「NHKの報道番組「クローズアップ現代」などでやらせが指摘されていた問題で、NHKの調査委員会(委員長、堂元光副会長)は視聴者に誤解を与える過剰演出があったとする一方、やらせによる捏造(ねつぞう)はなかったとする最終報告をまとめた。」
(「毎日新聞」4月28日)
「クローズアップ現代」だけが”クローズアップ”されるのも心外なほど、NHKのドキュメンタリー番組には問題が多い。
件の「クロ現」が「捏造ではなく、過剰演出」だったというのなら、これまでの問題となったNHKスペシャル「魂の旋律 音を失った作曲家」Japanデビュー「アジアの”一等国”」も少なくとも「過剰演出」に該当するのは間違いない。だが、NHKは、些細な部分については「反省」のポーズを見せたものの、詐欺師・佐村河内守を「現代のベートーベン」と祭り上げた古賀淳也、日本の台湾統治を徹底的に歪めて描いた「アジアの”一等国”」の浜崎憲一の二人のプロデューサーの責任については、不問に付した。
「アジアの”一等国”」に登場した日本語世代の台湾人医師・柯徳三氏は浜崎憲一に対して「お前は中共から金をもらっているんだろう」と詰問した。NHKからインタビューを受け、日本統治時代を体験した台湾人として、台北一中、台北高校、台北帝国大学医学部での懐かしい思い出を語ったはずだったのに、その発言は真逆に歪められて放送された。中共(中国共産党)の意向を受けて、NHKは意図的に「反日の台湾」をでっちあげたではないか、と抗議したのだ。
こんな偏向番組を是正するために就任したはずの籾井会長は、慎重さを欠いた失言ばかりで、野党の格好のターゲットになってしまった。
捏造ではなく過剰演出…と結論付けたNHK。おどろおどろしい音楽とナレーション、真偽のほども疑わしいコメント、視聴者を一定の方向へ誘導するかのような番組の展開等々、これらが「過剰演出」という曖昧な結論で済まされるのか?
こんなNHKに受信料を払う必要などない、と感じた人がさらに増えたことだけは間違いがないだろう。
<NHK>「捏造なかった…過剰演出」会長ら20人処分
毎日新聞 4月28日(火)7時30分配信
NHKの報道番組「クローズアップ現代」などでやらせが指摘されていた問題で、NHKの調査委員会(委員長、堂元光副会長)は視聴者に誤解を与える過剰演出があったとする一方、やらせによる捏造(ねつぞう)はなかったとする最終報告をまとめたことが、27日分かった。担当記者の停職など約20人の処分とあわせて28日に公表する。籾井勝人(もみい・かつと)会長を含む会長ら役員は、処分の規定がなく、報酬を自主返納する方向。
問題の番組は、昨年5月14日に放送した「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」。多重債務者がブローカーを介して、出家の儀式を受け、名前を変えて融資などをだまし取る詐欺の手口を紹介した。同様の内容は同年4月25日の関西ローカル「かんさい熱視線」でも放送されていた。いずれも大阪放送局の男性記者が担当した。
やらせが疑われているのは、取材で突き止めたブローカーとされる男性の元に、多重債務者とされる男性が相談に訪れる場面。ブローカーとされた男性はブローカーであることを否定。同調査委の中間報告では、記者は多重債務者とされる男性と8~9年前から知り合いで、この男性にブローカーとされた男性を紹介されていた。
最終報告は、やらせではなく、ブローカーとされる男性と知り合った実際の過程が、放送では逆になっていたことなどから、演出が過剰だったと判断した。【望月麻紀】