原題:『アルプススタンドのはしの方』
監督:城定秀夫
脚本:奥村徹也
撮影:村橋佳伸
出演:小野莉奈/西本まりん/平井亜門/中村守里/黒木ひかり/山川琉華/目次立樹
2020年/日本
「組み合わせ」の妙について
タイトル通りに野球場のアルプススタンドの端の方で応援に来た生徒たちによって繰り広げられる「会話劇」であるが、脚本がとても秀逸だと思う。
何よりも観ているスポーツが高校野球であることがミソで、応援席にいる安田あすは、田宮ひかる、宮下恵、久住智香を始めとする多くの女子学生と唯一の男子学生である藤野富士夫と茶道部顧問で英語教師の厚木先生という組み合わせが、グラウンドにいる男子選手たちと紅一点のマネージャーと監督という組み合わせと対になっており、つまり一度も映されない試合状況の代わりとして彼女たちが抱える葛藤が描かれることになり、だから最後にこの「二組」を繋ぐものとして自分の会社で製造したグローブで藤野がキャッチする、当時のクラスメイトの矢野が打ったファウルボールが感動をもたらすのである。