澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

竹島不法上陸に対抗して 今こそパチンコ景品交換の禁止を!

2012年08月27日 11時32分15秒 | 社会

 李明博・韓国大統領が竹島に不法上陸したというのに、政府やマスメディアの反応は、及び腰。
 野田首相が「冷静にして、毅然たる態度を取る」と言ったのは束の間、韓国からの罵詈雑言に対して何ら反論できないでいる。玄葉外相が「相手と同じレベルでは日本外交の品位に関わる」という発言をしたが、これなどは何もできない負け惜しみの最たるものだろう。

 韓国政府は、完全に日本の足元を見透かしている。「平和憲法」の呪縛によって、日本の自衛隊は、韓国軍に対して何一つできないことを知り尽くしている。李明博がここまで強硬策に出たのは、東日本大震災が起きて日本の弱体化が顕著になったと判断したからなのだが、同時に民主党政権が何らまともなリーダーシップを持っていないからだ。

 次の大震災を心待ちにする李明博に対して、外交政策でも経済政策でなくても、簡単にダメージを与える素晴らしい方法がある。「韓流ドラマ」「K-POP」の輸入・放送規制ではない。これはぜひやってほしい対抗手段ではあるが、マスメディアに潜む親韓グループ、あるいは在日枠採用の連中が黙ってはいないだろうから、起こりうる紆余曲折を考えると、即効的手段にはならない。

 そこで考えられる最も有効な対抗手段は、パチンコ景品交換(=換金)の禁止だ。何もパチンコを禁止せよというのではない。景品交換(換金)の禁止に過ぎないから、都道府県レベルの条例改正で実現できるはずだ。
 パチンコ産業は、ギャンブルなどではなく、健全娯楽だというフィクションのもとで肥大化を続けてきた。周知の通り、パチンコ機メーカーやホール経営者のほぼ全員が、在日韓国・朝鮮人。これが警察との持ちつ持たれつの関係を構築することで、「駅前カジノ」の実態を覆い隠してきた。
 繰り返すが、パチンコ店を閉店にしろというのではない。それでは民主主義国家・日本国の体面を汚すことになってしまう。パチンコで儲けた客には、換金が可能な特定景品を渡すことを禁じて、菓子、日常品などの通常景品だけを出すようにせよというだけだ。

 もちろん、これによって、パチンコ客は激減し、パチンコ店は現状のような経営を続けることはできなくなる。だが、本来、それがパチンコ店の目指す「健全娯楽」なのだろうから、とやかく言われる筋合いのことではない。

 警察庁の高級官僚は、このことを熟知しているはずだ。もし、貴方たちに愛国心があるのなら、こんなことは直ちに実現できるはず。ぜひとも、パチンコ景品交換を禁止して、亡国への道をストップさせてほしい。


 将軍様も代替わりだけど…やってることは変わらない

 

 
 

 

 
 

 

 

 


これは飛行機雲、もしかして地震雲?

2012年08月25日 20時15分06秒 | 社会

 さきほど、何気なく空を見上げたら、奇妙な雲が…。
 気になったので、撮影してみた。午後5時45分、南西方向の空。

 飛行機雲が崩れたようにも見えるが、垂直方向に落ちているのが奇妙。それでは、地震雲?そんなことを言うと、ここは「言霊の國」、お叱りを受けるかも知れない。
 南西の方向というと、静岡方面ということになる。
 まさかとは思うが…。

【追記】
「東の地平線から出てる、同じ一本の雲を5時10分頃みましたが、先をに自衛隊の戦闘機らしき機体が飛んでました。私も何度か同じような雲をこのスレに投函しましたが、飛行機雲とわかりました。」

 同じ雲を見た方から上記のような連絡をいただきました。やはり飛行機雲だったようです。





 


中国のそばにあるのは日本の不幸?(続)

2012年08月23日 21時02分20秒 | 中国

 一昨日の「産経抄」に対して、「人民日報インターネット版」が即座に反論※した。こういうやりとりが珍しいのか、いつものことなのか、私は寡聞にして知らないが、「人民日報」の「反論」記事のトーンには、懐かしい響きがある。

※ http://j.people.com.cn/94474/7921147.html

 そう、共産党一党独裁のメディアというのは、いつもこういう書き方しかしないのだ。
 それにしても、「日本の反中分子に言わせれば、中国のそばにあったことはどの点から見ても日本の不幸なのだ。幸い、歴史は特定の新聞社が書くものではないし、ましてや特定のメディアの特定のコラムで簡単に改竄できるものでもない。歴史には正しい道理、理性、良知が自ずと備わっている」とは、よく言ったものだ。

 日本の反中分子という言い回しも陳腐。中国共産党は、こうやって敵対分子にレッテルを貼り、闇に葬ってきたのだろうと思い起こさせる言葉だ。チベットを武力併合し、新彊ウイグルを漢族の植民地としてきた。内モンゴル、満州も同様。自分たちの”暗黒の歴史”を少しは顧みたらどうか、と言っておく。

 もしチベットやウイグル人が「子曰く、君子は坦として蕩蕩たり、小人は長く戚戚たり。理性と良知がない心は必ず歪んでいる。歪んだ心は必ず陰気で、バランスを失し、人に罪をなすりつけ、隣人との関係がうまくいかないのである」という結語を読んだら、 それは中共(=中国共産党)、お前達自身のことだろう、と悲憤慷慨することは間違いない。

                      中国のそばにあるのは日本の不幸?

