澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

映画「Kimjongilia」(金正日花)を見る

2011年12月31日 00時13分44秒 | 音楽・映画

 たまたま、映画「Kimjongilia」(キムジョンジリア)を紹介するTV番組を見た。ローカル局の番組なので、ほとんどの人は見られなかったと思う。

 この映画は、2009年制作の米国映画。「Kimjongilia」とは、金正日花と呼ばれるベコニア系の花を指すらしい。次の写真の下部に飾ってある、この花だ。
 (赤い花が「金正日花」)

 映画の内容は、金正日の賛美などではなく、北朝鮮という独裁国家に内在する恐怖、貧困、人権抑圧を告発するドキュメンタリー映画だ。「喜び組」に所属して金王朝の秘密を知るが故に、強制収容所に送られ、すべての家族を失った老女。強制収容所で産まれ、24年間その中で暮らした後、脱北に成功した青年。日本でも強制収容所の体験記(「北朝鮮脱出」)が出版され反響を呼んだ姜 哲煥氏など、北朝鮮から脱出した人々にインタビューを試みている。

  http://www.kimjongiliathemovie.com/

 金正日の死去をめぐる日本のニュース報道は、核心となる問題を避け、どうでもいいようなことばかり報道しているという印象を受ける。核心となる問題とは、北朝鮮が専制的独裁国家であり核保有国であること、同時に「反日」を国是とする国だという事実だ。ワイドショーのコメンテーターなる人が、金正恩が東京ディズニーランドに来たという情報を根拠に「知日派だから、今後日朝関係はよくなるかも知れない」などと喋っているのを見ると、この映画を見てからコメントしろよ、と言いたくもなる。

 脱北者のひとりである音楽家が興味深いエピソードを話していた。こっそりとリチャード・クレーダーマンのピアノ曲を弾いていたのを密告され、脱北を余儀なくされた。北朝鮮でピアノを弾ける環境というのは、エリート層に他ならない。私は、文化大革命期、中国から香港に脱出した紅衛兵が、香港のラジオ放送から流れてくる音楽を聴き、「世の中にはこんな美しい音楽があるのか。こんな音楽があるのは素晴らしい世界に違いない」と思ったというエピソードを思い出した。

 朝鮮半島をめぐるさまざまな問題に対して、日本国および日本人は、戦後ずっと及び腰の対応を続けてきた。毅然とした態度を示すべき時も、過去のいきさつを突かれることを恐れ、そうしないできた。だが、北朝鮮という専制独裁国家をここまで増長させたのは、曖昧な日本の態度にも責任の一端があるのではないかと思えてくる。例えば、パチンコの景品交換を取り締まるだけでも、北朝鮮の独裁体制を動揺させるだけの効果があったはずなのに、「パチンコは健全娯楽」という建前でそれを見過ごした。

 この映画は、北朝鮮を直視するいいきっかけになる。日本海を隔てた隣国には、二千万人の飢えた人民が、憎悪に満ちた目で日本を見ている…それくらいのリアルなイメージは持つべきだろう。

 


地震速報機を購入

2011年12月28日 01時24分10秒 | hobby

 ニュースで東海・東南海・南海三連動地震の想定震源域が拡がり、地震の規模をM9に修正したと聴いて、3.11のあのときを思い出した。

 あのとき私は、たまたまラジオで国会中継を聴きながら、道を歩いていた。突然、「東北地方に強い地震」という地震警報を聴いたのだが、揺れを感じるまでは30秒ほどの時間があった。遠い場所の地震なので、それほど揺れないのではないかと思ったが、予想外に強い揺れだったので驚いた。それでも、情報を知っていたのは心強かった。突然、地震の揺れを感じた人よりも、慌てず、ずっと冷静に対処できたことは間違いない。

 3月の時点では、TVは地デジ化されていなかったので、地震警報はTV・ラジオともに同一時刻に聴くことができた。ところが、地デジ化以降は、TVの地震警報はリアルタイムのラジオ音声よりも5秒ほど遅れるのだそうだ。この5秒というのは、実に大きい。災害国・日本では地デジ化などしない方がよかったのではないかと、今になって悔やまれる。
 
