一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『劇場版 ルパンの娘』 ……有田ポーセリンパークでもロケされた話題作……

2021年11月02日 | 映画


私は2年前に65歳で定年退職し、
今は、別の会社で(午後から半日のみ)働いているのだが、
その会社の同僚に「アニメ」オタクの青年がいて、
いろいろとアニメについて教えてもらい、刺激を受けている。
アニメの声優については、
「声だけで出演する俳優」としか認識していなかったのだが、
歌手として活動したり、
(声だけではない)普通の俳優として映画やTVドラマに出演したり、
写真集を出したり、グッズを販売するなど、
タレントやアイドル的な活動をしている声優が多いことに驚かされた。
小中学生のなりたい職業ランキングの上位に、(2021年は第3位)
いつも「声優」がランクインしているのを不思議に思っていたのだが、
声優は単なる声優ではなく、総合的な意味での芸能人であることを知った。
自分でもいろいろ調べたりしているうちに、個人的に、
「鬼滅の刃」の甘露寺蜜璃の声などで知られる花澤香菜のファンになった。
声が良くて、美人で、歌って、踊れて……「最強!」と思った。(コラコラ)


「アニメ」については、正直、これまであまり興味がなく、
宮崎駿、庵野秀明、新海誠、細田守、高畑勲、片渕須直などの監督作を、
話題についていける程度に知っている(見ている)だけであったので、
「アニメ」オタクの青年が教えてくれる話題には驚かされることばかりであった。
その驚かされたことのひとつに、
「ゾンビランドサガ」という佐賀県を舞台にしたアニメがあった。
ゾンビとして生き返った少女たちが、プロデューサーに導かれながら、
佐賀県を救うために、ご当地アイドル(グループ名は「フランシュシュ」)として活動する様子を描いたオリジナルアニメとのことで、
第1期は、2018年10月から12月にかけてAT-Xほかにて放送されている。
(ここから聞きかじりではあるが……)
2018年12月20日深夜の最終話放映後、
「ゾンビランドサガ」というワードが入ったツイートの数が17万件を超え、
Twitterのトレンドワードランキング第1位を獲得。
ニコニコ動画にて行われた、2018年中に放送・配信開始されたアニメ作品の中でいちばん面白かったアニメを問うアンケート「ネットユーザーが本気で選ぶ!アニメ総選挙2018年間大賞」で1位。
また、男性及び年代別10代~40代のすべてで1位となった。
東京アニメアワードの2019年アニメ オブ ザ イヤー部門でもテレビ部門でグランプリを受賞。
米・大手アニメメディアが主催する第5回『Anime Trending Awards』でベストオリジナルアニメ部門などに選ばれるなど、海外でも視聴者に評価されている。
2018年12月15日に行われた「CygamesFes2018」(千葉県幕張メッセ)では、
“ぶちあげキャンペーン”グランドフィナーレとして、
「ゾンビランドサガ〜フランシュシュといっしょ〜」が開催されたし、
2019年3月17日には「フランシュシュ」の声優陣によるライブイベントが、品川インターシティホールにて開催され、応募が殺到したためライブビューイングも実施された。


2020年9月には『ゾンビランドサガ Stage de ドーン!』のタイトルで舞台化されてもいる。


第2期の「ゾンビランドサガ リベンジ」は、(ここからは私も観ている)
2021年4月から6月までAT-Xほかにて放送され、こちらも大反響をよんだ。
2021年10月には、「ゾンビランドサガ リベンジ」幕張メッセ2DAYSライブが行われ、




本渡楓(源さくら役)、
田野アサミ(二階堂サキ役)、
種田梨沙(水野愛役)、
河瀬茉希(紺野純子役)、
衣川里佳(ゆうぎり役)、
田中美海(星川リリィ役)の6人に加え、
第2期でフランシュシュ7号として登場した楪舞々役の花澤香菜も出演し、(嬉しい!)


大いに盛り上がった。


花澤香菜は、アニメの楪舞々のそのままの衣装で登場し、




ファンを熱狂させた。


最後に、「ゾンビランドサガ」の映画化も発表され、
ライブは最高潮に達した。


私のブログ「一日の王」の読者は、中高年世代が多い(と勝手に思っている)が、
中高年世代はアニメには弱いと思うし、
佐賀県在住の私が知らなかった「ゾンビランドサガ」を、
他県に住んでいる皆さんが知っている筈もなく、(コラコラ)
「ゾンビランドサガ」がこれほど若者(アニメファン)にウケていることに、
皆さんも驚かれたことと思う。
佐賀県を舞台にした「ゾンビランドサガ」であるので、
アニメに登場した佐賀県各地の聖地巡礼をする人も多く、
「ゾンビランドサガ トラベラーズ ガイド」(昭文社ムック)というガイド本も出版され、


