過労死予備群の「食から笑顔になる生活」

夜討ち朝駆けで仕事する日々。忙しくとも自分なりの手間をかけて、美味しく笑顔になる生活を志します。

驚きや輝きを写真に留める:書籍紹介

2016-03-10 17:32:00 | 食に関わる情報本
届いたばかりの本を、愛車内で一読(笑)。写真を撮る…いや、創りこんでいく視点の面白さに、学びがありました。



■いつもの料理に撮るたのしみを
「作って撮る ごはんと写真」

福岡 拓
発行:株式会社 日本カメラ社、2016年4月1日

職業としての料理写真家である著者の写真が、私は好きだ。食材の、器の、いい表情をきりとり、天然より自然に見えるからだと思う。
この人は、料理を苦にしない人だろう。繰り返して、ブラッシュアップし、撮りたい価値まで高めていく人だろう。。。この人の仕事をディスプレイで見る度に、いつか、撮る時の彼の視点の動きを追ってみたいと思っていた。この本は予約して待った。

まるでレシピ本のように、料理の立ち位置ごとに分類されて、料理は章だてされている。章の間に、写真に係わる情報が編まれている。
それぞれの料理ページは魅力的だ。
見開き一枚に、完成した料理写真が大きく載り、調理の過程がテキストで添えてあり、ポイント数を下げた活字で、何故そうしたかのコラムが書かれている。

このコラムに、著者のエッセンスが惜しげなく示されている。これを読んで、写真を見直す。自分の中に、新しい視点が生まれてくる。

一読して、プロの写真家だと舌をまく。この料理をどう見せるかに添って、器も、調理の過程も、盛り付けも創り込まれていく。断面がみえることのみずみずしさ、器を見切ることで生まれる躍動感、等、普段の食卓では、並ばない楽しさが感じられる。

それをテクニックと感じさせれば、ピカピカのカタログ写真になってしまう(苦笑)のに、著者の写真は種明かしをしても尚、天然を切り取ったかのように自然にみえる。なぜだろう…。

誰かを満たして消えていく食を、著者は愛しんでいて、喜びや驚きを写真に留めておこうとしているのだろうか? いや、写真を切り口にして、喜びや驚き、日常に見過ごされていく輝きに気づいて欲しいと願っているのだろうか。
さらには、喜びや輝きを作り出しているのは、貴方であり、貴方の生活なのだと、写真を通すことで知って欲しいというのだろうか。

福岡さんの写真は、生き生きとしていても静かさを感じる。まるで、日常の片隅、昼下がりの縁側のように。そこにも、輝くものがあると魅せてくれる。

イベントではない日々の糧である食。当たり前のように、ここに在るけれど。誰かの労作、誰かの手を通して、あるいは、美味しくたべてねっという願いをのせて、ここに在る。
食べやすいようにと、隠し庖丁をいれ、やけどしないようにと人肌に保つ。冷めないようにと葛粉をはる。
食べさせるための工夫があるならば、食へ意識をむけるための魅せる写真の工夫もあっていい。
飾り事の写真ではない、生きる工夫を学ぶような写真の、撮り方を学んだ書籍だった。
(過労死予備群 謹読、20160310)



あ!お料理本としてならば、レシピは今風と思います。”だし汁“と記されているだけですので、鰹節か昆布か干し椎茸か、想像力を働かせてください(ニッコリ)。

この本をダッシュで買った訳がもうひとつ! それは、こちらの見開きですっ!(笑)
ジャアーン!



Nadia投稿のお二人として、我らが金魚さん が、ちょりママさんと、見開き一枚づつ紹介されています。
どんな風に、写真たちが産み出されてくるのか。それぞれのスタイルを、垣間見せてもらいました(ニッコリ)。

金魚さんの撮り方は、想像していたようにダイナミックで、嬉しくなってしまいました(笑)。
ちょりママさんの工夫も、丁寧で頷かされる。
それぞれが選んだやり方が愛おしいと思いました。(ニッコリ)


それぞれの生活の傍らに、カメラはあると私は思います。
最初に自分のカメラを持った十の時から、現実を切り取る目として、カメラの力を信じてきました。土門 拳氏を敬愛しています。
今日、福岡さんの本から、またひとつ、写真の力を意識しました。生涯、ひとは精進だと思いました。



二つの食の選手権に参加しています。一日一回、クリック応援していただくと、更新の励みになります。ありがとうございます。
にほんブログ村 グルメブログ 今日食べたものへ
グルメブログ 今日食べたものへ">
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする