![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/d1/ee86cd4a4cbf245d45969f7520477d5a.jpg)
10月4日(土)・5日(日)に、ネット仲間が集まって「坊ヶつるテント泊で満天の星空と早朝朝駆け登山を楽しもう会」というのをやりますので、タクさんも参加しませんかと、そよかぜさんからお誘いを受けた。
いつもは土曜日は仕事をしている私であったが、ある事情で今週は土日連休を取っていた。
テント泊は、今年5月に屋久島縦走して以来なので、久しぶりにテントで寝てみたいと思い、「ぜひ参加させて下さい」と返信した。
参加予定は、九州5県から、
【大分】よっちゃん(隊長)
【長崎】そよかぜ(副隊長)、山馬鹿(副隊長)
【福岡】コヨーテ、hiroko、Haru、Hiro
【鹿児島】エリアス
【佐賀】タク
の9名。
私としては、よっちゃん、hirokoさん、エリアスさんが初対面となる。
ところが、数日前から、日曜日の天気が「雨」との予報が出た。
そして、前日の10月3日、急遽、予定変更のメールが入った。
「日曜日の降水確率70%はさすがに無視できないとの見解に達し、日帰りツアーの計画に変更させていただきます」
行程も、
長者原~すがもり越~三俣山~雨ヶ池~長者原
に変更された。
三俣山は、くじゅうに来る度に姿は見ているのだが、私はまだ登ったことがなかった。
だから、テント泊の中止を残念に思いつつも、三俣山登山をひそかに喜んでもいた。
それから、もうひとつ、鹿児島のエリアスさんが、二人目ご懐妊がわかり、欠席となった。
「エリアスさんの欠席で、参加者の平均年齢がグッと上がった」そうなので、エリアスさんはかなり若い方だったようだ。
私はお会いしたことがないのだが――「おめでとうどざいます!」
10月4日。
7:00
山馬鹿さんとそよかぜさんが乗る長崎組の車に、多久ICで私も乗せてもらう。
8:40
長者原到着。
もうすでに他の皆さんは集合していた。
8:50
準備を終え、出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/8d/85acb3dd681e29174045ee3534ad8c03.jpg)
9:50
歩き始めて1時間。
三俣山が近づいてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/8e/b28217a99364a5bf023d795669d9e7ed.jpg)
10:00
硫黄山の噴煙を間近に見る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/73/7fdf8d2a462365fd3724dd6fdad0dcc8.jpg)
すがもり越はもうすぐだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/4b/07b1e2cf806f15c50fa173921b3f61fb.jpg)
10:15
すがもり越に到着。
今年の2月17日、雪の降る中、この鐘を鳴らしたことを思い出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/dd/f3a2a3608ab39d091f8dae285c3cc644.jpg)
10:29
三俣山にとりつく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/60/12ec6ae8869b1fc288b19fc09e2d7151.jpg)
10:41
すこし登っただけだが、硫黄山のダイナミックな姿が眺められた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/96/9aa228bcd0c916839bacf42564c92878.jpg)
登り始めて、リンドウの多さに驚く。
まるで「リンドウの小道」。
足で踏みつけないように注意しながら歩く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/90/ce0c79d26556a98d0295abac008e367b.jpg)
10:56
三俣山西峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/34/4035a1635297ed765f858dd8e9ae102a.jpg)
硫黄山から左に目を転じると、(右から)久住山、中岳、白口岳が眺められた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/dd/6979b47f83155cc6bc7db320a3b4320e.jpg)
本峰に向かう途中、マイヅルソウの実を発見!
