澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

台湾人は漢民族ではない ~ 林建良氏の主張

2015年04月09日 08時22分23秒 | 台湾

 台湾独立・建国運動を展開する林建良氏が「何度も言う 台湾人は漢民族ではない」という一文(下記に転載)を「台湾の声」に寄せている。 

 日本のマスメディアでは、「30カ国の国と地域が参加した」というような表現が使われる。この「地域」とは、ほとんどの場合、台湾(中華民国)を指す。戦後、大陸(中華人民共和国)、台湾(中華民国)双方が「ひとつの中国」を主張してきたが、前者の国連加盟、後者の国連脱退によって、中華人民共和国政府が「ひとつの中国」を代表すると認められた。それ以来、台湾(中華民国)は「地域」の名称に甘んじてきた。1971年、台湾(中華民国)が国連を脱退を決意したとき、中国共産党は台湾が一般加盟国として国連に留まることを是としていたという事実がある。だが、蒋介石は「ひとつの中国の代表という面子にこだわり、実質的な台湾独立のチャンスを自ら放棄してしまった。

 国際法的な論議はともかくとして、現実の国際情勢を見れば、中共(中国共産党)が一党独裁を続ける中華人民共和国は、本来漢民族の領域ではなかった内モンゴル、チベット、新疆ウイグルを制圧し植民地化を続け、さらには南シナ海に領土拡張を進め、虎視眈々と台湾併呑を狙っている。

 このような状況のもと、この論文は台湾独立の「理論的根拠」のひとつとなりうるだろう。

【何度も言う】台湾人は漢民族ではない 

      「台湾の声」編集長 林建良(りんけんりょう) 

■台湾人と中国人は同じ民族と見る日本人

 台湾という国を、日本の皆さんは知っているようで知らない。どうせ中国と同じ民族なのだから仲良くやればいいじゃないか、と言う人が少なくない。一般の日本人ばかりでなく、台湾について勉強している学者や研究者でさえ、同じようなことを言う。つまり台湾人は、二パーセントの原住民、一三パーセントの外省人(蒋介石と一緒に台湾にやってきた人間)、残り八五パーセントの本省人(戦前に台湾に移住してきた人間)なのだから、九八パーセントはもともと漢民族ではないか、と。 

 これは誤解でしかないが、ほとんどの日本人が台湾人は漢民族であると考えている。実は、なによりわれわれ戦後の台湾人が「お前たちはもともと漢民族である中国人なのだ」という教育を受けてきたのだから、日本人がそう思うのも致し方ない面がある。しかし、これは間違いなのである。 

 台湾が世界史に登場してきたのはつい最近で、一七世紀になってからである。では、それ以前の台湾にはほんの一握りの人間しか存在していなかったのかというと、そうではない。

台湾が歴史に登場したのは一六二四年で、オランダがアジアとの貿易をするうえでの中継点として登場した。ご承知の通り当時のオランダは、非常に航海技術が優れていて、貿易が盛んだった。今の会社の原型といわれる東インド会社も彼らによってつくられた。当時の彼らは、西洋のものを日本や中国に売り、あるいは東洋のものをヨーロッパに売ったりしていた。オランダはその中継点として、台湾と中国のあいだにある島で、大きさは新潟県の佐渡島の五分の一ぐらいの澎湖島という島を選んだ。 

当時の明朝はその島をめぐってオランダ軍と戦い、結局は和解したが、明朝の条件としては、澎湖島は返してもらう、その代わりに台湾をあげるからというものだった。台湾は中国にとって、そのくらい無用のものだった。そして一六二四年、オランダ人が台湾を統治することになる。それが台湾人が体験した初めての国家としての権力であった。 

 著名な統計学者である沈建徳氏の著書『台湾常識』によれば、当時の台湾の人口は五十万人だったという。今から十年ほど前までは、台湾では原住民のことを「山胞」、つまり山に住んでいる民族と呼んでいた。しかし、確かに三分の二は山でも、三分の一は平野である。住みやすい平野に人が住まなくて、山にばかり住んでいるなどというおかしなことはない。実は、当時の台湾人のうち二十万人は山に、三十万人は平野に住んでいたのである。

余談だが、当時の台湾でいちばんの資源は鹿だった。台湾産の鹿の皮がとても綺麗だったので、日本の武士は好んで兜の飾りにしていたという。 

■台湾に来たがらなかった中国人 

 オランダ人は台湾を統治するために、中国から労働者を輸入する。その数は七千人から八千人で、五十万人の中の八千人だ。人口の一、六パーセントにすぎない。 

 鄭成功が清に負けて台湾に逃げてきたのが一六六一年であるから、オランダの統治は三十八年間続いたことになる。今、台湾人が中国人の子孫であり後裔であるという根拠は、鄭成功がたくさんの中国人を連れて海を渡ってきたことに求められている。しかし、一六六一年の台湾の人口は六十二万人であり、中国からやってきた鄭成功一族と彼の軍隊はその中のたった三万人なのである。 

 その一族が台湾を統治したのは二十二年間で、清朝によって滅ぼされた。当時の台湾の人口は七十二万人になっており、そのとき清朝が連れてきた軍隊はほんの数千人だ。なぜ中国人が台湾に行きたがらないかというと、当時の台湾はまさに瘴癘の地だった。瘴癘とは風土病のことだが、マラリアをはじめ猩紅熱、腸チフス、百日咳など、ありとあらゆる伝染病が台湾に蔓延していた。「台湾に十人行けば七人死んで一人逃げ帰る。残るのはせいぜい二人」という中国の諺が残っているほどだ。 

 実際、清朝は二百年のあいだ台湾を統治するが、その間、統治者は三年交替だった。三年交替の統治者で生きて中国に帰れたのはほんの数人、十人を超えていない。もちろん統治者としてやって来るわけであるから、いちばん良い食事、いちばん良い環境、いちばん良い住まい、つまりいちばん良い衛生状況を保てたはずだったが、その彼らがほとんど台湾で死んでしまうほど台湾の風土病は怖かった。 

 そして、一八九五年に日本が台湾を領土としたときの人口は二百五十万人だったが、清朝出身者のほとんどが中国に引き揚げている。だから、このように歴史をたどってみれば、われわれ台湾人が漢民族であるという認識の間違っていることがよくわかるのである。 