 

日本の産経新聞は21日付の1面コラム「産経抄」で、大学教授の「冗談」を借りて「日本の不幸は中国のそばにあることだ」と指摘した。コラムは日本の反中分子の「上陸」が引き起こした中国の青年の反日デモについて、中国の若者の反日感情は中国政府の反日教育の結果だとしている。コラムはこの教授の著書『中国「反日」の源流』を引用し「中国の反日デモは1910年代に始まった。反日の原因は明・清以来の両国の社会構造の違いにあるが、最近の反日デモは貧富の格差拡大への不満が引き起こしたものだ。反日は口実に過ぎず、日本の不幸だ」と指摘。さらに「日本は経済力を建て直し、防衛力を強化して、中国に対抗すべきだ」としている。解放日報が伝えた。

産経新聞のロジックはこうだ。もし中国の若者が釣魚島(日本名・尖閣諸島)の侵奪・占拠という日本の行為に対してなんら反発しなければ、日本は不幸を感じない。もし中国の貧富の格差が縮小すれば、中国の若者は釣魚島への日本人の上陸に反対しない。もし1910年代に反日運動が起きなければ、現在も反日運動はない。こうなれば日本も幸せだ--。

まさしく「君が何も説明しなければ私はまだわかるが、君が説明すればするほど私にはわからなくなる」というやつだ。釣魚島に日本人が上陸してもなお中国人に憤りを表明させないとは、まさか「私がお前の右頬を打ったら、左頬を向けろ。それでようやく私は幸せだ」とでも言うのか?デモの原因を貧富の格差とするにいたっては、ますますわけがわからない。まさか貧富の格差が縮小すれば、主権は放棄できるとでも言うのか?それならば日本は貧富の格差が大きくないが、なぜ領土への野心はかくも大きいのだ?筆者の見るところ、産経新聞は1910年代の事に言及したことで、かえって歴史と現実を偶然正視することになった。当時、2つの出来事が起きていたからだ。1つは「対華21カ条要求」で、日本は中国を滅ぼそうとした。もう1つはパリ講和会議で、日本は山東省を窃取しようとした。産経新聞が中国の反日運動がこの2つの出来事に端を発すると指摘したことは、日本による釣魚島占拠が「対華21カ条要求」や山東省窃取と性質が瓜二つであると認めたに等しい。産経新聞が不幸だと感じるのも無理はない。日本は手に入れたいものを得ていなかったのだ。

日本のそばにあった琉球王国は、「処分」されて日本の一部となった。同じく日本のそばにあった韓国は日本に「併合」された。この両国がそばにあったことは、日本にとって実に幸運であったようだ。一方、中国がそばにあったことはそれほど幸運ではなかった。なぜなら中国が近いために日本は漢字文化の薫陶を受けざるを得なかったが、もしそうでなければずっと文字のない蒙昧で無邪気な時代を続け、中国文化を経ずに直接欧米文化を導入でき、後に明治の教育家・福沢諭吉の呼びかけた中国という「悪友」の謝絶、「脱亜入欧」の過程を省けたからだ。1930-40年代、日本は中国を侵略して放火・殺戮・略奪を行った。中国には防ぎ止める力がなかったので日本は侵略の罪名を背負い、現在にいたるもこれをそそぎようがない。これも日本の不幸だ。

米国は日本に原子爆弾を2発投下した。1発は広島、もう1発は長崎で、20万人が即死した。後に日本では米国に敗れたのは幸運だったとの声が上がった。これはもちろん、米国が日本の軍国主義時代を終らせたことを指摘している。だが、米国中心の極東国際軍事裁判で断罪されたA級戦犯を祀っているにも関わらず、米国が靖国神社参拝について知らないふりをしていることを理由に、幸運だったと感じる日本人もいる。特に最近米国は、戦時中に米軍の爆撃で死んだ「疎開者」の慰霊のために日本の政治屋が釣魚島に行くことにも沈黙を保ち、さらに日本に武装を促し、「島嶼奪還」演習を行っている。一部の日本人はこれをなおさらに幸運と感じている。一方中国について考えると、中国人は日本の戦争孤児を慈しみ育て、大人になると日本に帰しもしたのに、孤児たちは中国で不幸な目に遭ったと考える日本人がいる。中国は日本に戦時賠償金を要求しなかったが、これについて反中分子は日本政府の過ちだと言う。良心の上で負い目を背負うようになったことが日本の不幸だと言うのだ。

要するに、日本の反中分子に言わせれば、中国のそばにあったことはどの点から見ても日本の不幸なのだ。幸い、歴史は特定の新聞社が書くものではないし、ましてや特定のメディアの特定のコラムで簡単に改竄できるものでもない。歴史には正しい道理、理性、良知が自ずと備わっている。子曰く、君子は坦として蕩蕩たり、小人は長く戚戚たり。理性と良知がない心は必ず歪んでいる。歪んだ心は必ず陰気で、バランスを失し、人に罪をなすりつけ、隣人との関係がうまくいかないのである。

 

 

「人民網日本語版」2012年8月23日

 


日本の不幸は中国のそばにあること!?