可憐な小さい白い花が、カワイイ赤い実に変化を遂げていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/8c/f2f344d964cb9fe0ec0cd197fe18bd87.jpg)
11:25
三俣山本峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/37/630a136dedd4979deb8e9c1124b30191.jpg)
本峰を過ぎた辺りから、フクオウソウを目にする機会が増えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/0e/58678d7ab099735d1a669945157a95dc.jpg)
11:43
三俣山南峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/b5/7ac0a511e5c2342c7ebc702750770ac1.jpg)
ここで昼食。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/7d/377291b1067b92caf4ffa1664870caaa.jpg)
そよかぜさんからおでん、hirokoさんからお煮染め、Hiroさんからブドウの差し入れがあり、満腹になりまた。
とても美味しかったです。
みなさん、ありがとうございました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/60/30c4092e6857403574009a803541c999.jpg)
昼食後、リンドウの咲き乱れる山頂を散策。
足の踏み場もないほど咲いていて、本当に驚きだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/3d/3d79e079eb78622354d8e3dd303e3acb.jpg)
12:48
雨ヶ池の方に下山開始。
やがて坊ガツルが見えてきた。
本当はここでテント泊のはずであった。
いつかまた……私だけではなく、他のメンバーもそう思ったに違いない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5a/f24efacec0dd57f122efe007c6a3dd46.jpg)
雨ヶ池越辺りで、花束のようなリンドウを見つけた。
リンドウで思い出すのは、伊藤左千夫の『野菊の墓』だ。
私の読書歴はもうすぐ40年になるのだが、その出発点になったのが、この本だ。
この本を読んだ感動は、今も忘れない。
集英社文庫の解説で、故・久世光彦は自らのことを「隠れ野菊」と語っている。
その例に倣うなら、私も「隠れ野菊」である。
おじさんになって『野菊の墓』を語るのはなんとなく憚られるが、私は今もこの作品を愛している。
この作品の中にリンドウが出てくる。
読んだことがある人は、どこに出てくるかすぐに判るはずだ。
《……野菊がよろよろと咲いている。民さんこれ野菊がと僕は吾知らず足を留めたけれど、民子は聞えないのかさっさと先へゆく。僕は一寸脇へ物を置いて、野菊の花を一握り採った。
民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻ってきた。
「民さんはそんなに戻ってきないッたって僕が行くものを……」
「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」
「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」
「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」
「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。
「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」
「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」
「それで政夫さんは野菊が好きだって……」
「僕大好きさ」》
このあと、今度は民子が政夫をリンドウに例える場面がある。
《民子は云いさしてまた話を詰らしたが、桐の葉に包んで置いた竜胆の花を手に採って、急に話を転じた。
「こんな美しい花、いつ採ってお出でなして。りんどうはほんとによい花ですね。わたしりんどうがこんなに美しいとは知らなかったわ。わたし急にりんどうが好きになった。おオえエ花……」
花好きな民子は例の癖で、色白の顔にその紫紺の花を押しつける。やがて何を思いだしてか、ひとりでにこにこ笑いだした。
「民さん、なんです、そんなにひとりで笑って」
「政夫さんはりんどうの様な人だ」
「どうして」
「さアどうしてということはないけど、政夫さんは何がなし竜胆の様な風だからさ」
民子は言い終って顔をかくして笑った。
「民さんもよっぽど人が悪くなった。それでさっきの仇討という訣ですか。口真似なんか恐入りますナ。しかし民さんが野菊で僕が竜胆とは面白い対ですね。僕は悦(よろこ)んでりんどうになります。それで民さんがりんどうを好きになってくれればなお嬉しい」》
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/66/9294a8a2a2dbccf43630bf24c2a1eda4.jpg)
13:55
雨ヶ池に到着。
ヤマラッキョウの群落が見られるハズ……だが、やや花期は過ぎていた。
9月だったら、池一面がヤマラッキョウの鮮やかな紅紫色に染まっていたに違いない。
それだけが惜しまれる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/85/03482bb80fd21a1afea580a85d419bb2.jpg)
熱心にヤマラッキョウを撮影するメンバーを見ながら、私は、ここへ来る少し前に見た別な池のことを思い出していた。
その小さな池(ここも雨ヶ池というのだろうか?)の水は透き通っていた。
水底まで見える透明度で、例えようもなく美しかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/00/de60162975b7b1173e795c098295bc16.jpg)
その池の背後に、三俣山の北峰が見えた。
この池の辺りの時間は、静止しているように感じた。
いつまでもここに佇んでいたいと思った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/81/2803d659ae02b6f06b4788be7db2aff0.jpg)
もうすぐ長者原という所で、トリカブトを見つける。
天山のタンナトリカブトとはあきらかに違っていた。
何というトリカブトなのだろう……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/10/df5f9f79dbe33d6d3e5b25b2c15fe70c.jpg)
15:15
振り返ると、三俣山の山頂が雲に覆われている。
山頂はもう雨が降っているのであろうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ff/e528effd89f1eb908a88befcbfa72df8.jpg)
15:20
長者原到着。
お疲れ様でした。
ここで、よっちゃん隊長の挨拶の後、解散。
温泉で疲れを癒し、帰路についた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/ad/9d350081962c6310a10ac464a6f80dd0.jpg)
初めての三俣山であったが、素晴らしい山行であった。
三俣山南峰から雨ヶ池に下りるコースは、ややマイナーコースなのか、狭い登山道、滑りやすい斜面に苦労した。
だが、全体を通して展望は良く、足元にはリンドウが咲き乱れ、気持ちの良い快適なルートだった。
新しい風景との出逢い、そして新しい人との出逢い。
今回も、私にとって刺激に富む、山の旅であった。
よっちゃん隊長さん、企画から当日の道案内まで、ありがとうございました。
初めてお会いしましたが、もう以前からの知り合いのような感じになれたのは、素晴らしいお人柄のせいだったと思います。
副隊長のそよかぜさん、山馬鹿さん、ありがとうございました。
車に乗せて頂いたり、おでんをご馳走になったり、お世話をかけっぱなしでスミマセン。
hirokoさん、初対面でしたが、hirokoさんのHPは以前より拝見しておりました。
だから、あまり初対面という感じはしませんでした。
これからもよろしくお願い致します。
Haruさん、Hiroさん、御一緒したのはまだ1、2回ですが、もう何だか長年の友達のような気がします。
またどこかでお会いしましょう!
