一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

中江有里『わたしの本棚』(PHP研究所)発売記念トークイベントin西南学院大学

2017年11月20日 | 読書・音楽・美術・その他芸術


女優、歌手、脚本家、小説家、書評家、コメンテーターなど、
多方面で活躍している中江有里さんの新著『わたしの本棚』(PHP研究所)が刊行された。


その発刊を記念して、
11月19日(日)14時から、
「読むこと、生きること」と題するトークイベントが、
福岡の西南学院大学・博物館講堂で開催された。


最近は、女優業よりも文筆業の方が主になっているので、
昔の歌手や女優として活躍していた時代のことを知らない方もおられると思うので、
簡単にプロフィールを紹介しておきたい。


【中江有里】
大阪府大阪市出身。
1989年にアイドル雑誌『アップトゥボーイ』の美少女コンテストで優勝したことをきっかけに芸能界入り。
『UP to boy』などの雑誌でグラビアモデルを務める一方で、
女優・タレント・歌手としての活動も増える。
1991年にはBMGビクターからシングル「花をください」で歌手デビュー。
1994年3月に東京都立新宿山吹高等学校卒業。
1997年10月から1年半「サンデーモーニング」(TBS系列)のキャスターを務める。
2002年、NHK大阪放送局主催「BKラジオドラマ脚本懸賞」でラジオドラマ脚本『納豆ウドン』が入選し、「FMシアター」で放送された。
これをキッカケに脚本家としても活動している。
2006年には処女作の小説『結婚写真』を上梓。
2013年に法政大学通信教育部文学部日本文学科卒業。
同年には「週刊ブックレビュー」で共演した児玉清の助言を得て、
2作目の小説『ティンホイッスル』を執筆。
近年は、女優業よりも、
文筆家やテレビ番組のコメンテーターとしてメディアに登場する機会が多い。
2015年からはTBSテレビ番組審議会委員。
趣味は映画鑑賞、読書、ピラティス。
読書は年間300冊以上を読む。



九州の山岳愛好家だったら、
彼女が主演したくじゅうを舞台にした映画
『奇跡の山 さよなら、名犬平治』(1992年)
を憶えておられるのではないだろうか?


この作品で、中江有里さんは「日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞。


『奇跡の山 さよなら、名犬平治』のDVDは発売されていないので、
現在はなかなか見ることのできない作品となっているが、
『奇跡の山 さよなら、名犬平治』が公開された年(1992年)の、
彼女の「ままならぬ想い」という曲の動画の中で、
少しだけ映画が紹介されているので、ぜひ見て頂きたい。
歌手・中江有里(美しい!)の映像も貴重です。


連続テレビ小説(NHK総合テレビ)の『走らんか!』(1996年)で、
ヒロイン今宮美樹を演じたのも記憶に残っている。


もう一人のヒロイン三浦真理を演じた菅野美穂さんも良かったが、
私は断然、中江有里派であった。(笑)


そして、私の中で、中江有里という女優が、
本が好きな文化人として認知され、
他の女優とは一線を画す存在となったのは、
『週刊ブックレビュー』(NHK衛星第2テレビ)においてであった。
アシスタント(2004年度~2008年度)として、
また司会者(2009年度~2011年度)として、
長年にわたって番組に貢献し、
我々を楽しませてくれた。
(故・児玉清さんと一緒に出演していたときの映像)


そんな中江有里さんのトークイベントが福岡で開催されることを、
彼女のフェイスブックで知った。
このトークイベントには、ネットでの予約が必要だったので、さっそく予約し、
11月19日(日)、
西新にある西南学院大学の博物館講堂にやってきたのだった。


博物館講堂は、とっても雰囲気のある建物だった。


中江有里さんの写真撮影は禁止だったので、
トークイベント前に講堂の内部を(許可を得て)撮影させてもらった。


向かって左の席に中江有里さんが、
右の椅子には西南学院大学・法学部准教授・田村元彦さんが座られ、
田村元彦さんが中江有里さんに質問する形でトークは進行した。


中江有里さんの新著『わたしの本棚』は、
自伝風に自らのことを語りながら、
その時々で出逢った本を紹介しているが、
トークの方も中江有里さんの生い立ちに触れながら、
その時々に自分を成長させてくれた本などについて語っておられた。


詳しく書くと、
これから『わたしの本棚』を読む人や、これからトークイベントに参加したいと思っている人の楽しみを奪ってしまうので、ここでは控えるが、
とにかく楽しいトークであったことだけは伝えておきたい。
でも、ほんの少しだけ、彼女の言葉を紹介しておこう。

知らないことに出会う喜びこそ、読書の歓び。

「書く」という表現方法は、自分の武器。

SNSなど、短文でのやりとりが増え、
人と人の誤解・摩擦も増えてきた。


好きな言葉は、大阪出身ということもあって、
「なんでやねん」。
ツッコミの言葉として、いろんな場面で使える。
優しく言ったときと、強く言ったときでは、意味も違ってくる。
相手が言った言葉に対して、“繋ぎ”の役目をする。
この「なんでやねん」が、会話の潤滑油になる。


読書をおぼえると、死ぬまで退屈しない。
なぜなら、今出版されている本だけでも、死ぬまでには読み切れないから。


児玉清さんは、私にとって「灯台」のような存在。
どこへ向かったらいいのか分らないときに、
進むべき方向を照らしてくれる。
亡くなって6年が経つが、今も「灯台」はある。


などなど。
トークイベント終了後、
本のサイン会があった。
私も列に並び、サインしてもらった。


近くで見ても、本当に美しい方であった。
女優さんなので、握手はしてもらえないと思っていたのだが、
サインした後に、中江有里さんの方から手を差し出して、握手をして下さった。
これには、ちょっと感動!
今日も「一日の王」になれました~


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