MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ボレロ 永遠の旋律』

2024-10-21 00:58:01 | goo映画レビュー

原題:『Bolero』
監督:アンヌ・フォンテーヌ
脚本:アンヌ・フォンテーヌ/クレア・バー/ピエール・トリビディク/ジャック・フィエスキ/ジャン=ピエール・ロンジャ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
出演:ラファエル・ペルソナ/ドリア・ティリエ/ジャンヌ・バリバール/エマニュエル・ドゥボス/バンサン・ペレ―ズ/ソフィー・ギルマン
2024年/フランス

『ボレロ』誕生物語

 フランスの作曲家のモーリス・ラヴェルが名曲『ボレロ』を誕生させるまでの苦悩が描かれている。興味深いのはフランスのダンサーのイダ・ルビンシュタインに依頼されて作られた曲なのだが、ラヴェルが彼女のリハーサルを目にした際に、舞台設定が酒場で、そこで主人公の踊り子が『ボレロ』に合わせて踊るという「大衆演劇」で、ラヴェルが想定していた「品」というものが全く無かったために、イダに中止を求めるものの、イダがスポンサーであったためにラヴェルに中止させる権限はなかった。
 しかしラヴェルも見守る中、実際に初日1928年11月22日のパリ・オペラ座で上演されると大好評で、このように様々な視点で制作された作品が不朽の名作になるのだと納得した次第である。
 それにしてもあれほど女性に囲まれていながら生涯独身という点は気になる。女性関係が派手だったわけではなく、だからと言って同性愛者でもないらしいからますます気になる。

モーリス・ラヴェル:ボレロ|アロンドラ・デ・ラ・パーラ|WDR交響楽団
gooニュース
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『2度目のはなればなれ』

2024-10-20 00:59:36 | goo映画レビュー

原題:『The Great Escaper』
監督:オリバー・パーカー
脚本:ウィリアム・アイボリー
撮影:クリストファー・ロス
出演:マイケル・ケイン/グレンダ・ジャクソン/ジョン・スタンディング/ダニエル・ビタニス/ビクター・オシン/エリオット・ノーマン
2023年/イギリス

「大物の高齢者」について

 反戦映画として素晴らしい作品だと思ったのだが、欲を言えば、主人公のバーニー・ジョーダンとフェリーで知り合ったアーサー・ハワード=ジョンソンが一緒に訪れたバイユー戦没者墓地のシーンにおいて、何故バーニーは本人にはともかく、終戦後にダグラス・ベネットの妻に一度も会いに行かなかったのか理由がいまいちよく分からなかったし、亡くなった弟の墓をアーサーが見つけた時の心理描写も足りないように感じた。
 ところで本作は戸田奈津子が日本語字幕を担っているのだが、どうも字幕翻訳が怪しいのである。例えば、アーサーが眠れずにいたら、妻のレネも起きてきたのでアーサーが眠るために「酒でも飲もうか」と翻訳されているのであるが、実際は「俺は走るべきなんだな(I should have run)」と90歳がかました冗談に、妻のレネが「フランスまで」と冗談を被せてくるウイットが面白いのである。もう戸田に字幕翻訳は無理だと思う。大物の高齢者だからといって誰でも良い仕事をするとは限らない。それとも人材不足なのか?


gooニュース
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『箱男』

2024-10-19 00:59:41 | goo映画レビュー

原題:『箱男』
監督:石井岳龍
脚本:石井岳龍/いながききよたか
撮影:浦田秀穂
出演:永瀬正敏/浅野忠信/白本彩奈/渋川清彦/中村優子/川瀬陽太/佐藤浩市
2024年/日本

「オチが上手すぎる」作品について

 観終わった感想は「オチが上手すぎる」というものだった。もちろんこれは誉め言葉とは言えないし、むしろ「言いがかり」にも似たものになってしまいかねない。確かに『箱男』の映画化はどのように撮ろうと文句を言われることは石井岳龍監督は承知でアプローチしたのだと思うのだが、それにしても冒頭から主人公が「箱男化」しており、「箱男」が誕生する過程が描かれなかったのは残念な気持ちを抱いた。映像と「ノートの記録」は誰が書いているのか分からないように分けるべきだったのではないかとも思う。箱男の「本物」と「偽物」も不明瞭にするべきだったのではないかとも思う。原作のファンであるが故に書いていくと次々と文句が出てしまう。
 しかし映像のテイストはまるで70年代に撮った作品のような雰囲気を漂わせ、石井岳龍監督が撮ると時代が当時に戻ってしまうスタイルのブレの無さは際立っていた。


gooニュース
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『ナミビアの砂漠』

2024-10-18 00:59:13 | goo映画レビュー

原題:『ナミビアの砂漠』
監督:山中瑶子
脚本:山中瑶子
撮影:米倉伸
出演:河合優実/金子大地/寛一郎/新谷ゆづみ/中島歩/唐田えりか/渋谷采郁/澁谷麻実/倉田萌衣/伊島空/堀部圭亮/渡辺真紀子
2024年/日本