コヨーテさん、私とは、天山以来の2度目の山行ですね。
でも、私はずっと以前からコヨーテさんのHPをほぼ毎日チェックしていて、私としては随分前からの知り合いのような気がしています。
井原山登山の際は、必ずコヨーテさんのHPを見てから出掛けるようにしています。
素晴らしいHP、ありがとうございます。
みなさん、いつか、本当に、テント泊しましょうね!
では、その日まで――
いつもは土曜日は仕事をしている私であったが、ある事情で今週は土日連休を取っていた。
テント泊は、今年5月に屋久島縦走して以来なので、久しぶりにテントで寝てみたいと思い、「ぜひ参加させて下さい」と返信した。
参加予定は、九州5県から、
【大分】よっちゃん(隊長)
【長崎】そよかぜ(副隊長)、山馬鹿(副隊長)
【福岡】コヨーテ、hiroko、Haru、Hiro
【鹿児島】エリアス
【佐賀】タク
の9名。
私としては、よっちゃん、hirokoさん、エリアスさんが初対面となる。
ところが、数日前から、日曜日の天気が「雨」との予報が出た。
そして、前日の10月3日、急遽、予定変更のメールが入った。
「日曜日の降水確率70%はさすがに無視できないとの見解に達し、日帰りツアーの計画に変更させていただきます」
行程も、
長者原~すがもり越~三俣山~雨ヶ池~長者原
に変更された。
三俣山は、くじゅうに来る度に姿は見ているのだが、私はまだ登ったことがなかった。
だから、テント泊の中止を残念に思いつつも、三俣山登山をひそかに喜んでもいた。
それから、もうひとつ、鹿児島のエリアスさんが、二人目ご懐妊がわかり、欠席となった。
「エリアスさんの欠席で、参加者の平均年齢がグッと上がった」そうなので、エリアスさんはかなり若い方だったようだ。
私はお会いしたことがないのだが――「おめでとうどざいます!」
10月4日。
7:00
山馬鹿さんとそよかぜさんが乗る長崎組の車に、多久ICで私も乗せてもらう。
8:40
長者原到着。
もうすでに他の皆さんは集合していた。
8:50
準備を終え、出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/8d/85acb3dd681e29174045ee3534ad8c03.jpg)
9:50
歩き始めて1時間。
三俣山が近づいてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/8e/b28217a99364a5bf023d795669d9e7ed.jpg)
10:00
硫黄山の噴煙を間近に見る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/73/7fdf8d2a462365fd3724dd6fdad0dcc8.jpg)
すがもり越はもうすぐだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/4b/07b1e2cf806f15c50fa173921b3f61fb.jpg)
10:15
すがもり越に到着。
今年の2月17日、雪の降る中、この鐘を鳴らしたことを思い出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/dd/f3a2a3608ab39d091f8dae285c3cc644.jpg)
10:29
三俣山にとりつく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/60/12ec6ae8869b1fc288b19fc09e2d7151.jpg)
10:41
すこし登っただけだが、硫黄山のダイナミックな姿が眺められた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/96/9aa228bcd0c916839bacf42564c92878.jpg)
登り始めて、リンドウの多さに驚く。
まるで「リンドウの小道」。
足で踏みつけないように注意しながら歩く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/90/ce0c79d26556a98d0295abac008e367b.jpg)
10:56
三俣山西峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/34/4035a1635297ed765f858dd8e9ae102a.jpg)
硫黄山から左に目を転じると、(右から)久住山、中岳、白口岳が眺められた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/dd/6979b47f83155cc6bc7db320a3b4320e.jpg)
本峰に向かう途中、マイヅルソウの実を発見!