2012年08月21日 20時56分57秒 | 中国

 今日の「産経抄」(下掲)はなかなか興味深かった。
 中国近代史の岡本隆司氏(京都府立大学準教授)が授業で「日本の不幸は中国のそばにあることだ」と言うと、必ずその言葉に食ってかかる中国ファンの学生がいたそうだ。十数年前の話だそうだが、私の記憶ではそれより前でも大して事情は変わらなかった。

 大昔、文化大革命を礼賛した安藤彦太郎、新島淳良という教授が、早稲田大学政経学部にいた。この二人の場合、「日本は中国に学ばないことが不幸だ」とでも言いたげに、文革中国を誉め続けた。マスメディアの連中に親中国感情が強かったのは、こういう左翼教授の授業を受け、真に受けたからだろうと思えてならない。

 尖閣諸島を中国領だとする著書を著した井上清(当時・京都大学教授)ほかの親中国言行録は、次のブログに詳しい。 
http://www.wengewang.org/read.php?tid=20428



 一昨年、ある大学で「東アジア国際関係史」を聴講したが、団塊の世代に属するS教授は、上述の岡本隆司氏と同様のことを話していた。最初は中国にシンパシーを感じて研究を志したが、この何十年間で中国の意のままに「歴史認識」が変えられていったことを口惜しく思っているようだった。

 「歴史認識」なんて、かなりいい加減な話で、どうとでも言える。毛沢東時代の中国は、日本の支配階層と人民は別であるという立場をとり、感情的な「反日教育」は行わなかった。だが、江沢民時代からは、「中華愛国主義」と表裏一体の「反日教育」を行い、大陸中に「反日感情」を蔓延させた。

 日中の際だった違いは、日本ではどんなことがあってもナショナリズムの昂揚が許されておらず、日の丸を掲げただけで「右翼」扱いされる。これは、敗戦国故のトラウマでもある。一方、独裁国家の中国では、共産党批判は絶対禁止であるけれども、「反日」の意思表示は「愛国主義」として許容されるということだ。この見事なまでの行き違い。

 結局、こんな国が隣にあることが不幸、というのは、極めて自然な思いとなる。

 

産経抄】8月21日

2012.8.21 03:17 産経抄

 「日本の不幸は中国のそばにあることだ」。中国近代史を専門とする岡本隆司さんが十数年前、大学の授業で冗談めかして言うと、「何でそんなひどいこと言うんですか」などと食ってかかる、中国ファンの学生が必ずいたそうだ。

 ▼香港の活動家による、沖縄県・尖閣諸島への不法上陸をきっかけに起こった中国の反日デモは、4日後の日本人上陸のニュースを受けて、20都市以上に飛び火した。日本車を破壊したり、日本料理店のガラスを割ったり、一部の参加者の乱暴狼藉(ろうぜき)は、相変わらずだ。

 ▼岡本さんの「冗談」は、もはや当たり前すぎて、口にすることもなくなった。中国の若者が「反日」に走るのは、江沢民総書記時代の徹底した反日教育を受けてきたからだ、との指摘がある。もっとも反日デモ自体は、1910年代からあった。

 ▼岡本さんは、『中国「反日」の源流』(講談社)のなかで、その由来を明・清の時代以来の両国の社会構造の違いにみている。為政者が民衆の生活にある程度関わっていた日本に対して、中国の支配者は、税を取り立てたあとの人民の暮らしに興味を示さなかった。いわゆる「西洋の衝撃」の受け取り方が大きく異なったのもそのせいで、相互の理解不足が近代の対立と破局につながったというのだ。

 ▼最近の反日デモは、経済格差などに対する若者の怒りの「はけ口」になっている、との見方がある。今秋の第18回共産党大会を控え、胡錦濤政権の対日政策を批判して勢力拡大を図る、党内左派の姿も背後に見え隠れする。

 ▼歴史的経緯に加えて、一党独裁体制の矛盾を映し出す「反日」に、日本は振り回されてきた。経済を立て直し防衛力を強化して、対峙(たいじ)するしかない。


尖閣諸島不法上陸事件でNHKの「媚中」報道は止まらない

2012年08月15日 22時14分24秒 | マスメディア

 敗戦記念日、この日をわざわざ狙って香港の「民間団体」活動家が尖閣諸島の魚釣島に”上陸”した。

 この事件について、夜9時のNHKニュースは、真っ先に「台北で反日デモ」という映像を流した。これには絶句。尖閣諸島に向かったのは、香港の「民間団体」ではなかったのか?何故、台北のデモが先頭に報道されるのか、その理由が全く分からない。これは、中国大陸だけでなく、台湾でも「反日」デモが起きているのだと強調するためとしか考えられない。当該ニュースは、続いて北京の「反日」デモの様子も流した。北京のデモ隊のプラカードには「琉球群島を取り戻せ」と書かれていたはずなのに、NHKの映像はこれをカットしていた。民放では、説明はなかったものの、「琉球群島を取り戻せ」という文字をはっきりと映し出していた。このデモについては、「読売新聞」が記事(下掲)を載せているので、はっきりと事実関係を確認できる。
 NHKは、中国の反日デモが「尖閣諸島」のみならず、沖縄まで中国領だとして「返還」を要求していることには、一切触れていない。

 またNHKは、わざわざ香港の「民間団体」がやっていることだと報道しているが、これも常識で考えればおかしい。一党独裁国家において、「民間団体」にどれほどの力があるというのか。中国共産党の意向を受けたプロの組織が今回の行動を起こしたと見るのが、まともなジャーナリストの結論というものだろう。要するに、尖閣諸島の中でこの団体が違法行動を起こしても、それは「民間」の人達ですよという言い訳を、NHKは中国政府に代わってずっと言い続けているのだ。



