澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

夏の名残の花火大会

2013年08月25日 06時02分48秒 | hobby
 昨晩、花火大会に出かけた。毎年、夏の終わりに開かれるのだが、今年は各地で雷雨などにより中止になる例が続いた。幸い雷雨もなく、花火を存分に楽しんだ。
 また、夏が過ぎ去っていく。夏が大好きな私にとっては、名残惜しい一夜。


福島原発汚染水ダダ漏れで五輪招致絶望

2013年08月25日 05時07分16秒 | マスメディア
 木曜日、猪瀬直樹・東京都知事は定例記者会見で「東京は安全・安心・確実>」で一番だと言い「東京五輪招致」を相変わらずぶちあげていた。この人は本気でそう思っているのだろうか、とふと疑問を持った。

 TVなどのマスメディアは、いよいよ五輪開催地が決まるというので、大騒ぎ。「イスタンブールは政治的に不安定、マドリッドは財政的に問題がある」と言って、相対的に東京が有利だと囃し立てている。東京に関しては、どんな問題やデメリットがあるのかは、決して触れない。

 何十年来の友人であるドイツ人は、福島原発事故が終わらない限り、日本には絶対に行かないと広言している。彼女が娘さんを出産するとき、ちょうどチェルノブイリ事故が起きたので、放射能汚染の恐怖は骨身に染みていて、今なお忘れられないと言う。ドイツから日本を見れば、東京五輪などと浮かれている日本人は奇妙というより、一種異様な光景として映っているのだ。

 東電がひた隠しにしてきた汚染水問題がようやくクローズアップされてきた。だが、マスメディアのほぼすべては、この問題と五輪招致を結びつけようとさえしない。この暗愚さというか事なかれ主義は、もはや犯罪的と言っていい。

 一昨日、やっと夕刊紙「日刊ゲンダイ」がこの問題を採り上げた。(下記参照)これを見ただけでも、日本人の夜郎自大、自画自賛、根拠のない自惚れが浮かび上がってくる。

 「五輪招致」反対を言い出せないこの「空気」「雰囲気」は、原発事故を発生させ拡大させてしまったものと同質ではないかと思えてくる。

 「世界が日本を見ている」と自惚れる我々だが、実は地球の果てにある小国など世界は大して気にも留めていないというのが、客観的な事実だろう。東京のわずか200km北東にはメルトスルーして、格納容器が破壊された原発がむき出しになっている。そんなところで誰がオリンピックをしたいと思うだろうか。東京五輪など絶対に止めるべきだ。



福島原発汚染水ダダ漏れで五輪招致絶望

招致にシャカリキだが…/(C)日刊ゲンダイ
<IOC総会の安倍首相に世界が白い目>

 汚染水がダダ漏れ状態の福島原発。東電の場当たり対応には不安が募る一方だが、この汚染水問題が、五輪招致にも影響を与えそうだ。

 来月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれるIOC総会で、2020年夏季オリンピックの開催地が決定する。

 猪瀬知事が招致に前のめりの都庁では、23日IOC総会に向けての出陣式と記者会見が行われる。出陣式には安倍首相も出席して、国を挙げてのバックアップをアピール。安倍はIOC総会にも乗り込み、自ら「復興五輪の招致」をダメ押しする予定だ。

「総理は、自分のスピーチで招致を勝ち取り、スポーツ立国・日本を立て直したいと、並々ならぬ意欲を見せていました。基礎票ではスペインに負けているが、総理が直々に復興を訴えれば、十分に逆転可能と踏んでいたのです。ところが、ここへきて流れが変わった。福島原発の汚染水問題がこれだけ深刻化すると、日本での開催は絶望的という見方が急速に広まっています」(官邸関係者)

 実は、汚染水問題は、むしろ国際的な関心の方が高いくらいだ。日本国内で大きく報道されるようになったのは、ここ数日のことだが、海外では早くから詳細に報道されていた。

 例えば、英BBC放送は先月23日、ロイヤルベビー誕生ニュースの次に、汚染水が地下を抜けて海に流出している可能性を東電が初めて認めた問題を詳しく伝えた。ロイヤルベビーに浮かれていたのは日本のテレビの方だったのだ。

