一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

黒髪山系逍遙 ……ここにしか咲かないあの花に逢いたくて……

2011年10月27日 | 黒髪山系
今日は、佐世保に行く前に、黒髪山系を歩くことにした。
山頂にはこだわらず、気ままに山歩きを楽しもうと思う。

黒髪山系は、佐世保に行く途中にある。
ていうか、佐世保に限りなく近い場所にある。
佐世保在住の登山愛好家が、最も行きやすい山域と言えるだろう。

私は佐世保出身なのだが、実家の所在地が黒髪町という所。
この佐世保市黒髪町には、
町名の由来ともなっている黒髪神社がある。
古い文書に、
「肥前西松浦郡の黒髪神社の御分霊なることは相違無きもののごとし」
とあり、
黒髪山系にある黒髪神社と深い関係があるのだ。
そういうこともあって黒髪山系は、
私にとっても実に馴染み深い山域なのだ。

黒髪山系に来たときには、
黒髪山系の盟主・青螺山には、必ず御挨拶。
今日もカッコイイ。


小さな沢から登って行く。


頭上にジュズネノキの実が……


アカガシの大木の黒々としたシルエット。


沢の両側にはシダ植物が多い。
ヒノキの葉に似たヒノキシダ、


ヒトデの形に似たイワヒトデ、


葉の裏面が鳳凰の尾羽に似ているホウビシダなど、
黒髪山系には170種を超えるシダが自生しているといわれる。


所々に朝陽が当たり、
木の葉を輝かせたり、


沢の水を燦めかせたりする。


沢の音が耳朶に心地よい。


美しい沢を軽快に登って行く。


私だけの桃源郷。


ときおり立ち止まり、冷たい水に手を浸す。


ひとりの山、ひとりの沢。


沢を登りつめると、やがて岩場に出る。


そこはお花畑。


あっ、ヤマラッキョウだ。
蕾が多いと紫色だが、


開花すると、薄紫色になり、得も言われぬ美しさ。


おっ、まだイブキジャコウソウが咲いている。


高さは5~10cmしかないが、樹木の仲間。
10月の下旬に逢えるとは思わなかった。
嬉しい。


今日、最も逢いたいと思っている花を探す。
「あった~!」


黒髪山系にしか咲かない花。


全国唯一の自生地がココ。


牧野富太郎によって命名された植物。


本当に美しい。


来て良かった~


青空と紅葉した葉をバックに、花の白が映える。


この植物は、
「明るい岩場に生える高さ1cm程度の多年草」(『黒髪山系の植物』より)
の筈なのだが、
この花は高さが10cmほどあった。


間違いなく、本日の女王。
見惚れ、しばし、動けず。

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