 中国の「沖縄併呑」の野望が「反日デモ」のプラカードにはっきりと書かれているのに、それをわざわざカットして放送する。このNHKの報道姿勢は、何故なのか?「狂ったNHK」「ジャーナリズム精神の放棄」とか何でも言えそうだが、要するに日本人のナショナリズムに火を付けないということに尽きるようだ。大したことじゃあないんですよ」「相手にはそれなりの事情があるから、興奮してはいけない」と言い続け、国民を騙し、誤った判断を植え付ける。これが本当に日本の「国営放送」なのだろうか、NHKはどこの国の放送局なのだろうか?と問わざるをえない。

 特定の外国に追従するかのような報道を続けるNHKに対しては、受信料不払いが最も有効な対応手段に違いない。 

 

反日デモ「琉球を取り戻せ」北京の日本大使館前

 
北京の日本大使館前で、尖閣諸島の領有権を主張する活動家=青山謙太郎撮影

 【北京=関泰晴】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本領有に反対する中国の民間団体「中国民間保釣連合会」のメンバーら約30人が15日午前、北京の日本大使館前で抗議活動を行った。

 大使館周辺では公安車両40台以上が警戒に当たった。活動家らは、15日午前10時(日本時間同11時)ごろ、「対日宣戦、釣魚島を取り戻せ」「琉球列島を取り戻せ」などと書かれた横断幕や中国の国旗を持ってデモ行進。大使館前で日本政府に対する抗議文を読み上げるなどして気勢を上げた。

 中国当局は一定の抗議活動を容認し、反日感情のガス抜きを図る一方、沿道の市民が合流してデモが拡大するのを防ごうと、厳重な警戒態勢を敷いて規制した。

2012年8月15日12時58分 読売新聞)

雑誌「FRaU」が特集「これからも、台湾!」

2012年08月13日 18時30分32秒 | 台湾
FRaU (フラウ) 2012年 09月号 [雑誌]
特集「これからも、台湾!」
講談社

 講談社が発行している女性向き雑誌「FRaU」9月号が、昨年の「ありがとう 台湾!」に続いて、「これからも、台湾!」を特集している。娘が私にこの特集号を教えてくれた。

 「昨年大反響をいただいた”ありがとう、台湾!”から1年。FRaUは再び、台湾へ行って来ました。待っていたのは、台湾の人たちの変わらない優しい笑顔と美味しい食べ物。今回は台北に加え、台南も特集します、もっともっと、ずっとずっと台湾!」

 この書き出しで始まる特集は、堂々50頁以上。女性誌らしく、綺麗なレイアウトに写真も美しい。
 NHKをはじめとする日本のマスメディアが、民主国家・台湾の存在を無視するかのような「媚中」姿勢なのに対し、この雑誌の「立ち位置」は実に見事、あっぱれと言う他はない。
 
 この特集を企画したFRaUのスタッフ、発行元の講談社に心から敬意を表したい。


 


「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀」を見た!

2012年08月12日 01時48分27秒 | 歴史

 「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀を見る。「アジアの”一等国”」で散々の批判を浴びたNHKが、今度は台湾の原住民を取材し、彼らが辿った歴史を描くというのだから、注目を集めないはずはない。と思ったら、NHKはこの番組を土曜日の夕方、それもBSプレミアムでひっそりと放送したのだから、放送されたこと自体を知らなかった人も多いだろう。

 実は、この番組には二つのタイトルが用意されているようだ。新聞の番組欄には「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀」と書かれているが実際に番組を見ると「三つの名を生きた兵士たち 台湾先住民”高砂族”の20世紀」というタイトルになっている。
 この番組を紹介したNHKのHPでも、この二つの番組タイトルが併存していて、ここにすでに番組制作者の無定見、無節操が浮き出ている。「日本人になろうとした少年たち」というタイトルは、それでは高砂族は日本人ではなかったのかという突っ込みに応えられないはずだ。

 すでにこのブログで紹介したが、番組紹介の中で「中国共産党に入った」原住民がいると書かれていた(下記、番組HP参照)はずが、途中でその部分だけ書き換えられたという事実がある。ここからも、「皆様のNHK」の異常なほどの迷いのようなものが感じられる。

 それではつまるところ、どういう番組だったのかというと、「アジアの”一等国”」で批判されたような恣意的なインタビューの選択を避けて、できるだけ”公平”に見えるように腐心したあとは窺える。
 高砂義勇兵として皇軍に加わり、南洋で活躍した後、帰国した台湾は、中国国民党が支配する「中華民国」に変わっていた。二二八事件では、国民党軍の弾薬庫を襲い、23年間刑務所に収監された老人。国民党独裁下で小学校の教師になり、「日本精神」をこどもたちに教え続けた老人…。ここまでは、酒井充子監督の秀作「台湾人生」と重なる内容だった。

 ところが、原住民の老人の中で、決して日本語を喋らない老人が二人でてきた。喋る言葉は華語(北京官話)で、身振り手振りは大層な中国人そのもの。このひとりは、日本敗戦後、国民党軍に志願して、大陸で共産党軍と戦ったが、捕虜になってしまう。国民党軍は兵士は殴られるばかりでひどい目にあったが、共産党軍(本人は解放軍と言っていたが)は親切で温かく扱ってくれたという。
 国共内戦当時、中共の少数民族政策は、少数民族を尊重し、「中国革命」の隊列に加えていくという方針だった。そのため、台湾の原住民が、手厚く遇されたという話しもあながちウソとは言えない。だが、現在のチベット、ウイグル、モンゴル人に対する中共政府の「同化政策」を思い起こせば、当時の政策は嘘も方便だったことがよく分かる。