「東京砂漠」から見る「ナミビアの砂漠」について

 なかなか理解しにくい作品ではある。そもそも主人公の21歳のカナは人生に悪戦苦闘しているのか、それともただ性に奔放の我儘娘なのか、あるいは箱庭療法のカウンセリングを受けているところを見ると多少なりとも過去のトラウマによって心を病んでいるのか。文脈の捉え方によってカナに同情もできるし、自業自得だと突き放すこともできるのだが、わざわざ映画で表現したのであるならば、監督は主人公に同情を求めているはずなのである。しかしそうなるとカナに関する情報が少なすぎる。
 同情という点で言えば、『あんのこと』(入江悠監督 2024年)も含めて、あまりにも主演を演じている河合優実に頼り過ぎている感じがする。両作品ともに河合優実の熱演で辛うじて観賞できる作品になっていると思うが、河合以外だったら目も当てられなかったのではないのか。


gooニュース
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『侍タイムスリッパー』

2024-10-17 00:54:52 | goo映画レビュー

原題:『侍タイムスリッパ―』
監督:安田淳一
脚本:安田淳一
撮影:安田淳一
出演:山口馬木也/冨家ノリマサ/沙倉ゆうの/峰欄太郎/庄野﨑謙/紅萬子/井上肇/田村ツトム/高寺裕司/安藤彰則
2024年/日本

インディーズ映画の「あるある」について

 登場人物たちがいわゆる「ガラケー」を使っているので不思議に思っていたら、黒船襲来から140年と謳ったポスターが映されて、そうなると大政奉還から140年経っているとするならば2007年だからガラケーなのだと納得できるし、1996年頃からテレビ時代劇のレギュラー枠が減少し始めたとするならば、主人公の高坂新左衛門の敵役である風見恭一郎が10年前に時代劇から退いた理由も頷ける。
 『マルサの女』『大病人』『スーパーの女』など伊丹十三監督のヴィデオが映される。それは伊丹監督も50歳を過ぎてから映画監督デビューしたという共通点と、作風も好みということのオマージュなのだろうが、もちろん撮影機器の飛躍的な発達ということはあるとしても、伊丹監督に引けを取らないクオリティーの高さを感じる。
 本作に関して、二人が真剣を使い出した時点で監督は止めなければならないというレビューを目にしたのだが、それを言うならばそもそも侍が現代にタイムスリップしてくること自体が非現実なのだからこんな映画を観てはいけないのである。
 インディペンデント映画の「あるある」としてカメラを止めてはいけないということはよく分かった。


gooニュース
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『からかい上手の高木さん』

2024-10-16 00:59:55 | goo映画レビュー

原題:『からかい上手の高木さん』
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉/金沢知樹/萩森淳
出演:永野芽郁/高橋文哉/鈴木仁/平祐奈/前田旺志郎/志田彩良/白鳥玉季/齋藤潤/江口洋介
2024年/日本

離ればなれの10年について

 主人公の高木さんと幼馴染の西片は中学校の同級生だったが、高木さんは父親の仕事の都合でパリに引っ越すことになり、それから10年後に高木さんは西片が体育教師として勤めている中学校に教育実習生として戻ってきて、以前のように高木さんは西片をからかうような関係になるのである。
 高木さんと西片の中学生の頃の関係を生徒の大関みきと町田涼の関係に投影させているように見える。つまりもしも中学生の時に高木さんが西片に告白していたら、みきが涼に告白したことで涼が不登校になってしまった状況と同じことになった可能性を暗示しているように見えるのであり、離れていた10年が無駄ではなかったという印象を観客に与えるように思うのである。