 そこで、ユニデン社の地震津波速報機・EWR200を購入した。amazonで4,900円ほどだった。
 これを日中は居間に、夜間は寝室に置くことにした。震度5弱以上の地震は、ラジオの警報を感知して、大音量で告知するという。まだ、実際にはそれに該当する地震は起きていないので、どんなふうに鳴るのかと思っていたら、YouTubeに実例がUPされていた。
 
 あのときの経験から、多分役立つのではないかと思っている。

 

【ユニデン EWR200】
ユニデンは、FMラジオ放送の緊急地震速報(EEW)と緊急警報放送(EWS)を使用した、地震津波警報機「EWR200」を8月30日に発売する。価格はオープンプライスで、同社直販サイト「ユニデンダイレクト」の価格は6,980円。

 EEWは震度5弱以上の地震が予測された場合に、EWSは大地震や津波などの災害が発生した場合に放送される。本機は、この2種類の放送を受信すると、ラジオ音声とLEDフラッシュライトの点滅で、警報を行なう。EEWおよびEWSは無料で受信できるため、申し込み手続きや月額利用料などの負担なく、警報機を設置できるとしている。受信するのは76~90MhzのFM放送帯域で、導入時に設定が必要。

 電源はACアダプタだが、本体内にニッケル水素充電池を内蔵しており、停電時でも24時間以上の動作が可能としている。監視時の消費電力は1.0W。

 本体サイズは184×90×41mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約410g(ACアダプタ除く)。FM放送受信用のロッドアンテナのほか、外部アンテナ接続端子を備えている。


北朝鮮のアナウンサーを真似して総統選挙を報道する台湾TV

2011年12月21日 12時11分18秒 | 台湾

 金正日死去が報道された一昨日、私は夕方まで全くこのニュースを知らなかった。東日本大震災ほどの出来事を見てしまえば、金正日の死去など、まさに他人事にすぎない。 
 その後、日本のマスメディア報道をじっくり見ていると、客観性を装った無責任な報道が数多く見られる。
 北朝鮮有事を考えれば、この出来事は実は「対岸の火事」「他人事」ではない。にもかかわらず、「お茶の間の話題」程度の感覚でいるマスメディアの態度には、腹立たしいばかりだ。

 そんなところに、台湾通の知人から興味深い映像があることを教えてもらった。台湾の人気TV番組(下記映像)で、局アナがあの北朝鮮の女性アナを真似て、チマチョゴリを着て、朝鮮語で話し、賛否両論を巻き起こしたそうだ。台湾のマスメディアが完全に「自由化」されたのは、たかだかこの20年間に過ぎない。それまでは、中国国民党による独裁政治が続き、台湾人は独裁政治のウラオモテを知り尽くしている。それ故、北朝鮮の帰趨についても、日本人と違った目で見ることができるのだろう。

 来年1月、台湾では総統選挙が行われる。その結果によっては、台湾が共産党独裁国家である中国に併呑される恐れもある。そんななか、北朝鮮を笑い飛ばすようなこの番組、台湾は、まだまだ日本よりずっとパワーがあるようだ。加油 台湾! 

【record chinaより引用】

2011年12月19日、台湾・今日新聞網によると、台湾の民放テレビ局・中華電視の女性アナウンサーが、北朝鮮の国営朝鮮中央テレビで最重要報道を担当する名物女性アナウンサー、リ・チュンヒ氏の物まねでニュースを読み、インターネット上で「やり過ぎだ」と批判を浴びた。

問題となった女性アナウンサーは、夜のニュース番組に登場。ピンク色の民族服・チマチョゴリに身を包み、髪を結い上げた様子は北朝鮮のリ氏そっくり。韓国語であいさつし、ニュースを読み始めたところ、いきなり台湾なまりに。これを見た視聴者からネット上に「やり過ぎだ」「視聴者をばかにしている」「救いようがない」などの非難が殺到した。

