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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「I wouldn't normally do this kind of thing」 Pet Shop Boys 和訳

2023-05-26 12:31:34 | 洋楽歌詞和訳

Pet Shop Boys - I wouldn't normally do this kind of thing (Official Video) [HD Upgrade] 

 ペット・ショップ・ボーイズが1993年にリリースしたシングル

「いつもはこんな僕じゃない」も和訳してみる。

「I wouldn't normally do this kind of thing」 Pet Shop Boys 日本語訳

原因を訊ねられるならば
これは通常では絶対にあり得ないと僕は答えるだろうね
普通ならばこんな類いのことをすることはない僕が
今日は踊るような気分で
恋人たちが歌うように歌いたい気分になっている原因を
どうやって説明を試みられるというのだろうか?
普通ならばこんな類いのことをすることはない僕が

いつと訊ねられるならば
君と出会った瞬間に始まったと僕は答えるだろうね
過去がいつまでも続くことはあり得ないと僕が気がついて以来
僕は今自分が走っており
このレースに勝てそうだと思ったから
普通ならば僕はこんな類いのことをすることはないんだ
普通ならば僕はこんな類いのことをすることはないんだ

もしもみんなが僕が狂いだしたと言うならば
それは間違いないと僕はみんなに言うよ
驚きを持って彼らに見てもらおう
朝食を抜いてまで続くことはないよ
僕が経験している無視か投資を
君が経験する段階に来たんだ
だってそれは普通ならば僕がするような類いのことではないのだから

何なのと訊ねられるならば
君にとって良いことだと思うと僕は答えるだろうね
信じようが信じまいが
そのどれもがどこに繋がっているのか僕には分かっているから
僕は全裸になって『春の祭典』で踊りたい気分なんだ
普通ならば僕はこんな類いのことをすることはないけれど
普通ならば僕はこんな類いのことをすることはないけれど
普通ならば僕はこんな類いのことをすることはないけれど
こんな類いのことは


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「Can you forgive her?」 Pet Shop Boys 和訳

2023-05-26 00:58:06 | 洋楽歌詞和訳

Pet Shop Boys - Can you forgive her? (Official Video) [HD Upgrade] 

 ペット・ショップ・ボーイズが1993年にリリースしたアルバム『ヴェリー

Very)』に収録されている「キャン・ユー・フォーギヴ・ハー?」を和訳してみる。

因みにタイトルはイギリスの小説家のアントニー・トロロープ(Anthony Trollope)

の同名小説から採られている。

「Can you forgive her?」 Pet Shop Boys 日本語訳

また今夜も眠れない
眠り込むには遅すぎるし
起きるには早すぎるんだ
君は呼吸が浅い
心筋梗塞なのか?
熱いし熱っぽいから
君は真実を直視しろよ

君は恋に落ちたのに恥ずかしく感じている
彼女は君を公衆の面前でバカにしてから去っていったのだから
君は恋に落ちたのに苦痛を感じている
彼女が主張する全てに真実が含まれていたから

だから君自身に訊ねてみればいい
もしも彼女が君に求めるならば
君は彼女を許すことができるのかと?
君は彼女が君に要求するものを引き渡すことができるのか?

君は若い頃の愚行やグループを抜けるような
全く奇妙な夢の中に漂流する
君の間違いを認めるんだ、今じゃないけれど
そうすれば君が目覚める時
君が忘れることができないことが分かるから

彼女は君を笑いのネタのようにしてしまった
だって君はディスコで踊っていて
ロックが好きではないことがバレてしまったのだから
彼女は君をベッドの中でもからかって
今から出かけて
あなたの代わりに本物の男を掴まえてくると言った

だから今君自身に訊ねてみればいい
もしも彼女が君に懇願するならば
君は彼女を許すことができるのかと?
君は彼女が君に要求するものを引き渡すことができるのか?