<海外メディアは事故収束に懸念>

 このところ、英インディペンデント紙やガーディアン紙、米ウォールストリート・ジャーナル紙、シカゴ・トリビューン紙なども「事故は収束できるのか?」と、相次いで懸念を表明している。

 福島原発では1日400トンもの汚染水が発生し続けている。今の東電の技術では汚染水処理が追いつかず、貯蔵タンクは増える一方だ。その貯蔵タンクもあちこち破損して、汚染水が漏洩。3年後には耐用期限を迎えるタンクをどうするのか、方策は見つかっていない。つまり、日本の国土も海も汚染され続けるということだ。そんな場所でオリンピックなんて、国際世論が敬遠するのも当然だろう。

「本気で震災復興を考えているなら、7年後の復興五輪などと言っていないで、オリンピック関連で使えるカネを今すぐ福島原発の事故収束のために使った方がいい。汚染水対策は待ったなしで、費用もいくらかかるか分かりません。安倍首相も、原発を海外に売り込む前に、福島原発の汚染水問題に本腰を入れて取り組むべきですよ」(ジャーナリスト・横田一氏)

 世界中がそう思っている。能天気にIOC総会に出席する安倍は針のムシロだ。 .

朱建栄は今どこに?

2013年08月15日 08時03分46秒 | 中国
 朱建栄・東洋学園大学教授(中国政治)が上海に帰国中、行方不明になったと伝えられている。(下記参照)
 
 この朱建栄教授は、20年以上も前、「毛沢東の朝鮮戦争」(岩波書店 1991年)で学界デビューした。
 


 当時、岩波書店が中国人学者(中華人民共和国出身の学者)の著作を出版することは稀だったので、私も興味を持って読んでみた。現在、岩波現代文庫に収められている同書は、初版当時とは異なり、かなり加筆削除がなされているようだ。

 当時の私は、秘密のベールで閉ざされていた中国側の資料が使われているという事実に興味をひかれ、中国の学界も「改革開放」が進んでいるのだなあと感じた。同時に朱建栄という人物は、中国社会科学院に属するような大学者かと思っていた。というのも、岩波書店の権威主義はよく知られているように、無名の学者をいきなり登用して、出版させるようなマネは絶対にしない。学界権威、学界主流のお墨付きと岩波の「社風」が合致して初めて出版が実現する。朱建栄が30代の若手学者で、しかも学習院大学の学位論文(法学博士=政治学)がこの「毛沢東の朝鮮戦争」として出版されたのだと知ったとき、やはり驚きを禁じ得なかった。岩波書店が出版するくらいだから、学界権威からも承認された、やはり「名著」なのだろうと思った読者は数多くいただろう。処女作が岩波書店から発刊されたという”破格の”出来事は、朱建栄という人物が、学界やマスメディアで名を売るために、大きな援護射撃になったはずだ。

 ほどなくして朱建栄教授は、マスメディアに頻繁に露出するようになる。座談会形式の「政治討論会」「朝まで生テレビ」のような番組では、中国側の立場に理解を求めるような言説を繰り返す朱教授を見て、ある疑問が湧いた。この人は、日本の学界やマスメディアの世界で、中国政府の意向を代弁するために日本に送り込まれた人物ではないかと

 その後、朱建栄=スパイ説は、ネット上をかなりにぎわした。スパイの定義は難しいけれども、朱建栄の名がここまで知られるようになったのは、日本学界デビュー時の岩波書店のバックアップ、さらにはマスメディアをにぎわすようになってからは、彼を起用するTV局側の意向があったはずで、それらの根底にあるのは「中国筋」(中国政府の圧力)に対する迎合あるいは服従ではないのか?
 スキャンダルが大好きな民放ワイドショーが何故、「TVでお馴染みのあの中国人学者が失踪?」と騒ぎ立てないのか。ニュース報道でも、全く続報がないのは何故なのか?これ以上、詮索されたくない事情があり、「中国筋」が圧力をかけていると見るのが自然ではないか。


 おそらく、朱建栄の本性を最も熟知しているのは、石平氏(拓殖大学客員教授)ではないだろうか。石平氏は中国共産党による一党独裁に反対して、中国籍を棄て日本人となった。朱建栄とは全く反対の立場にあるが、それ故に朱の背景をご存じのはずだ。

 今回の失踪は、中国という独裁国家の底知れぬ闇、日本に送り込まれた中国人学者・研究者の黒い背景を思い知らされる一件だった。無名の研究者だった朱建栄を華々しく学界デビューさせた岩波書店は、彼の著作を何冊も出しているが、もし彼が「スパイ」だと分かったら、どう対処するつもりなのだろうか。「ゾルゲ事件」の尾崎秀実の著作を今も出版する岩波書店。スパイ活動や国際謀略に関しては、相当な経験をお持ちのはずだが…。

 
東洋学園大の朱建栄教授が行方不明 上海訪問後に

 【上海=金順姫】東洋学園大学教授で中国人の研究者、朱建栄氏(56)が、上海訪問後の7月から、連絡が取れない状況になっている。同大広報室の相川徹人部長は9日、「家族や大学と本人との間で連絡が取れず、行方がわからなくなっている。非常に心配している」と語った。中国当局に拘束された可能性もある。

 同大によると、朱氏は7月17日ごろ上海を訪れ、22日ごろ日本に戻る予定だった。上海出身の朱氏は華東師範大学を卒業し、1986年に来日。東洋女子短期大学助教授などを経て、東洋学園大教授。中国人学者らでつくる日本華人教授会議の代表も務めた。
                                 (朝日新聞)

【産経抄】8月10日

 真夏のミステリーである。流暢(りゅうちょう)な日本語を操り、ひところはテレビや雑誌などにひっぱりだこだった中国人の朱建栄・東洋学園大教授が、上海で忽然(こつぜん)と姿を消した。先月下旬の話である。
 ▼事件や事故に巻き込まれたのなら、何らかの連絡があるはずだが、まったくないという。現時点では「中国当局に拘束された」との説が最有力だが、彼は中国当局が忌み嫌う「人権活動家」では、さらさらない。
 ▼朱さんは、メディアで「中国は軍事大国ではない」と嘘八百を言い、尖閣問題でも天安門事件でも常に中国共産党の立場を擁護し続けた。日本人だけでなく、在京中国人の一部からも「当局の代弁者」とみなされてきたからこそナゾなのである。
 ▼ただ、テレビなどでの発言が、本心からのものであったかどうかは本人しか分からない。昭和61年に来日した彼は、中国人研究者の顔役的存在で、日中両国に幅広い人脈を持っていた。それがゆえに「二重スパイ」の疑いがかけられたとすれば、両国関係は抜き差しならぬ段階にきている。
▼中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵犯は、日増しにエスカレートし、先日は冒険家と称する男のヨットまで挑発行為に加わった。あさってから北京で予定されていた民間主導の「東京-北京フォーラム」も中国側の都合で延期になった。
 ▼8月15日を前に、中国がゆさぶりをかけているのは明白である。靖国神社に首相が参拝しなければ、日中首脳会談が実現し、尖閣への挑発もなくなる、との甘いささやきは、いつもの罠(わな)である。靖国に参拝し続けた小泉純一郎首相の時代には、日中首脳会談などしなくても何の支障もなかった。ある日突然、人間が消えてしまう国を、これ以上つけあがらせてはならない。



甲子園の高校野球は緊急地震速報より大事なのか?

