山ノ内町民と思われる筋肉質の老人が丁寧に体の隅々まで洗っている。彼を見習い下を清めた。浴槽は2つに分かれており、源泉が出ている方(画像)が高温の湯である。無駄な物を徹底的に省いた簡素な造りはすばらしい。陸軍軍医総監松本順による「大湯入浴法」に目を通す。
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一来着ノ最初ハ一、二回トス
一入浴ノ時間ハ三十分ヲ過グル可カラズ
一飲食前後三十分間内ニ浴ス可カラズ
・・・(略)・・・
まず低温の湯に浸かる。入った瞬間に「これはいいな」と感じた。硫黄臭がきつくないので肌に優しい。隣に移って瞑想にふける。休憩を挟んでもう一度各湯を楽しんだ。結局30分近く「大湯」にとどまっていた。家ではあり得ないことだ。
外に出た私は温泉地の共同浴場番付を見てくすっと笑った。西の横綱「道後温泉本館」に対して東のそれは「湯田中大湯」と書かれている。確かにこれまでに東日本で入った温泉ではピカイチだと思う。喉がビールを求めて勝手に鳴き始めた(笑)