■税金のために漢民族になろうとした原住民 

 清は、いろいろな階級に分けて台湾人を統治した。漢人、つまり漢民族しか苗字を持っておらず、原住民のことは、野蛮人を指す「蕃」を使って「生蕃」「熟蕃」と呼んだ。この戸籍制度は、日本の統治時代まで使われた。 

熟蕃というのは漢民族と一緒に住んでいる、人を殺さない野蛮人を指す。山に住んでいる台湾人は首を狩る。そのことを我々は「出草」と言う。自分が一人前の男であることの証明として人の首を狩り、狩った首はお飾りとして自分の家の前に棚を作って並べておく。この首の数が多ければ多いほど立派な男ということになる。私のなかでときどき血が騒ぐのは、その遺伝子のせいかもしれない。 

 生蕃には重税が課せられ、熟蕃はやや軽い。漢人はいちばん軽い。そうすると、熟蕃は競って漢人になろうとする。そこで、当時の清朝は「では、あなたの名前は林にしましょう。あなたは王にしましょう」と苗字を与えた。苗字のない原住民は競って苗字のある漢民族になろうとしたのである。生蕃もできるだけ熟蕃になろうとした。だから、台湾人は漢民族であるというのは統治者の政策によってつくられた虚像でしかない。要は名前を漢人風にしただけのことであり、表面だけを見て漢人と言っていたのである。 

■血液学からも証明 

 台湾の人口は、一六二四年の五十万人から一九四五年にはざっと六百万人になった。環境などを考慮すると、その成長率は非常に合理的な数字である。清朝統治の二百年間には、台湾に渡るなという禁止令があった。それは、台湾が非常に長いこと海賊の巣になっていたので、人が増えることは好ましくなかったからで、できるだけ台湾に渡らせないようにしようというのが清の姿勢だった。 

日本が統治した当時の人口は二百五十万人で、もちろん日本統治の五十年間に中国から台湾に移住してきた中国人はほとんどいなかった。正常な人口の成長で、五十年間で六百万人になった。一九四五年に台湾から引き揚げた日本人が四十万人いたから、総数としては六百四十万人ということになる。その中にもし中国人がいたとしても、ごく僅かなのだ。

血液学的調査にもそうだし、台湾の馬偕記念病院の血液学の教授である林媽利先生は人間のリンパ球の遺伝子を調べて、すでに台湾人と漢民族の遺伝子がまるっきり違うことを証明している。 

台湾人は漢民族ではない。

 『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html


CHTHONIC(ソニック)の『TAKASAGO ARMY / 高砂軍』

2014年11月13日 20時49分22秒 | 台湾

 さきほど、台湾のロック・グループ「ソニック」(ChthoniC 閃靈樂團)による「玉砕」(Broken Jade)を初めて聴いた。2011年リリースされたCD「高砂軍」の一曲だそうだが、その内容に衝撃を受けた。
 次のYouTube映像を見ていただければ分かるが、「玉砕」は帝国海軍の特攻隊をテーマにした曲で、後半部分には天皇の玉音放送(1945.8.14)が含まれている。日本の音楽業界では全くのタブーとなっているテーマを採り上げ、しかも特攻に命を捧げた日本軍兵士に最大限の尊敬(リスペクト)を示している。



CD「高砂軍」 
Track listing (Songs)
1. 冥河島 / The Island (2:15)
2. 殘枝 / Legacy Of The Seediq (4:21)
3. 皇軍 / Takao (4:19)
4. 震洋 / Oceanquake (3:44)
5. 南十字星 / Southern Cross (3:53)
6. 空 / KAORU (5:38)
7. 玉碎 / Broken Jade (5:43)
8. 歸根 / Root Regeneration (1:24)
9. 大天 / MAHAKALA (4:02)
10. 鎮魂醒靈寺 / Quell The Souls In Sing Ling Temple (5
 

 



 このアルバムの内容については、下記のブログに詳しく書かれていて、なるほどと得心した。


ぴこにゃんの真向勝負~鋼鉄篇~}2013.8.15

今年もまた、8月15日がやってきた。

終戦の日。1945年(昭和20)のこの日、昭和天皇の肉声による「終戦の詔書」の録音盤が、ラジオ放送で再生された(玉音放送)。頭を垂れて聞いていた国民は、帝国の敗北を知った。現代日本を大きく規定するこの事象を、多くの人が偲び、または考え、戦争というものについて思いをめぐらせていることだろう。

ここに、1枚のCDがある。
台湾のヘヴィメタルバンド、CHTHONIC(閃靈、ソニック)の『TAKASAGO ARMY / 高砂軍』。2011年に発表された珠玉の芸術作品だ。魂の激音、そして絶唱。終戦の日を想う心に、容赦なく突き刺さる。

この作品に初めて触れたのは今年の3月。聴き進めるうちに、全身がガタガタと震え、身動きできなくなった。空前絶後の衝撃。
 CHTHONICというバンドが台湾独立派で、ベーシストのドリスがモデル活動も行うキャラの立った存在であることは知っていた。LOUD PARK 10でのライヴでも、優れた音楽を奏でるバンドであることがよくわかった。

メタルバンドとしての根幹には、DEATH、EMPEROR、CRADLE OF FILTH、CHILDREN OF BODOM、MEGADETH、マイケル・アモット時代のCARCASSなどの影響があるように感じられる。上記のバンドが好きなら気に入る音だ。さらに、CHTHONICは二胡、琴、尺八など東洋の響きを用いるのだが、付け焼き刃では決してなく、音楽性の芯にまで入っている。時折入ってくる演歌の調べも良い。音だけでも、他に類を見ないオリジナリティとクオリティを誇る楽団だ。

その上で、彼らが歌い上げる歌詞世界こそが、自身を一介の極東ブラックメタルバンド以上の存在に押し上げている。唯一無二。海外のアーティストなのに、日本人の内面を激しくえぐってくる。こんな音楽には、これまで触れたことがなかった。

『高砂軍』ではタイトルの通り、大日本帝国が台湾を統治していた戦時、先住民族たち(総称で高砂族と呼称)が高砂義勇隊に志願し、南方戦線に向かう史実が描き出されている。終戦後、「旧帝国臣民」の台湾人は、新たな支配者としてやってきた蒋介石率いる中国国民党と衝突する。