同局ではこれまで、アナウンサーが農民、声楽家、歴史上の人物、選挙候補者、屋台店主など、さまざまな人の格好にふんしてニュースを報道。しかし今回は金正日(キム・ジョンイル)総書記死去直後。視聴者もさすがに笑えなかったようだ。(翻訳・編集/AA)


韓国の「反中デモ」に大騒ぎ、尖閣事件に沈黙するマスメディア

2011年12月14日 08時04分03秒 | マスメディア

 
(知人が撮影した「尖閣事件に抗議する市民デモ」~2010年10月 東京)

 中国漁船船長によって韓国海洋警察官が刺殺された事件。日本のマスメディアは傍観するのかと思っていたら、意外にも大騒ぎ。黄海上の中韓トラブルなど、歴史を振り返れば枚挙にいとまがない。トラブルの海という黄海だが、今や日本には何の関係もないのだから、高みの見物も悪くはないはずだ。

 尖閣事件を思い起こすと、日本のマスメディアがいかにダブルスタンダード(二重基準)で報道しているのかがよく分かる。尖閣事件では、日本の領土が侵犯されたにもかかわらず、民主党政権は、決して強く中国に抗議することはせず、那覇検察庁の判断という名目で船長を釈放した。これに抗議する「反中」デモが日本各地で行われ、二万人もの普通の市民が参加したが、日本のマスメディアはこれを一切報道しなかった。その理由は、このデモが「右翼」のデモだからということだった。だが上掲の写真を見れば分かることだが、それは整然とした合法デモ行動だった。国旗である日章旗を掲げているのが「右翼」の証拠だとでも言うのなら、マスメディア関係者よ、あなた方は何者だというのか?

 韓国の事件は、尖閣事件とほぼ同じ。しかし、韓国の事件については、韓国市民へのインタビュー、デモで五星紅旗を踏みつぶす映像など、かなり詳細に報道しているのに対し、尖閣事件では日本国民が「反中」に向かうことを懸念して報道しない。

 電通やNHKには、すでに「反日勢力」が入り込んでいるとは、既に言われていることだが、国会にも入り込んでいるのではないか? 尖閣事件のビデオが国会議員のみに公開されたとき、福島瑞穂は「何か中国船がコツンと後ろから当たってような気がして…」ととぼけた。日本が「普通の国」並みに自衛努力をしようとすると、福島のような人物は、「憲法」「平和」「人権」を振りかざして、隣国の肩を持つ。
 もちろん、海上保安庁の一色氏がビデオを国民に公開したので、この福島瑞穂の発言はモノ笑いの種になった。だが、国会の中にも、日本人・日本国を貶め、隣国と内通する勢力がいる事実は、嗤っては済まされない。


ドラマ「坂の上の雲」に見るNHKの「捏造史観」

2011年12月13日 20時16分08秒 | マスメディア

 NHK「坂の上の雲」は、先日、二〇三高地の戦闘にまで話が進んだ。全部を見ているわけではないが、ドラマの冒頭部分のこのナレーションには、見るたびに心を打たれる。

 司馬遼太郎が「坂の上の雲」で描きたかったことは、すべてこのナレーション部分に凝縮されているように思う。

 ところが、NHKドラマの中では、司馬遼太郎の原作には存在しない次のような台詞が付け加えられていると聴き、驚くと同時にさもありなんと思った。
 このことを指摘しているのは「NHK捏造史観の作り方」※というブログ。 

http://blog.goo.ne.jp/inoribito_001/e/16c6736118584dd3f4afabe4d238f68b

 問題の部分を引用する。

正岡子規が、従軍記者に決まり大喜びで母親に、その報告をする
そこで母親の言葉
「日本は今、随分親しかったお国と戦こうておるんじゃね
見てごらん、掛け軸は漢詩、お皿はシナの子が遊ぶ絵皿
子供の頃、おじーさまによくシナの話を聞かされました
シナは夢のようなお国で
だーれも憎い敵じゃとは思わなんだ」
正岡子規がその話を聞かされ
陰鬱な表情を浮かべ座り込む

以上は原作にない、NHKにより追加された部分

はて? この母親のセリフが坂の上の雲というお話にどう関わるのか?
原作にない部分まで作って、訴える目的はなんでしょう?