それとも君は復讐したいのか?
でもそれは幼稚で愚かすぎるよ

クリケットの観覧席や自転車置き場の裏で
君がもっと容易く誘惑されていた頃を思い出せよ
君の夢が現実に近づくにつれて君は震えながら
君はあの青い瞳を真っすぐに見つめて

これこそ愛で君は動揺を隠すことができないことを知ったんだ
君はあの最初の友だちとの約束は全て忘れている
彼女が君の思いをお見通しであることは何とも酷い話だが
彼女は君と想い出を共有する準備ができていないんだ

だから今君自身に訊ねてみればいい
もしも彼女が君に懇願するならば
君は彼女を許すことができるのかと?
君は彼女が君に要求するものを引き渡すことができるのか?
だから今君自身に訊ねてみればいい
もしも彼女が君に懇願するならば
君は彼女を許すことができるのかと?
君は彼女が君に要求するものを引き渡すことができるのか?

それとも君は復讐したいのか?
でもそれは幼稚で愚かすぎるよ


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『桜色の風が咲く』

2023-05-25 00:58:17 | goo映画レビュー

原題:『桜色の風が咲く』
監督:松本准平
脚本:横幕智裕
撮影:長野泰隆
出演:小雪/田中偉登/吉沢悠/吉田美佳子/山崎竜太郎/札内幸太/井上肇/朝倉あきら/森優理斗/リリー・フランキー
2022年/日本

作品の「真意」について

 本作は9歳で失明し、18歳で聴力を失った盲ろう者が世界で初めて大学教授になった福島智の実話をもとにした作品で、同時に福島の母親の令子が「指点字」を編み出した物語でもあるのだが、どうも気になるのは福島が3歳の時に紹介状を持って訪れた兵庫県立病院の眼科医の長尾光則の診察方法で、長尾が不在の時に代わりに飯田瑞穂が診察した際の長尾に対する口ごもった感じなども含めて、これは暗に長尾の「誤診」を訴えているような気がしてならない。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1100775


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『せかいのおきく』

2023-05-24 00:57:52 | goo映画レビュー

原題:『せかいのおきく』
監督:阪本順治
脚本:阪本順治
撮影:菅原有希子
出演:黒木華/寛一郎/池松壮亮/眞木蔵人/佐藤浩市/石橋蓮司
2023年/日本

究極の「便映画」について

 『土を喰らう十二ヵ月』(中江裕司監督 2022年)が究極の食の映画だとするならば、本作は究極の便の映画と見なせるだろう。描かれた時代は安政5年の初夏から3年後の晩春までで、丁度大老の井伊直弼が命じた安政の大獄から、その井伊直弼が暗殺された安政7年の桜田門外の変が起こった時期と重なるのだが、政変ごときでは当時の便の事情などほぼ何も影響はない。
 当時の排泄物の処理の仕方が具体的に描かれており、とても分かりやすいと思ったが、それだけではなく、例えば主人公のおきくが父親と政敵の諍いに巻き込まれて声を失ったことは、上流階級の言葉を口にできなくなり事実上武家という階級から降りたことを意味し、その後おきくが「汚穢屋」の中次と付き合える「口実」になったと思うのである。8年後の1868年に明治が訪れる。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/shueisha/trend/shueisha-128911


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『土を喰らう十二ヵ月』

2023-05-23 00:58:10 | goo映画レビュー

原題:『土を喰らう十二ヵ月』
監督:中江裕司
脚本:中江裕司
撮影:松根広隆
出演:沢田研二/松たか子/西田尚美/尾美としのり/瀧川鯉八/檀ふみ/火野正平/奈良岡朋子
2022年/日本