日本と台湾の歴史を知る者なら、CHTHONICが歌い上げる『高砂軍』の物語に胸を打たれないはずがない。言うまでもなく、音楽として優れているからこそストーリーも輝く。何も考えずに聴いたとしても素晴らしいアルバムだが、私は日本人なので、様々な感慨が交錯する。時代に翻弄され、命を散らしていった青年たちに感情移入して聴いてしまう。

歴史の詳細については関連書籍をご参照のこと。CDに封入されている前田岳彦氏(BURRN!誌編集者)のライナーノーツでも触れることができるので、ぜひ手に取り、考えていただきたいと切に願う。
アルバム3曲目の「Takao / 皇軍」は、1930年の霧社事件(史実。日本統治時代後期の抗日反乱事件)で両親を日本人に殺されたセデック族の青年が、葛藤を経て「日本人」としてのアイデンティティを獲得し、出征するシーンが歌われている。Takaoとは台湾南部の都市、高雄のこと。打狗(ターカウ)と呼ばれていた当地を、日本が内地の高雄から拝借するかたちで改名したまちだ。歌詞は基本的に英語だが、サビは台湾語で勇ましく歌い上げられる。


「大港起風湧 堂堂男兒欲出征 氣勢撼動高雄 齊開向你我前程」

(嵐吹き荒れる港 覚悟を決めた兵士達 士気の高揚が高雄港を揺らす いざ戦場へ)


この曲のプロモーションビデオでは、頬に民族的な刺青を入れた女性が、和装で登場している。少数民族、日本という当時の「公」、東亜の開放を信じる心、そして見送る側の悲しみ。さまざまな要素が映像に表れている。

帝国陸軍は、台湾の先住民族が森林戦に長け勇敢であることに着目し、南方のジャングルで活用しようとした。志願兵の倍率は400倍を超えたという。歴史好きにはよく知られた話だが、彼らは実際に活躍し、日本人兵士たちから尊敬を受けたと語り継がれている。戦死率も高かった。

アルバム6曲目「Kaoru / 空」は、特攻隊「薫空挺隊」について歌われている。当時の戦局から大いにありうる話だが、恥ずかしながら、このアルバムを聴くまで高砂義勇隊の特攻があったことは知らなかった。皆、普通の若者だったはずなのに、戦場はひとつの生命を肉弾兵器に変えてしまう。

私は以前、台湾で生まれ育った女性に話を伺ったことがある。大戦末期の1945年、彼女は当時14歳で、自宅近くの料亭に特攻隊員たちが下宿していたそうだ。「神様みたいな人たちだと思ったら、普通の優しいお兄さんだった」。一人の若者と恋におち、プラトニックな交際を重ねた。しかし、「ある日突然いなくなった」。沖縄に出撃したのだ。さよならも言えなかった。彼女は戦後、同じ部隊の元特攻隊員と結婚。夫は「なぜ、自分だけ生き残ったのか」という悔恨にさいなまれ、そこから自由になることは亡くなるまでなかったそうだ。病没した彼の辞世の句には、「俺も行く」といった内容の言葉がしたためられていたという。


アルバムのクライマックスとなる7曲目「Broken Jade / 玉碎」では、昭和天皇のスピーチが入ってくる。玉音放送。当時の日本人(台湾人も含む)が頭を垂れて聞いた、あの声だ。

これは、日本のバンドでは実現できなかっただろう。様々な意味で。
何故か。それは、日本人自身が先の大戦を総括できていないからだ。

戦争という国家の政策について「大東亜戦争」として語れば右、「太平洋戦争」として語れば左と簡単にレッテル貼りをしてしまう。これは思想的貧困である。史上最大の負け戦を当事者として担った影響は、こんにちの現実社会にも及んでいる。社会一般において戦争の総括ができていないから、いまだに揉める。

きょう、靖国神社に3閣僚が参拝し、大きく報道された。参拝の是非は別にして、日本人が今もなお戦争の呪縛のもとにいるわかりやすい例ではある。しかし残念ながら、本邦の「戦争を語る土壌」は、終戦から68年が経過しているのにも関わらず、いまだに熟していない。軍人目線で見れば右、反戦目線で見れば左。ほんの少しでも勉強すればわかることだが、そんな単純なものではない。

そのような中、CHTHONICは、台湾人が帝国軍の「当事者」だからこそ、戦争のストーリーを心の深いところに訴えることに成功した。物語を音楽に落とし込む上で、もっとも適した表現形態がブラックメタルだった、とすら思える。無慈悲な暴虐サウンドと、冷徹な美しさの双方が要求されるジャンルだが、そこに二胡や琴の幽玄な響きが加わることで、音楽としての完成度が劇的に高まった。

アルバムの終幕を飾る「Quell The Souls In Sing Ling Temple / 鎮魂醒靈寺」では、台湾にやってきた中国国民党との凄惨な戦いが描かれている。「元日本人」の台湾人たちは、何を想ったことだろう。物語の主人公は、迫り来る死を前に、日本語で叫ぶ。

「ただ正源が鬼神と戦ひ 哀しき運命(さだめ)の輪廻を断つを求む」
 

  CHTHONIC。これほどまでに知的好奇心を刺激してくれるバンドは、他にいない。今年の5月には、ニューアルバム『Bu-Tik / 武徳』も発表された。新作では、国民党の恐怖政治下における台湾の民主化について歌われている。こちらも壮絶だ。彼らの今後の活動に期待したい。

 
そして最後に。ここまで書いてきて、強く思う。本来、日本のバンドが『高砂軍』のような芸術を生み出さなければならないのだ、と。

 
台湾出身の優れたバンドだからこそ、CHTHONICは「史上最大の負け戦」をアートに昇華できた。では、日本のバンドはどうか。これほどの作品を生んだ例は、まだない。

  メタルでも、パンクでも、フォークでも、ヴィジュアル系でもいい。しかし、日本社会がそこまで成熟しているかどうか。残念ながら、否。繰り返すが、これは思想的貧困だ。日本のバンドによる、目が眩むほどの強烈な芸術を、私は心待ちにしているのだが。