まるで現代の日本人へのお説教とも取れるのですけど。

地球市民的発想を言い立てて中国を支持する人たちの
定番セリフではありますね。
「日本はずいぶん中国から文化をいただいて恩義がある。
敵対すべきではない」

敵対してきてるのはあちらなんですけど。
ありもしない南京とか言い立ててお金を踏んだくって行く。
ゆすりたかり国の朝鮮人メンタリティを作ったのは、ある面
宗主国であった中国だって気もしますしね・・・
迷惑・・・。

 司馬遼太郎は、冒頭のナレーションのように、何もない小さな国(日本)が欧米列強の侵略に迫られて立ち上がった歴史を描こうとしただから「…シナは夢のようなお国で だーれも憎い敵じゃとは思わなんだ」
という台詞は、このドラマの趣旨とは合わない。原作には存在しない台詞だという指摘が頷ける。

 もし「坂の上の雲」の中にこういうことが書かれているのなら、ぜひ教えてほしいと思う。上記のブログの指摘のように、NHKがドラマ制作過程で追加したのだとすれば、NHKは司馬遼太郎の原作を冒涜するとともに、現在の「人権」「平和」「共生」などの価値観で歴史を裁いていることになる。まさか司馬遼太郎のドラマを借りて、「日本は中国にひどいことをした」「悪いの日本だ」と視聴者の刷り込もうとするのか?
 いみじくも、冒頭のナレーションでは、当時の歴史を知らなければこの物語は理解できない、と言っている。その舌の根も乾かぬうちに、「地球市民」的感覚で番組を制作しているのだ。これがNHKの捏造史観だと言っていい。
 
 
 

 

 

 

 

 

 


ハワイに行ったら真珠湾を見よう! 真珠湾攻撃70周年

2011年12月08日 19時43分47秒 | 歴史

 今日は真珠湾攻撃70周年ということで、マスメディアは各種のニュースや関連番組を流している。だが、大半は「悲惨な戦争を繰り返さない決意」とやらを語るだけで、1941年の今日何故、連合艦隊がハワイを奇襲したのかという原因について触れることはない。
 歴史とは本来「現在の都合で書き換えられる」ものだと認識しているので、いわゆる自虐史観に呪縛された現代日本の閉塞状況は、速やかに改めるべきだと思っている。

 今年の5月、ハワイ旅行の際、私は真珠湾と中華街(チャイナ・タウン)を訪れた。ワイキキ・ビーチからバスを乗り継ぎ、1時間以上かかって真珠湾に着いたが、周囲の観光客に日本人とおぼしき人は一人もいなかった。アジア人らしき少数の人達は、多分、中国人と韓国人だっただろう。
 ハワイには多くの日本人が訪れるのに、何故、真珠湾には行かないのか?そこには、歴史に無頓着な日本人特有の甘さがあるように思われる。真珠湾には何が展示され、どういう説明が為されているのか? そして、それらは日本人が容認できる内容なのかをぜひこの目で確かめようではないか、と思う。

 真珠湾で撮影した説明プレート等の写真を掲げてみよう。その中に「真珠湾攻撃以前の平和なハワイ」というプレートがあるが、何のことはない、米国がハワイ王国を滅亡に導き、ハワイを属領にした歴史はきれいに消し去って、日本が攻撃する以前のハワイはかくも平和だったとうそぶいているに過ぎない。さすがこう主張できるのは、「戦勝国」の特権だろう。

 日本人はめでたくも「平和への誓い」「悲惨な戦争を反省」などと繰り返しているが、米国人の主流は、今なお「JAPの真珠湾攻撃を忘れるな」なのだ。そのことは、写真を見ただけでよくわかる。ともあれ、ハワイ旅行の際は、真珠湾に足を伸ばそうではないか。




 (「嵐の前に…」)


(日本軍の第一波、第二波攻撃

 


(沈没した「アリゾナ」をそのまま展示する「アリゾナ記念館」)

