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この数年間に公開された青春映画の中では、
山戸結希監督の『溺れるナイフ』(2016年11月5日公開)は最も優れた作品であった。
……山戸結希監督が小松菜奈と菅田将暉の美を抉った傑作……
とのサブタイトルを付けてレビューを書いたし、(レビューはコチラから)
第3回「一日の王」映画賞・日本映画(2016年公開作品)ベストテンでは、
山戸結希監督を最優秀監督賞に選んだ。(コチラを参照)
選出理由を、私は次のように記している。
2016年に上映された映画で、「最も好きな作品は?」と訊かれたら、
私は、『溺れるナイフ』と答えるような気がする。
山戸結希監督作品『溺れるナイフ』は、それほどの好印象を私に残してくれた。
「Yahoo!映画」のユーザーレビューでは「2.33点」(2017年1月18日現在)と低いが、
これは逆ステマに遭った為。
昨年は、(それが宣伝であると悟られないように宣伝を行う)ステルスマーケティング(略称「ステマ」)が話題になった年で、
映画などの口コミサイトに、5点満点が大量投下されたり、(『この世界の片隅に』等)
逆ステマとして、1点が大量投下されたりした。
『溺れるナイフ』は、この逆ステマの犠牲になった映画で、
公開前に(コメントなしの)1点が大量投下されていた。
山戸結希監督は、1989年生まれの、まだ20代の若き監督だ。
妬みや誹りに負けず、今後も頑張って欲しいという意味を込めて、
彼女に監督賞を贈りたいと思う。
かように私がその実力を評価した山戸結希監督であったが、
次作がなかなか公開されなかった。
そして、ようやく、昨年(2018年)の秋になって、
山戸結希監督が企画・プロデュースを手がけ、
自身を含む1980年代後半~90年代生まれの新進女性映画監督15人がメガホンをとった短編オムニバス映画が、第31回東京国際映画祭にて「日本映画スプラッシュ特別上映」されることを知った。
だが、特別上映チケットは、争奪戦の末発売開始後約1時間で完売したとのことで、
(まあ、チケットが取れても東京までは行けないし……)
一般劇場公開日の2019年2月8日を首を長くして待っていた。
なのに、当初、佐賀県での上映館はなく、
〈福岡まで見に行かなくてはならないか……〉
と思っていたところ、
佐賀のシアターシエマで6月14日(金)から6月20日(木)の1週間限定で上映されることが決まり、
先日、やっと、劇場公開日から4ヶ月遅れで見ることができたのだった。
『Mirror』
監督:竹内里紗
出演:瀧内公美、朝倉あき、他
『ミューズ』
監督:安川有果
出演:石橋静河、村上淳、中村ゆり、他
『愛はどこにも消えない』
監督:松本花奈
出演:橋本愛、南沙良、小野花梨、他
『粘膜』
監督:加藤綾佳
出演:日南響子、久保陽香、他
『projection』
監督:金子由里奈
出演:伊藤沙莉、土居志央梨、小川あん、他
『恋愛乾燥剤』
監督:枝優花
出演:山田杏奈、藤原隆介、ゆっきゅん、他
『out of fashion』
監督:東佳苗
出演:モトーラ世理奈、筒井のどか、他
『君のシーツ』
監督:井樫 彩
出演:三浦透子、清水くるみ、他
『セフレとセックスレス』
監督:ふくだももこ
出演:黒川芽以、木口健太
『I wanna be your cat』
監督:首藤凜
出演:木下あかり、武谷公雄
『珊瑚樹』
監督:夏都愛未
出演:堀春菜、倉島颯良、福島珠理
『回転てん子とどりーむ母ちゃん』
監督:山中瑶子
出演:北浦愛、南果歩、杉野希妃、他
『reborn』
監督:坂本ユカリ
出演:松井玲奈、平井亜門
『離ればなれの花々へ』
監督:山戸結希
出演:唐田えりか、竹内ももこ、詩歩
エンドロールアニメーション
監督:玉川桜
15名の新進監督に与えられたのは、
「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」
というテーマで、8分以内の短編を撮り上げること。
エンドロールアニメーションまで含めた15の短編映画を見て、
その挑発的かつ挑戦的な映像世界に酔わされた。
それにしても、上映時間わずか8分の短編映画なのに、
出演している女優たちが、とにかく豪華。
今売れている女優もいるが、
これからの女優、将来性の感じられる女優が多数出演しているのだ。
竹内里紗監督作品『Mirror』の瀧内公美と、
朝倉あき。
安川有果監督作品『ミューズ』の石橋静河と、
中村ゆり。
東佳苗監督作品『out of fashion』のモトーラ世理奈。
金子由里奈監督作品『projection』の伊藤沙莉。
加藤綾佳監督作品『粘膜』の日南響子。
首藤凜監督作品『I wanna be your cat』の木下あかり。
松本花奈監督作品『愛はどこにも消えない』の橋本愛。
坂本ユカリ監督作品『reborn』の松井玲奈。
井樫彩監督作品『君のシーツ』の三浦透子。
そして、山戸結希監督作品『離ればなれの花々へ』の唐田えりか。
私がこのブログ「一日の王」で絶賛してきた若手女優が、
これでもかというようにスクリーンに映し出され、
私はもうそれだけで大満足であった。
15編通して見ると、
やはり山戸結希監督作品が圧倒的であった。
他の14編とは、明らかに力の差があった。
私としては、やはり山戸結希監督作品を2時間じっくりと見たい気がした。
その願いが、もうすぐ叶う。
次作『ホットギミック ガールミーツボーイ』が、
1週間後(2019年6月28日)に公開されるからだ。
主演は、乃木坂46の堀未央奈。
少女漫画を原作とした青春映画であるが、
『溺れるナイフ』がそうであったように、
普通のキラキラ映画にはなっていない筈である。
もはや、期待しかない。