Takasago Army 高砂軍 by Chthonic
 
Fontana Universal




「菊島秘境 澎湖南四島特展」を見る

2014年09月26日 14時25分47秒 | 台湾
 台北にある「国立台湾博物館」で開催中の「菊島秘境 澎湖南四島特展」を見る。
 「菊島」とは、澎湖諸島の別称でもある。澎湖諸島は、台湾海峡に浮かぶ島々で、歴史的には日本との繋がりが深い。1895年、日清戦争の結果、下関条約によって「台湾及び澎湖島の割譲」が決められた。
 
 50年間の日本統治時代、澎湖島の中心地・馬公市には、台湾総督府民生長官・後藤新平の命により澎湖病院が開設された。さらに総督府の各種行政機関が置かれ、漁業を中心とした産業振興が図られた。その結果、澎湖諸島の人口は飛躍的に増大した。

 1949年、中国国民党が「国共内戦」に敗退し、台湾に流亡政権を打ち立ててからは、澎湖諸島は、中国共産党が支配する中国大陸と対峙する「光復大陸」の最前線基地となった。そのため、普通の外国人観光客は、ここを訪れることもなく、約25年ほど前にようやく観光地として脚光を浴びることになった。

 今や澎湖諸島は、台湾屈指のリゾート地。亜熱帯の陽光が輝く白沙の海岸、奇岩の崖壁、珊瑚礁などの豊かな海洋資源が特徴で、自然環境保護の意識も住民に強く浸透している。

 

台湾・澎湖島の飛行機事故

2014年07月24日 12時49分41秒 | 台湾
 台湾海峡に浮かぶ澎湖諸島馬公(まこう)空港で痛ましい飛行機事故が起きた。台風10号の悪天候の中で、着陸に失敗したと伝えられる。事故に遭われた方々には、謹んで哀悼の意を表したい。



 
 このブログのタイトルともなっている澎湖(ほうこ)諸島は、日清戦争の結果、台湾島とともに日本に割譲された。日本統治時代(1895-1945)の馬公は、帝国海軍の主要な基地のひとつとなり、蒋介石の中国国民党が台湾に流亡してからは、「大陸反抗」の前線基地となった。

 澎湖諸島の周辺海域は、季節風が強く、海の難所と言われてきた。強風が吹き荒れるため、島々には大木が育たず、一見、荒涼たる光景だが、南回帰線に近く亜熱帯気候なので、今や台湾屈指のリゾート地になろうとしている。島の主産業は漁業で、馬公市にある「国立澎湖科学技術大学」には、海洋資源工学院が置かれているほどだ。

 馬公市内には、日本統治時代の歴史的建造物が数多く遺っていて、それらは大切に保存されているか、今なお現役で使われている。例えば、後藤新平が台湾に作った十数カ所の病院のひとつが馬公市にあり、当時の建物はそのまま使われている。さらに澎湖県庁舎、馬公税関、馬公警察署、軍宿舎、迎賓館などをこの目で確かめることができる。
 特に、皇族を迎えるために作られた「迎賓館」は、純和風の建物で、当時の面影をそのまま残して、歴史資料館として公開されている。この迎賓館の和室に座れば、ここは日本ではないかと錯覚するに違いない。

 このように日本と深い歴史的繋がりを持つ澎湖諸島だが、映像資料は極めて少ない。ここでは、以前私がUPした次の映像を紹介しておく。 


(「澎湖諸島の自然と歴史」~知られざる台湾より)


旅客機が着陸失敗、46人不明 台湾、台風の中を運航
台北=鵜飼啓  朝日新聞

台湾・澎湖島の空港近くで着陸に失敗し、大破した復興航空機。「12人負傷、46人安否不明」と報じられている



 台湾の離島・澎湖島で23日夜、乗客乗員58人が乗った復興航空(トランスアジア航空)機が着陸に失敗し、炎上した。葉匡時・交通部長(交通相)は46人の安否を確認できていないとしており、大半が死亡したと見られる。12人が負傷した。台湾はこの日、台風10号が直撃しており、天候不良で着陸に失敗した可能性が高い。日本外務省によると、搭乗者名簿に日本人とみられる名前はなかった。



 旅客機はATR72型機で、台湾南部・高雄から澎湖島の馬公空港に向かっていた。午後4時に出発する予定だったが、悪天候で午後5時43分になって出発。午後7時過ぎに馬公空港に着陸しようとしたがうまく行かず、再上昇を試みたが、空港付近の村に着地して大破したという。

 死傷者の数については情報が入り乱れており、地元消防局長は当初、中央通信に対し、51人が死亡したと語っていた。葉氏は、10体余りの遺体が見つかったとしている。現地からの映像によると、旅客機が大破した場所には民家が並んでいる。

 澎湖島は台湾本島から西に約50キロ、台湾海峡に浮かぶ離島。リゾート地として知られ、スキューバダイビングなどで人気がある。(台北=鵜飼啓)










「台湾は国でない」と決めつける大メディアの「媚中と無知」

2014年07月01日 21時28分32秒 | 台湾
 「週刊ポスト」最新号(2014年7月11日号)が「台湾は国でない」と決めつける大メディアの「媚中と無知」という興味深い記事(ポストの見出しでは「台湾は国じゃない NHKほか大マスコミの暴走」)を掲載している。
 NHKなどの大手メディアの媚中報道とそれとは逆の台湾無視の報道姿勢は、枚挙にいとまがない。「週刊ポスト」のこの記事は、その実態を鋭く指摘している。

 
「週刊ポスト」の見出し。小さくこの記事が載っていますが…。


【週刊ポスト】「台湾は国でない」と決めつける大メディアの「媚中と無知」週刊ポスト2014年7月11日号 2014.06.30 07:00

 台湾の「國立故宮博物院」に所蔵される書画や青磁器、翡翠(ひすい)製品など186点が東京国立博物館の特別展「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」でお披露目された。目玉の「翠玉白菜」は初の海外出展となり、6月24日の開幕から大勢の来場者で賑わっている。そんな日台友好を深めるイベントに、冷や水を浴びせたのは日本の大メディアだった。

 特別展の開会式について報じた毎日新聞の記事にこんな記述がある。
〈開会式直前、台北・故宮側から「台北 故宮博物院」と表記されたポスターなどについて、正式名称を使うよう抗議があり、これを受けて東京国立博物館側が「台北 國立故宮博物院」と修正。同博物館の銭谷真美館長が開会式のあいさつで陳謝〉(24日付)

