NHK TVドラマの原作になった”敵討”を読んだ。実際には、
2編からなる。
最初の「敵討」は、何故、殺害されたかわからぬ剣客の叔父と、
仇討をしようとするうちに行方不明となった父親の敵を追う息子の話だ。
こちらは、意外性があり、史実でなければ、作りすぎでは
ないかと思ってしまうほどである。
2編目が、TV化された「最後の仇討」だった。
すでに明治に入り、仇討禁止令が出たにも関わらず、
成し遂げられた、まさに、最後の仇討だ。
TV化されたものは、若干、原作と違っていたが、
違和感はなく、TVのドラマもよくまとめていたと思う。
どちらも、読み応えのある良い作品だった。
時代劇だと、剣を交えるシーンが長く、読み応えが
あるのだが、吉村昭氏の作品は、史実にもとずいて
おり、歴史の流れに翻弄された人間模様を描くのに
力がそそがれているようだ。
日本人は、赤穂浪士ではないが、仇討が好きな
国民なのかも知れない。勧善懲悪的に悪を倒すだけでなく、
苦労に苦労をかけて多くの犠牲を払いながらも、初志貫徹
することに日本人の美学があるのかも知れない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます