澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「日本は自衛戦争」マッカーサー証言 贖罪史観に一石

2012年03月30日 08時42分11秒 | 歴史

 私の友人・知人には、「正史(まさし)」「青史(せいし)」という名前の人がいる。この語源は、中国の歴史記述の方法に由来している。「正史」(せいし)は言うまでもなく、天下を手中にした王朝が過去を振り返って、王朝の歴史を叙述するものだ。それは史実を客観的に記述するのではなく、権力の正当性を天下に誇示するのが目的だ。

 今朝、「産経新聞」を見たら「”日本は自衛戦争” マッカーサー証言 都立高校教材に掲載 贖罪史観に一石」という注目すべき記事が掲載されていた。(下記参照)
 1951年米国議会証言の場で、マッカーサーDouglas MacArthur、1880-1964 元GHQ 最高司令官が、日本が日米開戦を決断したのは「主に自衛のためだった」と証言した。この史実を都立高校用の副読本に採り上げたというニュースだ。まさに「産経」らしいニュースで、「朝日」の読者には伝わらない。というか、「朝日」の”インテリ”読者は「また、ウヨクの奴らが」としか思わないだろう。

 だが、中国史における歴史叙述を例に挙げるまでもなく、「正しい歴史」などというものは金輪際ありえない。「歴史は現在の都合で書き換えられるもの」だからである。この基本認識がないと、不毛な「歴史認識問題」に思考回路を絡め取られてしまう危険がある。
 「産経」の記事でもコメントしている渡部昇一氏(上智大学名誉教授)の立場から見れば、日本の近現代史(特に昭和史)は「現在の都合で書き換えられ」た最たるものなのだ。「書き換えた」のは、もちろん戦勝国である米国。東京裁判に基づく「自虐史観」を日本国民に強要し、日本国民に「日本は侵略国家だった」という洗脳を施してきた。この「自虐史観」に都合良く相乗りしてきたのが中国、朝鮮。この史観は、彼らの対日カードの切り札して、今なお有効に使われている。

 東京都が都立高校生用副読本にこのマッカーサー証言を掲載したのは結構なことだ。だが、生徒にこの内容を伝えようとしても、現実にはほとんど読まれないのではないかと危惧する。というのも、都立高校の社会科教師の大半は、いわゆる「進歩的文化人」気取りの連中。生徒にこの副読本を読むよう勧める教師が数多くいるとは到底思えない。
 教師の中でも歴史(社会科)教師がとりわけ時代遅れ(=愚か)なのは、自らが「他者よりも正しい歴史的真実を知っている」と信じるからだろう。だが、繰り返すまでもなく、「正しい歴史」などあり得るはずもない。一介の教育公務員に過ぎないという等身大の自画像を描けず、生徒・同僚に対してだけ自らの「誇大妄想」を語るというのが、よくある歴史教師の典型なのだ。「職員会議」で延々と「正論」(産経新聞の「正論」ではない。「当局批判」「政府批判」の持論のこと)をブツのは、決まってこういう教師なのだそうだ

 いずれにしても、この度の副読本配布は、贖罪史観の払拭、歴史教育正常化へのささやかな一歩。こう書く私は、知り得た事実を淡々と書いただけ、決して「ネトウヨ」などではないことを明言しておこう。
 

 

「日本は自衛戦争」マッカーサー証言 都立高教材に掲載 贖罪史観に一石

2012.3.30 08:11 (1/2ページ)歴史問題・昭和史

 日本が対米戦争に踏み切った理由について、連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官だったマッカーサーが1951(昭和26)年、「主に自衛(安全保障)のためだった」と述べた米議会での証言が、東京都立高校独自の地理歴史教材の平成24年度版に新たに掲載される。日本を侵略国家として裁いた東京裁判を、裁判の実質責任者だったマッカーサー自身が否定したものとして知られる同証言を、公教育の教材が取り上げるのは初めて。

 昭和の戦争での日本を「侵略国家だった」と断罪した東京裁判に沿う歴史観は、「日本国民は…政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」で始まる憲法前文にも反映され、「軍隊を持たず」という国際社会でも異質な国家体制の前提となってきた。歴史教育は「贖罪(しょくざい)史観」一辺倒となり、子供たちの愛国心を育んでこなかった。その歴史観が絶対ではないことを示すマッカーサー証言の公教育での教材化は、戦後日本の在り方に一石を投じそうだ。

 証言は、朝鮮戦争で国連軍やGHQの司令官職を解任されたマッカーサーが1951年5月3日、米上院軍事外交合同委員会の公聴会に出席し、朝鮮戦争に介入した中国への対処に関する質疑の中で言及。連合国側の経済封鎖で追い詰められた日本が、「主に自衛(安全保障)上の理由から、戦争に走った」と述べた。

 都の教材は、この部分の証言を英文のまま掲載し、《この戦争を日本が安全上の必要に迫られて起こしたととらえる意見もある》としている。

教材は、江戸時代以降の日本の歴史を、東京の歩みとともに紹介する『江戸から東京へ』。都教委が都立高校の全生徒に平成23年度から配布している。都民の意見をもとに改訂した24年度版は、全新入生約4万3千人に配布する予定。

 『江戸から東京へ』に掲載されたマッカーサー証言については、月刊「正論」5月号(3月31日発売)が詳しく紹介している。

 渡部昇一・上智大学名誉教授の話「連合国から東京裁判の全権を委任されたマッカーサー自身が米議会で『日本の自衛戦だった』という趣旨の証言をしたことは、村山談話に象徴されるように東京裁判を背負ったままの日本にとって“超重大”であり、すべての日本人が知るべきことだ」

 ■村山談話 戦後50年の平成7年8月15日、当時の村山富市首相が発表。わが国が「遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」たとし、「痛切な反省の意」「心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明。以後の内閣もこの見解を踏襲してきた。

 (「産経新聞」2012.3.30)

 


福島原発はテロによって壊滅する…

2012年03月28日 22時08分44秒 | 社会

 一昨日、参院予算委員会でヒゲの佐藤正久議員(自民党 前自衛隊員)が、外交・安保問題について質問した。メディアは田中直紀・防衛相の迷走ぶりばかり報道したが、実は佐藤議員は、福島原発がテロのターゲットになる可能性があるという重大な問題提起をしていた。「TV中継されているので、詳細は言えないが、原発に注水しているホースがどんなものか、調べてみていただきたい」と野田首相に問い、田中防衛相に対しては自衛隊のテロ対策について問いただした。

 田中直紀は、防衛問題に不慣れだから答弁に窮していると思っている人もいたかも知れない。だが、TV中継はすべてを暴き出してしまう。田中直紀という男がいかに無能で暗愚かを視聴者はいやというほど分かったはずだ。さすがあの勘違い女の夫が務まる理由が分かったとも…。

 佐藤議員は、福島第一原発の警戒態勢があまりに杜撰なので、テロが試みられたら簡単に成功するだろうと断言。原発への注水菅が破壊されれば、福島原発は万事休す。最悪の場合、250km圏が退避対象地域となるというから、首都圏はこれで完全に消滅する。というより、日本という国家そのものが崩壊する。このように、目の前にあからさまな危機があるのに、政府もマスメディアも見て見ぬふり。「見て見ぬふり」をしているだけで、実はやることはやっていると言うのなら頼もしい限りだが、呆け老人のような田中直紀の答弁を聞いていると、現政権がそんな気の利いたことをするはずもない。

 それどころか、政府は原発事故の責任を東電に負わせようとしているが、一民間会社に委せてしまって大丈夫なのか。テロ対策の話を聴くだけでも、東電の手には負えないことは明らかだ。ぶっ壊れた4基の原発に、今後30年間も水を流し続け、その間何も異常事態が生じないなどと考えること自体が常軌を逸している。こういう思考様式そのものが、「平和憲法」がまき散らした害悪そのものなのではないか。「平和」「人権」「環境」…と美しくも空虚な言葉を並べているうちに、われわれ日本人は、運命共同体である「国家」をまるで他人事のようにしか考えられなくなってきた。

 セシウムなどの放射性物質の半減期は、30年だという。これから30年間原発に注水を続け、その間に起きるに違いない大地震・大津波を運良くしのいで、ようやく福島原発事故の”収束”が見えてくる。野田首相の「収束宣言」などブラック・ジョークそのものだ。

 野田首相がもし本当に「祖国・日本」を思う気持ちがあるのなら、原発事故の処理を東電だけに委せず、国家の命運を賭けた態勢で立ち向かうべきだ。もちろん、緊急避難にもテロ対策にも重要な役割を果たす自衛隊を前面に押し出し、福島原発を自衛隊の統制下に置くつもりで対処すべきだ。
 「平和憲法」など持たない「普通の国」なら、もうとっくにそうしていると思うけど…。

 
 

 


福島原発2号機の水位はわずか60cm!

2012年03月26日 19時38分39秒 | 社会

 野田首相が「収束」を宣言した福島第一原発の様子が、次第に明らかになってきた。先ほど東京電力が「2号機の水位が60センチ」と発表したが、それを伝えるNHKのニュースは、さして緊迫感を込めて報道をしていない。だが、この報道姿勢を鵜呑みにするのは危ない。

 先日、岩上安身氏(フリー・ジャーナリスト)が福島第一原発を視察したレポートが地方局TV番組で放送された。それによると、福島原発で最も危険なのは4号機だそうで、現在、何の外壁、保護幕もないまま、燃料棒が大気中に露出した状態。これに絶えず放水することで、かろうじで現状が保たれているという。もし、4号機が次の大地震・津浪で倒壊したら「燃料棒は2800度の高熱で燃焼し、広島型原爆4千発分の放射性物質を放出する」という。そうなったら「福島原発から250km圏は避難対象地域となる」そうだ。

 2号機は3mほど水位があると言われてきたが、実は60cmだった。2号機は「水素爆発」したと言われるが、実際には原子炉ごと爆発したに等しい。当初政府は「メルトダウン」という言葉を決して使わなかったが、「メルトダウン」どころか「メルトスルー」まで起きていたのだ。
 
 「福島原発2号機の水位はわずか60cm!」という情報をどう考えるべきか。現状では、メルトダウンした核燃料は放水によって冷却されているのだから、このままの状態が続けば、何とかなるのかも知れない。しかしながら、次の大地震・津波が来襲したとき、2号機も4号機も耐えられるのだろうかという不安は拭えない。それに加えて本日、自民党の佐藤参院議員(自衛隊OB)が予算委員会質疑で福島原発のテロ対策について質問。佐藤議員によれば、もしテロリストが福島原発内に潜入して、放水のホースを破壊しようとすれば簡単にできると発言。その防衛策を質問したが、田中直紀はまるで呆け老人のような答弁に終始した。

 福島原発の現状はなかなか報道されない。「パニックをおこさない」という名目で依然として情報操作がおこなわれていることは間違いない。原発を批判してきた広瀬隆氏(評論家)のいうとおり、「東電はある日、もうこれで手段はなくなりました。皆さん、ご自分ですぐに逃げてくださいと言う」可能性があるのだ。決してマスメディアと東電を信用してはならないということか。

 250km圏が退避となれば、首都圏は消滅し、日本は壊滅する。



 
 

格納容器内、水位60センチ=2号機、内視鏡で確認―福島第1

時事通信 3月26日(月)19時10分配信

 東京電力福島第1原発事故で、東電は26日、2号機原子炉格納容器に内視鏡を入れて内部を調査し、底部から約60センチのところで水面を確認した。格納容器内に水がたまっているのを直接確認したのは初めて。
 東電によると、格納容器側面にある配管開口部から内視鏡を挿入。カメラと温度計が付いたケーブルを格納容器底部に向けて垂らしていったところ、開口部から約7メートル下、格納容器底部から高さ60センチで水面を確認した。水温は48.5~50度で、水は透明だったが、何かの堆積物が巻き上げられていた。 

橋下徹改革で障害者雇用はどう変わるべきか

2012年03月25日 15時15分37秒 | 社会

 橋下徹・大阪市長が「能力主義」に基づく公務員改革を進めている。まずやり玉に挙がったのは、大阪市交通局。市バスの運転手の給料が「民間に比べて」極めて高い点が、攻撃の的になった。
 橋下流の手法は、はっきりしているというか、ワンパターン。「敵」を見つけて、アドバルーンをぶち挙げ、「世論」を味方につけて、仇敵をぶち倒すというやり口だ。

 だが、橋下市長が決してこぶしを挙げない相手がある。そのひとつが、障害者。大阪市役所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(下記参照)に基づき、障害者を一般職員とは別枠(障害者枠)で採用してきた。これらの障害者職員は、市役所のかなりの部局に配属されているはずだが、その人事考課はどう行われているのか? 橋下市長は「人事考課でDを2年続けて評定された職員は、分限処分の対象とする」と広言している。つまり、勤評が極めて悪ければ、有無も言わさずクビにすることもできる。障害者職員といえども、公務員=大阪市職員であることに変わりはない。障害があることが特別扱いの理由にはならない。そもそも「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、障害者職員を「特別扱い」や「優遇」するように定めた法律ではないのだ。

 仄聞するところでは、障害者職員のかなりの部分が、法律に基づき雇用されたものの、実際の職場では「お荷物」状態になっていると聞く。他都県のある特別支援学校(養護学校)に配属された障害者の事務職員は、脳性麻痺のため、一般職員の十分の一も仕事が進まない。当人の無能力を承知の上で「一人前」の職員として配属した人事当局のやり方は無責任きわまりない。当然、職場での人事考課が悪かったのだが、それに対し当該職員が「障害者の権利」を主張したので、職場の上司も、教育庁(教委事務局)も下手に手を付けれらない状態となった。行政が最も恐れるのは「障害者を差別した」と言われることだからだ。結局、その職員の不始末の責任は、管理監督者である校長と職場の監督者が負わされる結果になったという。橋下市長がこのようなケースに遭遇した場合、「能力主義」と「障害者の権利」をどう折り合いをつけようとするのだろうか。これまで「触らぬカミに祟りなし」という状態だった障害者公務員の問題を明るみに出し、きちんと決着をつけてほしいものだ

 果てしない公務員叩きが続く中で、法律上の要請で雇用された障害者枠職員が、本当に公務員としてきちんと働いているのかどうか、改めて検証すべき時期だろう。これまでのような、議論の対象にもせず見て見ぬふりをする、障害者職員の不祥事は現場の管理者に責任を負わせるという行政当局の態度は、到底、許されることではない。橋下市長は、この際、障害者職員の実態を把握し、公務員として相応しくない者については、断固とした処分を下すべきだ。
 
 橋下市長がこの問題で、毅然たる態度を示すことができるかどうかは、「橋下改革」がホンモノかどうか見極める重要なポイントだ。

 
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」

    第一節 身体障害者又は知的障害者の雇用義務等

(身体障害者又は知的障害者の雇用に関する事業主の責務)
第三十七条  すべて事業主は、身体障害者又は知的障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで身体障害者又は知的障害者の雇入れに努めなければならない。
(雇用に関する国及び地方公共団体の義務)
第三十八条  国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は、職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員であつて、警察官、自衛官その他の政令で定める職員以外のものに限る。以下同じ。)の採用について、当該機関に勤務する身体障害者又は知的障害者である職員の数が、当該機関の職員の総数に、第四十三条第二項に規定する障害者雇用率を下回らない率であつて政令で定めるものを乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)未満である場合には、身体障害者又は知的障害者である職員の数がその率を乗じて得た数以上となるようにするため、政令で定めるところにより、身体障害者又は知的障害者の採用に関する計画を作成しなければならない。
 前項の職員の総数の算定に当たつては、短時間勤務職員(一週間の勤務時間が、当該機関に勤務する通常の職員の一週間の勤務時間に比し短く、かつ、第四十三条第三項の厚生労働大臣の定める時間数未満である常時勤務する職員をいう。以下同じ。)は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、身体障害者又は知的障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、重度身体障害者又は重度知的障害者である職員(短時間勤務職員を除く。)は、その一人をもつて、政令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、第三項の規定にかかわらず、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、前項の政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。

中国は「中華帝国維持に耐えられるのか」

2012年03月23日 08時04分07秒 | 中国

 私の友人の中には、「産経新聞」など読まないと広言する人がいる。そういう人に限って、「朝日」を購読し、権威ある「岩波」の本を愛読する。ある意味では、思考回路が戦後民主主義の妄想で絡め取られ、現実を見られなくなった、気の毒な人とも言えるだろう。そういう私も実は、何年か前までは、その一人だったのかも知れない。
 
 3月11日付「産経新聞」の「正論」欄に渡辺利夫・拓殖大学学長(アジア経済論)が、「中華帝国維持に耐えられるのか」という一文(下記参照)を寄稿している。
 ここでは、戦後の日本人に植え付けられてしまった「中国はひとつ」という強迫観念が、実はさしたる歴史的な根拠などないものだということが明らかにされている。

  

中華帝国維持に耐えられるのか 渡辺利夫

 

中華帝国維持に耐えられるのか

拓殖大学学長・渡辺利夫

 

 ◆漢族王朝の興亡は壮大な神話

 日本人は中国についてある壮大な「神話」に呪縛されているのではないか。ユーラシア大陸の広大な国土の上に巨大な漢族社会が形成され、ここを舞台に幾多の王朝が盛衰し悠久の歴史が紡がれてきたという神話である。

 四方を海で囲まれ外敵の侵入を受けることなく同一の国土の中で同質社会を営んできた日本の歴史は、歴史教科書が教えるような時代区分にしたがって順次展開されてきたといっていい。しかし、そうした日本史の「刷り込み」によって中国史をみては危うい。

 中華人民共和国は清(大清帝国)の後裔(こうえい)である。清は漢族王朝の明を倒した満族が打ち立てた、外来政権である。康煕帝、雍正帝の時代を経て乾隆帝の時代に最盛期を迎えた。モンゴル、新疆ウイグル、チベットなどはこの時期に清に組み込まれ、中国史上最大の版図となった。面積で測れば清は明の3倍に近い。

 モンゴル族、ウイグル族、チベット族は人種、宗教、言語において漢族とはまるで異質である。清を樹立したのが遊牧騎馬民族の満族であり、その支配下で異民族が清の中に包摂された。そういう歴史の骨格を眺めるにつけても、日本史の感覚からは及びもつかない茫漠(ぼうばく)たる世界がここにはある。

 この中国を中国たらしめたものは、1つには、新たに君臨した満族が儒学と漢字を重用し伝統的な科挙制度を導入するなど、熟度の高い漢族文明に同化したからである。2つには、清が伝統中国において根強い「華夷秩序」を希薄化させ、異民族に包容的に対応したことが重要性をもつ。

 ◆外来の満族が築いた一大版図

 華夷秩序とは、「礼」に基づく道義の序列において中心部にあるのが中華であり、中華から外方に向かって同心円的に広がり、外縁に位置する民族ほど序列が低いとみる価値観念である。明はこの華夷秩序を原理主義的なまでに高めた王朝であった。対照的に、清は人種、宗教、言語の多様性を容認する「分治的」な対応をもって異民族支配に臨んだ。清の皇帝はチベット仏教、イスラム教の保護者でもあった。

 そうでなければ、あれほど広大な国土と多様な民族を包含する一大版図を築くことはできなかったからだ。古代ローマ帝国がそうであったように、である。要するに清は漢族と満族との、また彼らと異民族との政治的妥協の上に成立した凝集力の弱い政体であった。かつての中国とは巨大で茫々(ぼうぼう)たる存在であったといっていい。

 この中国を強固な政治的統合体へと変容させたものが「西洋の衝撃」である。アヘン戦争以来、国土が西欧列強により蚕食されていく悲劇を目の当たりにして、自らも列強の主権国家観念を導入し、堅牢(けんろう)な統一国家たらざれば将来はないとする危機意識に中国はようやく目覚めたのである。

 華夷秩序と並ぶ伝統中国の秩序観念に「冊封体制」がある。「華」の礼式に服し、その見返りに王位や爵位を与えられて民の統治を委ねられるという固有の国際秩序観念である。朝鮮とベトナムなどが冊封体制の下におかれた。しかし清仏戦争と日清戦争での敗北により冊封体制は消滅を余儀なくされた。孫文の辛亥革命によって清が崩壊したのは、その存在意義が失(う)せてしまったからである。

 ◆五族共和は漢ナショナリズム

 新たに擁すべきは、近代国際法秩序に則(のっと)った政治的凝集力をもつ主権国家であった。凝集力をつくりだすものはナショナリズムである。孫文の唱導する「五族共和」がそのスローガンであったが、内実は「漢族ヲ以テ中心トナシ満蒙回藏四族ヲ全部我等ニ同化セシム」、つまりは「中華」ナショナリズムであった。中華ナショナリズムが主権国家内の異民族の自立を許容するはずがない。現在の共産党政権のスローガンも「中華振興」である。他方、同化政策が強まるほど、分治に親しんできた異民族の方に独立志向が強まるのも他面の政治力学である。

 暴力によって抑圧されたチベット族の怨讐はますます深く彼らの心中に埋め込まれている。2009年ウイグル暴動は当局の発表で197人、亡命ウイグル族の世界ウイグル会議の報告では3000人の死者を出す惨劇となった。ウイグル族はトルコ系イスラム教徒が圧倒的多数を占める。

 北アフリカや中東のイスラム諸国であたかも感染症のごとく広がりつつある反体制運動は、いずれ中国の異民族にも伝播(でんぱ)しよう。独裁政権打倒を叫ぶ北アフリカ民衆の姿を描き出す海外サイト映像がチベット族、ウイグル族の間で出回り始めたという。胡錦濤政権の神経も昂(たかぶ)っていよう。

 異民族を暴力で抑え込んで中国は文字通りの帝国主義国家となったが、「帝国維持のコスト」はいよいよ高い。コストを支払うには高成長が必要だが、これも限界に近づきつつある。それに、ほどなくやってくる少子高齢化の社会的負担ひとつを取り上げてみるだけでも、財政的余裕など枯渇し始めれば、一瞬のものに過ぎない。(わたなべ としお)
3月11日付産経新聞朝刊「正論」


間近い?千葉東方沖大地震

2012年03月15日 07時32分42秒 | 社会

 昨日、M6を超える大きな地震が二つ起きた。東日本大震災の”余震”なのか、新たな巨大地震の”前兆”なのか、不安を感じさせるに十分な出来事だった。

 私は、昨年3月10日の気象庁「地震情報」を思い出した。3月9日、三陸沖でM7クラスの地震が起きた。3月10日には、同じ三陸沖でやや小さめの地震が立て続けに起きた。これらの地震は、前日の”余震”だと説明されていた。だが、3月11日、あのM9の巨大地震が勃発。3月9日、10日の一連の地震は、巨大地震の”前震”だったことが明らかになった。

 ここで注目すべきことは、3月10日に起きた地震の震源地は、「三陸沖」で埋め尽くされていたという事実。異様なほどの集中だった。
 昨日(3月14日)の「地震情報」(下掲)を見て、そこに類似性を感じるのは私だけなのか。震源地が「千葉県東方沖」で埋め尽くされている。これは、昨年と酷似している。
 千葉東方沖を震源とする巨大地震が間近いのではないかと思えてならない。

【昨日=3月14日からの地震】(気象庁「地震情報」より)

情報発表日時発生日時震央地名マグニチュード最大震度
平成24年03月15日07時16分 15日07時11分頃 千葉県東方沖 M3.4 震度1
平成24年03月15日06時44分 15日06時39分頃 関東東方沖 M5.0 震度2
平成24年03月15日04時55分 15日04時50分頃 岐阜県飛騨地方 M2.5 震度1
平成24年03月15日02時15分 15日02時10分頃 千葉県東方沖 M3.5 震度1
平成24年03月15日02時01分 15日01時57分頃 茨城県北部 M3.7 震度3
平成24年03月15日01時57分 15日01時52分頃 千葉県東方沖 M4.0 震度2
平成24年03月15日01時44分 15日01時39分頃 千葉県東方沖 M3.5 震度1
平成24年03月15日01時36分 15日01時31分頃 千葉県東方沖 M2.9 震度1
平成24年03月15日00時28分 15日00時23分頃 千葉県東方沖 M3.6 震度1
平成24年03月14日23時37分 14日23時32分頃 千葉県東方沖 M3.2 震度1
平成24年03月14日22時57分 14日22時52分頃 千葉県東方沖 M3.4 震度1
平成24年03月14日22時34分 14日22時29分頃 千葉県東方沖 M4.5 震度3
平成24年03月14日22時32分 14日22時28分頃 宮城県沖 M4.0 震度2
平成24年03月14日22時29分 14日22時25分頃 千葉県東方沖 M3.4 震度1
平成24年03月14日22時04分 14日21時59分頃 千葉県東方沖 M3.7 震度1
平成24年03月14日22時02分 14日21時58分頃 千葉県東方沖 M3.2 震度1
平成24年03月14日21時45分 14日21時40分頃 千葉県東方沖 M3.1 震度1
平成24年03月14日21時34分 14日21時29分頃 千葉県東方沖 M3.6 震度1
平成24年03月14日21時32分 14日21時27分頃 千葉県東方沖 M3.7 震度1
平成24年03月14日21時30分 14日21時25分頃 千葉県東方沖 M3.7 震度1
平成24年03月14日21時23分 14日21時16分頃 千葉県東方沖 M3.1 震度1
平成24年03月14日21時16分 14日21時05分頃 千葉県東方沖 M6.1 震度5強
平成24年03月14日21時09分 14日21時05分頃 千葉県東方沖 M6.1 震度5強
平成24年03月14日20時45分 14日20時40分頃 三陸沖 M5.3 震度1
平成24年03月14日20時03分 14日19時58分頃 三陸沖 M5.3 震度2
平成24年03月14日19時55分 14日19時49分頃 三陸沖 M5.9 震度3
平成24年03月14日19時35分 14日19時29分頃 福島県沖 M4.6 震度1
平成24年03月14日18時21分 14日18時09分頃 三陸沖 M6.8 震度4
平成24年03月14日18時14分 14日18時09分頃 三陸沖 M6.8 震度4

台湾の厚情を無にした日本政府

2012年03月14日 19時52分54秒 | 台湾

 3月11日に開かれた東日本大震災追悼式において、台湾政府代表を献花させなかった問題について、野田首相は陳謝したはずだった。だが、今日、藤村官房長官が「問題はなかった」として180度態度を変えた。

 1972年、日中国交回復により、台湾(中華民国)の地位が変化したことは理解できる。だが、中国が主張する「ひとつの中国」を鵜呑みにして、中国側の主張に唯々諾々と従う日本政府の態度は、実に情けない。台湾では、李登輝氏や陳水扁氏により虚構の「中華民国」体制から脱し、台湾化の試みが続けられてきた。今や台湾は、議会制民主主義が定着し、言論の自由、結社の自由、基本的人権の尊重などがしっかりと根付いている。大陸の中国には存在しない、自由な民主主義が台湾には存在するということだ。

 「ひとつの中国」という幻想に惑わされ、中国はひとつであると思いこまされてきた人には理解できないだろうが、1980年代からの台湾の「本土化」(=台湾は、全中国を代表する「中華民国」ではなく、等身大の台湾であるという認識)によって、台湾人は「台湾人意識」を強めたきた。
 「杏林大名誉教授で外交評論家の田久保忠衛氏は「事実上の独立国の代表に対して非礼だ。心にしみる支援をしてくれた台湾に何ということをしたのか。常に中国の顔色を見て外交をする根本的な欠陥を表している」と痛烈に批判した。
 まさにそのとおりだ。 

台湾の厚情、無にした政府 献花冷遇に藤村長官一転「問題ない」

産経新聞 3月14日(水)7時55分配信

 
 ■中国偏重 非礼上塗り

 3月11日の東日本大震災の一周年追悼式典に台湾代表として出席した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦(らこんさん)副代表を日本政府が指名献花から外した問題で、藤村修官房長官は13日午後の記者会見で「事務レベルの仕切りに問題があったとは思わない」と述べた。台湾は震災発生後、いち早く支援を申し入れ、世界最高規模の約200億円の義援金を送った。民間からは被災地も含め台湾への感謝のメッセージが相次いでいるが、日本政府の対応は国民感情とはかけ離れている。