 特別展の宣伝ポスターやチケット、ホームページでの名称表記が「台北 故宮博物院」となっていたことが大問題となったのである。正式名称にある「國立」の文字が削除されていたことに対して台湾総統府が抗議声明を発表。「台湾は国じゃない」と決めつけるかのような仕打ちに、「修正しなければ中止もある」と表明したのだ。

 猛抗議を受け、国立博物館のスタッフらが総出で、ポスターに「國立」の文字の入ったシールを貼る作業を行ない、なんとか開催にこぎつけた。ただし、開会式に出席を予定していた台湾の馬英九総統夫人は姿を見せなかった。

 この騒動について冒頭の記事を読むと、「東京国立博物館のせいで問題が起きたんだな」と思ってしまうが、実際は違う。

 この特別展の主催には東京国立博物館、國立故宮博物院とともに、NHK、読売新聞、産経新聞、フジテレビ、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞という大メディアが名を連ねている。

 つまりメディアも当事者のはずなのだが、各社は「騒動は他人事」という姿勢を決め込んだ。朝日や産経は、毎日と同様に銭谷館長の謝罪を報じただけ。主催側としての自らの立場には何も触れていない。読売に至っては特別展のニュースの中で「國立」騒動についての言及すらなかった。

 ところが実態は、東京国立博物館の公式サイトやエントランス付近の大看板には、台湾側の抗議の前から「國立」の文字が入っていた。東京国立博物館の担当者によれば、「騒動の原因となったポスターのデザイン、作製は主催メディア側」だというのである。メディアこそが問題を起こした当事者なのだ。

 問題の「國立」の文字を削除したポスターを作製したのは誰だったのか。主催各社を取材したところ問題となったデザインの担当は「各社が分担してやっていること」との回答。要は「ポスターは作ったが、『國立』を削除したデザインはどこか一社の責任ではなく、みんなでやったこと。台湾側からの抗議については、博物館同士で勝手にやってくれ」という態度なのだ。

 実は、主催各社は自社の報道でも特別展の名称から「國立」の文字を削除していた。中台問題の取材を重ねてきたジャーナリストの井上和彦氏が解説する。
「主催メディア各社は、『國立』という二文字を入れてしまうと台湾を独立国だと認めてしまうことになり、中国から反発を受けるかもしれないと考えたのでしょう。しかし、博物館や特別展の正式名称は固有名詞です。メディアの判断で省略していいはずがない。これでは媚中メディアの誹(そし)りを免れません」

台湾「ひまわり学生運動」の総括と評価

2014年05月01日 09時36分10秒 | 台湾
 マスメディアが韓国船沈没事件で枝葉末節を大騒ぎする中、昨日、新彊ウイグル自治区で爆発事件が起きた。多くのTV局は、中国当局が発表するままに「テロ事件」として報道している。

 一方、台湾学生による立法院占拠事件は、3月18日から23日間続いたにもかかわらず、マスメディアはその詳細を伝えることは避けた。この事件を特集の形で採り上げた報道番組は、たったのふたつ。しかも、そのひとつはいささか首を傾げるような内容だった。さらに、韓国船沈没事件では連日バカ騒ぎのワイドショーは、この立法院占拠事件を全く採り上げなかった。
 
 台湾立法院占拠事件に比べれば、韓国船沈没なんて単なる事故であって、日本との関わりなど全くない。しかし、台湾の事件は、台湾の存立、日台関係にも関わる問題だ。

 
 「台湾の声」に興味深い一文が掲載されたので、次のとおり転載させていただく。

  



【台湾VS中国】太陽花の戦い
2014.5.1

「ベクター21」 2014年5月号
         
              鈴木 上方人(中国問題研究家)
           

●中国が台湾を併呑する最後の一里塚・「サービス貿易協定」

3月18日から4月10日まで23日間の太陽花学生運動は、その名を世界に轟かせた。運動の主旨は馬英九政権下で台湾と中国が締結した「サービス貿易協定」への反対だ。
      
本来、島国である台湾は貿易への依存度が高く、自由貿易の受益者である側面が多い。その流れでこの協定がすんなりと受け入れられるはずであったが、相手が台湾に領土野心のある中国であれば話が違ってくる。そもそも経済的有利か不利かの要素は反対の理由ではない。

サービス貿易協定そのものが、中国による台湾併呑の最後の一里塚なのだ。

●台湾では台湾人が少数民族になってしまう

「サービス貿易協定」とは名前の通り、サービス業の自由化である。サービス業とは、人が中心になるので人的往来と定住の自由化は必要条件となり、貨物の貿易協定よりも一体化が進みやすい。

中国との一体化の結果がどうなるかは現在のチベット、ウイグル、内モンゴルを見れば一目瞭然だ。台湾は中国に併呑されるだけでなく、いずれ台湾では台湾人が少数民族になってしまうだろう。

事実、中国ではすでに「4万元で台湾移住」という広告が出されている。4万元とは日本円で50万円ほどの金額だ。中国なら数千万単位の人間がその金額を出して台湾移住を希望するであろう。

●国民党も民進党も中国傾斜の元凶

 台湾の中国傾斜の流れは2000年の陳水扁政権から始まり、2008年の馬英九政権で更に加速された。陳水扁時代の中国傾斜は経済中心であったが、馬英九時代になると政治も含めた全面的傾斜となり、中国政府に操られている政府機関の言動は国民の誰もが感じている。

元々馬英九は中国との統一を「歴史的偉業」にしたいという魂胆があるのだが、最大野党である民進党も陰に陽に中国に媚び、経済的利益を得ようとしている。実際、民進党の政治家たちはほぼ例外なく家族や親戚の名義で中国と商売をやっている。彼らは陳水扁政権時代からすでに中国と利益共同体になっているのだ。

●「イチゴ族」と言われていた大学生たちが立ち上がった

台湾社会では政権や企業の中国傾斜とは裏腹に、反中国感情が高まっている一方、中国傾斜を食い止める政治勢力は実質的に存在していない。こうした無力感が漂う台湾社会で、今まで軟弱な「イチゴ族」と揶揄されてきた台湾の大学生たちが立ち上がった。

20代の台湾人は親たちの世代とはどう違うのか?彼らの親の世代は、国民党による中国人教育を受け、思想成熟期に美化された虚構の中国をそのまま受け入れている。対する現在の大学生たちの世代は、ネットや中国留学生や観光客を通じて現実の中国をみて成長してきた。彼らにとって台湾における中国的な部分は異様に感じられ、結果として親の世代よりも台湾人意識が強いのだ。

