原作の『図書館戦争』は、
有川浩の小説で、
『図書館戦争』(2006年2月)、
『図書館内乱』(2006年9月)、
『図書館危機』(2007年2月)、
『図書館革命』(2007年11月)の全4巻から成るシリーズもので、
累計600万部を超えるベストセラー。
コミック化、アニメ化、実写化と、
メディアの枠を超えてファンを拡大している。
コミック化は、
『LaLa』2007年11月号から弓きいろによって、
『月刊コミック電撃大王』でも2008年1月号からふる鳥弥生によって連載開始された。
アニメ化は、
2008年4月からは、TV版がフジテレビ系で放送され、
2012年6月に続編となるアニメーション映画が公開された。
実写化は、
2013年4月27日に、映画『図書館戦争』が公開された。
鬼教官の堂上と、純情新人隊員・郁を演じるのは、
岡田准一と榮倉奈々。
実は、この2人は、ファンによる仮想キャスティングの第1位コンビで、
そのせいか、実写版を見た原作ファンからの評判もすこぶる良く、
観客満足度98.2%を獲得。
興行収入も17.2億円の大ヒットとなった。
私も、公開直後に、当ブログにレビューを書いている(←クリック)が、
思いのほか多くの方々に読んで頂き、
アクセス数増加に貢献してくれた。
そのときのレビューで、私は次のように記している。
原作本や漫画を読んでいなければ、
はっきり言って、荒唐無稽の物語なのだ。
図書隊とメディア良化委員会との衝突で、
内戦でもないのに武器を持って戦う……
この非現実的で、ありえないストーリーを、その設定を、
まずは受け入れること。
それさえできれば、とても面白く、楽しめる作品である。
だが、それができなければ、
ずっと違和感を抱いたまま見続けなければならなくなる。
そういう人にとっては、ただただ苦痛の時間であるかもしれない。
私の場合、
原作本も漫画も読んだことがなく、
TVアニメもアニメ映画も見たことがなかったが、
とても楽しく見ることができた。
私自身が単純な性格で、(笑)
順応しやすい人間ということもあるだろうが、
やはり脚本が優れていたからだと思う。
脚本は、野木亜紀子。
荒唐無稽な物語を、
よくぞここまでまとめ上げたと思う。
あれから2年半後の昨日、
2015年10月10日(土)、
ついに続編である映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』が公開された。
土曜日も仕事であった私は、
仕事帰りに、さっそく映画館に駆けつけたのだった。
2作目となる『図書館戦争 THE LAST MISSION』も、
脚本を担当したのは、野木亜紀子。
前作よりもパワーアップさせ、
アクション主体の構成にして、
より面白く脚色していた。
前作を見た人はもちろん、
前作を見ていない人にも面白く見てもらえるように、
随所に工夫が凝らされていて、
感心したし、楽しく見ることができた。
「昭和」から「正化」へ移行した近未来の日本は、
国家による思想検閲や、
メディア規制が横行する社会となり果てていた。
そんな中、
検閲で取り上げられそうになった本を取り返してくれた図書隊員に憧れ、
「本を読む自由」を守っている“図書隊”に入隊した笠原郁(榮倉奈々)は、
特殊部隊(タクスフォース)所属となっていた。
鬼教官である堂上篤(岡田准一)の罵倒とシゴキに耐え、
上官の小牧幹久(田中圭)、
同期の手塚光(福士蒼汰)や、
柴崎麻子(栗山千明)らと、
厳しい訓練と図書館業務の日々を過ごしていた。
そんなある日、堂上ら図書隊にある指令が下る。
それは、
この世に1冊しか現存していない自由の象徴である『図書館法規要覧』が展示される、
『芸術の祭典』の会場警備だった。
“表現の自由”がテーマでもある芸術展は、
検閲実行部隊「メディア良化隊」が狙いに来ることは必至。
そこで、関東図書基地は、
基地に所属するライブラリータスクフォース総勢54名を全て警備に回すことを決断する。
タスクフォースたちにとって、一見簡単な任務に思えたが、
実は、手塚の兄・慧(松坂桃李)が、図書隊壊滅を目論んで仕組んだ罠だったのだ。
手塚慧の狙い通り、「良化隊」による急襲を受け、
成す術もなく一人、また一人と凶弾に倒れていくタスクフォース達。
堂上や笠原たちは、
本を、そして仲間たちを守り切れるのか……
前作のレビューで、私は、
