TBSは、在日不法滞在者の問題を採り上げ続けている。というと、政治、社会の矛盾を追究するというマスコミの本旨に敵っているのかのようだが、実はそうではない。


(彼女だけを見れば、確かに”可哀相”と思えるのだが…)
カルデロン・のり子さんという少女の問題があった。フィリピン人の両親が不法滞在であることを理由に法務省から強制送還を命じられたのに対し、「のり子さんが可哀相」というキャンペーンを張ったのが、他ならぬTBSだった。”お役所バッシング”のまっただ中で、法務省はどう対応するのか私も注目したが、結局、のり子さんだけ滞在を認めるという”温情的な”措置が執られた。
今日のTBS「報道特集」は、この夏休み、のり子さんがフィリピンに住む両親を訪れた映像を放送した。のり子さんにとって初めて見るフィリピンは、貧しく、将来の夢が描けない社会として映ったようだ。少なくとも、視聴者にはそう感じさせる映像だった。
だが、このTBSのキャンペーンは、実は日本という国家を溶解させかねない危険性をはらんでいる。
「国籍」がいかに大事かは、海外旅行をしたときに身に染みて分かる。歴史をひもといても、どの国籍を持つかによって、生死が分かれる局面さえあるのだ。国共内戦時に封鎖された日本人地区、ベトナム戦争終結時の悲劇など、思い当たることはたくさんある。
しかし、TBSが描くのは「市民」「平和」「環境」「貧困」「子供の未来」等々ばかりで、「国家」の概念は欠け落ちている。これは、古くは田英夫から筑紫哲也、最近の後藤某に至るまで、TBSに綿々と続く”伝統”でもある。筑紫哲也などは、自分の国をいつも「この国」と呼び、「我が国」と言ったことなど一度もないはずだ。
法令に基づき「強制退去」を命じた国(法務省)を、あたかも「非人道的」であるかのように報道するTBS。「日本列島は日本人だけのものではない」と発言した鳩山由紀夫が首相になろうとする、絶好のタイミングにこれを放送したのは、どういう意図なのか?
不法滞在を容認し、在日外国人に選挙権まで与えようとする民主党政権。「この国」にいつももの申すかの如きマスコミとの”共鳴”によって、そのマニフェストはますます実現に近づこうとしている。
最近、在日外国人の国名について、改正が行われた。在日の台湾人は、これまで「中国」という国名表記(国籍ではない)が与えられていたが、これでは大陸の中国人と一緒にされてしまうというので、「台湾正名運動」(本来の名前で呼ぼうという運動)が行われてきた。ようやくこの夏、在日台湾人には「台湾」という国名が表記されることになった。
犯罪率が高く、粗野でマナーも知らない中国人と私たちとは違うのだというのが、一般的な台湾人の思いだろう。
「国家」を超えた「市民」、「国境」を越えた「東アジア共同体」など、まだまだ絵空事なのだ。いや、所詮、絵空事なのだと言っておきたい。


(彼女だけを見れば、確かに”可哀相”と思えるのだが…)
カルデロン・のり子さんという少女の問題があった。フィリピン人の両親が不法滞在であることを理由に法務省から強制送還を命じられたのに対し、「のり子さんが可哀相」というキャンペーンを張ったのが、他ならぬTBSだった。”お役所バッシング”のまっただ中で、法務省はどう対応するのか私も注目したが、結局、のり子さんだけ滞在を認めるという”温情的な”措置が執られた。
今日のTBS「報道特集」は、この夏休み、のり子さんがフィリピンに住む両親を訪れた映像を放送した。のり子さんにとって初めて見るフィリピンは、貧しく、将来の夢が描けない社会として映ったようだ。少なくとも、視聴者にはそう感じさせる映像だった。
だが、このTBSのキャンペーンは、実は日本という国家を溶解させかねない危険性をはらんでいる。
「国籍」がいかに大事かは、海外旅行をしたときに身に染みて分かる。歴史をひもといても、どの国籍を持つかによって、生死が分かれる局面さえあるのだ。国共内戦時に封鎖された日本人地区、ベトナム戦争終結時の悲劇など、思い当たることはたくさんある。
しかし、TBSが描くのは「市民」「平和」「環境」「貧困」「子供の未来」等々ばかりで、「国家」の概念は欠け落ちている。これは、古くは田英夫から筑紫哲也、最近の後藤某に至るまで、TBSに綿々と続く”伝統”でもある。筑紫哲也などは、自分の国をいつも「この国」と呼び、「我が国」と言ったことなど一度もないはずだ。
法令に基づき「強制退去」を命じた国(法務省)を、あたかも「非人道的」であるかのように報道するTBS。「日本列島は日本人だけのものではない」と発言した鳩山由紀夫が首相になろうとする、絶好のタイミングにこれを放送したのは、どういう意図なのか?
不法滞在を容認し、在日外国人に選挙権まで与えようとする民主党政権。「この国」にいつももの申すかの如きマスコミとの”共鳴”によって、そのマニフェストはますます実現に近づこうとしている。
最近、在日外国人の国名について、改正が行われた。在日の台湾人は、これまで「中国」という国名表記(国籍ではない)が与えられていたが、これでは大陸の中国人と一緒にされてしまうというので、「台湾正名運動」(本来の名前で呼ぼうという運動)が行われてきた。ようやくこの夏、在日台湾人には「台湾」という国名が表記されることになった。
犯罪率が高く、粗野でマナーも知らない中国人と私たちとは違うのだというのが、一般的な台湾人の思いだろう。
「国家」を超えた「市民」、「国境」を越えた「東アジア共同体」など、まだまだ絵空事なのだ。いや、所詮、絵空事なのだと言っておきたい。