 「外交団という仕切りの中で整理された。外務省と内閣府で式典のやり方を十分に調整された」「外交団の仕分け(基準)は外務省にきちんとしたものが伝統的にある」

 藤村氏は13日の会見で、追悼式典の準備に当たった外務省と内閣府が事務レベルで台湾をリストから外したこと自体には問題はないとの認識を強調した。自らの対応については「配慮が足りなかったかどうかを反省材料にする」と述べた。

 外務省は日本に公館を置いている150カ国、中国などにある公館で日本を担当している18カ国、経済協力開発機構(OECD)など35の国際機関に追悼式典への案内状を出し、約160人の外交団が式典に参加。日本が国家承認していないパレスチナの代表も例外的に外交団として扱われた。

 だが、外務省は台湾の駐日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処を「民間団体のステータスで呼んだ」(同省儀典官室)と説明している。そのため、羅副代表は外交団がいた会場1階の来賓席ではなく2階の企業関係者などの一般席に案内され、国名が読み上げられる「指名献花」の対象にもならず、一般参加者と一緒に献花したという。

 藤村氏は12日の参院予算委員会で「事務方ですべておぜん立てした。台湾に関するわが国の基本的立場は1972年の日中共同声明の通りだ」と語り、台湾が中国の領土の不可分の一部との中国政府の立場を「理解し尊重する」としている日中共同声明をもとに機械的にリストを作成したことを認めた。

 参院予算委でこの問題を追及した自民党の世耕弘成参院国対委員長代理は13日、「事務方で調整していようといまいと、台湾を各国代表の枠の中で扱わなかったのは問題だ」と非難した。

 野田佳彦首相は12日の参院予算委で、世耕氏の指摘を受けて陳謝し、「行き届いていなかったことを深く反省したい」と述べた。外務省によると、この発言に対し、13日時点で中国政府からの反応はないという。

 もっとも、輿石東幹事長を団長とする訪中団の派遣を23~25日に控える民主党政権が、台湾への配慮を示せたかどうかは疑問だ。

 杏林大名誉教授で外交評論家の田久保忠衛氏は「事実上の独立国の代表に対して非礼だ。心にしみる支援をしてくれた台湾に何ということをしたのか。常に中国の顔色を見て外交をする根本的な欠陥を表している」と痛烈に批判した。

台湾政府代表を献花させなかった日本政府~東日本大震災追悼式

2012年03月13日 09時17分07秒 | 台湾

 一昨日、東日本大震災追悼式が行われた。その際、台湾代表が献花する機会が設けられていなかったことが、昨日、世耕議員(自民党)の国会質問によって明らかにされた。野田首相は「本当に申し訳ない。行き届いていなかったことを深く反省したい」と陳謝したそうだが、200億円を超える義捐金を送ってくれた台湾(中華民国)に対して、あまりに非礼ではないか。これは言うまでもなく、中国の目を気にしてのことだ。「中国はひとつ」であるから、台湾政府代表には故意に献花させなかったのである。
 民主党政権は、共産党一党独裁の中国が「ひとつの中国」の代表とする政権であるという虚構に呪縛されて、台湾がまぎれもない民主主義国家であり、日本にとって無二の友邦であるという事実を直視することさえできない。


 こんな愚かな政権の下でも、日台交流は脈々と続いている。日台交流協会台北事務所(=台北・日本大使館)は、台湾の日本支援に感謝して、11日、台湾主要4紙に「謝謝台湾」の広告を掲載し、各TV局でも「感謝CM」を流しているという。日台関係を熟知した外務省官僚が関わらなければ、なしえない事業だ。

 官僚叩きを続け、スタンドプレーばかりの民主党政権のもとで、きちんと日台交流の実務を続けている外務官僚を高く評価する。政治家が愚かでも、優秀な官僚がいるうちは、まだ日本は大丈夫か!?

 交流協会が制作した「多謝 台湾」ビデオ

<台湾>「謝謝」CMで被災地支援に感謝…交流協会

毎日新聞

台湾への感謝を伝えるCM画像(交流協会台北事務所提供)
台湾への感謝を伝えるCM画像(交流協会台北事務所提供)

 【台北・大谷麻由美】日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所は東日本大震災から1年となる11日を皮切りに、被災者に厚い支援を提供してくれた台湾の人々への感謝を伝える一連の「謝謝台湾」活動を実施している。台北市内で12日に開いた「追悼・復興レセプション」には馬英九総統も出席し、被災者にエールを送り、被災地の中で唯一残されていた福島県への渡航禁止の解除を発表した。


 台北事務所は11日、主要4紙1面に「謝謝台湾」の広告を掲載した。また、CMを独自製作し、その中で、震災当日に生まれた乳児とその両親、漁師や木工職人といった被災者が、復興状況と「台湾ありがとう」を伝えている。


 CMはテレビ、繁華街の屋外モニター、ネットで放送し始めた。台湾人からは「我々の善意がちゃんと届いた」と喜びの声が上がっている。反響は大きく、無料でのCM放送の申し出も寄せられているという。

 

追悼式で台湾代表が献花できず…首相、深く反省

 
 

 自民党の世耕弘成氏への答弁。台湾からの震災義援金は官民合わせて約200億円と世界トップクラスだった。

 世耕氏は追悼式で、天皇、皇后両陛下がご退席になる際、場内が着席していたとして、「どこの国でも全員起立するものだ」と批判。藤村官房長官は「(議事進行は)事務方で詰めてきたものを直前に聞いた。おわびするしかない」と謝った。

