私は薬師丸ひろ子ファンである。
当ブログの、ここ数年における“薬師丸ひろ子関連”の掲載記事だけでも、
「薬師丸ひろ子コンサート2018」(大阪)……憧れの女優の美しき声を堪能する……
「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」 …薬師丸ひろ子に逢いたくて…
最近、驚いたこと④ ……佐賀県鳥栖市で「薬師丸ひろ子コンサート」開催決定!……
薬師丸ひろ子の「薬師丸」姓のルーツの地を訪ねて ……佐賀県金立町薬師丸……
「薬師丸ひろ子コンサートツアー2019」(鳥栖)……圧倒的な歌唱力に魅了される……
再び、薬師丸ひろ子の「薬師丸」姓のルーツの地を訪ねて …そこは薬師丸村だった…
があり、(赤字をクリックすると記事が読めます)
映画レビューも、(当ブログ開設以降の薬師丸ひろ子出演作)
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年11月3日公開)
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(2012年1月21日公開)
『今度は愛妻家』(2010年1月16日公開)
『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年12月9日公開)
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年12月16日公開)
『ブラック校則』(2019年11月1日公開)
などがあり、(赤字をクリックするとレビューが読めます)
薬師丸ひろ子はずっと私の人生を豊かなものにし続けてくれている。
薬師丸ひろ子が現在出演中のNHK朝ドラ『エール』も毎日欠かさず観ており、
殊に彼女が出演している回は「集中して」観ている。(笑)
10月16日放送の第90話でのことだ。
薬師丸ひろ子が演じる光子の約3分間にわたる独唱シーンがあり、仰天した。
薬師丸ひろ子が歌ったのは、賛美歌「うるわしの白百合」。
とにかく歌声が素晴らしかったし、感動した。
新型コロナウイルスの影響で、
収録中止、放映中止、10話分カットという、
『エール』収録開始時には想定もしていない異常事態に直面し、
収録再開後も、主題歌をカットして放送する回もあるなど、
時間の貴重さが視聴者にも伝わってくる現況の中、
約3分間にわたる独唱シーンは異例だし、
その思い切った演出に感心させられた。
脚本も執筆したチーフ演出の吉田照幸監督によると、
当初は、薬師丸ひろ子演じる光子が、
「戦争の、こんちくしょう! こんちくしょう!」
と唸りながら地面を叩くシーンであったそうだが、
薬師丸ひろ子本人から、
ここは地面を叩くのではなく、賛美歌の「うるわしの白百合」がその場面に適当ではないか?
という提案があり、急遽、その提案が受け入れられたとのこと。
「うるわしの白百合」の収録当日、
薬師丸ひろ子は、1節と2節すべてを完璧に暗唱してきて、
「うるわしの白百合」という賛美歌は、アカペラで歌うのはかなり難しい曲なのに、
見事に歌い切ったという。
収録に立ち合ったドラマのキリスト教考証をつとめる立教大学の西原廉太教授は、
いよいよ薬師丸ひろ子さんの撮影が始まり、薬師丸さんは、最初は静かに「うるわしの」と歌い出され、そして2節に入ると、歌は高揚し、最後はまさしく「絶唱」であった。監督の「カット」がかかっても、広いスタジオは深い沈黙に包まれたままであった。私の隣でモニターを見つめていた、若いスタッフたちが、目を真っ赤にしながら泣いていた。私も、胸が締めつけられながら、涙が溢れて止まらなかった。
と語る。
吉田照幸監督も、
薬師丸さんが体現する悲しみと、そこから立ち向かわなくてはいけないという力強さを歌から感じたので、もうドラマじゃなくなっているなって思いました。みんなそれぞれが何かを感じ振り返る時間になっていて、それを(朝ドラの尺の)15分の中でやることに勇気と迷いはありましたけど、さすが薬師丸さんだなって。
