昨晩のNHKニュースは、トップが「黄砂飛来」。和久田某という人気女子アナが、「中国の北部とモンゴルから明日以降、大規模な黄砂の飛来」と報じ、その危険性について言及していた。また、北京からのレポートとして、北京市民もまれに見る自然災害に立ち向かおうとしていると伝えた。
黄砂は、単なる自然災害ではなく、中国政府による「人災」であることを、このブログでは幾度か指摘してきた。NHKニュースが「中国の北部」というのは、中国の内モンゴル自治区を指す。黄砂は古くからある自然現象なのだが、これほど大規模な災害となったのは、この内モンゴル自治区における中国政府による「遊牧の禁止と遊牧民(=モンゴル人)の定住化」「砂漠緑化」「漢人による砂漠の開墾と農地化」などに起因する。そのことについては、数々の証拠があるのに、マスメディアは一切言及しない。それどころか、かつて「日中友好」の証として「砂漠緑化事業」を礼賛したことさえある。
数年前、中国政府は内モンゴル自治区におけるモンゴル語教育を禁止し、学校教育をすべて中国語(普通話=北京語)に切り換えた。これは遊牧の禁止とともに、モンゴル民族のアイデンティティーを奪うものだ。日本の面積の三倍もある内モンゴル自治区は、歴史的にみればつい最近までモンゴル人の居住領域であったのに、今やモンゴル人は総人口の二割にも満たない少数民族となってしまった。それもこれも、「中華民族」という虚構を標榜する中国共産党の民族政策によるものだ。
今日、日本の空を覆っている黄砂は、自然災害ではなく、人災、公害なのだという事実を知るべきだろう。
中国北部に激しい黄砂、12日に日本に飛来予測 「黄砂大年」指摘も
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北京市など中国華北地方が10日夜から激しい黄砂に見舞われている。日本の気象庁は、この黄砂が12日には日本に飛来すると予測している。中国は砂漠地帯の乾燥で例年より黄砂の頻度が増えており、「黄砂大年」と呼ぶ専門家も。14日前後にも黄砂が起きると予報されている。
10日午後9時、北京は強い北風が吹きつけ、街が黄砂に包まれた。200~300メートル先の建物も輪郭がぼやけ、目を開けているのもつらいほど。出歩く人もふだんより大幅に減り、飲食店では店員が、食事を終えた客に「マスクなしで外に出ない方がいいですよ」と声をかけていた。
北京市気象台は同日夜に黄砂警報を出し、マスクや空気清浄機の利用、車を運転する際のライトの点灯などを呼びかけた。今回の黄砂は11日夕に収まる見通しだが、14日に再び黄砂が起きるとの予報が出ている。
黄砂はアジア内陸部の砂漠から上空高くに巻き上げられた砂が、偏西風に乗って中国各地や朝鮮半島、日本などに運ばれて起きる。
中国の生態環境省などによると、今年の冬はゴビ砂漠などで高温少雨が続いて乾燥が進み、砂が巻き上げられやすくなっている。例年、1月から4月中旬までに中国で観測される黄砂は平均5~6回だが、今年はすでに8回に上っている。
過去10年、中国で確認される黄砂の頻度は1960年代の約4倍に増えており、今年はとりわけ発生の多い「黄砂大年だ」とする専門家もいる。(北京=林望)