2012年3月13日07時36分 読売新聞)

福島原発4号機が倒壊するとき

2012年03月04日 10時36分19秒 | 社会

 先日、ジャーナリスト・岩上安身氏が福島第一原発の現場を取材したレポートが、TV放送された。防護服に身を固めた岩上が3号機の前に来ると、500ミリシーベルト、4号機の横に移ると、なんと1500ミリシーベルトを記録した。
 岩上は「もし、4号機が倒壊したら、広島型原爆四千個の放射性物質が放出される。露出した核燃料は、2800度の高熱で燃え、人は何もすることができない」という。
 
 その4号機について、「反原発」で知られる京都大学助教・小出裕章氏が、関西の毎日放送で語った記録を見つけた。出典は「ざまあみやがれ」※といいうブログから。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65784723.html

 この中で小出氏は「もし4号機が倒壊した場合、半径250km圏内は避難が必要になる」と語っている。250kmといえば、関東平野では西は高尾山、丹沢山渓、箱根あたりまでが該当する。これは、日本という国家がほぼ壊滅することを意味する。

 米国議会での専門家の証言によると、4号機が倒壊した場合、18万人の死者が予想される。昨年3月の危機的状況において、米国政府は米国人が原発の100km圏内から退避するよう勧告した。それは、この4号機の倒壊を危惧したためだという。

 来る首都直下大地震、東海・東南海・南海三連動地震に備えるのは当然のこととして、それと同時に、大地震によって福島第一原発がどうなったのか確かめることがまず第一に必要だ。東日本大震災の経緯を顧みると、政府及びマスメディアは、まず情報統制を行う。まず「原発危機」を正確に伝えていたBBCなどの海外ニュースが放送停止となる。そして「大丈夫、心配は要らない」という「大本営発表」のような放送が続けられ、ある時点で突然真相が告げられる。そのときまで報道を信じていた大衆には、もはやその場で立ちつくすしか選択肢はない。枝野(官房長官)が家族をこっそりシンガポールに退避させていたという話が明るみになったが、このように権力者は自分のことしか考えていないのだ。大衆は大量の放射能を浴びながら、勝手に死んでくれ…というのが、政府の言う「」の正体だ。

 マスメディアが曖昧な報道をしたとしても、もし疑わしい部分があったら、直ちに250km圏から逃げるべきだろう。原発から250km圏とは、次の写真の最大円の内部を指す。

 

  250km圏は、東京都羽村市、神奈川県横浜市あたりまでが該当する。新潟市は直線距離ではより原発に近いが、高い山脈で遮られているという地の利がある。一方、首都圏は高い山脈など全くないので、茨城、千葉を通って、致死量の放射性物質が奥多摩、高尾山、丹沢山渓、箱根山あたりまで直接降り注ぐ。

【上記ブログより引用】

2012年1月9日(月)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。4号機の倒壊の危惧を語りました。

検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか

20120109 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章 - YouTube

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=====(文字おこし、続き)

※「小出裕章が「40年で廃炉方針」を批判 「老朽化なんてこととは全く関係なく、事故は起きる」1/9(1)」からの続き

水野「はあ…。それからもう1つ伺いたいんですが」
小出「はい」
水野「あの……これは福島第一原発の事故の2週間あとの段階で、」
小出「はい」

水野「え…政府が想定してた最悪のシナリオ、というものが今になって明らかになってきました」
小出「はい」
水野「で、これはですね。4号機の使用済み核燃料のプール、の中にある燃料が融けるということを想定、したんだそうです」
小出「はい」

水野「で、最悪の場合どういうことが起こるかといいますと…。え……。まあ、住民で希望する人たちがいたら移転を認めるべきだという地域は、どこまでかというのが、半径250キロの外側まで、発生する可能性があるというんですね」
小出「はい」

水野「で、250キロというとどこかというと…え……横浜、あたりになります」
小出「はい」
水野「つまり、東京も含めて首都圏の、多くの地域から、ま、避難が必要…であると、いう事態を政府が想定していたと。」
小出「はい」
水野「いう話が出て、来ました」
小出「はい」

水野「で、え……わたくし思い出したんですが、小出先生は確か、4号機というのは、あの…未だ色々心配なことがあるんだよとおっしゃった、時があったかと思うんですね」
小出「そうです」

水野「4号機のプールというのは今、どういう状況なんですか」
小出「え…使用済みの燃料プールというのは、放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器という容器のさらに外側にある、のですね」
水野「はい」
小出「え…つまり放射能を閉じ込めるという防壁に関していえば何も無いという場所に使用済燃料プールがある」
平野「うん」
水野「はい」
小出「のです。そしてそのプールの中に、4号機の場合には、え…原子炉の中に通常入っている燃料の、え、2倍あるいは3倍分ぐらいの使用済みの燃料はたまっている…」
水野「はー…はい」
小出「のです」
水野「2倍、3倍たまっている、はい」
小出「はい。そして、4号機というあの建物はですね、水素爆発でやはり吹き飛んでいるのですけれども。」
水野「はい」

小出「4号機の場合の水素爆発は、非常に変わった形で起きていまして…」
水野「おん」
小出「え……1号機も3号機もオペレーションフロアーと私が、私たちが呼ぶ、最上階の部分で爆発が起きて」
水野「ええ」
小出「はい。いわゆるまあ体育館のようなどん長の部分が吹き飛んでいる、のですが」
水野「はい」
平野「ふむ」