 にもかかわらず、NHKは、この高(こう)という原住民が「中国が台湾を統一することを望んでいる」と話すのをわざわざ放送した。これだけでも、この番組のお里は知れたものだ。そう、現在の中国当局の意向を忖度して、わざわざ「中国はひとつ」「その正統な統治者は、中共=中国共産党」と言っているのだ。
 NHKがこの番組が放送される以前から、視聴者の批評を気にしていた理由がよく分かった。こういう姑息で恣意的な番組を作ってしまったという後ろめたさを自覚しているのだろう。

 番組の最後に、ある老人が「もう日本語は消えていく」とつぶやく。それは、日本語世代が台湾から消え去っていくと同義だ。日本統治時代、国民党政府独裁時代、そして民主化された台湾を経験した世代が消え去っていく。虎視眈々とそのときを待っているのが、中共(中国共産党)ではないのか。台湾に刻まれた「日本」の残映は、中共がお手の物とする「洗脳」(中華愛国教育)で払拭することができる、と考えているはずだ。NHKは、そのお手伝いを自ら買って出ている「売国放送局」なのか?

 NHKの番組担当者に改めて問いたい。中共の代弁者のような原住民をどうやって選択したのか?当該人物は、原住民の中で普遍的な人なのか? 台湾は、大陸とは違って、完全な民主主義国家であるのだから、自由な取材が可能だったはず。本当にあの人物が、インタビューに値する人物だったのかどうか? きちんと回答してもらいたい。

 結論として、NHKの堕落はここまで進んでいるのかと感じた。国営放送局が他国の「歴史認識」に追従する。こんなのは、この国でなければありえないと思った。愛国心のかけらもない、売国放送局。

 《番組HPより》

日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀

BSプレミアム 8月11日(土)午後4:30~5:59 

かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中日本軍は、こうした村々から志願を募り部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者達は、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを待っていたのは過酷な運命だった。新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者。国家と戦争に翻弄された台湾先住民の20世紀を、証言で浮かび上がらせる。
【語り】伊東敏恵


日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀 (続)

2012年08月10日 22時47分25秒 | 歴史

 前回のブログで「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀」(8月11日放送予定)について触れた。詳細は前回分を見ていただくとして、私が指摘したかったのは、NHK内部に中共(=中国共産党)史観が蔓延しているのではないかという点だった。

 その後、この番組を紹介するNHKのHPを見たら、私が問題視した部分、すなわち「新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者という部分が「時の政権から弾圧される者。故郷を捨て大陸に渡る者に書き換えられていた。書き換え前の文章では、台湾に逃亡してきた国民党政権に極めて批判的で、その弾圧から逃れて中共(中国共産党)に入党したと読める。それではクレームが付くと気づいたのか、曖昧な表現に書き換えたということらしい。

 意外にも、NHK関係者は、番組の評判を放送前から気にしているようだ。もし万が一、
私のこのブログを読んで、番組紹介を書き換えたのだとしたら、大いに光栄なこと。かつてNHKブックスからは「中国共産党史序説上・下」(宇野重昭著)という名著が出たのだから、そこから少しは中国の政治史、共産党と国民党の相克の歴史を学ぶべきだろう。民主党政権の意向、中国当局の目ばかり気にして番組を作っていると、明日放送されるような番組になってしまうんだぞ、と予言しておく。

 

8月10日現在の番組紹介》

かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中、日本軍は、こうした村々から志願を募って部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者たちは、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを過酷な運命が待っていた。時の政権から弾圧される者。故郷を捨て大陸に渡る者。国家と戦争に翻弄され続けた民族の歴史を証言で描く。
【語り】伊東敏恵

 

8月6日までの番組紹介》

かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中日本軍は、こうした村々から志願を募り部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者達は、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを待っていたのは過酷な運命だった。新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者。国家と戦争に翻弄された台湾先住民の20世紀を、証言で浮かび上がらせる。
【語り】伊東敏恵


日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀

2012年08月06日 19時10分34秒 | 歴史

 「終戦記念日」にちなんで、毎年、NHKは特集番組を放送する。今年は何をやるのかと思っていたら、そのひとつが「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀」(8月11日放送 NHK BSプレミアム)※だという。

※ http://www.nhk.or.jp/bs/t_culture/

 NHKは「アジアの”一等国”」(2009.4.5放送)で、そのときの政治権力に追従する情けない姿を露呈した。この番組は「台湾総督府の何十万もの文書を読み解き歴史を明らかにする」という触れ込みだったが、精緻な分析作業が行われた形跡など全く見られない。こけおどしのナレーションとおどろおどろしい音楽。加えて、歴史学でも認知されていない「日台戦争」などという造語を散りばめた、センセーショナルな番組制作手法。結局、現在では金科玉条となった「市民」「人権」「平和」などのキーワードで、台湾の日本統治時代を裁き、蔑む内容だった。これで喜ぶのは民主党政権の一部政治家、「朝日」や岩波書店、それに連なる「進歩的文化人」と追従者達(教員等)、あるいは中共(中国共産党)関係者だけではないか。

