谷甲州と言えば、SFだが、実は山岳小説も書いているどころか、
この作品などで新田次郎賞も受賞している。
ということで興味を持って、読んでみた。
最初に山岳用語集が出てくるのが面白かった。しかし、これがないと
意味不明な箇所が出てくる。特に、山岳用語には、ドイツ語では
だいたい知っていても、英語では知らなかったりする。
例えば、リンネやルンゼと同じ意味のガリーだったり、アイゼンと
同じ意味のクランポンだ。
さて、この作品の主人公として、加藤武郎という伝説のクライマーが
が登場するが、明らかに「単独行」の加藤文太郎をイメージしている。
また、筆者は、加藤文太郎と同じ山を登り、いつか、「孤高の人」とは
異なる自分のイメージの加藤文太郎伝を書きたいとあとがきで述べており、
実際に書いている。
この短編集も、本格的な登山家である筆者ではないと書けない臨場感が
表現されている。(最後の山岳ホラーは余計だったような気もするが。)
「神々の山嶺」の夢枕氏が、谷氏は、日本人の作家で、最も高い山(7000M以上)に
登った作家とのことだ。
しかし、谷氏といえばSFが多いのがちょっと不思議だ。
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