WHO(世界保健機関)シルヴィー・ブリアン氏「情報が感染症のように拡散する状況です。この状況を我々は“インフォデミック”と呼んでいます」
インフォデミックとは、インフォメーションとエピデミック(流行)を組み合わせた言葉で、根拠のない情報が大量に拡散する状況を指します。
例えば・・・
オーストラリア・シドニーのスーパーにいる女性たち「離してよ!」「触らないで!」
オーストラリア・シドニーのスーパーで7日、突然始まったケンカ。黒人女性が、二人の女性に殴られています。
黒人女性「1パックだけでいいのよ」2人組「ダメ、渡さないわ」
けんかの原因はトイレットペーパー。
オーストラリアでも、トイレットペーパーがなくなる、というデマが広がったのです。
トイレットペーパーといえば、日本でもドラッグストアやスーパーに、多数の客が殺到する光景が相次ぎました。
その原因も、インターネット上に広まった“デマ”情報でしたが、今回、その投稿者の一人が明らかになったのです。
鳥取県米子市の米子医療生活協同組合は、勤務する職員が、「トイレットペーパーが品薄になる」というデマの、投稿者の1人だったことを確認、公式サイトで謝罪しました。
この職員は 「伝え聞いた情報を確認せずにあげてしまい、大変迷惑をかけた」と反省しているといいます。
感染拡大の不安が広がる中、騒ぎの種をまき散らすデマ情報。日本国内では・・・
「ウイルスは26~27度で死ぬのでお湯を飲んだ方がいい」あるいは、「花こう岩から出る紫外線が、強い殺菌力を発揮する」など、新型肺炎の治療に関する、根も葉もないデマの書き込み。
海外でも・・・
マレーシアでは、「新型コロナウイルスに感染すると、ゾンビのような状態になる」という偽情報がひろがり、慌てた保健省が、強く否定。
またイランでは「アルコールを飲むと、ウイルスの治療に効果的」というデマがインターネットで拡散。それを信じて密造酒を飲んだ27人が、メタノール中毒で死亡するという、悲惨な結果を生んでいます。
情報の混乱は、デマの拡散にとどまりません。
先月、ロンドンの若者グループが、シンガポールからの留学生に、「この国にコロナウイルスを持ち込むな」など、暴言を浴びせながら暴行。
またニューヨークでは、電車内で、アジア系とみられる男性が、除菌スプレーのようなものを吹き掛けられる、という事態も発生。
根拠のない情報に基づく、アジア人に向けられる、嫌悪・差別のふるまい。新型コロナウイルスの蔓延が止まらない中、人々の心が、すさみ、とげとげしさを増していくようにも見えます。どうして今、こんな現象が世界的に起きているのでしょう? 専門家は・・・
新潟青陵大学(社会心理学)碓井真史教授「なにか大きな災害や害悪が起きると、とても不安になりますので、自分のよく知らない存在を恐怖に感じる。何か困ったことが起こると、誰かのせいにしたくなる。そんな心があるのかなと思います」
非常事態が生み出す、“不安”や“恐怖”から逃れたいという心理が、デマ情報や差別的言動を引き起こさせる、といいます。
そんな中、インターネット上で、話題になっているのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休校となったイタリアのある高校の校長のメッセージ。
校長は、根拠のない噂話や、馬鹿げた治療、必需品を買いあさることなどを、「市民生活における野蛮な行為」とした上で、こう書いています。
「見えない敵に脅かされた時、敵があちこちに潜んでいるかのように感じ、自分と同じような人も潜在的な敵だ思い込んでしまう。それこそが、真の危険なのです。冷静さを保ち、パニックに巻き込まれないこと。せっかくの休みだから、 散歩したり、良質な本を読んでください。合理的な思考で、私たちの貴重な財産である人間性と社会を守っていきましょう。では、近いうちに。学校で皆さんを待っています」
イタリアと同じように休校が続いている日本。
高校2年生・男子生徒「楽しい時間を奪われたという言い方は変ですけど。ちょっと悲しいかな」
中学2年生・男子生徒「学校は友達と話したり、会えたりして楽しい。行けなくなるのは残念です」
小学2年生・女子生徒「(学校に)行ければ、今すぐ行きたい」