と証言している通り、
1秒もカットされることなく放送され、
朝ドラ史に残る名場面となったのである。
私は録画していたので、Blu-rayディスクにダビングして永久保存版としたが、
〈みなさんともこの感動を分かち合いたかった……〉
という気持ちがあった。
そこへ再放送のニュースが飛び込んできた。
インパール作戦など戦争を生々しく描いた、
第18週「戦場の歌」(第86話~第90話)が、
今日(10月24日)の深夜2:35~3:50に一挙再放送されることが急遽決定したのだ。
(正確には、10月25日午前2時35分~3時50分)
“朝ドラの域を超えた”凄惨な戦場描写により、
戦争の悲惨を伝え、大きな反響を呼んだことを受け、
通常の朝ドラ再放送とは違う異例の編成となったとのこと。
※再放送は終了しました。
第86話(10月12日)、
裕一(窪田正孝)はインド北東部のインパールを攻略する作戦が始まっていたビルマに到着する。
裕一は戦況を聞くために毎日司令部を訪れるが、
作戦が予定通りに進んでいないようで、前線に向かう命令がなかなか下りない。
一方、音(二階堂ふみ)は、まさ(菊池桃子)の病状が悪化したという浩二(佐久本浩二)からの知らせもあり、華(根本真陽)を連れて福島に疎開することにする。
第87話(10月13日)、
前線から戻った中井(小松和重)の話で、裕一は戦況が絶望的な事を知る。
記者の大倉(片桐仁)から、藤堂先生(森山直太朗)がビルマにいる部隊の隊長として配属されていることを聞いた裕一は、危険な状況の中行くべきかしばらく悩んだ末、慰問を申し出る。
一方、音は、福島でまさや浩二、華とおだやかな毎日を過ごしていた。
第88話(10月14日)、
兵士の慰問のために翌日に行うコンサートに向け、楽器ができる兵士たちを集める。
慰問会に向けて、急ごしらえの音楽隊のメンバーで練習を開始。
ラングーン滞在中に裕一がビルマで戦う兵士たちのために書いた曲、「ビルマ派遣軍の歌」を高らかに歌う藤堂。
音楽を通して皆の気持ちが通じ合い、心を割って話をした翌日、
恩師・藤堂先生が目の前で撃たれ、自分の腕の中で亡くなった。
第89話(10月15日)、
音楽慰問から日本に帰国した裕一は、
その足で戦死した藤堂先生から託された手紙を妻・昌子(堀内敬子)に渡すため、藤堂家に向かう。
心の整理がつかない裕一はしばらく一人でいたいと、
音と華たちを福島に残して東京に戻る。
戦況が悪化すればするほど、国民の士気を高めるため裕一への依頼は増え続け、
心を殺して作曲を続けていた……
第90話(10月16日)、
空襲により焼けた関内家の瓦礫に腰を下ろした光子(薬師丸ひろ子)は、
復活への願いを込め、鎮魂歌のように讃美歌496番「うるわしの白百合」を歌う。
そして裕一は、かつて音の音楽教室の生徒で予科練に合格した弘哉(山時聡真)も戦死したことを母・トキコ(徳永えり)から告げられる。
「音楽で人を戦争に駆り立てることが僕の役目か? 若い人の命を奪うことが僕の役目なのか? 音……僕は音楽が憎い」
と、裕一は自責の念にさいなまれ、曲を書かなくなる。
薬師丸ひろ子の約3分間にわたる独唱があるのは第90回で、
歌っている途中には、『エール』のこれまでの名シーンが走馬灯のように流れる。
深夜なので、リアルタイムで観ることは難しいと思うので、
ぜひ録画して永久保存版としてもらいたい。
薬師丸ひろ子の歌声のことを、かつて、
竹内まりやは、「爽やか」で「希有な声」と讃え、
武部聡志は、「鈴を転がすような声」と絶賛し、
松任谷由実は、「クリスタル・ボイス、水晶のような硬質な透明感」と感嘆した。
小西康陽は、「天使の賛美歌」とまで言い切った。
その「天使の讃美歌」を聴く絶好の機会が訪れた。
ぜひぜひ。(※再放送は終了しました)