『図書館戦争』というタイトルから受けるイメージは、
「本を守る」ために戦う……という、ちょっと厳めしい感じだと思うが、
その中身は、笠原郁と堂上篤の純愛物語的なラブコメなので、
大いに笑わされ、そしてちょっぴり泣かされ、
とても楽しめる作品なのである。
と書いたが、
今作『図書館戦争 THE LAST MISSION』は、
前作の「笠原郁と堂上篤の純愛物語的なラブコメ」的部分は残しつつも、
戦闘シーンを前面に出したアクション映画になっていたので驚いた。
感覚的には、8~9割が戦闘シーンだったような印象がある。
その所為なのかもしれないが、
前作よりも、主演者の体格や表情がより締まっているように感じた。
堂上篤を演じた岡田准一のアクションだけが突出していた第1作に比べ、
今回の作品は、
笠原郁を演じる榮倉奈々や、
小牧幹久を演じる田中圭のアクションも素晴らしかった。
1作目で岡田の身体能力に驚かされた共演者たちが、
「自分たちも……」
と、続編に向けて鍛えてきたのだという。
岡田准一は語る。
2年のあいだに榮倉さんがものすごく動ける身体になっていて驚きました。ライブラリー・タスクフォース(図書特殊部隊)のみんながマッチョになっていました。(笑)前作のアクションシーンを経験したことによって彼らの価値観が変わったことはすごく嬉しい。
岡田准一はもちろんだが、
今回は、榮倉奈々も数々のアクションをこなしている。
手足が長いので、アクションが決まればものすごくカッコイイ。
ことに、ラスト近く、本を届けるために疾走する姿には魅せられた。
アクションのことばかり語っているが、
隊員たちの恋愛事情も見所のひとつ。
笠原郁(榮倉奈々)と、堂上篤(岡田准一)、
手塚光(福士蒼汰)と、柴崎麻子(栗山千明)、
小牧幹久(田中圭)と、中澤毬江(土屋太鳳)など、
気になるふたりの恋愛模様もきっちり描いてある。
私は土屋太鳳に逢えるのを楽しみにしていたのだが、
彼女の出演シーンは少ししかなく、
それだけはちょっと残念。
映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』の公開に先だち、
一週間前に、二夜連続特別企画として、
10月4日(日)に、
第1作目の映画『図書館戦争』(テレビ特別編集版)が放送され、
10月5日(月)に
TVドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』が放送された。
私は、このどちらも観たが、
TVドラマの方は、
小牧幹久(田中圭)と中澤毬江(土屋太鳳)を主軸とした物語だったので、
土屋太鳳に関しては、このドラマがすべてであったような気がした。
TVドラマと映画が連動しているということで観たのであるが、
あまり関係なかったように感じた。
(そういう意味では、TVドラマを観ていなくても大丈夫)
榮倉奈々に関しては、
アクションシーン満載で大満足だったし、
柴崎麻子を演じた栗山千明に関しても、
出演シーンも多く嬉しかったが、
記者・折口マキを演じた西田尚美が前作にくらべ出番が少なく、
土屋太鳳と同様、こちらはちょっと残念だった。
今回の作品で初めて登場した俳優では、
手塚光(福士蒼汰)の兄・手塚慧を演じた松坂桃李がすごく良かった。
文部科学省未来企画代表の役であったのだが、
彼のクールさにやられてしまった女性も多かったのでは……
映画『ピース オブ ケイク』でのオカマの天ちゃん役も素晴らしかったし、
今後の出演作が本当に楽しみだ。
図書隊とメディア良化委員会との衝突で、
内戦でもないのに武器を持って戦う……
最初は、
なんと荒唐無稽で、
ありえないストーリー……
と思って見ていたが、
見ている途中からは、
案外そうでもないのではないか……
と思えてくる。
言論の自由、思想の自由、表現の自由など、
現代日本では当たり前と思っているが、
日本の周辺の国ではそうではない国も多いし、
日本も戦時中はそうであった。
命がけで、
言論の自由、思想の自由、表現の自由と闘ってきた人たちがいたし、
そのことで、命を落とした人もいた。
あながち奇想天外な架空の物語と片付けることのできない、
ある意味、普遍的な問題も内包している作品なのではないかと思った。
映画館では、子供からお年寄りまで、
いろんな年代の方々がこの映画を鑑賞していた。
機会がありましたら、あなたも、ぜひぜひ。