●起こるべくして起こった反体制運動

3月18日夜の国会占拠は計画的なものではなく、学生たちのとっさの判断による偶然の産物だが、太陽花運動そのものは起こるべくして起こった運動と言えよう。

運動のシンボルである「ヒマワリ」は中国語では「向日葵」というが、台湾語では「太陽花」と呼ばれている。暗雲が立ち込めている台湾に射し込む希望の光になるということだ。その延長線で運動のテーマソングである「島嶼天光」も数日後に作られ、この島国の隅々に光が届くよう願いが込められている。

また3・30のデモで決めたシンボル服の黒いシャツには、台湾に命を与えてくれた太平洋を流れる「黒潮」への感謝と希望の意味が込められている。

「サービス貿易協定」の撤回という明確な目標を定め、短期間で戦略と戦術を決め、協力体制を作り、シンボルカラー、シンボル花、テーマソングまで出来たこの太陽花運動は、学生運動の枠を遥かに超えた歴史に残る社会運動と言えよう。

●女性パワーが原動力に

テレビでは雑然とした議場の光景を映されていたが、実際の彼らは秩序ある行動をとっており、それぞれ得意とする分野のチームワークができていたのだ。中国語、英語、日本語などを流暢に操り、国内外に発信する広報班をはじめ、外部からの援助物資を管理分配する物資班、清潔を維持する掃除班、ごみを分類処理するごみ処理班、警察の突入を防ぐ警備班、全員の食事を用意する炊事班、そして現役の医者と看護学部の学生たちが構成する医療班である。

リーダー格である林飛帆氏と陳為廷氏は男性だが、多くの幹部は女性である。議場内では禁煙、禁酒とし、整理整頓も行き届いていた。議場内の学生たちは約200名だが、議場を囲んだ支援者は常に数千人いる。道路の両側には数百のテントが設置され、それぞれのテントに分りやすく「何故サービス貿易協定に反対するのか」を説明する担当者がおり、センスのいいユーモアあふれるポスターが道路の両側に掲げられているのだ。

更に即席の講演会や座談会も周辺のあちこちで開いており、誰でも手を挙げて自由に発言することができる。国会周辺を取り囲んでいる物々しい警察や機動隊の存在さえ無視すれば、まるで大学の学園祭の光景だ。反体制運動とは言え、殺伐とした雰囲気は微塵も感じられず、ほんわかとした南国の特有の空気である。

●既有政党を超えた組織力

クライマックスである3・30デモは三日前に決めたにも関わらず、当日は50万人もの参加者が会場周辺の道路を埋め尽くし、学生たちの誘導で整然と行動していた。参加者はそれぞれ手作りのプラカードやヒマワリを持ち、自己流で反サービス貿易協定をアピールした。特筆すべきは、デモの参加者のほぼ半数が女性であり、中には子供連れの若い母親もかなりいたことだ。

デモ終了の時間になるとこの50万人はわずか30分程で、ごみ一つ残さずに完全に解散した。学生たちの企画力、動員力、組織力は台湾の既有政党を遥かに超えたのだ。幹部の多くが女性であるためか、運動全体はソフトな雰囲気で芸術的にすら感じられる。

●台湾の守護者になった学生たち

国会占拠は4月10日に幕を下ろしたのだが、学生たちの戦いは終わらない。彼らは国会議場から出て、太陽花運動の種を台湾全土に播き、全国に開花させると宣言した。この23日間の国会占拠によって台湾の学生たちは台湾人の自信と誇りを確実に勝ち取った。彼らはすでに台湾の守護者となり、台湾を中国に併呑されない最大の砦となったのだ。

(すずき かみほうじん)

台湾と中国はこんなに違う  

2014年04月23日 12時07分09秒 | 台湾
 知人が台湾旅行に行ってきたので、「どうでした」と訊いたら、「つまらなかった。中国と同じだったから」という感想。行く先が台北に限られていたので、故宮博物院、中正記念堂とかのお定まりコースで、途中、お茶屋さんや土産物店に連れて行かれたので、本当の台湾に触れることがなく、帰ってきたらしい。

 私の知り合いに、中国で二年間、日本語教師を勤め、最近になって台湾で同じ仕事に就いた人がいる。その知人が興味深い「中台比較論」を知らせてくれた。以下のとおり。

 ~ところで、台湾での新しい生活はいかがですか?

 いや、もう月とスッポンとはこのことかと。もちろん、今(台湾)が月です。 民度の違いが凄すぎて笑えます。古亭は、古い街で客家が多く住んでいることもあって下町の雰囲気です。でも、何といっても歩きながら、痰を吐いたり、ゴミを撒きながら歩く人は居ないし、犬はちゃんと首輪をつけて散歩させていますし。
                
 本当にゴミが少ないです。信号はほとんどみんな守るし、電車はちゃんと並んで乗るし、社内ではみんな割りと静かだし、エレベーターでは、先に降りてと合図をしてくれるし、コンビニでは中国語が下手でもちゃんと聞いてくれるし、目を見ながらお釣りを渡してくれし、むしろ日本人に感覚は近いです。

 もちろん、中にはダメな人は居るでしょうけど、ちゃんとしている人の数が圧倒的に多いです。サービスに対して貪欲という感じですね。生活は、朝方になりました。朝は早めに起きて家で仕事をしてから、12時半くらいに学校に出勤です。夜は平日は11時半くらいですね。帰るとちょっとネットをしてからすぐに寝ています。

 台灣人は、日本人よりも少し時間にルーズですが、非常に勤勉です。また、教師の言うことをちゃんと聞きますし、集団生活に慣れています。また、陽気で、日本の文化や可愛いものが大好きですね。今はいい面ばかり見えているのかもしれません。でも、大連に約2年も居ましたが、その時には得られなかった親近感があります。



 
 

台湾国会議事堂占拠事件を”見て見ぬふり”するNHK

2014年04月10日 20時40分43秒 | 台湾
 さきほど、日本時間午後8時に、23日間にわたって「ニコニコ動画」が生中継を続けた「台湾立法院(国会)を学生らが占拠 生中継」※という番組が終了した。議事堂を占拠した学生の主張を伝え続け、平和裡に立法院から退去する学生たちの姿を映して、全放送を終えた。