 8月11日に放送予定の「日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀」(NHK BSプレミアム)は、「アジアの”一等国”」と同じく日本統治時代の台湾を採り上げ、日本敗戦後、台湾原住民が辿った歴史を描く。

 まだ、放送はこれからなのであれこれ言うことはできないが、NHKのHPを見る限りでは、全く期待はできない。HP上では日本敗戦後、台湾原住民の中に「故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者」がいたとわざわざ書かれている。(下記参照)当時の政治史、政治状況を調べればすぐに分かることだが、こんな事例はほぼゼロに等しいほど希有なはずだ。それをわざわざ番組紹介に入れるとは、中国共産党こそが「中国」の解放者であるという中共史観を受け入れている証拠ではないのかいつからNHKは、中共(中国共産党)の手先になったのか。

 団塊の世代あたりまでは、親の世代から戦争体験を引き継いできたが、今や世代は変わり、マスメディアの番組制作手法も極めて観念的になってきた。昨年、テレビ朝日は日本軍からの脱走兵を美化した「”神”の医師 101歳日本人医師の戦後」を放送した。山崎某という脱走兵にまつわる”美談”だった。しかしこれは、戦争体験者から見ればすぐにおかしいと気づく内容だったのに、若い視聴者には「神様のような人」「中国に謝罪した素晴らしい人」と映ったらしい。こういう番組が続くと、歴史を見る眼はますます曇らされ、真実から遠のいていく。 
 8月11日、どんな放送がおこなわれるのか、注視しようではないか。

日本人になろうとした少年たち  台湾先住民“高砂族”の20世紀

BSプレミアム 8月11日(土)午後4:30~5:59

かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中日本軍は、こうした村々から志願を募り部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者達は、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを待っていたのは過酷な運命だった。新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者。国家と戦争に翻弄された台湾先住民の20世紀を、証言で浮かび上がらせる。
【語り】伊東敏恵


日本人になろうとした少年たち 


五輪狂騒の陰で深刻化する原発事故

2012年08月03日 04時41分05秒 | 社会

 マスメディアは五輪報道一色。世界中がオリンピックに沸いているかのような報道だが、英国人の知人は、オリンピックにほとんど興味なし、ドイツ人の旧友は長期休暇で外国旅行中。もしかして、一番大騒ぎをしているのは、日本人ではないかと思えてくる。

 それもこれも、横並び一色という日本人気質なのだろうか。新しいものにすぐに飛びつき、昨日まで騒いでいたことをすぐ忘れてしまう。

 ネット上で「週刊現代」を見ていたら、福島原発4号機についての深刻な記事を見つけた。五輪熱狂報道のおかげで、復興報道、被災者支援報道がどこかに吹っ飛んだが、それはまあ容認できないことではない。しかし、原発事故の現況について報道しないのは、まさにマスメディアの責任を自ら放棄していると言えないだろうか?

 以下に引用した「週刊現代」の記事を要約すれば、①福島原発4号機は、爆発した建屋に傾きが生じ危険な状態にある、②次の大地震が起きれば、建屋の崩壊あるいは冷却水パイプの破断という可能性が高い、③そうなれば、首都圏壊滅は必至、④4号機燃料プールから核燃料を取り出すことができても、現在の日本にはそれを保管する場所がない、ということだ、

 政府は福島原発の「収束作業」を東電に委せっきりにすべきではない。国家の命運をかけて、人的・物的資源を集中し、次の大地震に備えて対策を打つべきだ。「万が一」が現実になれば、首都圏三千万人の日本人が死地に追いやられ、日本国は壊滅する。五輪で大騒ぎをしているときではないのだ、と独り思う。

『週刊現代』2012年7月14日号より引用

もう一度大きな地震が福島第一原発を襲ったら、日本は破滅する。優先すべきは
4号機の復旧のはずなのに、原発再稼働に血道を上げる政府と原子力ムラの面々。暴走はもう止められないのか。

毎時10シーベルトという悪夢

 それは福島原発の復旧作業に携わる人たちにとって絶望的なニュースだった。6月27日、福島第一原発1号機の建屋内の圧力抑制室外側で、毎時10・3シーベルトという破滅的な放射線量が検出されたのだ。

「1号機建屋の地下1階には汚染水が溜まっていますが、東京電力が水面の直上の放射線量を計ったところ、この数値が出たのです。毎時10シーベルトは人間が浴びると即死するレベルです」(全国紙経済部記者)

 もはや1号機の中心は人間が立ち入れないレベルにまで汚染されている。

 原発事故から1年3ヵ月が経過したいまになっても、なお続く絶望的な状況。1号機だけではない。4号機においても、外壁にこれまで発見されなかった大きな傾きが生じていたことが、東京電力の調査で分かったのだ。

「去る5月に東電が4号機の(外壁)を調査したところ、原子炉建屋の西側に、水素爆発の影響によって傾きが出来ていたことが確認されたのです。

 そこで、改めて6月に詳細な調査を行った結果、先月の調査よりもさらに広い範囲で傾きが確認されたのです」(同)

 東京電力は「この傾きは建築基準法で定められた制限値を下回っている」と説明した上で、「解析した結果、耐震性に問題はない」と報告した。

 だが、建築基準法の制限値を下回っているからといって「安心である」と断言できるのか。そもそも4号機の地盤が不安定になっていることが専門家から指摘されている上、5月26日に公開された4号機建屋の無残な姿を見ると、とても大地震に耐えられるとは思えない。日本原子力研究所出身で技術評論家の桜井淳氏はこう漏らす。

