳須恵に生まれる。
1988年(昭和63年)7月3日没。
1949年(昭和24年)公開の『青い山脈』でデビュー。
主な作品に。
『青い山脈』
『めし』
『三等重役』
『警察日記』
『洲崎パラダイス赤信号』
『流れる』
『江分利満氏の優雅な生活』
などがあり、
TVドラマでも
『青春とはなんだ』
『信子とおばあちゃん』
などの作品を残している。


第2回となる今年は、
10月15日(土)と16日(日)に開催することが決まった。
プログラムは、昨年より規模をやや縮小して、3作の上映。
10月15日(土)は、『挽歌』。(特別ゲスト・秋吉久美子)
10月16日(日)は、『ソフトボーイ』と『海峡』。(特別ゲスト・山谷初男)


「おっ、秋吉久美子が来るのか~」
と驚く私。


【秋吉久美子】
1954年7月29日生まれ。
静岡県富士宮市出身であるが、徳島県日和佐町(現・美波町)、福島県いわき市で育つ。
1972年、松竹映画、『旅の重さ』の主役オーディションで、高橋洋子についで2位となり、この映画に出演。
1973年、松本俊夫監督の『十六歳の戦争』に主演(公開は1976年)。
1974年、日活の藤田敏八監督の青春映画『赤ちょうちん』、『妹』、『バージンブルース』に立て続けに出演。
シラケが流行した1970年代の時代性を象徴し、そのユニークな言動が話題を呼ぶ。
1979年、元青い三角定規のメンバーで作曲家の岩久茂と結婚(1989年に離婚)。
できちゃった婚の際の記者会見で、
「おなかが大きくなるのはイヤ、卵で産みたい」
との発言は話題になる。
その後の代表的な作品には、
『あにいもうと』(1976年)第19回ブルーリボン賞主演女優賞・第1回報知映画賞主演女優賞
『挽歌』(1976年)アジア映画賞主演女優賞
『の・ようなもの』(1981年)
『さらば愛しき大地』(1982年)
『夜汽車』(1987年)
『男はつらいよ 寅次郎物語』(1987年)日刊スポーツ映画大賞助演女優賞
『異人たちとの夏』(1988年)第62回キネマ旬報賞助演女優賞、他
『深い河』(1995年)第19回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、他
『透光の樹』(2004年)第14回日本映画評論家賞女優賞
などがある。

同世代ということもあって、
デビュー作の『旅の重さ』から、主要作品は概ね見ている。
近年は、映画やTVドラマでの露出が少なくて寂しかったが、
昨年、銀座唯一の邦画専門の映画館・銀座シネパトスで、
秋吉久美子の出演映画を一挙10本上映する【秋吉久美子映画祭】(4月24日~5月28日)が開催されるなど、秋吉久美子再評価の動きもあり、彼女の活動に注目していた。


そこへ「第2回 唐津焼の里映画祭」のゲストで来佐するとの情報が……
喜んだのは言うまでもない。
すぐにチケットを入手。


16日(日)は八幡岳の自然観察会があるので行けないが、
15日(土)は大丈夫だ。
唐津市北波多は、我が家からそう遠くはない。
車で30分ほど。
木曜日の休みを急遽土曜日に変更。
本日午後、秋吉久美子に逢いに車を走らせた。

北波多社会体育館に到着。
すでに多くの人が並んでいる。
土地柄もあり、やはりお年寄りが多い。


開演30分前に入場開始。


館内は、こんな感じ。


満席である。


まずは秋吉久美子主演作『挽歌』を見る。
この作品は、DVD化されていないので、本当に貴重。
35年前の映画であるから、秋吉久美子はまだ21歳くらい。
まだ初々しい。
仲代達矢、草笛光子が若い。
俳優がスクリーンに登場する度に、観客から「オー」というような声がもれる。
なんだか昔の映画館の雰囲気を思い出し、懐かしさを感じた。


『挽歌』上映後、「映画への熱い、熱い思い!」と題し、
秋吉久美子のトークショー。
聞き手は佐賀在住の映画評論家・西村雄一郎。
写真撮影は禁止なので、人物なしの舞台を撮る。
向かって左に西村雄一郎、
右に秋吉久美子が座った。


秋吉久美子は話し好きのようで、よく喋った。
インタビュアーがいらないほどよく喋るのでビックリ。(笑)
ユニークかつ面白い人であった。
2007年9月より早稲田大学大学院公共経営研究科に入学。
2009年9月、同研究科を10人中の総代として修了。
その大学院時代、フィールドワークで唐津にしばらく滞在したことがあるそうだ。
その当時の話や、映画『挽歌』の思い出など、
興味深い話が次々と飛び出し、1時間があっという間に過ぎ去った。


秋吉久美子と私は、実は同じ年の生まれで、誕生日も近い。
ほぼ同じ時代を生きた同志のような感覚を勝手に抱いている。(笑)
こうして現役の女優として今も頑張っている姿には、とても励まされる。
逢いにきて良かったと思った。

「第2回 唐津焼の里映画祭」も大盛況のうちに幕を開けた。
明日もきっと大勢の人が押しかけるに違いない。
井手俊郎が手掛けた脚本には、
『兄貴の恋人』(1968)加山雄三、酒井和歌子。
『二人の恋人』(1969)加山雄三、酒井和歌子。
『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1970)岡田裕介、森和代。
『初めての旅』(1971)岡田裕介、高橋長英。森和代。
など、私が中学・高校生の頃によく見た思い出深い作品も多い。
ことに森和代が出演している『赤頭巾ちゃん気をつけて』と『初めての旅』は、
もう一度スクリーンで見てみたい。


森和代は、当時、私の(いや我々の世代の男子の)憧れの人であったが、
間もなく森本レオと結婚。(嗚呼!)
森本レオを大いに恨んだものだ。
あれから40年ほどの月日が流れた。
森和代も還暦を過ぎた。(嗚呼!)
第3回となる来年は、これらの作品を上映し、
森和代や酒井和歌子をゲストに招いてもらいたいと思うが……無理か?(笑)
まあ、それはともかく、
第5回、第10回と回数を増やし、
古湯映画祭のように佐賀県の映画祭として定着してくれたら嬉しい。
来年が楽しみになってきた。

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