原題:『Tolkien』
監督:ドメ・カルコスキ
脚本:スティーヴン・ベレスフォード/デヴィッド・グリーソン
撮影:ラッセ・フランク・ヨハネッセン
出演:ニコラス・ホルト/リリー・コリンズ/コルム・ミーニイ/デレク・ジャコビ
2019年/アメリカ
謎の「反」交際について
トールキンの語学に関する才能は驚異的なもので、例えば、転校先(?)の学校でロブ・ギルソン(Rob Gilson)、ジェフリー・バッチ・スミス(Geoffrey Bache Smith)、クリストファ・ワイズマン(Christopher Wiseman)たちのイタズラで教科書を隠された際に、そのことに気がつかない教師に教科書を読むように指名されたトールキンは、教科書を見ずにジェフリー・チョーサーの詩の一節を諳んじてみせるのである。
意気投合した4人は「T.C.B.S.(バロヴィアン・ソサエティのためのお茶会 Tea Club for Barrovian Society)」という秘密結社を立ち上げ「文学」による革命を夢見る。
しかし母親のメイベルが亡くなった後、16歳になったトールキンはフランシス神父の紹介で住み始めた寄宿舎でエディス・メアリ・ブラット(Edith Mary Bratt)と出会い、恋に落ちるのだが、勉強の邪魔になるという理由でトールキンはエディスとの交際をフランシス神父に禁止され、トールキンは21歳までエディスとの連絡を絶つのであるが、ここの過程が上手く描かれていないと思う。
トールキンは21回目の誕生日の晩にエディスに手紙を書いて婚約するのであるが、それは1913年で、1915年に学校を卒業してからイギリス陸軍に入隊し、合間の1916年3月に結婚した後に、1916年7月から始まった「ソンムの戦い(Battle of the Somme)」で戦う中、10月に塹壕熱を患うのであるが、戦闘シーンはその様子が描かれているのである。
では17歳でエディスと交際するようになったトールキンは21歳までどのようにしてエディスを避けていたのか本作を観てもよく分からないのである。