時代の風:「12・8」から70年=東京大教授・加藤陽子

 ◇削除された開戦の意図

 今年は、日本軍のマレー半島上陸と真珠湾空襲によって太平洋戦争が開始されてから70年にあたる。12月8日がまた巡ってくる。丸70年といえば、ひと一人の人生の時間に相当するだろう。もっとも、世界に冠たる長寿国の日本では、昨年段階で女性の平均寿命が86・39歳、男性が79・64歳に達してはいるが。

 戦場を体験した世代で最も若い層であるはずの敗戦時に16歳の少年飛行兵だった人々を考えてみても、彼らでさえ、今や優に80歳を超える現実がある。やがて、戦場を知る人々が世代ごといなくなる時代もやってこよう。戦争の裏と表をつぶさに見た人々が、折々の生活のなかで、家族に伝えてきた多様な体験。彼ら彼女らによって伝えられた「戦争の話」こそが、日本人の戦争観を大きく規定してきたと思われる。

 人々の戦争観を見る際に参照されることの多い、2005年に読売新聞が行った調査は、そのような意味で興味深い結果を出した。1941年に開始されたアメリカと日本の戦争を侵略戦争だとする人は34・2%。それに対し、37年からの中国との戦争を、日本の侵略だったとする人は、そう思う、ややそう思う、を合わせると68・1%に達する。注目すべきは、日中戦争を侵略戦争ではなかったとする積極的な否定論が、1割程度にとどまったことだろう。

 当時も激しかった歴史認識論争の中で、調査結果を読んだが、第一印象として、先の大戦に対する日本人の戦争観は思いのほか穏当なものだと感じたことを思い出す。日本社会において、戦場や戦争を体験した人々の存在とその語りが、調査で見られた、比較的穏当な戦争観をもたらしてきたのではないか。そうだとすれば、戦場や戦争を知る世代が退場してゆく今後が正念場となる。

 先に私は、アメリカとの戦争を侵略戦争と考える人が3割強、中国との戦争を侵略だと考える人が7割弱と出た調査結果を「穏当」と書いた。こう書いたのは、新聞調査に表れた国民の戦争観が、日本政府によって公式に表明されてきた見解に近い内容となっていたからである。

 95年、村山富市内閣は「戦後50周年の終戦記念日にあたって」とする首相談話を閣議決定の上で発表した。同談話は「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ」として国民と戦争の関係を述べ、対外的には「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」とまとめていた。

 10年後の05年、小泉純一郎内閣も終戦記念日にあたっての首相談話を発表する。国民と戦争の関係を述べた前段「先の大戦では、三百万余の同胞が、祖国を思い、家族を案じつつ戦場に散り、戦禍に倒れ、あるいは、戦後遠い異郷の地に亡くなられています」のトーンは、村山談話と大きく異なっていた。だが、対外的側面について述べた後段「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」との評価は、村山談話を踏襲したとわかる。

 小泉内閣以降の歴代内閣もまた、アジア諸国の人々に対する植民地支配と侵略についての見解につき、基本的には二つの談話を踏襲してきた。そうであれば次に浮かぶ問いは、アメリカとの戦争、太平洋戦争についてはどうなのか、ということになろう。

 開戦から70年もたったのだから、新たな発見などそうそうあるまいと思われるかもしれない。だが、そうした予想はうれしいことに裏切られる。一例として、真珠湾攻撃30分前、アメリカに手交されるはずだった「最後通牒(つうちょう)」1件を挙げておく。ワシントンの日本大使館の職務怠慢によって、宣戦布告文の手交が攻撃開始50分後となり、奇襲攻撃の汚名を負ったとの解釈と経緯はご存じだろう。

 この通説的解釈に、新史料を提示して反論を加えたものに井口武夫著「開戦神話」(中公文庫)がある。東郷茂徳外相から野村吉三郎大使宛ての最終訓令は、実のところ、日米交渉打ち切り通告文以上のものとして読めないよう作文されていたのではないか。交渉打ち切り通告だけでは宣戦布告の意思表示とならないのはハーグ条約からも明らかなのに、なぜ外務省は打ち切り通告文を送ったのか。これが、元外交官であり外交史を専門とする井口氏の見立てと問いである。

 事実、41年12月3日、当時外務省アメリカ局長であった山本熊一は、明確な開戦通告の文言を含む最後通牒草案を準備していた。だが翌4日、大本営政府連絡会議の席上、開戦決定をアメリカに察知されるのを忌避する軍部の反対によって、明示的に開戦意図を述べた末尾の一文が削除されることとなった。

 緒戦の軍事作戦の成功のみを考える軍部に、外務省本省がこの時点で屈していたことの意味は大きい。災いの種は東京でまかれていたともいいうる。先の調査で見た国民の戦争観でも、アメリカとの戦争に対する評価はいまだ定まっていないようだ。歴史学の出番は、むしろこれからが本番なのかもしれない。=毎週日曜日に掲載

毎日新聞 2011年12月4日 東京朝刊


「朝日新聞の中国侵略」と「革新幻想の戦後史」

2011年12月07日 07時53分19秒 | 

 最近、本を読もうとする意欲が減退しているので、それじゃあだめじゃん、と考えて、我が町の大手書店に行く。
 このところ、本を買う場合でも、アマゾンをまず検索する。もし、中古品で適当なモノがあれば、それで済ますというのが習慣になった。それと、ブックオフに行き、安いからと買ってしまう本が増えた。どちらも、本来の本と出会う楽しみ(そんなものが今あるのかどうか知らないが)を損なうものだ。

 というわけで、書店の新刊書の中から気になった本は、次の四冊だった。

1 「朝日新聞の中国侵略」(山本武利著 文藝春秋社 2011.2)
2 『「諸君!」「正論」の研究~保守言論はどう変容したか』(上丸洋一著  2011.8 岩波書店)
3 「革新幻想の戦後史」(竹内洋著 中央公論新社)
4 「新しい世界史へ」(羽田正著 2011.12 岩波新書) 


 戦前、朝日新聞は紙面で大々的に「中国侵略」を鼓舞したが、その足跡を調べるのは容易ではないようだ。朝日が関係資料を公開しないので、「朝日新聞の中国侵略」の著者は、米国の公文書館まで出向いて調べたそうだ。現在の「朝日新聞」は、むしろ開き直って、その戦前の「反省」に立って中国との友好に尽くすこと(親中)が社是なのだそうだ。辛亥革命100年を記念する社説では「封建王朝を倒して革命を成し遂げた中国」と言った朝日だが、媚中の源流がどこにあるのかよくわかる。

 最近、じり貧の岩波は、同業他社の総合誌である「諸君!」(現在休刊 文藝春秋社)、「正論」(産経新聞社)を貶す本まで出版した。昔だったら、岩波という「権威」にアグラをかいて、こんな雑誌は歯牙にもかけなかったのだが、時代は変わったものだ。それにしても、岩波は「変容」という言葉が大好きだなあ。

 「新しい世界史へ」(岩波新書)のサブタイトルには、嗤った。地球市民の構築…とか書いてあった。最近のニュースを見ただけでも、東日本大震災、ECの経済危機、中国の膨張、中東問題など、「地球市民」への道など遠ざかるような事象ばかり。岩波は、この期に及んで、理想論、あるべき論、いやおとぎ話のようなことを書き連ねる本ばかり出す。今時、「岩波だから」と言って、こんな本を買う人などいるのだろうか。まあ、世間知らずの高校社会科教師が推薦書にすることは間違いないだろうが。

 昔のままの「権威」をふりかざし、「平和呆け」「進歩主義幻想」を振りまく岩波書店に対して、真っ向から立ち向かったのが「革新幻想の戦後史」。これは、小熊某が書いた本と内容がだぶっているようだが、実は同時代を知る人が読めば、特に目新しい内容は含まれていない。同時代を生きた人は、時代のディテールを覚えているから、歴史的に総括した本書には、違和感を感じる人も多いだろう。

 結局、本は何も買わなかった。雨が降ってきたが、傘がない。そこで、雨傘だけ買って帰ってきた。
 読まなくても、本の内容が想像できるというのは、つまるところ、知的好奇心が減退し、デジャブ感ばかりということ。トシをとったな…。