「東京電力は4号機の耐震工事を行ったので、震度6強までの地震には耐えられるとしています。しかし、先の原発事故で4号機がどこまで壊れたのか、いまだに正確にはわかっていません。日々新しい損傷が発見されているような有り様で、『耐えられる』といえるわけがない」

 さらに、4号機の修復作業に携わる関係者からはこんな不安の声が聞かれる。

「たとえ東電の言うように、建屋が地震で倒れなかったとしても、別の問題がある」と内情を明かすのは、復旧作業に携わる東電協力会社の幹部社員だ。

「現場の人間が恐れているのは、建屋の崩壊ではなく、地震によって冷却システムのパイプが損傷してしまうことです。4号機の貯蔵プールには使用前・使用後のものを合わせて約1500体の核燃料が保存され、水を循環させることでこれらを冷却していますが、水を循環させるためのパイプが仮設のもので、どの程度の揺れに耐えられるのかまったく分からないのです」

 万が一このパイプが壊れたら、冷却が止まって核燃料が剥き出しになってしまう。しかし、この幹部社員によると「これを修理するための人材の確保や指揮系統の確立はまったくなされていない」という。

首都圏3000万人に被害

 脆弱すぎる4号機。仮に建屋が崩れて核燃料が剥き出しになったり、パイプが破損して核燃料が冷却できなくなった場合、どのような惨劇が起こると予想されるのか。前出の桜井氏が説明する。

「大きな地震や津波などによってこの貯蔵プールが壊れて、冷却水が抜けてしまえば、剥き出しになった核燃料の温度が上がり、崩壊熱によって放射性物質を格納している容器が燃え出してしまう。そうなると昨年の事故の十倍もの放射性物質が放出されることになります」

 もしそのような事態が起これば、確実に日本は破滅する、と同氏は警告する。

「放射能に汚染される地域は、昨年の事故で汚染された地域の10倍になる。近藤駿介・原子力委員会委員長が菅直人前総理に示した報告では、首都圏3000万人に影響が及ぶとされていた。ですから一刻も早く使用済み核燃料を安全な場所に移さなければならないのですが、いまだその作業は進められていません」

 4号機をめぐる状況は「最悪」の一言に尽きるが、そもそもなぜ危険な核燃料が、原発施設内に保管されているのか。それは「他に持っていく場所がない」からである。

 政府は各原発で大量に発生する使用済み核燃料について、青森県六ヶ所村で再処理を施してウランとプルトニウムを取り出し、再利用するという方針を進めてきた。

 しかし、現在六ヶ所村では再処理作業が停滞している。物理学を専門とする、弘前大学大学院の宮永崇史教授は、六ヶ所村の状況についてこう説明する。

「ウランとプルトニウムを抽出した後に生じる高レベル放射性廃液の処理が六ヶ所村で進められる予定でしたが、度重なる事故・トラブルによって、この処理を行う実験が完全にストップしている状態です。6月18日から再び処理実験が始まっていますが、基本的な技術面で問題が指摘されており、今後上手くいく見通しは少ないといえます」

六ヶ所村の再処理施設に投じられた総予算は約2兆円。ところがリサイクル計画は完全に破綻しており、ただの「使用済み核燃料の貯蔵地」となってしまっている。

 そして六ヶ所村も、現在保管可能容量の97%が埋まっているため、これ以上使用済み核燃料を受け入れられなくなっている。そのため使用済み核燃料は各原発施設内に設けられた貯蔵プールに保管しておくほかないのである。

 立命館大学名誉教授の安斎育郎教授は、このことが大惨事をもたらす可能性について、こう指摘する。

「各原発の貯蔵プールも、耐震設計はされていますが、建物も老朽化が進んでおり、大きな地震が発生すれば崩壊するかもしれない。福島第一原発4号機のプールだけが危ないのではなく、各原発の貯蔵プールでも同様のことが起こる危険性があるのです」

 いま、多くの原発施設で貯蔵プールの容量が満杯に近づいている。内閣府の資料によれば、2011年9月現在で大飯原発の貯蔵割合は69%、伊方原発は63%、玄海原発は78%、柏崎刈羽原発は79%に達している。間もなく貯蔵量のピークを迎えてしまうほどの使用済み核燃料を各原発は抱えこんでいるのだ。

 日本各地に「福島第一原発4号機予備軍」が存在するという恐ろしい状況。仮に大地震や津波によって貯蔵プールの冷却システムが破壊され、核燃料が剥き出しになるような事態が起これば、先の4号機のケースで説明したように、大量の放射性物質が放出されることになる。

 たとえば現在六ヶ所村には国内最大となる2860tの使用済み核燃料が保管されているが、原子力資料情報室の調査によると、なんらかの事故で貯蔵プールに保管されている使用済み核燃料が再燃焼し、そのうち約1%にあたる30tが放出されただけでも、北海道から首都圏にまで、急性障害を引き起こすほどの放射性物質が撒き散らされるという。

国を殺める大飯再稼働

 こうした状況を踏まえた上で、福島原発事故独立検証委員会の北澤宏一委員長は「すくなくともダメージが深刻な福島第一原発4号機の使用済み核燃料は、いますぐどこか別の場所に移さなければならない。それをやらないまま原発を再稼働することは、国を殺めることになりかねない」と指摘する。

