一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

登吾留山 ……佐賀県にもキキョウやノヒメユリが自生している山があったよ……

2016年07月24日 | 登吾留山


1990年(平成2年)に出版された『佐賀の野草』(貞松光男/佐賀新聞社)の「キキョウ」の項には、次のように記されている。

やや高いところの草原に生える。そんなところの道端近くに咲いているのを見るとついうれしくなる。よくもまあご無事で、というわけだ。しかし、明日の生命はわからない。今日までの無事を祝ってあげたいわけである。だれだって、こんな美しい花を見たら、手折りたくなる気持ちを抑え切れないのではなかろうか。こうして、この秋の七草も自然から少しずつ姿を消していっているようだ。キキョウの仲間は薄青紫色の花が多い。これも人の気をひく要因の一つとなっているようである。

産地については「各地散在」と記されているので、
この本が出版された頃には、まだ各地でこの花が見られたのであろう。
だが、『佐賀の野草』が刊行されて26年後の現在、
佐賀県の山で、自生種のキキョウを山で見ることはほとんどない。
どうしても見たくなったら、
福岡県の平尾台などへ出掛けなければならないのが現状だ。

ほぼ毎年、平尾台へキキョウを見に行っている私を見かねてか、
ある方が、
「佐賀県の登吾留山にも自生種のキキョウが咲きますよ」
と、教えて下さった。
その山は、私の自宅からはそう遠くない山であった。
しかも、
「キキョウだけでなく、ノヒメユリも咲くんです」
と、私が泣いて喜ぶような情報も付け加えて下さった。(笑)
嬉しくてたまらず、
私は狂喜乱舞しながら(爆)、
その登吾留山へ向かったのだった。

山の入口には、
カワミドリが咲いていた。


天山ではまだ咲いていなかったが、
この山では、ほぼ満開であった。


いいね~


この登吾留山は、
「佐賀の平尾台」と呼んでもいいような、
草原の山であった。


佐賀県にも、こんな山があったんだね~




オミナエシや、


クルマバナが咲いてる。


カワラナデシコもたくさん咲いていた。


内側に水滴をたくさんくっつけた、
開き始めたばかりのカワラナデシコが可愛かった。


全開した花も、もちろん美しかった。


草原を彷徨う。




そして、ノヒメユリを見っけ。
嬉しい~


美しい~


佐賀県の山で、
こんなにたくさんのノヒメユリに逢えるとは思わなかった。
こうして写真で見ると大きな花に見えるかもしれないけれど、


本当は小さな花。
私の人差し指と一緒にパチリ。


ピンポン玉(よりも小さいかも)くらいの小さな花なんだよ。


今度は、キキョウを探しながら、草原を彷徨う。


「おっ、あれは……」


「キキョウだ~」


(私が)佐賀県で初めて見る自生種のキキョウ。


感動。


美しい~


紙風船のような蕾も、カワイイ~


宝さがしのように、ワクワクしながら草原を歩き回る。


すると、次々にキキョウが見つかった。




嬉しくてたまらない。




登吾留山で、
今日一番の私の「お気に入り」は、このキキョウ。


緑の草原の中で、一人ぽっちで、美しく咲いていた。
私が探し当てなかったら、
たぶん、誰にも見られずに朽ちたであろう……
そう考えると、
どうにも好もしく思えてきた。


今日も「一日の王」になれました~


※【登吾留山】とは?
「登吾留山」は、私の造語で、「とある山」と読み、
架空の山名である。
情報公開できない稀少な花などが咲く山を
「登吾留山」=「登る吾(われ)を留める山」とし、
「とある山」=「どこかにある山」と曖昧に表現している。
時折、メッセージなどで「登吾留山」の所在地を訊かれることがあるが、
そういうワケで、お答えすることができない。
御了承を願いつつ、(お教えできないことを)お詫び致します。


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