新しいカテゴリー「私の好きな〇〇」の第4回は、
私の好きなTV番組『ドキュメント20min.』(NHK)。
『ドキュメント72時間』が好きなことは、
以前、このブログでも語ったことがあるが、(コチラを参照)
ここ数年、『ドキュメント20min.』もよく観るようになった。
番組のタイトルの通り、
放送時間が20分間のドキュメンタリー番組で、
毎回、20分間の放送時間内で様々な視点から人物や出来事などを伝えている。
これがめっぽう面白い。
調べてみると、
第1期は、2009年6月5日から2012年3月19日まで、
第2期は、2022年4月11日から現在まで、
いずれもNHK総合テレビで毎週深夜帯に放送されているようだが、
第1期の方は観ていなかった。
観るようになったのは、第2期から。
この番組について、NHKは、次のようにコメントしている。
「見たいテレビなどない」という若い世代に向けて、「こんなテレビ見たことない!」といってもらうための20分間。これまでの演出・文法・テーマから自由な若手制作者たちが、新しいテレビの形を模索します。
制作はNHKの全国各放送局に在籍している入局2~5年以内の若手ディレクターが主に行っているそうで、『ドキュメント72時間』とはまた違った面白さがある。
昨年(2023年)放送された中では、
「#壁を撮る人」(初回放送:2023年1月16日)が良かった。(2024年7月1日に再放送)
「#壁を撮る人」として突如SNSに登場したアスパラさん。
正体を明かさず、長崎の街で壁の写真を毎晩投稿している人なのだが、
撮影された写真には、同世代を中心に共感の声が寄せられているとか。
なぜ人々は「壁」に惹かれるのか?
『ドキュメント20min.』では、謎の人物・アスパラさんを探し出し、
アスパラさんがなぜ壁を撮り続けるのかに迫る。(ナレーションは、前田公輝)
ふと立ち止まり、ある建物にカメラを向けて一枚だけシャッターを切る。
「#壁を撮る人」は、長崎の街で暮らす、クリーニング店勤務の20代の女性であった。
「壁は乗り越えたり、壊したりしなくていい」
「壁と一緒に生きたっていい」
アスパラさんが撮った写真には、
よく見ると、そこには小さな傷や、閉じかけの窓など、人のいた痕跡があり、
壁の写真に封じ込められていたのは、心地よい人との距離感であった。
2023年5月8日に放送された「リヤカー引いて歩いてみました。」も印象に残っている。
大阪の高校に勤める永瀬忠志さんは、冒険家としても活動。
灼熱の砂漠やぬかるむジャングルなど世界中をリヤカーで旅してきた。
9年前からは、卒業を控えた生徒などを誘い、大阪から伊勢まで5日間のツアーを敢行。
参加したのは、陸上部のキャプテン・岡本京花さん。
引っ張るリヤカーの重さは60キロ。
夜は民家や寺の庭先で野宿する。
突然の雨やきつい坂道…壁が次々立ちはだかる中、無事にたどりつけるのか?
私にとって「歩き旅」の先輩である永瀬忠志さんの著書は、これまで何冊も読んでいたので、
とても興味のある回であった。
たった20分間であったが、一緒に旅をしている気にさせられたし、
ワクワクさせられた回であった。
最近では、「北区赤羽 路上にて」(初回放送日:2024年6月10日)という回が良かった。
『ドキュメント72時間』のスピンオフともいうべき回で、
赤羽の路上にいるという靴磨きのおじさんを見つめる奇妙な物語であった。
事の始まりはドキュメント72時間制作班に視聴者から寄せられた、
「赤羽の路上にいつもいる靴磨きのおじさんに密着した72時間ができないか」
というメールであった。
しかし、取材班が現地に向かうと、思わぬ展開が待ち構えていた。
靴磨きのおじさんとは何者なのか?
赤羽とはどんな街なのか?
そして、なぜ『ドキュメント72時間』で放送できなかったのか?
ミステリー要素を含んだ、優れた純文学を読んでいるような展開で、
とても興味深く観ることができた。
『ドキュメント20min.』には、
「全国各地の若手ディレクターにチャンスを与えて、育てるとともに、新しいものを生み出そう」という制作者側の志の高さに加え、地方の若手ディレクターにも、「同世代には負けられない」「他の放送局より面白いものを作らなければいけない」という意欲も感じられ、
内容がとても充実している。
……かと言って、ガツガツしているわけでもなく、
現代風に淡々と、オシャレな映像で魅せる。
NHKには、総合テレビで放送されている(されていた)ものだけでも、
『ドキュメント72時間』『100カメ』『ノーナレ』『プロフェッショナル 仕事の流儀』『ファミリーヒストリー』『病院ラジオ』『新プロジェクトX~挑戦者たち~』などのドキュメンタリー番組があるが、『ドキュメント20min.』は、(アタリハズレはあるものの)これらのドキュメンタリー番組とは一線を画す新鮮な魅力があり、ついつい見入らされてしまう。
高齢者の私のとっては、とても刺激的な番組なのである。