※ 「立法院(国会)を学生らが占拠 生中継」(ニコニコ動画)

 23日間の放送で約880万アクセス、約390万の書き込みがあった。書き込みの多くは、「中台貿易サービス協定」に反対する台湾人学生に対する支援、中共に対する非難、日本のマスメディアに対する批判だった。

 この占拠事件について、事実経過の報道はもとより、解説報道も一切しなかったNHKに対しては、「媚中」「中共(中国共産党)の走狗」などと厳しい意見が重ねられている。
 偶然にも、NHKは今夜午後10時から「国際報道2014」※という番組でこの事件を初めて採り上げようとしていた。たった今、学生が退去したばかりのこの事件を、どのように位置づけ解説するのかを見れば、NHKの本音が分かろうというものだ。

国際報道2014 ▽台湾議会占拠解除へ・学生達は中台関係は ほか
チャンネル [BS1]
2014年4月10日(木) 午後10:00~午後10:50(50分) ジャンル ニュース/報道>海外・国際
ニュース/報道>解説
情報/ワイドショー>その他 番組内容▽特集:台湾議会占拠解除へ・学生たちは?馬政権が進める中国との関係強化の行方は▽アメリカ干ばつでアーモンドがピンチ▽中国海南島で国際フォーラム・李克強首相が演説出演者ほか【キャスター】有馬嘉男,【キャスター】黒木奈々


 個人的な感想を言えば、NHKはこの事件を「過激派学生の議会占拠」と描こうとして腐心してきたが、ついに「暴力」「騒乱」を写し出すことはできなかった。中共が強要する「ひとつの中国」に呪縛されるNHKは、台湾人学生の歴史的運動を目の前にして、何も報道できなかった、という結論になりそうだ。


「ニコニコ動画」が伝えた台湾学生の立法院占拠事件

2014年04月03日 21時41分07秒 | 台湾
 最新情報では、「中台貿易サービス協定」に反対して3月18日から始まった学生たちの立法院(国会議事堂)占拠は、今日(4月8日)午後6時に学生たちが退去するという合意がなされたようだ。

 詳細についてはまだ分からないが、学生たちの主張がある程度認められたことは間違いなさそう。何よりも流血の事件とならずに済んでよかったと思う。

 この占拠事件の政治的意味は、限りなく大きい。しかし、日本のマスメディアは、ほぼ見て見ぬふりを決め込んだ。「みなさまのNHK」はいつ報道するのかと注視していたが、結局、行政院に入り込んだ学生隊を警官隊が排除する「騒動」を伝えただけだった。今やCCTV(中国中央TV)の東京支局と呼ばれるNHKだけあって、その媚中、中国の走狗と化した実態が露わになった。

 22日間にも及ぶ国会議事堂占拠を唯一報道し続けたのが「ニコニコ動画」だった。日本語ができる台湾人学生がボランティアで参加して、議事堂内の状況、学生たちの主張、日本の視聴者が書き込んだ質問に対する回答などを熱心に紹介してくれた。この放送は、華語(北京語)、英語、日本語の三言語でおこなわれた。この「ニコニコ動画」へのアクセス数は、800万アクセスを超え、書き込みも400万に迫る勢いだった。

 日本の視聴者が作った応援ゆるキャラ

 書き込みの多くは、台湾・台湾人への親近感の表明、学生たちへの共感、中国への警戒感、そして日本のマスメディアに対する憤りだった。
 これらに対して、ボランティアで参加した台湾人女性「みかんさん」「チリさん」「池田さん」などは、NHKの解説委員よりもずっと的確かつ聡明な解説をしてくれた。

 何故、学生の占拠が長引き、かつ馬総統が彼らを強制排除できないのか?この疑問に対しては、「立法院(国会)がすでに大統領権限で締結した中台貿易協定を覆すことになれば、立法院が国会であることを認めることになる。すなわち、台湾がひとつの国家あることを認めることになるので、馬総統は躊躇せざるをえなかった。中共(中国共産党)も「国民党」(中国国民党)も、「中国はひとつ」であるという呪縛から逃れられないということだ。

 だが、学生たちは、この自縄自縛にひとつの風穴を開けた。それは、台湾は台湾であり、台湾人のものだという事実を、中共と国民党・馬政権に突きつけたということだ。この成果は、間違いなく大陸内部での民主化運動に影響を与える。

 李登輝氏と親交のあるI教授(国際関係論)は、「中共政権は10年以内に崩壊する」と断言された。今回の国会議事堂占拠事件に、中共当局は衝撃を受けているのではないか。


宋文洲  語るに落ちた中国人の傲慢

2014年03月31日 01時29分58秒 | 台湾
 台湾学生たちが立法院(国会)を占拠してから、今日で13日目。依然として、先が読めない不安定な政治状況が続いている。

 日本のマスメディアの多くは、この台湾の政治情勢を故意に報道しないでいる。たまたま、先ほどBS朝日が事件の経緯と問題点等を報道、解説した。
 
 日本人のコメンテーターは、それなりにまともなコメントをしていたが、私が驚いたのは宋文洲という中国人のコメンテーターの発言だった。

 宋文洲は中共の代弁者か

 意見を求められて、宋文洲は「中国の民衆は、ちっぽけな台湾のことなど気にしていない。台湾に行って、儲けようなどと考える人もいない。」「だから、台湾のことなどほとんど報道されていない」と語った。
 宋は、多少ふてくされた表情でこう話したのだが、ずいぶんと視聴者を小馬鹿にした発言ではないかと思った。
 
 中共(=中国共産党)一党独裁下にある中国人から見れば、台湾の学生たちが「ひまわり学運」を起こして、国会議事堂を占拠し、中台貿易サービス協定の撤回を要求、しかも政府側は武力による排除をおこなわず、言論による解決を求めているという事実は、驚愕の出来事であろう。台湾の帰趨次第では、中共政権に対する民主化運動を力づける結果になりかねないから、中共当局は台湾情勢を報道しないのだ。それなのに、「地大物博」を自慢して、台湾など眼中にないと言い張る宋文洲の言いぐさは、脳天まで「中華思想」に侵された「阿Q」そのものではないのか?

