まったく、予測のできない本だった。
今までに読んだどの本とも違う作品だった。
選者の中島河太郎の巻末の解説の最後の言葉が効いている。
”本書は江戸川賞受賞作の中でも、もっとも永く読まれるに違いない。”
これは、おそらく、嘘偽りのない感動から自然に出た言葉に違いない。
私も、まったくの同感である。
最初は、えっ。SFなの?と驚かされる。
しかし、すぐに、柳田国男を師匠とあおぐ折口信夫という実在の民俗学者の
学生時代の青年が主人公として謎を解明していくのである。
万葉仮名あり、暗号解読あり、完全犯罪の謎解きあり、歴史の謎解きありと
盛りだくさんであり、飽きさせない。
更に、生涯独身で、何かと噂の絶えない折口信夫の恋愛もある。
万葉仮名や歴史の話のところは、ちょっと、読み進めるのがつらくも感じたが、
日本史はきらいではなかったのを思い出した。
歴史の謎解きなど、好き嫌いもあるかと思うが、私にとっては久しぶりに出会った
素晴らしい作品としてこの奇妙な題名と一緒に記憶に残るだろう。
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