今日は台湾の「ニ・ニ八事件」から75周年。奇しくも今、ウクライナ国民は、侵略者ロシアに対して戦いを続けている。「今日のウクライナ」が「明日の尖閣」「明日の台湾」になるかも知れないのに、その危機感を明確に表明するマスメディアはほとんどない。
一連のマスメディア報道で気になるのは、基本用語の不適切な選択または歪曲だ。
「ウクライナ市民」→「ウクライナ国民」
「国際連合」→「連合国」
戦火にさらされているのは、「ウクライナ市民」だと言うマスメディア。それでは、志願して銃を握った人が「市民」だというのなら、属する軍隊はゲリラ(非正規軍)だとでも言いたいのか?ここでも「国家」を嫌うマスメディアの偏向が見られる。
マスメディアは相変わらず「国際連合」による停戦を期待しているが、そもそも「国際連合」(United Nations)は連合国のこと。中国語で国際連合は「連合国」という。第二次世界大戦に勝った連合国と敗北した枢軸国(日独伊など)の対比を表す言葉であるのに、戦後、日本外務省はこの言葉を「国際連合」と僭称した。これによって、敗戦国の屈辱を誤魔化したつもりだったのだろう。「敗戦」を「終戦」と言い換えたのと同じ発想だ。先日の「関口宏 サンデーモーニング」で寺島実郎がこのことを指摘していたのは、意外だった。
「ウクライナ侵攻」→「ウクライナ侵略」
さすがに「ウクライナ進攻」と言ったマスメディアはなかったが、「侵攻」もまた欺瞞的ではないか?欧米メディアは、「Russian invasion」「Russia invades…」を使っている。そう、「侵略」が正しい使い方だ。
「国際社会」「国際秩序」「国際協調」
これもマスメディアが大好きな言葉。「国際社会はどう見てるか?」と言われると、そうなのか、と鵜呑みにする視聴者。「国際秩序を乱すロシアの侵攻」などと使われるが、実は「国際秩序」はテキトーに使うべき言葉ではない。第二次大戦の経緯、ヤルタ会談、東西冷戦とその終結などの歴史を踏まえて、初めて意味を持つからだ。「国際協調」とか「国際平和」もまた同様。「国際○○」という言葉は、胡散臭い。
日本在住のウクライナ人政治学者であるアンドリー・ナザレンコ氏が、ロシア軍によるウクライナ侵攻について、切実かつ的確なコメントをしている。
ほとんどのマスメディアは、この人にインタビューしたり、コメントを求めたりしない。それは、彼を「右翼」とみなしいるからだ。
だが、こんなときこそ、彼の見解に耳を傾けるべきだろう。少なくとも、黙殺するというのは、マスメディアにとって自殺行為だ。
【緊急収録】プーチン大統領「ウクライナ侵攻」の衝撃【WiLL増刊号】
先ほど、ロシア軍のウクライナ侵攻が伝えられた。
TVをつけてみると、二つのワイドショーがこのニュースを採りあげていて、専門家へのインタビューを流していた。だが、コメンテーターと称する人たちの発言となると、思い付きや、誰かのコピーみたいな話ばかり。それはそうだろう、お笑い芸人あがりの連中のコメントなんて、異国での突発的な大事件なんて論評できるはずもない。東国原某が「これで、中国は台湾に侵攻しやすくなった」と言い、それには同感したものの、所詮、新聞社説のような皮相的な発言に過ぎない。
NHKは国会中継(参院予算委員会)をしていたが、この臨時ニュースに切り替わったようだ。国会に貼り付けられていた岸田首相は、急遽、官邸に戻り、国家安全保障会議(NSC)の開催を招集した模様だ。これでわかるのは、日本国は、緊急事態に即応しにくい政治体制ということ。予算委員会で野党から「森友問題」の類をぐちぐちと責められるのを、首相は一日中耐え忍ばなければならない。もし、大統領制の国であれば、こんな無駄な時間を費やす必要はないはずだ。もっとも、優柔不断の岸田首相では、同じことなのかも知れないが。
昨日まで「オミクロンは怖い」と煽っていたTVワイドショーは、これからはウクライナ一色で視聴者を引き付けるつもりなのか。所詮、定見も知見も持たないTV局の連中が作る番組の「平和」「国際社会」「国際秩序」なんて言葉は、空虚な戯言だ。まさに、眼前のウクライナが、そのことを示している。相手の侵略の意図を踏み止まらせるに十分な軍事力を持たない限り、「平和」なんて続くはずもない。そのことに気づかないと、大変なことになると思う。
世襲政治家、日本医師会の開業医、コネ入社のTV局員。それに萬世一系の高貴な方々。そういった人々が「平民」の上に立って統治するというこの国。万が一、尖閣有事、台湾有事が起きても、彼らはだんまりを決め込み、何もしないだろうという予測が立つ。ウクライナ侵攻の経緯を見ても明確なように、バイデン大統領が日本を守るために米軍を動かすことなどあり得ない。一蓮托生のこの島国に明るい未来はないと思えてくる。
ロシア軍、ウクライナ南部上陸 全面侵攻に
米CNNテレビによると、黒海に面した同国の港湾都市オデッサでも複数の爆発音が聞かれたという。ウクライナのクレバ外相はロシアが「全面的な侵攻」に踏み切ったと述べた。
先日、家人が三回目のコロナ予防接種を受けてきた。接種場所は、普通の開業医で、ワクチンはファイザー。何と「期限切れ」(2021.12.31が接種期限)のファイザーを接種されたと言う。ネットで検索すると、政府は接種期限の三か月延長を認めているらしい。
家人は、「開業医にワクチン保管を委ねるのも心配。加えて、期限切れを接種するのだから、多分効かない。発熱もしないと思う」と大胆な”予言”。結局、大した副反応もなく、今日にいたっている。
TVワイドショーは今なお、「ブレークスルー感染」の恐怖を煽り、三度目のワクチン接種を呼びかけている。これって、大量在庫のバーゲンセールではないのか。
国会中継で立憲民主党の議員が、未配布の「アベノマスク」を税金の無駄使いだと指摘し、雑巾に使うのがせいぜいだ、と毒づいていた。この論法を使うのなら、さぞかしワクチンの無駄使いを追及していただけるに違いない。
諸外国と比較すれば「さざ波」程度のコロナ禍を針小棒大に騒ぎ続けたこの国。肝心のことには目を向けず、枝葉末節に大騒ぎ。このパターンの繰り返しと集積が、我が「日本史」というものではないか、と近頃気づいた次第。