原題:『箱男』
監督:石井岳龍
脚本:石井岳龍/いながききよたか
撮影:浦田秀穂
出演:永瀬正敏/浅野忠信/白本彩奈/渋川清彦/中村優子/川瀬陽太/佐藤浩市
2024年/日本
「オチが上手すぎる」作品について
観終わった感想は「オチが上手すぎる」というものだった。もちろんこれは誉め言葉とは言えないし、むしろ「言いがかり」にも似たものになってしまいかねない。確かに『箱男』の映画化はどのように撮ろうと文句を言われることは石井岳龍監督は承知でアプローチしたのだと思うのだが、それにしても冒頭から主人公が「箱男化」しており、「箱男」が誕生する過程が描かれなかったのは残念な気持ちを抱いた。映像と「ノートの記録」は誰が書いているのか分からないように分けるべきだったのではないかとも思う。箱男の「本物」と「偽物」も不明瞭にするべきだったのではないかとも思う。原作のファンであるが故に書いていくと次々と文句が出てしまう。
しかし映像のテイストはまるで70年代に撮った作品のような雰囲気を漂わせ、石井岳龍監督が撮ると時代が当時に戻ってしまうスタイルのブレの無さは際立っていた。