MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ヒットマン』

2024-10-28 00:59:09 | goo映画レビュー

原題:『Hit Man』
監督:リチャード・リンクレイター
脚本:リチャード・リンクレイター/グレン・パウエル
撮影:シェーン・F・ケリー
出演:グレン・パウエル/アドリア・アルホナ/オースティン・アメリオ/レタ/サンジャイ・ラオ/グラレン・ブライアント・バンクス
2023年/アメリカ

「コメディ作品」が「シリアス」に嵌まった原因について

 ニューオーリンズの大学で心理学と哲学を教えているゲイリー・ジョンソンがフロイトの理論を駆使して地元警察に協力しているのだが、急遽警察の代わりにおとり捜査で殺し屋役を任され、上手く行ったことから度々おとり捜査の殺し屋役を頼まれることになる。
 ある日、ドメスティックバイオレンスが直らない夫の殺人を依頼してきたマディソン・マスターズと、ゲイリーはロンという偽名で出会う。もちろんゲイリーは夫との離婚を勧めていつものように穏便に収めようとする内に2人は恋に陥るのだが、ゲイリーが彼女の夫と遭遇し夫からも妻の殺人依頼を受けたり、警察官のジャスパーに2人の関係を怪しまれたりするようになり、マディソンが夫を銃殺したことをゲイリーに告げた後に、2人がいる部屋にやって来たジャスパーも窒息死させてしまうのであるが、2人は何故か上手く逃げおおせて子供もつくって幸せな生活を送るという展開になるのである。
 前半は良かったのであるが、後半は笑えない。おそらくリチャード・リンクレイター監督は理論武装しておとり捜査で殺し屋役に臨んだゲイリーがフロイトの「イド」や「エゴ」や「スーパーエゴ」という概念を駆使している内に訳が分からなくなって倒錯してしまった、つまり「ミイラ取りがミイラになった」ということを描きたかったのだと思うのだが、リチャード・リンクレイター監督にしては珍しく失敗している。
 ドクター・ジョンが歌っていた「俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思った」を和訳してみる。バディ・ボールデンはアフリカ系アメリカ人のコルネット奏者で「ジャズの父」と呼ばれる人物で、フランキー・デューソンはニューオーリンズ・ジャズのトロンボーン奏者でボールデンのバンドに参加した人物。和訳はジェリー・ロール・モートンのヴァージョン。前半の「say」や「shout」は「おなら」と言われている。

「I Thought I Heard Buddy Bolden Say」 Jelly Roll Morton 日本語訳

俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思った
おまえは下品で汚い
それを取り上げろ
おまえは不快で恐ろしい
それを取り上げろ
俺は彼の発言が聞こえたと思ったんだ

俺はバディ・ボールデンの叫びが聞こえたと思った
あの窓を開けて汚れた空気を出してくれ
あの窓を開けて汚い空気を出してくれ
俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思ったんだ

俺はフォガティ―判事の発言が聞こえたと思った
30日間売り出されている
彼を連れて行ってくれ
掃除用の良い箒を彼に与えて
彼を連れて行ってくれ
俺は彼の発言が聞こえたと思ったんだ

俺はフランキー・ドゥーゼンの叫びが聞こえたと思った
あのお金を俺に与えて欲しい
俺はそれを弾くつもりなのだから
俺がおまえに説明したようにあのお金を俺にくれという意味さ
俺はフランキー・ドゥーゼンの発言が聞こえたと思ったんだ

Jelly Roll Morton - I Thought I Heard Buddy Bolden Say
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otonamuse/trend/otonamuse-otonamuse-jp-guid-70999.html?_gl=1*13xgrlf*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTkzNjk4My4xNTMuMS4xNzI5OTQwMDQ2LjguMC4w


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