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サブタイトルに書いた通り、
福岡県大牟田市の動物園を舞台にした地方創生ムービーである。
この手の地域ドラマは、
舞台となっている街の宣伝臭が強い場合が多く、
好んで見ることはあまりないのだが、
佐賀に近い大牟田市を舞台にしたドラマだし、
私の好きな藤本泉、今田美桜などがキャスティングされており、
〈見てみたい!〉
と思った。
福岡県では11月8日から先行上映され、
11月15日から全国公開された。
で、11月21日に、
基山に登山し、大興善寺で紅葉を愛でた後に、
イオンシネマ佐賀大和で鑑賞したのだった。
東京で漫画家を目指し奮闘していた青年・田中亮太(佐藤寛太)は、
自身の夢に限界を感じ故郷の福岡に帰ってきた。
実家に頼れず旧友の部屋に居候する亮太が紹介されたのは、
地元の延命動物園でのアルバイトだった。
園長の野田(武田鉄矢)や、
獣医師の石井彩(藤本泉)らと働いていくうちに、
亮太は、ここが、
動物の健康と幸せを第一に考える“動物福祉”に力を入れる、世界でも珍しい動物園であることを知り、理解していく。
しかし、予算縮小で園の運営は危機的状況にあり、
亮太はこの取り組みを自らの絵で伝えるために、
もう一度漫画を描くことを決意する……
映画に出てくる動物園は「延命動物園」となっており、
動物の健康と幸せを第一に考え、
“動物福祉”に力を入れている世界でも珍しい動物園だとしても、
「延命」とは、あまりに“いかにも”な名前だし、
〈ちょっとダサイな~〉
と思って鑑賞後に調べてみたら、
「大牟田市動物園」は、もともと「延命動物園」という名前だったらしく、
映画のために考え出された名前ではなかった……と知って、ビックリした。
【大牟田市動物園】
1941年10月、「延命動物園」として開業。九州で5番目の市動物園の開園となる。
1956年4月、「大牟田市動物園」に名称変更。有料営業を開始。
大牟田市民の憩いの場である「延命公園」の南端にあり、
総面積44,000m2の敷地内に55種・271点の動物が展示されている。
「動物をとおした こころの交流」をテーマに、
①スタッフとお客様の交流
②スタッフと動物の交流、その交流の姿をお客様に伝えていくことによる交流
③スタッフを介したお客様と動物の直接的交流
の3つの交流を進めている。
2003年に閉園した宝塚ファミリーランドで飼育されていたメスのホワイトタイガー「ホワイティ」を引き取り飼育しており、九州でホワイトタイガーの展示を行う唯一の動物園となっている。
「延命」の名前は、
延命公園のある片平山一帯が古くから「延命寺」という寺を中心とした仏道修行の場所だったことに由来しているとか。
正式名称は、「大牟田市動物園」であるが、
市民には「延命動物園」と呼ばれることが多いそうだ。
それにしても、
国内で初めて無麻酔採血に成功するなど、
動物福祉に特化した動物園として、
世界からも注目されている動物園の“園名”が「延命」とは、(ダジャレかよ)
実にドラマチックだ。
映画の方も、
大牟田市の宣伝臭はあまり感じさせず、
爽やかな人物たちが登場する感動のドラマで、
〈大牟田という街に行ってみたいな!〉
と思わせるほどに、(ということは制作側の意図に乗せられているということなのだが……)
街やそこに住む人々が魅力的に描かれていた。
昨年見た、熊本県荒尾市を舞台にした映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』(2018年10月26日公開)を思い出す。
就職が決まったものの田舎の遊園地に配属されてしまった新入社員が、
上司や個性的な従業員たちの中で経験を積んでいく……というストーリーで、
このブログにレビューを書いたつもりになっていたが、
いくら探しても見つからず、(笑)
レビューを書いていなかったことが判明。(爆)
私が好きな波瑠や橋本愛が出演しており、
人気のある西島秀俊や中村倫也などの男優も出演していたので、
レビューを書くつもりでいたのに、何故書かなかったのか……謎だ。(コラコラ)
……それはともかく、
『いのちスケッチ』は福岡県大牟田市の動物園が舞台で、
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』は熊本県荒尾市の遊園地が舞台。
大牟田市と荒尾市は隣接しており、
動物園と遊園地の違い、
(主人公の)男と女の違いはあれど、
それぞれの主人公が、
最初は仕方なく嫌々仕事をしているが、
悪戦苦闘しながら次第に仕事への情熱を育んでいくというストーリーは同じで、
『いのちスケッチ』と『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』はよく似ていると思った。
話が脱線してしまったが、
私が見たかった女優、藤本泉と今田美桜のことを少し書きたい。
まずは、
獣医師の石井彩を演じた藤本泉。
『アオハライド』(2014年)での高校生役が強く印象に残っているので、
大人で、獣医師の役なんて、ちょっと驚きなのだが、
プロフィールを見てみると、
1991年10月21日生まれなので、28歳。(2019年11月現在)
いつのまにか、すっかり大人になっていたのだ。
ていうか、『アオハライド』のときにはもう23歳だったんだね。
本作『いのちスケッチ』では、
ヒロインとしての華やかさを保ちつつも、
過去の経験からまだ完全には立ち直っていないという、
暗い影の部分も併せ持つ獣医師を、
実に魅力的に演じていた。
来園者の西山千華を演じた今田美桜。
今、もっとも注目されている若手女優で、
TVでは観ない日がないほど活躍している。
福岡県出身ということもあって、
忙しい中での友情出演ということで、
出演シーンも短いのだが、
その目力のある美しい容姿と、確かな演技で、
見る者に鮮烈な印象を残す。
来年(2020年)には、
『ヲタクに恋は難しい』(2020年2月7日公開予定)
『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(2020年2月21日公開予定)
の2作が控えており、
来年早々、彼女をスクリーンで見ることができそうだ。
その他、
地元・福岡県大牟田市出身の、
飼育員の松尾優香を演じた林田麻里、
福岡県糸島市出身の、
後任の獣医師を演じた大原梓が、
爽やかさを感じさせる演技で観客を楽しませてくれる。
男優陣でも、
主人公の田中亮太を演じる佐藤寛太、
動物園の園長・野田を演じる武田鉄矢、
亮太の父・田中一平を演じる高杢禎彦など、
福岡県出身の俳優たちが、
地元出身ならではの違和感のない方言で、
作品にリアリティと温かさを与えている。
主題歌は、現役医師2人によるユニットInsheart(インスハート)の「はじまり」。
Insheart(インスハート)は、
福岡市を中心に活動している現役医師(精神科医と形成外科医)が組んでいる音楽ユニットで、
「 医療で身体を治すだけではなく、音楽を通して心まで癒したい」
という思いから、2015年1月より活動を開始。
医師として病院に勤務するかたわら、休みの日などを利用して音楽活動を行っている。
彼らの歌声が、エンドロールでも爽やかな感動を呼び起こす。
福岡県大牟田市を舞台にした、
福岡県出身者が多くキャスティングされている映画なので、
鑑賞している途中から、
友人の住む街を訪ねたかのような気分にさせてくれる不思議な映画だった。
ロケ地マップも作成されているようなので、
大牟田市でロケ地巡りをしてみるのもイイだろう。
映画館で、ぜひぜひ。