 宋の不誠実なコメントを聴いて、私が直感したのは、「宋文洲は紛れもなく中共のスパイ」だということだった。こんな男のコメントを有り難く頂戴する「朝日」の神経もかなり狂っているとしか言いようがない。
 

立法院(国会)を占拠する学生たち  12日目

2014年03月29日 08時27分55秒 | 台湾
 3月18日、台湾の学生たちが「中台貿易サービス協定」締結に反対して立法院(台湾=中華民国国会)を占拠、今日で12日目を迎えた。
 物理的に「強制排除」することは簡単なことだが、マスメディアをはじめ、大学関係者、野党・民進党、広汎な市民が学生の行動を支持しているので、馬英九総統(大統領)も簡単には決断できないようだ。

 この協定が発効すれば、台湾は中国に飲み込まれてしまう…というのが学生の主張。
 現時点では、次のようなやりとりがあり、膠着状態が続いている。


■現地時間 3月23日(日)午前10時に行われた 馬英九 中華民国総統 記者会見 要旨

サービス貿易協定は、害よりも利益のほうが大きいのです。
学生たちの訴える、審査などに関する議論については、党内でも同意しているが、
1日でも早く国会から退去し、国会が正常に機能できるようにしてほしい。

サービス貿易協定と自由貿易協定を進めるのは、
国民がビジネスをしやすくするため、台湾の競争力を高めるためです。

法律制度は民主主義の堅持であり、
協定は通過される前に誰でも意見発表できます。
学生たちが違法に国会を占拠すること、5日間も国会を麻痺させたことは、
民主的な行為ではない。民主主義を犠牲することになります。
総統として、法律制度、民主主義を守らなければいけません。

このサービス貿易協定は、台湾の未来のためです。
韓国も1つの自由貿易協定から最終的に11の協定を締結したことによって、
韓国メーカーを世界各地に進出させることができ、関税を優遇されています。
しかし、私たち台湾メーカーは競争力が衰えつつあり、韓国に10年の遅れを取っています。

この協定が可決されなければ、台湾の信頼は損なわれてしまいます。
この協定は1箇条ずつ審査を行いますから、
1日も早く国会から退去してください。
________________________________________

■馬英九氏の会見に対する「32字箴言」と「4大訴求」

政令宣導 罔顧民意 既不民主 又無法治
先有條例 再來審議 給我民主 其餘免談
<訳>
民意を無視し、政令を押しつけるのは民主的ではないし法治的でもない。
まず条例を成立してから、審議をすすめるべき。
我々に民主を返せ。それ以外は何も言うな。

一.「公民憲政会議」開催を要求する
  各業界と民衆の声を聞いて相談して対策を考えて欲しい。
二.「サービス貿易協定撤回」の要求
  立法院がこの協定を審理するまでもなく、撤回すべき。
三.「今会期中に両岸協議監督の法制化を完成させる」ことを要求する
  台湾と中国との協議・監督協定を成立させて欲しい。
  成立させる前に中国との話し合いはするな。
四.「与野党国会議員が民間の主張に応える」べきであることを訴える
  法案が可決する前に、3回は審議して欲しい。


 この「事件」を日本のマスメディアはほとんど報じないが、ネット上ではライブ映像を見ることができる。

ニコニコ動画 「台湾立法院(国会)を学生らが占拠」a>

台湾リンゴ日報TV 「占拠中の立法院 生中継

立法院を占拠する学生たち 9日目

2014年03月25日 23時30分35秒 | 台湾
 台湾で起きた国会占拠事件は、もうすぐ9日目を迎える。日本のマスメディアは、ほとんど報じないが、台湾が今後どうなっていくのか、日本も無関係ではありえない。

 インターネットでは、占拠中の学生たちの行動、主張を次のライブ映像で見ることができる。ニコニコ動画のアクセスはすでに累計300万を超え、書き込みも200万を超えた。

ニコニコ動画「台湾立法院(国会)を学生らが占拠 生中継」

蘋果日報(リンゴ日報)



台湾人女学生の訴え  なぜ学生たちが国会を占拠するのか

2014年03月22日 21時30分04秒 | 台湾
 「私は、台湾人です、私は、この国の民主の歩みと共に成長しましたというこの女性。3月18日(火)から台湾立法院(=中華民国の国会)を占拠している台湾人学生に理解と支援を訴えている。
 きょうで5日目の国会議事堂占拠。そうまでして、彼らが訴えるのは「中台貿易サービス協定」の締結反対。馬英九政権は、中国政府とこの協定を締結して、台湾と中国の「両岸」関係の一層の緊密化を図った。だが、これは中国が台湾を併呑する第一歩ではないか、という重大な懸念を伴う。

 NHKをはじめとする日本のTV局は、この事件をほぼ無視し続けている。その理由は単純明快。中国筋のクレームを恐れているからに他ならない。やはり日本のマスメディアは、腑抜けのマスゴミだったと証明された。
 台湾の学生たちを次の映像でリアルタイムで見ることができる。→ 

 ニコニコ動画「台湾立法院を学生らが占拠 生中継


NHKが報道しない台湾政治危機

2014年03月22日 10時00分08秒 | 台湾
 民主主義国家の中核である国会議事堂を学生の集団が占拠中。こういう異常事態が親日的な隣国・台湾(=中華民国)で発生しているのに、公共放送たるNHKは知らんぷり。

 学生たちは、台湾が中国に併呑されかねない状況を作る「中台貿易サービス協定」に反対して、この行動をとった。同協定を進める馬英九総統(大統領)と中国国民党は、これを座視することなど到底できないから、学生たちを排除するのは必至。この事件がどう収束するかによって、台湾の将来は大きく変わりかねない。台湾社会はたったいま、分水嶺を迎えている、と言えるだろう。 

 安保闘争、ベトナム反戦運動などで盛り上がった日本の学生運動は、その後、雲散霧消してしまった。国会議事堂占拠で最高潮に達した台湾学生運動がもし日本と同様の運命を辿るとしたら、彼らの主張を見届けるのは今しかない。それなのに、日本のマスメディアは、中国の恫喝に怯えて、目の前の出来事を報道しないのだ。

 だが、「ニコニコ動画」では、この瞬間も立法院(国会)を占拠する学生の様子をライブ映像で見ることができる。
 この映像だ……
 台湾立法院(国会)を学生が占拠 生中継