一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

登吾留山 ……シライトソウに逢いたくて……

2012年05月17日 | 登吾留山
慌ただしい日常生活のなかに埋没していると、
あっと言う間に時は過ぎて行く。
慌ただしい時は、心が荒れている時。
忙しい時は、心を亡くしている時。
本当の自分の心を取り戻すには、
ゆっくりとした時の流れに身を浸すしかない。

今日は午前中に用事を済ませたので、
午後に時間ができた。
山へ行こう。
そう、あの花の咲く登吾留山へ……

学名Chionographis japonicaは「雪の筆」の意。
この花をヨーロッパに紹介したスウェ-デンの植物学者ツンベルク(C.Thunberg)の「日本植物誌」(1784年)が初出とか。
「雪の筆」という学名も美しい。
花言葉は、《ゆっくりとした時間の流れ》
この花の咲く静かな森では、時はたゆたうように静かに流れる。

空を見上げる。
春の雲というより、もはや夏の雲。


トンボも舞い始めている。


緑色は目にも心にも優しい。


コゴメウツギの花が美しい。


フタリシズカが咲いていた。


案外、ヒトリシズカより見つけるのが難しいかも……


この花も咲いていた。


大きな葉をもつ木があった。
ホオノキだ。


ホオノキの花。


開花した花もあった。


登吾留山には小さな池もある。


やや荒れた道を歩いて行く。


この辺りには、もうすぐあの花が咲く頃。
あった!


サイハイランもこれから数を増していくことだろう。


緑をかき分けて進む。
その先には、シライトソウの森が……


おっ、咲いている。
時期的に少し早いかなと心配していたので、嬉しい。


この花は先っぽが薄緑色をしているので、
もっと背が伸びるだろう。


うっとり見惚れてしまう。


たくさん咲いている。


足の踏み場がないほどに……


本当に、シライトソウの森では、時間がゆっくり流れている。


なんて贅沢なひととき。


木漏れ日のスポットライトを浴びたシライトソウ。


言葉が出ない。


白い妖精たちの森に、
私はいつまでも佇んでいた。

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