ひどく寂れた印象の東鶴賀町。ここに華やかな遊廓建築はほとんど残っていないが、東鶴賀公民館(見番・検疫所があった場所)の敷地の角に三神社がある。
神社の隅に「新地」の由来が記された碑がひっそりと立っている。これが無かったら余所者はまず遊廓跡とは気付かないだろう。周辺をぶらつき漸く往時の木造建築を発見した。
西鶴賀町の長野中央病院斜向かいにある傷みの激しい妓楼。その先の街灯を見て驚いた。何と鶴が電球をくわえた格好になっているのだ。
「元遊里らしく凝った作りだな」としきりに感心し、疲れが吹き飛んだ。駅に向かう私をタクシーが猛スピードで追い抜いて行った。運転手の畜生面を見て苦笑した。帽子を被ったおっさんが堅気でないことを悟ったからである。