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現在、日本に、二人の少女が来ている。
「真珠の首飾りの少女」と、
「真珠の耳飾りの少女」。
そう、フェルメール。
「真珠の首飾りの少女」は、
ベルリン国立美術館展として、
東京(国立西洋美術館2012.6.13~2012.9.17)を経て、
福岡へ(九州国立博物館2012.10.9~2012.12.2)。
「真珠の耳飾りの少女」の方は、
マウリッツハイス美術館展として、
東京(東京都美術館2012.6.30~2012.9.17)を経て、
神戸(神戸市立博物館2012.9.29~2013.1.6)へ。
二人を同時に同じ場所で見られないのは残念だが、
現在、九州に来ている「真珠の首飾りの少女」の方だけでも見たいと思った。
で、今日(10月11日)、逢いに行ってきた。
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パンフレットに、
「会期中は太宰府市の周辺道路が大変混雑することが予想されます。ご来館の際は公共交通機関をご利用ください」
と書いてあったので、電車を乗り継いで行った。
本を読みながら電車で旅するのが好きなので、
今回は、福岡伸一著『フェルメール 光の王国』を持参。
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フェルメールに関する本はたくさん読んだが、この本が特に面白い。
大好きな本で、もう何度も読んでいる。
ベストセラーになった『生物と無生物のあいだ』で有名な福岡伸一氏だが、
その他の本も面白く、彼の著作を愛読している。
『フェルメール 光の王国』は、理系の著者らしい視点で、
フェルメールの絵を解き明かしていて、秀逸。
例えば、こんな文章。
《微分》というものは、実は何も難しいものではありません。高校の教師はかつてそう私に語った。《微分》というのは、動いているもの、移ろいゆくものを、その一瞬だけ、とどめてみたいという願いなのです。カメラのシャッターが切り取る瞬間。絵筆のひと刷きが描く光沢。あなたのあのつややかな記憶。すべてが《微分》です。人間のはかない“祈り”のようなものですね。微分によって、そこにとどめられたものは、凍結された時間ではなく、それがふたたび動き出そうとする、その効果なのです。
フェルメールの絵こそ、まさにそれだと。
ね、素敵でしょう?
文系の人には絶対に書けない名文だ。
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JR二日市駅で下車し、10分ほど歩き、西鉄二日市駅へ。
太宰府線(約5分)で、西鉄太宰府駅下車。
駅前に大きな看板があった。
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太宰府天満宮の参道を通って、九州国立博物館へ向かう。

梅ヶ枝餅の店などが建ち並ぶ参道を歩いていると、
「割引券あります」とのプレートを掲げた店を発見。
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会期前に前売券を買おうと思っていたのだが、
前売券(1300円)を買いそびれて、
当日券(1500円)を買わなければならないと思っていたので、
〈えっ、会期中でも割引券が買えるの?〉
と、ちょっとビックリ。
で、さっそく購入。
その店で売っているお菓子1個もサービスで付けてくれた。(ラッキー)
「割引券あります」とのプレートを掲げた店は他にもあったので、
前売券を買いそびれた方は、利用されるとイイだろう。
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西鉄太宰府駅から徒歩10分ほどで、九州国立博物館に到着。
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入口で、九州国立博物館・入館1000万人記念の記念品を戴く。(ラッキー)
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ちなみに中身はキーライトであった。(アウトドアでも使えそう)
10月16日まで、各日個数限定で、入館者に贈るとのことです。
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エスカレーターで、3階にある特別展示室に向かう。
これからフェルメールの「真珠の首飾りの少女」に逢えると思うとワクワクした。
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入口に、音声ガイドの案内板があった。
ナレーターは小雪さんとのことで、
小雪ファンの私は、さっそく申し込み、ヘッドホンを装着して入場。
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この音声ガイド、大正解だった。
いちいち解説を読まなくてイイので、展示物に集中でき、
それに、本当に小雪さんのナビゲートで歩いているような気分にさせられ、大満足。
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順路に沿って歩いて行くが、最初は流す感じで鑑賞していく。(笑)
