東京都の小池百合子知事11日、自身が提唱した朝の通勤電車混雑緩和策「時差BIZ(ビズ)」の導入初日に、都内の駅などを訪れ、鉄道会社や協力企業の取り組みを視察した。視察後、報道陣の取材に「定着のためには、徹底してやることだ。言葉ではなく、身体で覚えてほしい」と、訴えた。

 「時差ビズ」は、通勤時間をずらし、テレワークや在宅勤務を取り入れることなどを含めた、百合子流の働き方改革の一環。2012年ロンドン五輪の期間中にも導入され、英国民の働き方が多様になる「ソフトレガシー」として、残ったとされる。

 小池氏はこの日朝、都庁に近い都営大江戸線新宿西口駅で、協力企業の応援イベントとして、乗客らにペットボトルのレモンティーが配布される様子を見学。東急田園都市線二子玉川駅では、駅構内の広報状況を確認し、駅近くにある「シェアオフィス」の利用状況も見学した。

 小池氏は、20年東京五輪・パラリンピックまでの一定の定着を目指す。大会まで約3年に迫る中、「企業の方々と連携し、働き方の生産性を上げ、満員電車から少しでも解き放たれるのがポイント。満員電車や長時間労働は、高度成長時代の名残。その意識改革をどうするかだ」と指摘した。

 自身が環境相時代の2005年に手がけた「クールビズ」を引き合いに、「クールビズも、地球温暖化という大義と、皆さんが楽になるという共感で、定着した。時差ビズも、(働き方の)生産性を上げる大義があり、働きやすさという共感が広がれば、定着するのではないか」と述べた。

 「時差ビズ」では、早朝の電車利用でポイント付与などの特典が受けられる。都内の鉄道事業者を含め、賛同企業は11日までに、260に達した。今年の実施は、オリパラ開会式まで3年となる今月24日をはさみ、7月25日まで。