「土を喰らう」という意味について

 ストーリーはあって無いような感じで、長野県の人里離れた山荘で犬と一緒に暮らしている主人公のツトムの元に、東京からわざわざ車で担当編集者の真知子が日々の生活に関するエッセイの催促にやって来るのだが、いつものように旬の食材を使った料理は提供してくれるのだが、肝心の原稿はなかなかはかどらない。そんな感じの一年の中で13年前に他界した妻の八重子の遺骨の横に義理の母親のチエの遺骨も並ぶことになるのだが、ツトム本人も急性心筋梗塞を患い、そのまま死んでいてもおかしくはなかったのだが、たまたま真知子が訪ねてきたことで一命を止めた。
 ところでツトムと真知子の関係なのだが、友達以上恋人未満といった感じで、真知子はツトムと一緒に暮らすこともやぶさかではないのだが、ツトムは自分の老い先を勘案して暗に断ってしまう。真知子は作家と結婚することにしたとツトムに報告をするも、ツトムが反対することはなかったのだが、どうもお互い未練が無くはないような感じで、これはツトムというよりも「研二」が元気なのだと思う。
 似たようなテレビドラマに『孤独のグルメ』というものがあるのだが、どうも「ステマ臭」がして好きになれなかったのだが、ここまで自分自身で精進料理を極めて貰えれば見るだけの価値があると思った。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_88029


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『ヴィレッジ』

2023-05-22 00:57:39 | goo映画レビュー

原題:『ヴィレッジ』
監督:藤井道人
脚本:藤井道人
撮影:川上智之
出演:横浜流星/黒木華/一ノ瀬ワタル/奥平大兼/作間龍斗/杉本哲太/西田尚美/木野花/中村獅童/古田新太
2023年/日本

リアリズムを奪ってしまう演出について

 確かに作り込まれた映像は素晴らしい。これだけの著名人たちが推薦コメントをしてくる理由もよく分かるのだが、どうもストーリーの「ユルさ」が気になる。
 例えば、中井美咲が夜に自宅を訪れてきた大橋透に襲われそうになるところに、主人公の片山優が間に合って入ってくるのだが、詳細は省くが、不幸にも透が亡くなってしまい二人は透の遺体をゴミ最終処分場へ遺棄する。ところが警察の捜査によって透の遺体が発見された際に、透は自分のスマホと一緒に遺棄されているのである。そのスマホで優は化学物質を含むゴミの不法投棄している現場にいる写真を撮られており、美咲は襲われているところを動画で撮られているのだから、二人はスマホはデータ自体も消去したいだろうから別に処分するはずなのである。
 あるいは優が中井恵一を乗せて車を運転していると、走行中に降りようとする恵一を止めようとして誤って車を木にぶつけるのだが、何故か車のエアバックが起動しないのである。
 例えば、『サイド バイ サイド 隣にいる人』(伊藤ちひろ監督 2023年)のようなリアルとファンタジーが混在する作品であるならば、このような重箱の隅を楊枝でほじくる必要はないと思うのだが、本作のようなリアリズムを重視する作品の場合、微妙な塩梅で監督がストーリーを自分の都合の良いように導いてしまうことは作品の説得力を奪いかねないと思うのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1132856


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『サイド バイ サイド 隣にいる人』

2023-05-21 00:59:42 | goo映画レビュー

原題:『サイド バイ サイド 隣にいる人』
監督:伊藤ちひろ
脚本:伊藤ちひろ
撮影:大内泰
出演:坂口健太郎/齋藤飛鳥/浅香航太/磯村アメリ/茅島成美/不破万作/津田寛治/井口理/市川実日子
2023年/日本

「マジックリアリズム」という手段について

 全く期待せずに観たせいでもあるのか、とても良くできた作品だと思う。伊藤ちひろ監督は脚本家として有名なので、てっきりストーリーにこだわるのかと思いきや、とにかく画面の構図の作り方が素晴らしい。例えば、詩織の娘の美々が美少女アニメーションの主人公を真似て鏡に向かって変身ポーズを取るのだが、最初のシーンでは鏡に主人公の未山の後輩でミュージシャンの草鹿の生霊が映り、二度目には未山の元恋人の莉子が映り、未山が同じように繰り返す料理シーンの流れで美々の「変身」のクオリティが上がっていることを暗示している。あるいは、未山が莉子を自分の部屋に招いた際に、莉子はわざと未山の部屋の畳に墨汁を撒くのであるが、詩織と美々が住む家に招かれ、一緒に食事をしようとした時には莉子はテーブルの上に誤って牛乳をこぼしてしまうのである。この「黒」と「白」のコントラストは莉子と未山の服に既に反映されているのであるが、最後に未山が見つけたさ迷っている乳牛の墨汁と牛乳を一緒にこぼしたような皮膚の色合いを、「マジック・リアリズム」による「チャーミング(魔力)」と形容する言葉以外にあるだろうか。
 かなり時間をかけたであろうロケーションもかなり凝っていると思うし、とにかく最初から最後までシンメトリーとアシンメトリーを駆使して観客を飽きさせないアヴァンギャルドと言ってもいい大胆な画面作りに本当に唸ってしまった。まあ、一般的にはウケないと思うし、『キネマ旬報』のレビューでは散々の言われようだけれど、私個人のために作ってくれてありがとうございます。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1133478


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『幻滅』

2023-05-20 00:59:06 | goo映画レビュー

原題:『Illusions perdues』
監督:グザビエ・ジャノリ
撮影:グザビエ・ジャノリ/ジャック・フィエスキ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
出演:バンジャマン・ボワザン/セシル・ドゥ・フランス/バンサン・ラコスト/グザビエ・ドラン/ジェラール・ドパルデュー
2021年/フランス

成果の「早さ」について

 1820年代。フランス南西地方のアングレームの印刷工場で働きながら、自身の詩集の出版を夢見ている20歳のリュシアン・ド・リュバンプレが主人公である。リュシアンは薬屋だった父親の「シャルドン」の姓は使わず、貴族の末裔だった母方の姓である「ド・リュバンプレ」を名乗っているのだが、恋人のルイーズを介して実際にパリへ行って自分を売り込もうとサロンで貴族たちと関わっても、教養の無さはすぐにバレてしまい、笑い者にされてしまうのである。
 しかしだからと言ってリュシアンを愚かだと見なすのは早計で、例えば、本作の原作を書いたフランスの文豪であるオノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)でさえ、名前の真ん中にある「ド」は、貴族を気取った自称だからである。
 それならばリュシアンとバルザックはどこで道を違ったのか勘案するならば、もちろんそもそも才能の有無ということを除くとするならば、手っ取り早く稼げて、「マウント」を取ることもできるスキャンダルを扱った新聞記事の執筆、さらにはパリ社交界の陰のフィクサーとして暗躍しながら才能を浪費してしまったことに尽きるのではないだろうか。
 因みにタイトルなのだが、「Illusions perdues」は「失われた夢想」といったニュアンスだと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/halmek/trend/halmek-article_9467


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『デスパレート・ラン』

2023-05-19 00:59:16 | goo映画レビュー

原題:『The Desperate Hour』
監督:フィリップ・ノイス
脚本:クリストファー・スパーリング
撮影:ジョン・ブローリー
出演:ナオミ・ワッツ/コルトン・ゴボ/シエラ・マルトビー/ジョシュ・ボウマン/ボール・ペイプ/アンドリュー・チャウン
2021年/アメリカ

「絶望の時間」の過ごし方について

 2021年9月24日、いつものように朝の日課としているジョギングを始めた主人公のエイミー・カーは間もなくして非常事態を知らせる通知を受け取り、それが息子のノアが通う高校で銃を持った犯人が立てこもっているという事件だったのだが、当初、高校を休んでいたはずのノアの車が学校に駐車してあることを聞いて犯人は自分の息子なのかと不安に苛まれる。何故ならば一年前の2020年9月25日にエイミーの夫が交通事故で亡くなって以来、ノアは学校を休みがちだったからである。
 最近観た『THE GUILTY/ギルティ』(アントワーン・フークア監督 2021年)という映画は緊急通報指令室のオペレーターのジョー・ベイラーを演じたジェイク・ジレンホールの一人芝居で、本作は逆に被害者側の立場に立つナオミ・ワッツの一人芝居であるが、それに加えて主人公がずっと森の中をジョギングしながら電話対応しており、主演を務めたワッツは当時52歳なのだから、かなり頑張っていると思う。それ故に電話対応のマズさは多少なりあってもそれは許してあげたいと個人的には思う。批評家にもあまり評価されていないが、最後まで緊張感が途切れることはなくよく出来ていると思う。
 エンディングテーマであるTRVSTFALLの「シング・ラウダ―」を和訳しておきたい。