そして、フェルメール「真珠の首飾りの少女」の前へ。
日本初来日の「真珠の首飾りの少女」。
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画集などで見た「真珠の首飾りの少女」などとはまったく違う絵がそこにあった。
どんなに巧く撮られた写真であっても、
本物の10分の1も、いや100分の1ほどにも表現できていない。
本物はこんなにも素晴らしいものなのだ。
フェルメールの作品の中でも3本の指に入ると言われている傑作。
フェルメールの絵は、「光のつぶだち」が見えると言われるが、本当だ。
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『フェルメール 光の王国』で福岡伸一氏は、
「真珠の首飾りの少女」のことを、こう表現している。
窓は閉められている。ガラスを通してやわらかな光が差し込む。光はまず黄色いカーテンを際立たせる。それから光は広がって、壁と部屋全体を黄金色に照らす。光はまた、若い女性が着ている黄色のガウンをより鮮やかな黄色に染める。静けさがあたりを満たす。
女性は真珠のネックレスを纏い、同じく真珠のイヤリングをつけている。いや、むしろ銀色の光の反射だけがそれが真珠であることを知らせてくれる。彼女は手でネックレスのリボンを結ぼうとしているようだ。額と頬にも光がある。
そして私たちの視線は彼女の目もと、そして口元に吸い寄せられる。彼女は優しい目をして微笑んでいる。何を見て? 小さな鏡に映る遠い自分の姿を見て。それは何かを懐かしんでいるようにも見える。
フェルメールはここにひとつの達成点を得た。そこに至る時間を絵画として止めること。そしてそこから始まる時間を開くこと。開くだけでなく、それを絵を見る者に対して問いかけること。つまり絵画という芸術を、動的なものにすることに成功したのである。
平日の、しかも開館直後ということもあってか、人はそれほど多くなかった。
「真珠の首飾りの少女」を存分に堪能し、
私はまた順路①に戻り、再びひとつひとつをゆっくり鑑賞していった。
レンブラント派の「黄金の兜の男」、
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サンドロ・ボッティチェッリの「ダンテ『神曲』“煉獄篇”挿絵素描」、
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ヤン・ダフィッツゾーン・デ・ヘームの「果実、花、ワイングラスのある静物」など、

小雪さんの音声ガイドを聴きながらの鑑賞は、得も言われぬ心地よさであった。
今回のベルリン国立美術館展で、
フェルメール「真珠の首飾りの少女」以外で私の目を惹いたのは、
ジョゼフ・シナールの「ジュリエット・レカミエ夫人の胸像」であった。
その美しさに魅せられた。
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ジュリエット・レカミエ(1777年12月4日~1849年5月11日)は、
19世紀フランスの文学・政治サロンの花形となった女性で、
世界の歴史の中でも、最も美しい女性と云われている。
ジャック=ルイ・ダヴィッドの「レカミエ夫人」や、
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フランソワ・ジェラールの「レカミエ夫人の肖像」などの肖像画が有名だが、

このジョゼフ・シナールの「ジュリエット・レカミエ夫人の胸像」もとても美しく、
強く印象に残った。
最後にもう一度、フェルメール「真珠の首飾りの少女」を見て、(笑)
会場を出た。
外に出ると、人だかりができていた。
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何だろう……と近寄ってみると、こんな看板が……(ラッキー)
アツアツの梅ヶ枝餅は、本当に美味しかった。
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せっかくなので、帰路、太宰府天満宮にも詣で、旅を終えた。
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大満足のフェルメール「真珠の首飾りの少女」inベルリン国立美術館展であった。
神戸で開催されているマウリッツハイス美術館展にも行ってみたいなと思った。
「真珠の耳飾りの少女」にも逢いたいなと思った。
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映画で見たスカーレット・ヨハンソンの「真珠の耳飾りの少女」や、
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マウリッツハイス美術館展のオフィシャルサポーターを務めている武井咲の「真珠の耳飾りの少女」がちらつく。(笑)
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国内にいて、フェルメールの絵と出逢える機会はそう多くない。
どうにかして時間を作って、また旅に出よう。
追記
「真珠の耳飾りの少女」inマウリッツハイス美術館展(←クリック)に行ってきました。
「真珠の首飾りの少女」と、
「真珠の耳飾りの少女」。