可憐な小さい白い花が、カワイイ赤い実に変化を遂げていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/8c/f2f344d964cb9fe0ec0cd197fe18bd87.jpg)
11:25
三俣山本峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/37/630a136dedd4979deb8e9c1124b30191.jpg)
本峰を過ぎた辺りから、フクオウソウを目にする機会が増えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/0e/58678d7ab099735d1a669945157a95dc.jpg)
11:43
三俣山南峰到着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/b5/7ac0a511e5c2342c7ebc702750770ac1.jpg)
ここで昼食。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/7d/377291b1067b92caf4ffa1664870caaa.jpg)
そよかぜさんからおでん、hirokoさんからお煮染め、Hiroさんからブドウの差し入れがあり、満腹になりまた。
とても美味しかったです。
みなさん、ありがとうございました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/60/30c4092e6857403574009a803541c999.jpg)
昼食後、リンドウの咲き乱れる山頂を散策。
足の踏み場もないほど咲いていて、本当に驚きだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/3d/3d79e079eb78622354d8e3dd303e3acb.jpg)
12:48
雨ヶ池の方に下山開始。
やがて坊ガツルが見えてきた。
本当はここでテント泊のはずであった。
いつかまた……私だけではなく、他のメンバーもそう思ったに違いない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5a/f24efacec0dd57f122efe007c6a3dd46.jpg)
雨ヶ池越辺りで、花束のようなリンドウを見つけた。
リンドウで思い出すのは、伊藤左千夫の『野菊の墓』だ。
私の読書歴はもうすぐ40年になるのだが、その出発点になったのが、この本だ。
この本を読んだ感動は、今も忘れない。
集英社文庫の解説で、故・久世光彦は自らのことを「隠れ野菊」と語っている。
その例に倣うなら、私も「隠れ野菊」である。
おじさんになって『野菊の墓』を語るのはなんとなく憚られるが、私は今もこの作品を愛している。
この作品の中にリンドウが出てくる。
読んだことがある人は、どこに出てくるかすぐに判るはずだ。
《……野菊がよろよろと咲いている。民さんこれ野菊がと僕は吾知らず足を留めたけれど、民子は聞えないのかさっさと先へゆく。僕は一寸脇へ物を置いて、野菊の花を一握り採った。
民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻ってきた。
「民さんはそんなに戻ってきないッたって僕が行くものを……」
「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」
「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」
「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」
「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。
「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」
「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」
「それで政夫さんは野菊が好きだって……」
「僕大好きさ」》
このあと、今度は民子が政夫をリンドウに例える場面がある。
《民子は云いさしてまた話を詰らしたが、桐の葉に包んで置いた竜胆の花を手に採って、急に話を転じた。
「こんな美しい花、いつ採ってお出でなして。りんどうはほんとによい花ですね。わたしりんどうがこんなに美しいとは知らなかったわ。わたし急にりんどうが好きになった。おオえエ花……」
花好きな民子は例の癖で、色白の顔にその紫紺の花を押しつける。やがて何を思いだしてか、ひとりでにこにこ笑いだした。
「民さん、なんです、そんなにひとりで笑って」
「政夫さんはりんどうの様な人だ」
「どうして」
「さアどうしてということはないけど、政夫さんは何がなし竜胆の様な風だからさ」
民子は言い終って顔をかくして笑った。
「民さんもよっぽど人が悪くなった。それでさっきの仇討という訣ですか。口真似なんか恐入りますナ。しかし民さんが野菊で僕が竜胆とは面白い対ですね。僕は悦(よろこ)んでりんどうになります。それで民さんがりんどうを好きになってくれればなお嬉しい」》
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/66/9294a8a2a2dbccf43630bf24c2a1eda4.jpg)