 


200億円支援の台湾に日本外務省がひどい仕打ちをしていた

2011年12月06日 09時20分40秒 | 政治

 「10月6日に開かれた台湾の建国記念日、双十節(10月10日)の祝賀会には、各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)ら、政府関係者は出席を自粛するようにという通知を出していたのです。中国への卑屈さと、台湾に対する非礼には呆れるばかりです。」

 こう憤るのは、櫻井よしこ氏。「SAPIO」の記事(下記に転載)を見るまで、私は、日本政府がここまで中国に媚びるとは思っていなかった。国際法的に見て、日本と台湾は実質的な国交関係を結んでいるので、双十節の祝賀会に政府関係者が出席することについて何ら遠慮する必要はないはずだ。ましてや、今年は東日本大震災が起きて、台湾からは他国を圧倒する200億円以上もの義援金が日本に寄せられた。この事実に対して、日本政府は公式のお礼を台湾政府に伝えていない。それどころか、びた一文の支援さえしなかった中国、韓国からの「支援」には「感謝」の意を表しているのだ。

 民主党政権がかくも愚かなのは、「政治主導」の名のもと、外交の継続性さえ破棄しているからだ。沖縄問題でも、対中外交においても、自民党政権時代の一定の成果が、政権交代によって水泡に帰している。「悪いのは官僚・公務員」という民主党の公務員攻撃は、一般大衆を欺く点では大いに効果があったが、自らが権力の座に登ってもなお「公務員が悪い」というのでは、自らの無能をさらけ出すのも同然ではないか。

 「憲法」「市民」「平和」「環境」等々、きれい事を並べるだけで、日本人、日本国の明日を考えようともしない民主党政権。これを米国から見れば、「だだをこねる属国」、中国からは「脅せばなびく朝貢国」と映ることだろう。

200億円支援の台湾に日本外務省がひどい仕打ちをしていた

経済の急成長とともに台湾への野心を剥きだしにしつつある中国。しかしそれを見過ごすことは日本にとっても大きな問題になりかねないとジャーナリストの櫻井よしこ氏は警告する。

* * *
軍事力で相手を脅しながら、一方では経済や文化の交流で籠絡し、抵抗の意欲を失わせる。こうして軍事力を使わずに相手を屈服させるのが「孫子の兵法」、中国の戦略です。

中国の策略に自ら嵌まり、属国精神に染まっているのかと問いたくなるのが、台湾の馬英九総統です。台湾はアメリカに新型戦闘機F16C/Dを66機購入したいと要望して結果断られましたが、馬氏は、「米国がF16C/Dの売却をできなくても仕方がない」と発言したと聞いています。最初から諦めているかのような発言です。「自分たちの手で台湾を守る」という気概そのものが、国民党政権にはないと言わざるを得ません。

中国は1979年以来、台湾に「三通」(通商、通航、通信の直接交流)を呼びかけてきました。その結果、両国の経済的交流が深まり、昨年9月には中台経済協力枠組協定(ECFA)が発効しました。協定では中国が539品目の関税を撤廃し、台湾は267品目を撤廃と、一見台湾に有利ですが、真の目的は台湾を「経済的に離れられなくする」ことです。

台湾経済の中国への依存度は高まるばかり。現在、台湾の輸出の40%は中国向けで、中国大陸で働く台湾人は150万人規模にのぼります。家族を含めれば約600万人です。2300万人の台湾人のおよそ4分の1が中国との直接的関わりの中で生計を営んでいることになります。

馬氏は最近、10年以内に平和協定を結ぶ意向を示しましたが、平和の名のもとに、実質的には併合協定が結ばれてしまうことでしょう。

来年1月の台湾総統選は、まさに台湾の存亡を決する選挙になると思います。日本にとっても他のアジア諸国や米国にとっても、命運を左右する重要な分岐点です。

引き続き馬氏が総統となれば、中国の台湾併合への戦略は、次の段階に進むでしょう。もちろん、馬政権の親中的政策を批判する民主進歩党の蔡英文氏が勝っても、中国の基本的な路線は変わりませんが、台湾側が自ら中国の手に落ちていくような方向性を転換することにつながります。