2013年08月13日 11時56分31秒 | マスメディア

 昨日、ラジオを聴いていたら、評論家・勝谷誠が「緊急地震速報が鳴っているのに、試合を続行させた高野連、さらに野球中継を中断せずに、テロップと信号音だけ流したNHK」に対して、辛辣な批判をしていた。

 普段はあまり好きではない勝谷だが、この意見には全く同感。この後、高野連は緊急地震速報が鳴ったなら、試合を中断することを決定したという。(下記参照)こんな当然至極のことが想定されていなかったことに驚くが、さらにビックリなのは「緊急地震速報発表時には、ネット裏の放送席にいるその試合の幹事審判委員がブザーで球審を呼び、試合を中断するよう指示する」という、その内容。ホントにバカも休み休みに言え、と言いたい。奈良県が震源のM7級地震だった、5~10秒で最初の揺れが来るだろうに。これでは何を決めたのか分からない。

 驚きというよりも、やっぱりと感じて、次第に不愉快になってくるのがNHKの対応。緊急地震速報が鳴り、大地震が何秒後かに迫っていると分かったのだから、視聴者にそれを即時に分かりやすく伝えるのが公共放送の使命だろうが? 甲子園の経過なんて、あとでビデオで流せばいいことなのに、受信料をお支払いいただいている「視聴者の皆様」にそこまで遠慮して媚びるのか?NHKは思考停止のアホ・メディアだとあえて言っておく。

 東日本大震災時、NHKは数々の自己規制、偏向報道に手を染めた。原発事故に関して、「いまのところ問題はない」という政府発表をそのまま報道するばかり。最も犯罪的だったのは、NHK・BSで毎日放送する世界各国のニュースを放送取りやめにしたことだ。 ドイツZDFは、3.11からずっと原発事故の経過を詳細に報道し、日本政府とNHKが「何でもない」と言っている間に、福島原発のメルトダウンを伝えていた。

 国民の生命・安全に関わる基本情報は、情報操作で隠蔽するくせに、どうでもいいことには大騒ぎ。いまNHKのTVをつけたら、画面の横に「高温注意情報」が出っぱなしではないか。そりゃこの高温で熱中症になり、不幸にも亡くなる人は一定程度出るだろう。だが、NHKは、こんな「高温注意情報」をご親切に表示し続ける必要はない。

 緊急地震速報が出たら、どんなに人気番組だったとしても、それを中断して即座に情報を伝えるべきだ。「高温注意情報」で騒ぐなら、あの大震災時、ヨウ素やセシウムの拡散情報を即座に伝えるべきだった。


急地震速報 甲子園影響なら試合中断決定


第95回全国高校野球選手権


 大会本部は12日、気象庁から緊急地震速報が発表された場合の対応について、甲子園球場に影響があると判断した場合、直ちに試合を中断することを決めた。

 8日に行われた日川(山梨)―箕島(和歌山)では試合中に緊急地震速報が発表されたが、兵庫県への影響がないことを確認したため、試合を続行した。今後は、会場に影響がある緊急地震速報発表時には、ネット裏の放送席にいるその試合の幹事審判委員がブザーで球審を呼び、試合を中断するよう指示する。
   スポーツ・ニッポン 8月12日


甲子園 緊急地震速報出たら試合中断
8月12日 16時33分


高野連=日本高校野球連盟などで作る夏の全国高校野球の大会本部は、甲子園球場での試合に影響の出るおそれがある近畿地方などに緊急地震速報が発表された場合、試合をすぐに中断すると発表しました。

今月8日、気象庁は、近畿を含む広い地域に緊急地震速報を発表しましたが、震度1以上の体に感じる揺れは観測されませんでした。
甲子園球場では、夏の全国高校野球の試合が行われていましたが、緊急地震速報が発表された時の対応は決まっていませんでした。
大会本部は今後、甲子園球場での試合に影響の出るおそれがある近畿地方などで緊急地震速報が発表された場合、試合をすぐに中断することを決め12日発表しました。
具体的な手順としては球審は控え室の審判員が鳴らしたブザーで緊急地震速報が発表されたことの連絡を受け、直ちに試合を中断します。
また観客に対しては甲子園球場が震度7の揺れにも耐える構造になっているため、場内アナウンスと電光掲示板でその場にとどまるよう呼びかけます。
そのうえで大会本部は、揺れや実際の被害についての情報を集めて、球場側と協議し、試合を再開するかどうか判断することにしています。    NHK News web 8.12 