スタンプラリーなども催されている。


※佐賀(唐津)を舞台にしたアニメには「ユーリ!!! on ICE」というのもあり、


 こちらも聖地巡礼する人が多い。





前置きはこのくらいにして、(笑)
佐賀県には、テーマパーク「有田ポーセリンパーク」というのがある。

ヨーロッパの王候貴族を魅了し、世界の陶磁器に影響を与えた有田焼。世界に名だたるマイセン磁器も有田焼の、特に柿右衛門様式に大いに触発されたことが知られている。東洋磁器に憧れてマイセンで磁器製造を始めたのが、領主だった18世紀のザクセン選帝侯・アウグスト強王だ。彼がドレスデンに建設したツヴィンガー宮殿には、膨大な数の東洋磁器や東洋に関する文献が集められたと言われていた。1970年になって、ツヴィンガー宮殿などから古伊万里をはじめとする有田焼が発見され、その後、有田町でこれらの磁器の「古伊万里里帰り展」が開催された。それを機に、有田町とマイセン市が姉妹都市協定を締結。マイセン市から、2つの都市を結びつけるきっかけとなったツヴィンガー宮殿の設計図が贈られ、これを参考に有田ポーセリンパークのツヴィンガー宮殿が建てられた。

有田ポーセリンパークには、私も何度か行ったことがあるのだが、
ツヴィンガー宮殿は、ポーセリンパークのシンボルともいえる建物で、


宮殿の入り口を抜けた先に広がるバロック様式の庭は、
対称性の美しさを追求した開放的な空間となっており、


ブライダル撮影の前撮りや、


コスプレイヤーの撮影会に使われるなど、
最近は“映え”スポットとして注目を集めている。


会社の同僚の「アニメ」オタクの青年によると、
「ゾンビランドサガ」はもちろん、




「中二病でも恋がしたい!戀」などのアニメにも登場するし、




人気コミックを実写映画化した『黒執事』(2014年)など、


映画のロケ地としてもよく使われているとか。


実は、本日紹介する映画『劇場版 ルパンの娘』でも、
有田ポーセリンパークがロケ地として使われており、


映画公開(2021年10月15日公開)前の9月下旬から10月上旬にかけて、
佐賀県庁でパネル展も行われ、
ロケの様子の写真パネルの他、
主演した深田恭子の使用した衣装、
主要キャストのサイン色紙などが展示され、
大いに話題になった。


私は、
フジテレビ系「木曜劇場」で放送された「ルパンの娘」を、
シーズン1(2019年7月11日~9月26日)も
シーズン2(2020年10月15日~12月10日)も観ており、
好きなTVドラマだったので、
映画化された『劇場版 ルパンの娘』も大いに楽しみにしていた。
そこへ、有田ポーセリンパークでもロケされたというニュースが飛び込んできて、
期待は、いやがうえにも高まった。
で、ワクワクしながら映画館に向かったのだった。



代々泥棒の一家“Lの一族”の娘として生まれた三雲華(深田恭子)は、
代々警察一家の息子・桜庭和馬(瀬戸康史)と恋に落ちた。


困難を乗り越えて結婚した2人は、
杏(小畑乃々)という子宝にも恵まれ、
泥棒一家と警察一家の家族間の問題に振り回されながらも幸せに暮らしていた。
そんなある日、
華の父である三雲尊(渡部篤郎)が、ある出来事をきっかけに「泥棒引退」を決意し、
「これまで迷惑をかけた」と華と和馬に遅めの新婚旅行をプレゼントする。
親子水入らずでディーベンブルク王国観光を満喫していると、
そこには“Lの一族”が……?


実は尊はこの国で、“Lの一族”最後の大仕事を計画していたのだった。
まさかの展開にあきれる華。
しかしその夜、杏が謎の集団にさらわれ、
引き換えにこの国に眠る伝説の王冠を要求される。
二度と着ないつもりだった泥棒スーツに再び身を包んだ華は、


尊、母・悦子、祖母・マツら一族と共に、王冠が眠る難航不落の城に忍び込むが、
そこに謎の敵“JOKER”が立ちはだかる。
すべては“Lの一族”絶滅のための罠だったのだ。
和馬も人質に捕られ、事態はどんどん予測不可能な展開に。
そして、ついにその姿を現したもう一人の“Lの一族”・三雲玲(観月ありさ)。