 ところが政府はこの問題に解決の道筋をつけることなく、大飯原発の再稼働を決定し、国を殺める道を進もうとしている。

 7月から再稼働する大飯原発3、4号機。あいかわらずその安全性については大きな疑問が残されたままだ。その上、再稼働直前になって、次々と新たな「不安材料」が浮上している。

 6月27日未明には、3号機の高圧送電線の開閉所で、電流が地面に漏れて1時間以上に亘って警報が鳴る事故が発生。関西電力は「原子炉の安全性に問題はない」と発表したが、このタイミングでの事故には、近隣住民ならずとも恐怖を覚える。

 また、6月26日には大飯原発の「安全説」を揺るがす次のような事実が明らかになった。

「各方面から『大飯原発の真下に活断層がある可能性が高いから、調査してほしい』と要請を受けた保安院は、6月ごろから独自に調査を始めました。ところが、保安院が関西電力に『過去に政府に提出した、大飯原発3、4号機地下の破砕帯(脆弱な断層)に関する資料を提出してほしい』と依頼したのに、関電は『写真を探しているが見つからない』として、これを提出しなかったのです」(大飯原発の取材を続ける地元紙記者)

 自分たちにとって不利になるかもしれないことについては何でもゴマカす。これぞ「原子力ムラ」の体質だ。活断層があるとないとでは、その安全性に大きな違いがあることは言うまでもないのに、電力会社は「もう結果は分かっているので、詳細な調査は必要ない」と結論を下したのである。

 6月28日、与野党の超党派議員で構成される「原発ゼロの会」が、耐震性や地盤状況などを判断材料に作成した全国50の原発の危険度ランキングを発表した。堂々の1位は大飯1号機、2位が2号機。再稼働が決定した大飯原発3、4号機は26位であったが、稼働年数20年程の比較的新しい両原発が中間にランクインしたのは、やはりその地盤状況が不安視されている上に、情報の不透明さが不信感を与えているからだろう。

まだウソをつく東電

 政府は次の再稼働計画について、原発に関する新しい規制委員会が発足し、新たな安全基準が作られるまでは大飯以外の原発を再稼働させることはない、としている。

 耐震性を含め、新しい組織が原発再稼働についてどんな安全基準を掲げるのか、国民は注視しなければならないが、前出の安斎教授は、今後の「原発再稼働」の動きについて、「政府はひとつの原発を再稼働させたことで、他の原発もなし崩し的に稼働させる方向に向かっている」

 と悲観的な見方を示す。

 事実、6月27日に行われた各電力会社の株主総会では、「女川原発の再稼働に向けて、地域の皆様の理解をいただけるように努める」(東北電力)、「泊原発は11月までに再稼働できるよう努力する」(北海道電力)、「伊方発電所の運転正常化を早期に実現するよう努める」(四国電力)、「島根原発再稼働に向けた取り組みを継続する」(中国電力)と、各電力会社が原発再稼働に向けての意欲を見せている。

 そのなかでも伊方原発は早期にストレステストを実施し、政府が次に再稼働させる原発の有力候補といわれているが、ここでもずさんな「安全報告」が行われている。愛媛県議の逢坂節子氏が説明する。

「伊方原発は最大でマグニチュード9レベルの地震が起こる恐れがある南海トラフの間近にあります。現在、伊方原発の再稼働が可能かどうかの調査が行われていますが、原発の耐震性について十分な調査と議論がなされているとは言いがたい」

 四国電力は昨年11月、「伊方原発は想定する地震の揺れの1・86倍までなら耐えられ、炉心溶解に至らない」とする報告書を保安院に提出している。だが、保安院が審査したところ、実際は1・5倍程度までしか耐えられないことが判明した。最新のテストでは想定の2倍以上の揺れに耐えられることが認められたというが、逢坂議員は「それでも不安が残る」と続ける。

「たとえ想定の2倍の揺れに耐えられるという調査結果がでたとしても、なぜ2倍なのか。福島の事故は想定の3倍の揺れによって起こったわけですから、『想定の2倍』という数字ですら、妥当とはとてもいえないと思います」

 悲惨な原発事故が起きても反省をせず、事故が起こる前のルールと論理をゴリ押しして、それで理解を得られると考える原子力ムラの住人たちには、呆れるほかない。6月27日、東京・代々木第一体育館で東京電力の株主総会が行われたが、総会での東京電力の姿勢にもそのマインドが現れていた。総会に出席した、猪瀬直樹・東京都副知事が語る。

「東京都は東京電力の筆頭株主ですから、私は株主として東電側にいくつかの提案をしたが、その体質は事故前とまったく変わっていないと感じました。『信濃町の慶応病院のそばにある東電病院は相当高額で売却できる。病院のベッドの稼働率も低いのだから、売却して経営建て直しのための資産とすべきだ』と提案すると、東電側は突っ込まれたくないところだったのか、稼働率が低い理由について、『医師を福島に派遣しているため』というウソでごまかそうとした。こちらの調べで、病院から福島に派遣しているのは土日に一人だけ、と分かっている。

 こうした対応を見ていると、情報隠しの体質は少しも改善されていないのです。回答を聞いていても、いまだに殿様体質が抜けておらず、原発事故やその後の対応についても、反省しているとはとても思えない」

 福島の事故も収束せず、原発の安全性も十分に検証されぬうちに、反省なき人々の思惑によって、日本はなし崩し的に破滅への道を歩み始めている。

「週刊現代」2012年7月14日号より