台湾が脅かされれば東アジアが不安定になる以上、それを防ぐことが日本の国益です。

日本が台湾に対してできることはたくさんあります。今すぐにでもできるのは、「台湾の未来を台湾の人々の意思に沿って守っていく」という意思を日本として明らかにする、つまり民主主義を支持すると表明すること。そのために支援を惜しまないと言い続けることです。これは台湾の人々を勇気づけ、台湾の政治に力を与える効果を生みます。

言葉だけでなく、実際の行動においても台湾との関係を緊密にしていくことが大事です。台湾とのFTA(自由貿易協定)で経済交流を深め、交換留学生をはじめ、各界各層の人事交流も活発に行なっていくべきです。

軍事的には、米国とアジア諸国、インド、オーストラリアなどとの連携が重要になります。日本は原子力潜水艦を造り、東シナ海をはじめ重要な海域に展開させる。これは中国の台湾侵略、そして尖閣諸島を守る抑止力になります。

台湾は東日本大震災の際、200億円というどの国よりも多い義援金を送ってくれました。台湾の人々の熱い想いがこめられた有り難い支援でした。その台湾に対し、外務省はこれ以上のひどいことはないと言ってよい仕打ちをしました。

10月6日に開かれた台湾の建国記念日、双十節(10月10日)の祝賀会には、各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)ら、政府関係者は出席を自粛するようにという通知を出していたのです。中国への卑屈さと、台湾に対する非礼には呆れるばかりです。

異形の国家、中国に気兼ねをすることは、台湾を窮地に追い込み、日本をも危うくする。私たちはそのことを肝に銘じなければなりません。

※SAPIO2011年12月7日号



「琉球新報」はホントに正義の味方なのか?

2011年12月03日 01時26分56秒 | マスメディア

 もう3日前の話になったが、田中沖縄防衛局長の「不適切発言」問題が尾を引いていて、一川防衛相の進退問題に発展しそうな気配だ。
 私は、こんな問題は大したことではないと思っているが、「人間として問題…」「沖縄の人の心を傷つける」とかいう、いつもの感傷的反響を聴くと、ウンザリした気分になる。
 田中局長が「オフレコで」としたうえで、酒席のこぼれ話として話したことを、「
田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した」として公表した「琉球新報社」は、本当に正義の味方、白馬の騎士なのかと問わざるを得ない。

 マスメディアは「第四の権力」として現代政治を左右する力を持ちながら、都合が悪くなると「報道の自由」とやらを掲げて、自らの責任を回避する。今回の出来事でも、「オフレコ」という約束を「公共性、公益性」という理由で反故にして、田中局長を「血祭り」に挙げた。これは
、マスメディアが自ら何が正義か不正義を判断する「神」のような立場に立ったことを意味する。

 マスメディアが全知全能の「神」になったのならば、ぜひお願いしたいことがある。朝鮮総連や有力某新興宗教団体の「巨悪」についても、今回と同じような「公共性、公益性」的見地から鋭く追及し、同じように「血祭り」に挙げてほしいものだ。それでこそ、マスメディアの真骨頂ではないか。

 「琉球新報」の「正義の味方」的ポーズには、沖縄県民に対する世論操作、部数増戦略など、現実的な打算が見え隠れする。真の正義の味方は、「オフレコ」の約束を守ると思うのだが、どうだろう。

 

「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり20111129 

 

 沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。
県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。
 田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。
 評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。
 懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対し「発言の有無は否定せざるを得ない」と述べた。
 沖縄の米軍基地問題に関連し、女性をさげすむ発言は過去にも問題となった。
 1995年9月に起きた少女乱暴事件後の同年11月、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が同事件をめぐり、「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭された。
 田中局長は1961年生まれ。大阪大学法学部卒。84年旧防衛施設庁入庁。那覇防衛施設局施設部施設企画課長、大臣官房広報課長、地方協力局企画課長などを経て8月15日に、沖縄防衛局長に就いた。
 田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した。  【琉球新報】