一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

鬼ノ鼻山~聖岳 …樹木が最も美しい季節は、ひょっとすると冬かもしれない…

2009年12月24日 | 鬼ノ鼻山・聖岳
今年も残り一週間ほどになった。
今年も何だかアッと言う間に過ぎ去ってしまったような気がする。
仕事のみの一年だったら、それこそ空しさイッパイの一年になっていたことだろう。
だが、私には「山」があり、「本」があり、「映画」があった。
毎日が「一日の王」だった。
特に「山」に関しては、すこぶる充実した一年であった。
今年の山行日数は、前回までで78日。
今年は、今日を含めてあと2回を予定しているので、年間山行日数は80日になる(ハズ)。
過去最高の年間山行日数だ。

さて、今日も、佐世保に行く前の朝駆け登山をしよう!
今日は、鬼ノ鼻山から聖岳を往復縦走することにした。
縦走路にはサザンカが咲き乱れているかもしれない……
……そんな期待を抱きつつ、家を出た。
外には霧がたちこめていた。
私が住む町は盆地にあるため、よく霧が発生する。
こんな日は、山頂から雲海が見えるかも……
急ぎ足で山頂に向かう。
山頂直下には、落ち葉が敷きつめられた斜面に、裸木の美林が広がっている。


まず鬼の展望台があるピークに向かう。
眺めは鬼ノ鼻山山頂より展望台の方が優れているからだ。
〈おお、やはり雲海だ!〉


遠くに霞んで見えるのは、八幡岳と船山(女山)。
幻想的な風景だ。


展望台から縦走開始。


思った通り、縦走路にはサザンカがたくさん咲いていた。


赤い花や、


ピンクの花。
美しい~


この鬼ノ鼻山から聖岳への道は、けっこう素敵な縦走路だと思う。





464.4mの二等三角点を通過する。
三省堂の『日本山名辞典』では、聖岳の標高を464mとしている。
だから、辞書的には、ここが聖岳山頂ということになる。


だが、この三角点の背後には、「二子山」の標識が……?


この三角点から林道に下る途中には、クスノキの群生林がある。


この美しいクスノキの林の中を歩いていると、一瞬、今が冬であることを忘れてしまう。


一旦林道へ下り、そこから聖岳へ登って行くと、右側にクヌギの林を見ることができる。


先程のクスノキと違い、こちらは葉がない。
まさに冬木立。


鬼ノ鼻山から聖岳まで歩いて来て、
サザンカの「花のある林」、
クスノキの「葉のある林」、
クヌギの「葉のない林」
などを見てきたのだが、ふと、
〈樹木が最も美しい季節は、ひょっとすると冬かもしれない〉
と思った。
木々の間から、さっきまで歩いていた稜線が見えた。


聖岳山頂には誰もいなかった。
展望は、霞んでいてよく見えなかった。


佐世保へ行く時間が迫っていたので、急いで今来た道を引き返す。
縦走路を軽快に歩き終え、棚田などを見ながら麓まで下りてきた。


山里にはまだ霧が立ちこめていた。


車道の脇にもう菜の花が咲いていた。


菜の花の花の部分をよく見ると、霧に濡れたせいか、水滴がたくさんついていた。
その水滴を見ていたら、一所懸命咲いている菜の花の汗のように思えてきた。

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