そう、フェルメール。
「真珠の首飾りの少女」は、
ベルリン国立美術館展として、
東京(国立西洋美術館2012.6.13~2012.9.17)を経て、
福岡へ(九州国立博物館2012.10.9~2012.12.2)。
「真珠の耳飾りの少女」の方は、
マウリッツハイス美術館展として、
東京(東京都美術館2012.6.30~2012.9.17)を経て、
神戸(神戸市立博物館2012.9.29~2013.1.6)へ。
二人を同時に同じ場所で見られないのは残念だが、
現在、九州に来ている「真珠の首飾りの少女」の方だけでも見たいと思った。
で、今日(10月11日)、逢いに行ってきた。
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パンフレットに、
「会期中は太宰府市の周辺道路が大変混雑することが予想されます。ご来館の際は公共交通機関をご利用ください」
と書いてあったので、電車を乗り継いで行った。
本を読みながら電車で旅するのが好きなので、
今回は、福岡伸一著『フェルメール 光の王国』を持参。
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フェルメールに関する本はたくさん読んだが、この本が特に面白い。
大好きな本で、もう何度も読んでいる。
ベストセラーになった『生物と無生物のあいだ』で有名な福岡伸一氏だが、
その他の本も面白く、彼の著作を愛読している。
『フェルメール 光の王国』は、理系の著者らしい視点で、
フェルメールの絵を解き明かしていて、秀逸。
例えば、こんな文章。
《微分》というものは、実は何も難しいものではありません。高校の教師はかつてそう私に語った。《微分》というのは、動いているもの、移ろいゆくものを、その一瞬だけ、とどめてみたいという願いなのです。カメラのシャッターが切り取る瞬間。絵筆のひと刷きが描く光沢。あなたのあのつややかな記憶。すべてが《微分》です。人間のはかない“祈り”のようなものですね。微分によって、そこにとどめられたものは、凍結された時間ではなく、それがふたたび動き出そうとする、その効果なのです。
フェルメールの絵こそ、まさにそれだと。
ね、素敵でしょう?
文系の人には絶対に書けない名文だ。
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JR二日市駅で下車し、10分ほど歩き、西鉄二日市駅へ。
太宰府線(約5分)で、西鉄太宰府駅下車。
駅前に大きな看板があった。
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太宰府天満宮の参道を通って、九州国立博物館へ向かう。
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梅ヶ枝餅の店などが建ち並ぶ参道を歩いていると、
「割引券あります」とのプレートを掲げた店を発見。
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会期前に前売券を買おうと思っていたのだが、
前売券(1300円)を買いそびれて、
当日券(1500円)を買わなければならないと思っていたので、
〈えっ、会期中でも割引券が買えるの?〉
と、ちょっとビックリ。
で、さっそく購入。
その店で売っているお菓子1個もサービスで付けてくれた。(ラッキー)
「割引券あります」とのプレートを掲げた店は他にもあったので、
前売券を買いそびれた方は、利用されるとイイだろう。
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西鉄太宰府駅から徒歩10分ほどで、九州国立博物館に到着。
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入口で、九州国立博物館・入館1000万人記念の記念品を戴く。(ラッキー)
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ちなみに中身はキーライトであった。(アウトドアでも使えそう)
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エスカレーターで、3階にある特別展示室に向かう。
これからフェルメールの「真珠の首飾りの少女」に逢えると思うとワクワクした。
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入口に、音声ガイドの案内板があった。
ナレーターは小雪さんとのことで、
小雪ファンの私は、さっそく申し込み、ヘッドホンを装着して入場。
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この音声ガイド、大正解だった。
いちいち解説を読まなくてイイので、展示物に集中でき、
それに、本当に小雪さんのナビゲートで歩いているような気分にさせられ、大満足。
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順路に沿って歩いて行くが、最初は流す感じで鑑賞していく。(笑)
そして、フェルメール「真珠の首飾りの少女」の前へ。
日本初来日の「真珠の首飾りの少女」。