屋根まで駆け上れ ニガウリのカーテン

2013年08月02日 14時28分19秒 | hobby
 最近は珍しくなくなったニガウリのグリーン・カーテン。5月初めに植えた苗が、生存競争の果てに、「四大強国」ほどになって、地面を覆い尽くした。こうなると、隣に植えられた花や植物は、ニガウリによって「実効支配」されてしまう…。
 他の植物を守るためにも、ニガウリの勢いを上に向かわせなければということで、こんな感じのグリーン・カーテンが完成。今月中旬には、先端が二階の屋根まで到達すると思われる。

 このグリーン・カーテン、確かに日よけにはいいのだが、防犯上はマイナスのような気がする。

 

中国研究の第一人者 竹内実氏死去

2013年08月02日 10時26分13秒 | 中国

 今朝、新聞を開いたら、竹内実氏の訃報が目に入った。享年九十。大往生だった。

 他の新聞の訃報にも目を通したが、現代中国研究、毛沢東研究の第一人者という点では「朝日」から「産経」まで一致している。これは文化大革命から開放改革を経て現在の中国に到るまでの時の流れを実体験している者にとっては、驚異的なことである。20、30歳代の人はご存じないだろうから記しておくと、現代中国研究という世界(というよりムラか…)は、「ひとつの中国」(中華人民共和国か中華民国か)を巡る踏み絵の場という感じで、部外者には一種異様な世界に見えた。

 特に文化大革命の評価を巡っては、これを評価するものと、否定するものとまっぷたつに分かれた。安藤彦太郎、新島淳良、菅沼正久等々の「日中友好人士」(中国側に立つ左翼学者)は、文革を「魂に触れる革命」だと誉めそやした。一方、中嶋嶺雄、衛藤瀋吉、石川忠雄などのリアリスト政治学者、柴田穂(産経新聞)は、真っ向からこれを批判した。

 このときの竹内実氏の立場は、微妙なように見えた。竹内氏自身は、中国文学者で「支那」の古典から近代中国文学まで造詣が深く、政治的な事象よりも中国人そのものを理解すべき対象として見据えていたように思えた。この時以来、竹内実氏は、現代史、政治史を含めた、総合的な「現代中国研究」を志向していく。それは左翼の薄っぺらい中国研究者では到底なしえない壮大さだった。最近、氏の回顧録を読んでいたら、新島淳良が「僕は貴方と対決する」と言って、氏をにらみつけたというエピソードを見つけた。新島淳良は、当時、早大政経学部教授(中国語)で、毛沢東を礼賛する新左翼の思想的リーダーとか言われ、文革を礼賛する大言壮語を書き散らしていた。その後大学紛争が収まると、新島は早大にいられなくなり、「ヤマギシ会」に入退会を繰り返し、哀れな末路を終えた。

 竹内実氏が書かれたこのエピソードは、左翼学者新島の学問的な力量は竹内氏に遠く及ばず、これを嫉妬した新島が陰に陽に妨害をしたと読みとれる。進歩的な左翼学者などというものは、大言壮語の割には、実は「小人」であり、嫉妬深い存在なのだと、今になればよく分かる。

 新島や安藤彦太郎のような左翼学者は、中国当局からお墨付きを得た資料以外は使わないという連中だった。(新島は、後にこれに関連するトラブルで中国当局から「破門」されるが…。)
だが、「毛沢東選集」を例にとれば、毛沢東の言説は「学問」でも「研究資料」でもなく、当面の政治闘争のための指針なので、状況に応じて次々と書き換えられてきた。左翼学者はこのことを知りつつも、中国当局がお墨付きを与えていない文書については、論評も引用も避けてきた。
 竹内実氏が手を付けたのが、この毛沢東選集の原典を明らかにする作業だった。中国・中国人に対する深い洞察力がなければ、到底なしえない作業だったといえる。この点について、訃報には次のように書かれている。

毛沢東の重要著作を集めた「毛沢東選集」の内容に疑問を持ち、初出時の雑誌やパンフレットなどの原文や選集に未収録の文章を丹念に調査。その成果をもとに70~80年代に編さんした「毛沢東集」全20巻は、以後の毛沢東研究に不可欠の書として国際的に高い評価を得た

 戦前の中国、そして戦後日本の中国認識の変遷を知る大学者が去っていった。誰も時の流れには抗えない…。

 