三雲玲は、一族を離れ、大道芸人の夫(岡田義徳)と普通の生活を送っていたが、


ある出来事で、死んだとされていた玲が、再び華たちの前に現れたのだった。
“Lの一族”、三雲玲、そして三雲華。
すべての真相には、決して盗み出せない家族の絆があった……




〈TVドラマの方は観ていないのだけれど……〉
と心配している方もおられるかもしれないが、
映画の冒頭に、どんぐり(出演女優)のナレーションによるドラマ振り返り映像があるので、
TVシリーズを観てなくても大丈夫。


アクション映画、SF映画、ファンタジー映画、サスペンス映画、ミステリー映画、コメディ映画、恋愛映画、ファミリー映画、ミュージカル映画など、
いろんなジャンルの映画の要素がすべて詰め込まれた、
実に楽しい“おもちゃ箱”のような映画であった。


『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』『テルマエ・ロマエⅡ』などで知られる武内英樹監督が、(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
ドラマ版に続きメガホンを取っているので安心して見られるし、
海外を舞台に、スケールアップした見応え十分の活劇が見られる。


とは言っても、
海外ロケの想定で進めていた最中に、新型コロナウイルスが感染拡大し、
海外ロケはやむなく断念することになったとか。
一時は、国内を舞台にした脚本に書き直すことも考えられたが、
「劇場版には海外の風景が必要」
という強い信念から、
国内で海外に見えるロケ地を探し出して撮影が行われたそうだ。
その中に、有田ポーセリンパークもあったというワケ。(笑)
最新のCG技術を駆使して完成した映像は、海外そのもので、
違和感なく最後まで見ることができた。

とは言っても、(笑)
有田ポーセリンパークでロケされた場面がどこで使われているのか、
目を凝らして見ていたのだが、
このシーンは、


ここだし、


このシーンは、


ここだし、


このシーンは、


ここだし、


と、探しつつ見るのは楽しかったし、
いろんなシーンに有田ポーセリンパークが使われていて嬉しかった。


三雲華を演じた深田恭子。


泥棒一家“Lの一族”の娘で、泥棒家業を継ぐことを拒否し、
普通の暮らしを夢見るも、毎回、事件に巻き込まれてしまう。
泥棒スーツ(これが色っぽい)を着ると覚醒し、


華麗なるアクションで、悪い奴らを懲らしめる。
そして、決めゼリフ「あんたが犯した罪、悔い改めな!」が飛び出し、終演となる。
ワンパターンであるが、それが毎回楽しみで、
深田恭子の持つ魅力で“ワンパターンの妙技”とも言うべき域に達している。
劇場版では、深田恭子の魅力が倍加されており、魅了された。



北条美雲を演じた橋本環奈。


名探偵一家・北条家の令嬢で、
Lの一族が祖父を死に追いやり、北条家を没落させたと思い、
正体を突き止めるべく警視庁に入り和馬の部下となっている。


次第に華たちが復讐の相手ではないと分かり、
今ではもう一人のLの一族の真相を尊と協力して追っている。
TVドラマ「ルパンの娘」のシーズン2からの登場であったが、
シーズン2の方は、北条美雲(橋本環奈)の登場シーンを楽しみに毎回観ていた。


劇場版では、TVドラマよりは出演シーンが少なくて、それだけが残念であったが、
三雲渉(栗原類)が開発した媚薬を嗅がされ、
色っぽく三雲渉に迫るシーンが可愛くて、
〈やはり橋本環奈はイイな~〉
と思ったことであった。(コラコラ)



三雲玲を演じた観月ありさ。


非凡な泥棒センスを持つ、もう一人のLの一族であり、尊(渡部篤郎)の妹。
一族とは離れて普通の暮らしをしていたのだが、
“ある事件”をきっかけに行方をくらまし、死んだこととされていた。
(ここからは少しネタバレになるが)
「ルパンの娘」史上最狂の敵・JOKERの正体は、実は三雲玲で、
DCコミックス「バットマン」に登場するジョーカーさながらに、


非情で凶悪な最狂の敵として登場する。


しかし、彼女がジョーカーにならざるを得なかった背景には、
耐えられないほどの人生の哀しみが隠されており、
それを知るに至って、私は、
観月ありさが過去に演じた『映画 妖怪人間ベム』(2012年)での、
植物を媒介に妖怪化したサユリ(上野小百合)という役を思い出した。


夫や娘を愛しながら哀しい運命で“人間妖怪”になった女性を、
観月ありさが切なく演じていたのだが、(映画のレビューはコチラから)
その運命的な境遇が『映画 妖怪人間ベム』でのサユリに酷似していたのだ。
観月ありさは、TVドラマ出演は多いのだが、
映画への出演は意外に少なくて、10数本しかない。
その少ない映画出演作で、一番印象に残っているのは、
ドリカムのヒット曲が元になった映画『7月7日、晴れ』(1996年)。


