
自由遊泳を許しているのはメダカ、ドジョウ、タナゴの三種だけでヨシノボリは同居させられない掟がある。このヨシノボリ、生簀で囚われの身にしてあったのだが越冬明けの3月、生簀の中を見たけれど姿が無い。たまにはモエビやメダカを投入してはいたものの冬場の給餌は少なかった。そんなことで死んだのかと思いつつ「骨が無い」とも思いつつ「逃亡した」とは全く思わなかった。以前の飼育環境下ではペットボトルの集合住宅式で小さい穴から逃亡した事があって、それも3匹なのでこれでは大事なタナゴを捕食全滅させれる緊急事態、この時は急遽、池の水を抜き大捜索の末に確保したのだった。
その反省に立ち製作した縦型生簀だから隙間は無いし水面から15cmも鉢底ネットの塀がある。でも良ーく考えてみればヨシノボリは岩を登るのだった。たかだか15cmのプラ塀を越える事は出来ない相談でもなさそうなのだし、現に脱出し魚体も越冬中の3倍程度の体長になっている。この捕食者となる危険生物を同居させる理由は二枚貝の繁殖用で貝の幼生の寄宿主になるために必要なのであってドジョウやメダカでは駄目らしい。
しかしながら、カワニナやマシジミは繁殖を続け世代交代しているけれどマツカサガイやドブガイの様な大型二枚貝の稚貝は見てはいない。室内水槽で産卵し稚貝になった記事は記憶にあるけれど、そもそも産卵しているのかさえも不明なのである。

水を減らして逃亡犯キンブルを確保する事に加え、ひときわ大きい魚体の1匹をも確保し確かめたかったのもある。同種のタナゴとも思えない圧倒的な大きさで「ギンブナが何故混入しているのか?」と思い続けていた1匹なのだ。

今期、産卵管の確認が出来ず「繁殖年齢ではなくなったかも?」と次兄に入手できないか訊ねたのだが干上がりが何度かあって絶滅しているとの話だった。
しかし、この大タナゴを観察ケースに入れた際、比較のために一匹入れたのだが産卵管の出ているメスだった。今期は何度か箱眼鏡や水中撮影で産卵管の確認をしたけれど出来なかった。これで稚魚の発生の可能性が出たと少々「怪我の光明」みたいに思えた。
産卵飼育体を得るのに近くの遊水地で初めて「タナゴ釣り」を試み確証は得たから頼む事も購入することも必要は無くなった。まあ、必要は努力で満たされる。
さて、水抜きしながら感じたのは初夏まであれほど悩まされたアオミドロが衰退していたという事実だ。カワニナはアオミドロ退治に全く役立たずだったからフイールドの棚田からツブを10個ほど拾い池に入れて観た結果なのかは分からない。
と言うのも某企業の構内ビオトープの見学に行った際、マツモを頂いてこれも池に入れたからだ。ホームセンターで購入した金魚藻はカワニナに食害され消えたけれどマツモには口をつけない。マツモは増えるばかりであるがタナゴの稚魚が出ればシェルターとなってくれるはずで、その前に投入したホテイソウよりは稚魚のシェルターとしての環境は良さそうだ。
水面から見える範囲でもヤゴが脱皮した抜け殻が幾つも見えたりするから繁殖力旺盛なマツモでも庭の池なら抑制管理ができるし何よりも綺麗に見えて丈夫なのが良い。

これで浮揚水槽でのローテーションや人工母貝で稚魚を採る手間が必要なくなった。母貝の健康を考えた給餌だけに集中できる。稚魚は結果だけでしかないのだ。まだ7月に入ったばかりだし産卵管は確認できたしで、まだしばらくは産卵を期待できるからもう今日の作業のウンザリは忘れた。ノンアルコールビールと380円の寿司パックを奢らねば・・・。