13:55
雨ヶ池に到着。
ヤマラッキョウの群落が見られるハズ……だが、やや花期は過ぎていた。
9月だったら、池一面がヤマラッキョウの鮮やかな紅紫色に染まっていたに違いない。
それだけが惜しまれる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/85/03482bb80fd21a1afea580a85d419bb2.jpg)
熱心にヤマラッキョウを撮影するメンバーを見ながら、私は、ここへ来る少し前に見た別な池のことを思い出していた。
その小さな池(ここも雨ヶ池というのだろうか?)の水は透き通っていた。
水底まで見える透明度で、例えようもなく美しかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/00/de60162975b7b1173e795c098295bc16.jpg)
その池の背後に、三俣山の北峰が見えた。
この池の辺りの時間は、静止しているように感じた。
いつまでもここに佇んでいたいと思った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/81/2803d659ae02b6f06b4788be7db2aff0.jpg)
もうすぐ長者原という所で、トリカブトを見つける。
天山のタンナトリカブトとはあきらかに違っていた。
何というトリカブトなのだろう……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/10/df5f9f79dbe33d6d3e5b25b2c15fe70c.jpg)
15:15
振り返ると、三俣山の山頂が雲に覆われている。
山頂はもう雨が降っているのであろうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ff/e528effd89f1eb908a88befcbfa72df8.jpg)
15:20
長者原到着。
お疲れ様でした。
ここで、よっちゃん隊長の挨拶の後、解散。
温泉で疲れを癒し、帰路についた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/ad/9d350081962c6310a10ac464a6f80dd0.jpg)
初めての三俣山であったが、素晴らしい山行であった。
三俣山南峰から雨ヶ池に下りるコースは、ややマイナーコースなのか、狭い登山道、滑りやすい斜面に苦労した。
だが、全体を通して展望は良く、足元にはリンドウが咲き乱れ、気持ちの良い快適なルートだった。
新しい風景との出逢い、そして新しい人との出逢い。
今回も、私にとって刺激に富む、山の旅であった。
よっちゃん隊長さん、企画から当日の道案内まで、ありがとうございました。
初めてお会いしましたが、もう以前からの知り合いのような感じになれたのは、素晴らしいお人柄のせいだったと思います。
副隊長のそよかぜさん、山馬鹿さん、ありがとうございました。
車に乗せて頂いたり、おでんをご馳走になったり、お世話をかけっぱなしでスミマセン。
hirokoさん、初対面でしたが、hirokoさんのHPは以前より拝見しておりました。
だから、あまり初対面という感じはしませんでした。
これからもよろしくお願い致します。
Haruさん、Hiroさん、御一緒したのはまだ1、2回ですが、もう何だか長年の友達のような気がします。
またどこかでお会いしましょう!
コヨーテさん、私とは、天山以来の2度目の山行ですね。
でも、私はずっと以前からコヨーテさんのHPをほぼ毎日チェックしていて、私としては随分前からの知り合いのような気がしています。
井原山登山の際は、必ずコヨーテさんのHPを見てから出掛けるようにしています。
素晴らしいHP、ありがとうございます。
みなさん、いつか、本当に、テント泊しましょうね!
では、その日まで――
楽しい山でしたね。みなさんお人柄も素晴しく、いつも
テント泊が出来なくてとっても残念でしたけど、秋の美しい山をご一緒に歩くことができて幸いでした。
またどこかをご一緒に歩きましょう!
>タクさん お疲れさまでした。
>楽しい山でしたね。みなさんお人柄も素晴しく、いつも笑いで一杯の山です。
よっちゃん隊長を先頭に、我々はやや先を歩いていたのですが、そよかぜさんの笑い声で、後方部隊の位置が大体把握できました。
風邪で声が出ないと嘆いていたHiroさんの声も何故か聞こえてました。
>テント泊が出来なくてとっても残念でしたけど、秋の美しい山をご一緒に歩くことができて幸いでした。
>またどこかをご一緒に歩きましょう!
私にとっては三俣山は初めて登る山だったので、とても嬉しかったです。
展望は言うことなし!
リンドウがあれほど咲いているとは……驚きました。
お誘い頂き、本当にありがとうございました。
皆さんの協力のおかげで、前日の計画変更にも関わらず、
楽しい一日を過ごすことができました。
無事、約束通り雨が降り、ムフフ・・・です。
正確は本来、一人で登ることが多く、且つ好みますが、
年に数回、長崎隊の皆さんと御一緒させていただいております。
たまに山の中でばったりお逢いすることもありますが・・・
こんな自分ですが、今後ともよろしくお願いします。
くじゅう連山も季節を変えて登ると
まだまだ感動できる場所も多くあります。
また、どこぞで御一緒できますよう。
テント泊は残念でしたね~--;;
でも皆さんの楽しそうな様子にレポ拝見しながら私の頬も緩んでいます~^^♪
「トリカブト」はヒロハの種類でしょうか・・・?
雲仙山系のトリカブトに似ていますね~
>TAKUさん、昨日はお疲れ様でした。
>皆さんの協力のおかげで、前日の計画変更にも関わらず、楽しい一日を過ごすことができました。
私にとっても素晴らしい一日でした。
初めての三俣山。
感動の連続で、とても思い出深い山になりました。
>無事、約束通り雨が降り、ムフフ・・・です。
佐賀も朝から雨が降っています。
日帰りに予定変更して大正解でしたね。
さすが隊長です!
>正確は本来、一人で登ることが多く、且つ好みますが、年に数回、長崎隊の皆さんと御一緒させていただいております。
>たまに山の中でばったりお逢いすることもありますが・・・
>こんな自分ですが、今後ともよろしくお願いします。
こちらこそ宜しくお願い致します。
>くじゅう連山も季節を変えて登ると
>まだまだ感動できる場所も多くあります。
>また、どこぞで御一緒できますよう。
くじゅう連山を持つ大分県の皆さんが本当に羨ましく思います。
くじゅうは四季を通じて楽しめますね。
また何度でも訪れたいと思っております。
またいつか御一緒できることを願って……
>何時の日もくじゅうへ出かけるとその雄大な優しさに身体の中からふつふつと湧き出すものがあります~(*^^*)
本当にそうですね。
くじゅうに行くだけで胸がいっぱいになります。
九州人にとって、くじゅうは特別の場所ですね。
>テント泊は残念でしたね~--;;
テント泊はできませんでしたが、三俣山に登ることができて大満足です。
それに、今朝(5日)は雨。
日帰りに変更して、正解だったようです。
>でも皆さんの楽しそうな様子にレポ拝見しながら私の頬も緩んでいます~^^♪
足よりも口の方が動いている人が多かったような……
それでも「今日は喋り足りなかった」という人もいて……
>「トリカブト」はヒロハの種類でしょうか・・・?
>雲仙山系のトリカブトに似ていますね~
あっ、そうなんですか!
雲仙山系のトリカブトも見てみたいですねぇ~
トリカブトの種類ももの凄く多いんですね。
勉強しなくては
行き帰りも、タクさんの奇知にとんだ素敵な
話を沢山聞けて楽しかったです。
ありがとう御座いました。
祖母山、気をつけてお出掛けください。
昨日は楽しい山行でしたね。タクさんの日本1周の話はもっとゆっくりお聞きしたかったです。又の機会にでもお聞きできればうれしいです。僕もいつかゆっくりそんな旅ができたら良いなぁと思っています。
あの池は「天ガ池」というらしいです。
では 又いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
>写真が綺麗に撮れてますね、素晴らしい!
ありがとうございます。
美しい風景、美しい花……とにかく被写体のお陰です。
>行き帰りも、タクさんの奇知にとんだ素敵な
話を沢山聞けて楽しかったです。
>ありがとう御座いました。
こちらこそ楽しい話をありがとうございました。
それに運転の方もお任せして済みませんでした。
それにしても、山馬鹿さんのバイタリティには驚かされます。
前日も遅くまで仕事をされていたそうで、ビックリしております。
>祖母山、気をつけてお出掛けください。
はい、ありがとうございます。
私にとっては祖母山も初めて登る山なので、山馬鹿さんやよっちゃん隊長のアドバイスはとても参考になりました。
帰路のコースは注意が必要とのことなので、注意しつつ、楽しんできたいと思います。
>昨日は楽しい山行でしたね。
本当に楽しい山行でした
今回初めてお会いする方もおられましたが、すぐに打ち解けることができて、楽しく歩くことができました。
皆さんに感謝です。
>タクさんの日本1周の話はもっとゆっくりお聞きしたかったです。又の機会にでもお聞きできればうれしいです。僕もいつかゆっくりそんな旅ができたら良いなぁと思っています。
当時、歩いている時
徒歩日本縦断は、歩くだけですから、誰でもできると思います。
必要なのは、決心することと、奥様の理解……でしょうか?
>あの池は「天ガ池」というらしいです。
あっ、そうなんですか!
やはり名前があったのですね。
「雨」と「天」
なんだか、「天山」と「あめ山」の関係みたいですね。
教えて頂き、ありがとうございました。
>では 又いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
佐賀に来られる時は、気軽に声をかけて下さいね。
また一緒に歩きましょう