まずいことに小雨が振ってきた。雨宿りを兼ねてある旅館で道を尋ねることに。私の呼びかけに対して姿を現したのは意外にもお婆さんだった。
「こんにちは。この辺でそばを食べさせる旅館があると聞いたのですが…何処でしょう?」
「それはここですよ」
「よかった。まだ営業してますか」
「ええ、予約のお客さんの支度があるのでちょっと待ってもらうことになりますけど。どうぞ上がって下さい」
奥の部屋でお茶を飲みながらそばが出来上がるのを待つ。それから15分後、お婆さんが「ざる」を持ってきてくれた。見た目は大雑把な感じであるが、喉越しのよい上品なそばだった。
もり汁は甘さを極力抑えた左党好みの味。薬味は本山葵、白ねぎ、大根おろしの3種。本山葵がついているのは流石長野ならではだ。
後から焼きおむすびをサービスしてもらって非常にありがたかった。野口博士を1枚置いて外に出ると雨は止んでいた。