竹内実氏死去 京大名誉教授竹内実氏

 豊かな文学的感性と鋭い歴史認識を駆使した中国近現代史研究の第一人者で京都大名誉教授の竹内実(たけうち・みのる)氏が7月30日、京都市内の病院で死去した。90歳。中国山東省出身。葬儀は近親者のみで行う。(8面に関連記事)
 幼少期を中国で過ごした後、19歳で東京に移り、二松学舎専門学校で漢文学を学んだ。京大文学部から東京大大学院に進み、東京都立大助教授として研究生活を送ったが、学園紛争の混乱を機に辞職。1973(昭和48)年に京大人文科学研究所助教授となり、教授を経て86年から1年間、所長を務めた。退官後は立命館大教授や北京市の日本学研究センター教授を歴任した。専門は現代中国論、中国文学。  (京都新聞)
 毛沢東の重要著作を集めた「毛沢東選集」の内容に疑問を持ち、初出時の雑誌やパンフレットなどの原文や選集に未収録の文章を丹念に調査。その成果をもとに70~80年代に編さんした「毛沢東集」全20巻は、以後の毛沢東研究に不可欠の書として国際的に高い評価を得た。文化大革命を批判的に考察した論文「毛沢東に訴う」(68年)も話題になった。
 魯迅(ろじん)の研究でも知られ、著書「周樹人の役人生活-五四と魯迅・その一側面」では文学と歴史の接点を独自に解析し、中国近代史研究の新境地を切りひらいた。2001~06年には日本人として初めて中国で個人全集「竹内実文集」10巻を刊行した。「毛沢東 その詩と人生」(共著)、「中国 歴史の旅」など著書多数。本紙夕刊「現代のことば」を79~88年に執筆した。(京都新聞)


中国研究者の竹内実さん死去 毛沢東論など記す


 毛沢東論などで知られる現代中国研究者で京都大学名誉教授の竹内実(たけうち・みのる)さんが死去した。90歳だった。葬儀は近親者で行う。後日、竹内さんが顧問を務めた「現代中国研究会」(代表=吉田富夫・佛教大名誉教授)がしのぶ会を開く。
 1923年、中国山東省生まれ。京都大学文学部卒、東京大大学院修了。東京都立大助教授だった70年、大学紛争に嫌気がさして辞職。73年から87年まで京大人文科学研究所で教授や研究所長などを務めた。同年から94年まで立命館大教授、その後も北京日本学研究センター教授、松阪大学教授などを歴任した。
 19歳までの中国生活で培った滑らかな北京語の能力が研究のベースとなり、現代中国文学の紹介に努めた。60年の安保闘争下に作家の野間宏氏らと訪中。日本の反安保闘争を評価する毛沢東との会見記「毛沢東主席との一時間半」を、感動的な筆遣いで発表した。65年には「毛沢東―その詩と人生」(武田泰淳との共著)を発表。いずれも話題になった。
 文化大革命には懐疑的で、68年の論文「毛沢東に訴う」では、近代中国の屈辱の歴史を終わらせた毛を評価しつつ荒廃を生んだ文革を批判した。毛の人間的魅力への共感は失わず、その後も「毛沢東の生涯」「毛沢東」などを著し、06年には編著「漢詩紀行辞典」を出し、注目された。
 晩年には中国が「中華世界」であることを強調して、安易な中国理解を戒めた。天安門事件でも学生擁護のムードが強かった日本の論調に対して、学生の自重を求めるなど距離を置く姿勢をとった。
 著書はほかに「魯迅(ろじん)遠景」「現代中国の思想」など。
     ◇
 《親交のあった吉田富夫・佛教大名誉教授(中国文学)の話》 中国の文学や歴史など個々の分野の専門家は多いが、竹内さんは現代中国を総体で捉えることができた万能選手のような研究者だった。研究の基礎には中国で生まれ育った体験や高い語学力があった。座談の名手で、私たちの思い込みを意表をつく発想でひっくり返した。亡くなられたことは寂しく、残念でならない。
                           (朝日新聞)