gooニュース
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『ハピネス』

2024-10-15 00:59:07 | goo映画レビュー

原題:『ハピネス』
監督:篠原哲雄
脚本:川﨑いずみ
撮影:鶴崎直樹
出演:窪塚愛流/蒔田彩珠/橋本愛/山崎まさよし/吉田羊
2024年/日本

死の悲しみを相殺させるロリータファッションについて

 冒頭から主人公で高校生の山岸由茉が恋人で同級生の国木田雪夫に自身の余命宣告をする場面が映される。実は由茉は生まれつき心臓に持病を抱えており、悪化したことであと1週間しか生きられないと医師に言われたのである。
 その後は、由茉のやりたいことをするために二人で時を過ごしながらロリータファッションに身を包み大阪本店の「Innocent World」を訪れ、資生堂パーラーの「スペシャルカレー」を堪能し、最期は雪夫の部屋で迎えることになるのである。
 まるでロリータファッションで高揚することで死の悲しみを相殺させるような感じを抱いた。実際に本作は「難病もの」の部類の作品のはずなのだが、それほどの悲壮感は感じなかったのだが、ただ由茉の父親の山岸英生を演じた山崎まさよしの演技だけが一人浮いていた。『月とキャベツ』(1996年)や『影踏み』(2019年)で主演を演じてもらった縁があったからだろうが、作品そのものが損なわれるのではないかと憂うほど酷すぎた。


gooニュース
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『言えない秘密』

2024-10-14 00:59:26 | goo映画レビュー

原題:『言えない秘密』
監督:河合勇人
脚本:松田沙也
撮影:足立真仁
出演:京本大我/古川琴音/横田真悠/三浦獠太/坂口涼太郎/皆川猿時/西田尚美/尾身としのり
2024年/日本

108歩の「遠さ」について

 主人公で音大生の樋口湊人が海外留学から急に帰国してきたのは、留学先の学校の授業で教授に演奏を叱責され自信を失ったためであろうが、帰国しても友人などに打ち明けることはできないでいた。そんな時に取り壊し間近の旧講義棟の演奏室でピアノを弾いていた雪乃と出会った。
 だんだんと距離を近づけていった二人は連弾を弾き合うようになり仲を深めるものの、雪乃の体調が優れないことを知った湊人は雪乃から「湊人がいつも座っている旧講義棟のベンチから演奏室まで108歩ある」という謎の言葉を聞くのだが、108とは煩悩の数と捉えるべきであろう。敢えて「禁じ手」を冒してでも湊人に会いに行った雪乃の正体は実際に本作を観て確かめて貰った方が良いと思う。


gooニュース
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『あのコはだぁれ?』

2024-10-13 00:59:04 | goo映画レビュー

原題:『あのコはだぁれ?』
監督:清水崇
脚本:清水崇/角田ルミ
撮影:大内泰
出演:渋谷凪咲/早瀬憩/山時聡真/荒木飛羽/今森茉耶/蒼井旬/松尾諭/マキタスポーツ/染谷将太/中務裕太
2024年/日本

「この人も消えた」

 本作は『ミンナのウタ』(清水崇監督 2023年)の続編である。だから『ミンナのウタ』と合わせて観賞した方が内容がよく分かると思う。
 主人公の君島ほのかは中学校の夏期補習クラスを臨時に担当することになる教師なのだが、いきなり作品冒頭で恋人の七尾悠馬が交通事故に遭って亡くなる現場を目撃することになる。そんな時に現れるのが『ミンナのウタ』で登場した少女の幽霊である高谷さなである。さははテープレコーダーで魂の音を集めると称していわゆる断末魔の叫びを収録している。『ミンナのウタ』においてボーイズグループのGENERATIONSのマネージャーの角田凛の依頼で探偵の権田継俊が捜査するのであるが、今回もほのかが勤務する中学校の校長の川松良江に依頼されたものの、前回で懲りた権田は高谷さなには関わりたくないのである。
 さながここに出現した目的は「魂の音を集める」ことではなく、弟の悠馬を取られたくないという思いからであり、実は七尾悠馬は『ミンナのウタ』で登場した少女の幽霊である高谷さなの弟である。だからほのかは酷い目に遭っているのだが、ラストシーンは敢えて書かないでおきたい。


gooニュース
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『あの人が消えた』

2024-10-12 00:58:51 | goo映画レビュー

原題:『あの人が消えた』
監督:水野格
脚本:水野格
撮影:谷康夫
出演:高橋文哉/北香那/坂井真紀/袴田吉彦/菊地凛子/中村倫也/染谷将太/田中圭
2024年/日本

「はちや」か「やたに」か「やや」なのか?

 これは面白い作品だとは思うものの、ネタバレになってしまうので上手く紹介できないのだが、主人公で八谷運輸の配達員の丸子夢久郎が「次々と人が消える」と噂のあるマンションを検証していくうちにどうなるのかは、登場順の人物の名前(巻坂健太、流川翼、小宮千尋、長谷部弘美、島崎健吾、沼田隆)で既にバラしているようなのでそれはここに書いていても問題無いと思う。


gooニュース
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