原題:『ヴィレッジ』
監督:藤井道人
脚本:藤井道人
撮影:川上智之
出演:横浜流星/黒木華/一ノ瀬ワタル/奥平大兼/作間龍斗/杉本哲太/西田尚美/木野花/中村獅童/古田新太
2023年/日本
リアリズムを奪ってしまう演出について
確かに作り込まれた映像は素晴らしい。これだけの著名人たちが推薦コメントをしてくる理由もよく分かるのだが、どうもストーリーの「ユルさ」が気になる。
例えば、中井美咲が夜に自宅を訪れてきた大橋透に襲われそうになるところに、主人公の片山優が間に合って入ってくるのだが、詳細は省くが、不幸にも透が亡くなってしまい二人は透の遺体をゴミ最終処分場へ遺棄する。ところが警察の捜査によって透の遺体が発見された際に、透は自分のスマホと一緒に遺棄されているのである。そのスマホで優は化学物質を含むゴミの不法投棄している現場にいる写真を撮られており、美咲は襲われているところを動画で撮られているのだから、二人はスマホはデータ自体も消去したいだろうから別に処分するはずなのである。
あるいは優が中井恵一を乗せて車を運転していると、走行中に降りようとする恵一を止めようとして誤って車を木にぶつけるのだが、何故か車のエアバックが起動しないのである。
例えば、『サイド バイ サイド 隣にいる人』(伊藤ちひろ監督 2023年)のようなリアルとファンタジーが混在する作品であるならば、このような重箱の隅を楊枝でほじくる必要はないと思うのだが、本作のようなリアリズムを重視する作品の場合、微妙な塩梅で監督がストーリーを自分の都合の良いように導いてしまうことは作品の説得力を奪いかねないと思うのである。
gooニュース
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