「Sing Louder」 TRVSTFALL 日本語訳

僕の声を受け取って
それをより大きく
よりワイルドにして
解放して欲しいんだ
僕の言葉を受け取って
それらをより賢くして
信じられるものを僕に与えて欲しいんだ
僕にできることはただ歌うことだけ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ

僕の心配を水辺で除去して欲しいんだ
僕が抱える問題を僕から取り除いて欲しいんだ
この心を受け取って
より強くより優しくして
信じられるものを僕に与えて欲しいんだ
僕にできることはただ歌うことだけ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ

声を上げよう

僕が戦争をしたがっていると君は思っているけれど
そんな簡単なことではないんだ
良い物なんてなかったのだから
僕が欲しいものはただ僅かな平安であることを
どうか信じて欲しいんだ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
声を上げよう
声を上げよう
声を上げよう
僕はより声を大にして歌うつもりなんだ
声を上げよう
声を上げよう
声を上げよう
声を上げよう
声を上げよう

TRVSTFALL - Sing Louder (Official Lyric Video)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_97371


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『TAR/ター』

2023-05-18 00:53:09 | goo映画レビュー

原題:『TÁR』
監督:トッド・フィールド
脚本:トッド・フィールド
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
出演:ケイト・ブランシェット/ノエミ・メルラン/ニーナ・ホス/ゾフィー・カウアー/ジュリアン・グローヴァー/マーク・ストロング
2022年/アメリカ

クラシック界の「システム」について

 主人公のリディア・ターはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団における女性初の首席指揮者であるのみならず、エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞の4大音楽賞、いわゆる音楽家としての「グランドスラム」を成し遂げ、自伝『Tár on Tár』の出版と同時に、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団として初となるグスタフ・マーラーの交響曲第5番のライブ録音の準備もしており、まるで片手間のようにジュリアード音楽院で学生の指導まで担い、まさに音楽家としてのキャリアの頂点に君臨しているのである。
 実はリディアはゲイなのであるが、だからと言って私生活に支障をきたしているわけではなく、シャロン・グッドナウというパートナーがおり、ペトラという娘もいる(因みにリディアはクリスタ・テイラーとトラブルになっているのだが、クリスタがリディアにヴィタ・サックヴィル=ウェストの『チャレンジ(Challenge)』という小説を送っているところを見ると浮気相手だったのだと思う)。
 しかし絶好調だったリディアの人生はオルガ・メトキーナが出現したあたりから狂いだすのだが、不思議なことにリディアが抱えるトラブルはほとんどが女性との間で生じており、白人男性とは良好であるということなのである。これはリディアの問題というよりもクラシック界がそもそも白人男性によって作られていることによる弊害なのであろうが、それが問題であると果たして言えるのか? 女性を排除しながらクラシック界が成り立ってきたとは考えにくいのであり、これは白人男性的振る舞いで活躍できてしまう「システム」の問題のように思うのである。
 ところが本作はリディアの「挫折」を「劇的」には描かない。例えば、夜中にリディアが住む部屋でメトロノームを仕掛けた人も、リディアの楽譜を盗んだ人もリディア本人が積極的に探そうとすることもなく、詳細は避けるがクライマックスのリディアの行動も淡々と描かれるだけである。
 再起をかけてエージェントを介して渡った東南アジアのとある国において、リディアは改めてオーケストラの指揮者の地位を得ることができる。しかしそのオーケストラは今までのオーケストラとは微妙に違う。それはヴィデオゲーム『モンスターハンター』の音楽の演奏なのではあるが、地元の売春宿のアジア人女性の眼差しに嫌悪して思わず嘔吐してしまうところなど、そこでは白人男性によってつくられたクラシック界の「システム」がそのまま受け継がれているのではないのだろうか?
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1134644


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