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画集などで見た「真珠の首飾りの少女」などとはまったく違う絵がそこにあった。
どんなに巧く撮られた写真であっても、
本物の10分の1も、いや100分の1ほどにも表現できていない。
本物はこんなにも素晴らしいものなのだ。
フェルメールの作品の中でも3本の指に入ると言われている傑作。
フェルメールの絵は、「光のつぶだち」が見えると言われるが、本当だ。
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『フェルメール 光の王国』で福岡伸一氏は、
「真珠の首飾りの少女」のことを、こう表現している。
窓は閉められている。ガラスを通してやわらかな光が差し込む。光はまず黄色いカーテンを際立たせる。それから光は広がって、壁と部屋全体を黄金色に照らす。光はまた、若い女性が着ている黄色のガウンをより鮮やかな黄色に染める。静けさがあたりを満たす。
女性は真珠のネックレスを纏い、同じく真珠のイヤリングをつけている。いや、むしろ銀色の光の反射だけがそれが真珠であることを知らせてくれる。彼女は手でネックレスのリボンを結ぼうとしているようだ。額と頬にも光がある。
そして私たちの視線は彼女の目もと、そして口元に吸い寄せられる。彼女は優しい目をして微笑んでいる。何を見て? 小さな鏡に映る遠い自分の姿を見て。それは何かを懐かしんでいるようにも見える。
フェルメールはここにひとつの達成点を得た。そこに至る時間を絵画として止めること。そしてそこから始まる時間を開くこと。開くだけでなく、それを絵を見る者に対して問いかけること。つまり絵画という芸術を、動的なものにすることに成功したのである。
平日の、しかも開館直後ということもあってか、人はそれほど多くなかった。
「真珠の首飾りの少女」を存分に堪能し、
私はまた順路①に戻り、再びひとつひとつをゆっくり鑑賞していった。
レンブラント派の「黄金の兜の男」、
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サンドロ・ボッティチェッリの「ダンテ『神曲』“煉獄篇”挿絵素描」、
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ヤン・ダフィッツゾーン・デ・ヘームの「果実、花、ワイングラスのある静物」など、
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小雪さんの音声ガイドを聴きながらの鑑賞は、得も言われぬ心地よさであった。
今回のベルリン国立美術館展で、
フェルメール「真珠の首飾りの少女」以外で私の目を惹いたのは、
ジョゼフ・シナールの「ジュリエット・レカミエ夫人の胸像」であった。
その美しさに魅せられた。
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ジュリエット・レカミエ(1777年12月4日~1849年5月11日)は、
19世紀フランスの文学・政治サロンの花形となった女性で、
世界の歴史の中でも、最も美しい女性と云われている。
ジャック=ルイ・ダヴィッドの「レカミエ夫人」や、
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フランソワ・ジェラールの「レカミエ夫人の肖像」などの肖像画が有名だが、
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このジョゼフ・シナールの「ジュリエット・レカミエ夫人の胸像」もとても美しく、
強く印象に残った。
最後にもう一度、フェルメール「真珠の首飾りの少女」を見て、(笑)
会場を出た。
外に出ると、人だかりができていた。
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何だろう……と近寄ってみると、こんな看板が……(ラッキー)
アツアツの梅ヶ枝餅は、本当に美味しかった。
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せっかくなので、帰路、太宰府天満宮にも詣で、旅を終えた。
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大満足のフェルメール「真珠の首飾りの少女」inベルリン国立美術館展であった。
神戸で開催されているマウリッツハイス美術館展にも行ってみたいなと思った。
「真珠の耳飾りの少女」にも逢いたいなと思った。
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映画で見たスカーレット・ヨハンソンの「真珠の耳飾りの少女」や、
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マウリッツハイス美術館展のオフィシャルサポーターを務めている武井咲の「真珠の耳飾りの少女」がちらつく。(笑)
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国内にいて、フェルメールの絵と出逢える機会はそう多くない。
どうにかして時間を作って、また旅に出よう。
追記
「真珠の耳飾りの少女」inマウリッツハイス美術館展(←クリック)に行ってきました。