一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

徒歩日本縦断(1995年)の思い出・第11回「幌」 ……歩きの旅人に出会う……

2012年05月31日 | 徒歩日本縦断(1995年)の思い出
第8回にも書いたが、
この徒歩日本縦断の旅は、旅と同時進行で地元(佐賀)の新聞に紀行文を連載していた。
その「ふらふらぶらぶら日本縦断の旅」(←新聞連載時のタイトル)の2回目から、
少し引用。

(前略)
スタートから1週間以上が経過し、「歩き」が体になじんできたのか、1日40キロの歩行距離を維持できるようになった。
留萌市から厚田村にかけてはトンネルの数が多く、苦難の連続であったが、このラインの海岸線の美しさは格別で、特に雄冬という小さな町で見た夕陽には感動した。
ぼくがこれまでの人生でみた夕陽のベスト・ワンであった。
宗谷岬を出発してから、これまでオートバイや自転車の旅行者は数多く見かけたが、「歩き」の旅人には一度も出会わなかった。
しかし、8月17日、幌という町で、ついに遭遇した。
F君という21歳の学生で、4月1日に鹿児島県の佐多岬を出発し、太平洋側を北上してきたとのこと。
大阪出身で、現在は金沢の大学に在学中だそうだ。
写真を撮り合い、住所を交換し、ぼくが金沢を通過する時には再会しようと約束して別れた。
最後にガッチリ握手をした。
(後略)



そうなのだ。
歩きの旅人とついに出会ったのだ。
「やはり」というべきか、
「当然」というべきか、
歩きの旅人はほとんどいない。(笑)
ていうか、
少ないながらいるのかもしれないけれど、出会わない。
絶対数が少ないから、出会う確率も低い。
だからF君と出会ったときは、とても嬉しかった。
この写真を見ていると、
あの暑かった日の昼下がりが鮮烈に蘇ってくる。


この日、実は、このあと、もうひとつの嬉しい出会いがあった。
それはまた、次回に……

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