観月ありさもドリカムも最も輝いていた頃の一作で、
今でも折に触れ見ている作品である。



ナターシャを演じた太田莉菜。


Lの一族を追う、寡黙でミステリアスな(ナイフ遣いの)殺し屋で、
過去に(TVドラマの方で)玲の存在をほのめかしていた。

最近は、松田龍平と離婚して話題になっていたが、(コラコラ)
私が極私的に思い出すのは、『脳男』(2013年)で
この映画で、水沢ゆりあという役を演じていたのだが、
水沢ゆりあが、本作ナターシャとオーバーラップした。

眉を潰し、異様な笑いで恐怖をさそう二階堂ふみは、
よく健闘していたし、もちろん合格点をあげられるのだが、
私は「もっとできる子」だと思っていたので、
そういう意味では、ちょっと言い過ぎであるが、やや期待はずれであった。



むしろ、緑川紀子(二階堂ふみ)の部下ともいうべき水沢ゆりあを演じた太田莉菜の方に、
より凄みを感じた。
モデル出身なので、まだ出演作は少ないが、
これからに期待できる女優であると思った。



とレビューに書いたのだが、(全文はコチラから)
〈こんなイッちゃってる凶暴な殺し屋を演じさせたら太田莉菜の右に出る者はいない〉
と思わせるほどに適役であった。
映画への出演は少ないが、独自の個性を持っているので、これからも女優としてもっと活躍してもらいたいと思う。



三雲マツを演じたどんぐり(竹原芳子)。


華の祖母で、どんな鍵も「お茶の子さいさいや~」と開けてしまう伝説の鍵師。
家族で唯一関西弁を話し、天真爛漫で底抜けに明るい。
「定吉!」と叫ぶ突きで悪党を倒す必殺技を持つ。
『カメラを止めるな!』(2018年)で初めて見て、その唯一無二の風貌に魅せられた。
最近は、TVドラマや映画でよく見るようになり、その活躍ぶりが嬉しい。
本作でもTVドラマから引き続き楽しい役柄で、私も大いに楽しませてもらった。
1960年2月10日生れなの61歳だが、(2021年11月現在)
50代になってからNSC大阪校に33期生として入所し、ピン芸人を経て、
55歳になった頃に芝居の勉強をしたいと考えワークショップに通い始め、
『カメラを止めるな!』に出演したことで注目を集め、ブレイク。
遅咲きの女優であるが、これからが本当に楽しみな女優である。



三雲杏を演じた小畑乃々。


華と和馬の娘で、
華が杏には泥棒をさせまいと育てたため、普段は優しく穏やかな性格だが、
全集中すると覚醒し、一族最強の戦闘能力を発揮するという役柄。


最近、よく見るようになった女の子であるが、
アクションシーンもこなし、子役としての存在感もあり、
今後も女優として成長が期待できると思った。



「鑑賞する映画は出演する女優で決める」主義の私としては、
これらの女優が見られただけで大満足で、
〈もういいかな?〉
と思う。(コラコラ)
男優陣を語るだけの余力が残っておらず、(笑)
円城寺豪(市村正親)と円城寺輝(大貫勇輔)のミュージカル風なシーンは楽しかったし、


桜庭和一(藤岡弘)や三雲巌(麿赤兒)の独特のオーラを放つ演技に心を奪われた……




とだけ、記しておこう。

エンドロールでは、
TVシリーズの名場面が映し出され、
TVシリーズファンにとっては感涙ものであった。

映画『劇場版 ルパンの娘』一作を語るのに、
実に様々なことを述べたような気がするが、
要は、(自戒を込めて)自分が見ている(知っている)世界がすべてではないということだ。
普段、ミニシアター系の映画しか見ないような映画ファンは、(私もその傾向が強い)
たぶん、この手の映画は見ないと思うが、
何も見ても教えられることがあるし、何を見ても何かを思い出す。
映画の楽しみはどこにでもあることを解らせてくれる。

前期高齢者ともなれば、若者向けの映画は見なくなるし、
人気俳優を揃えたような「いかにも」な映画も見なくなる。
SNSで発信している人ならば、
〈賢く見られたい!〉
と、誰でも見るような(一般大衆をターゲットにした)映画は見なくなる。(笑)
だが、そんな大衆映画の細部に神が宿っていることもある。
それを見逃してしまうのは、あまりにも惜しい。
なので、私は、
これからもいろんな種類の映画を見ていこうと思っている。

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