ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

宮部みゆき(火車)

2007年12月02日 | 国内ミステリー
宮部みゆきの山本周五郎賞に輝いたミステリー史に
残る傑作と言われる『火車』を読了した。

600ページ近い大作である。ミステリーではある
が、人間を描き、重いテーマを描いた作品だった。

宮部みゆきらしい部分もあったが、ちょっと、いつ
もと違うぞという感じもあった。

途中、正直言って、冗長に感じて、読むのが辛く感
じる部分もあった。

婚約者を残して失踪した女性を探す内に、いろいろ
な彼女の辛い人生が見えてくる。

休職中の刑事、本間は、やっと逃げ惑ってきた女性
を見つけて気がつく。
会ったら、話を聞きたいと思って探してきたのだと。

解説の所で、『自分の過去を消し、他人になろうと
してなりきれなかった女たちを描いて、この小説は、
哀切である。』という言葉が胸に響く。

傑作であるが、高村薫の小説に近い重さに久しぶり
に疲労感を感じた。


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