小出「4号機だけはそうではないのです。そのどん長の部分も吹き飛んでいるし、さらにその下の、1階、さらにまたもっと下のもう1階分ぐらいのところの建屋が爆発で吹き飛んでいる、のです。実はだからそこに使用済燃料プールが埋めこまれている場所というところが、すでに爆発で破壊されてしまっているわけで。え……いつ、使用済燃料プールが崩壊してしまうかがわからないという、そういう状態が3月15日でしたでしょうか」
水野「ええ」
小出「4号機の爆発以降ずうっと続いている、のです」
水野「え、今も続いてるってことですね」
小出「続いているのです」
水野「その、プールが崩壊の危機にさらされている状況は今も続いているんですね」
小出「はい。ただし、東京電力ももちろんそのことの重大性に気がついていまして」
水野「ええ」

小出「えー4号機の使用済燃料プールをとにかく崩壊から守ろうとして、え…耐震補強工事というのをやったのです」
平野「うん」
水野「はい」
小出「はい。え……でも、え……余りにもひどい、ようするに作業環境で、工事を行ってきている、わけだし、それしかできないわけで。ゆっくりゆっくりその、きちっとした工事をするというようなことが、実際上はできないような現場なんですね」
水野「ええ」

小出「そこででも東京電力は苦闘しながらやったとは言っているわけですけれども、これからまだまだ余震も来るでしょうし。次に大きな余震が来たときに4号機の使用済み燃料プールが、本当に壊れないんだろうかということが私は不安なの、です」
平野「ふむ」
水野「はい……」
小出「もし壊れてしまえば、その、政府が3月15日のころに、予想したように、250キロというようなところも、膨大な汚染を受けるようなことになると思います」
水野「はあ…そういう不安な状況が今も続いていると、認識しなきゃいけないんですね」
小出「そうなのです」
水野「はい……ありがとうございました」
小出「はい」
平野「どうもありがとうございました」
小出「ありがとうございました」

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました」


広瀬隆氏 「福島第一原発に末期的事故の予感 人生最後の事態も」

2012年03月01日 12時53分34秒 | 社会

 「東京に原発を」の著者で「反原発」を唱え続けてきた広瀬隆氏の講演録を下敷きに、「週刊朝日」が「福島第一原発に末期的事故の予感 人生最後の事態も」という記事を載せている。

 ここ数日来、千葉東方沖、茨城南部を震源とするM5以上の地震が立て続けて起きている。ボロボロに壊れて、応急処置を施したに過ぎない福島第一原発が、再び大地震と津波に襲われれば、またまた「想定外」の被害が出ることは容易に想像できる。

 「4号機に何かあれば、もう手がつけられない。致死量を浴びる急性放射線障害によって、バタバタと人間が倒れてゆく事態である。東電も、真っ青になって震えながら、今度こそ「直ちに健康に影響が出ますから、すぐに遠くに逃げて下さい」と記者会見するはずだ」
 こう結論づける広瀬氏の言葉に、慄然とするのは私だけだろうか?
 「冷温停止状態」なんて、世界中から物笑い。政治家やマスメディアは、福島原発の深刻な現実から目を背け、「絆」「復興」など耳障りのいい言葉で国民を欺いている。
 ロシアの科学者も次のように警告している。
もし、四号機何かあれば、直ちに東京から飛行機で逃げるべきだ。政府の発表など信じてはいけない」と。
 
 広瀬氏が主張した「反原発」は、原発事故が起きるまで「杞憂」だとして見向きもされなかった。だが、その「杞憂」はすでに現実となったのである。次の大地震が福島を襲えば、新たな「杞憂」は直ちに現実と化す。

 次の大地震が起きたとき、「除染」「復興」「絆」「瓦礫処理」、これらの何もかも無意味となり、「絆」で結ばれたはずの日本社会は、弱肉強食、阿鼻叫喚の地獄と化す。
 「美しい国」だったはずの「日本」が、実は醜い、災厄の国であったことが明らかになる。”日本沈没”は間近い。 

 

広瀬隆氏 「福島第一原発に末期的事故の予感 人生最後の事態も」

週刊朝日 2月29日(水)8時40分配信

 原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏。2月初めに福島県内の連続講演会をした際には、「福島第一原発の内部で何か"異常"が起こっているような気がします。みなさん、逃げる用意をしておいてください」と話した。広瀬氏は昨年起きた連続爆発より「ケタ違いの放射能が放出される"人生最後の事態"」が起きる可能性があると警告する。

*  *  *
 福島第一原発では、4基とも危ないが、とりわけ4号機の原子炉建屋は、昨年のプールから生じた水素の大爆発で、ほとんど骨組みしか残らないほど大崩壊してしまった。東京電力は、傾いて倒壊寸前のこの建屋のプールを補強するため、応急処置の工事をしたが、それは、何本かのつっかい棒を入れただけである。その支柱の下は、補強できないまま、実は軟弱な基礎の上に、つっかい棒が立っているという、いい加減な状態のままである可能性が高い。

 この大気中にむき出しのプールには、不幸にして通常の運転で原子炉が抱える「数個分」の使用済み核燃料が入っているとされる。その量は、10~15年分の運転期間に相当するウラン・プルトニウム燃料が入っているということになる。元旦に東北地方・関東地方を襲った地震のあと、このプールの隣にあったタンクの水位が急激に低下したので、プールに異常が起こったことは容易に類推できる。さらにその後、1月12日と23日に、立て続けに、福島第一原発のある浜通りを激震が襲ったので、私は生きた心地がしなかった。

 こうした中地震の続発がプールのコンクリートに与えてきた疲労は、相当なものに達している。したがって、大地震でなくとも、コンクリートの亀裂から水が漏れる可能性は高い。

 4号機に何かあれば、もう手がつけられない。致死量を浴びる急性放射線障害によって、バタバタと人間が倒れてゆく事態である。東電も、真っ青になって震えながら、今度こそ「直ちに健康に影響が出ますから、すぐに遠くに逃げて下さい」と記者会見するはずだ。

※週刊朝日 2012年3月9日号