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「お坊さんの隠語」について考える

2011-05-04 07:57:09 | 雑学・豆知識・うんちく・小ネタ

お坊さんが日常生活において守るべき規則に「五戒」というものがあります。

五戒とは、よく知られているように、下記の五つです。

    不殺生戒(ふせっしょうかい):生命あるものを殺すことを禁ずる戒。

    不邪淫戒(ふじゃいんかい):自分の妻または夫以外の女性または男性と肉体関係を結ぶことや、よこしまな方法などで性交を行なうことを禁ずる戒。

    不妄語戒(ふもうごかい):うそを言ってはいけないという戒め。

    不偸盗戒(ふちゅうとうかい):他人のものを盗んではならないという戒め。

    不飲酒戒(ふおんじゅかい):酒を飲むことを禁じる戒。

これら五つのうち、最後の不飲酒戒の場合は、酒を飲むこと自体をいましめたというよりも、酒を飲むことによって、前の四つの戒めを犯しやすくなるからという理由によって制定されていたようです。こういった戒律は日本に伝わってくると、日本人は「酒を飲むこと自体がいけないのではないから、酒を飲んでも他の悪いことをしなければよいはずだ」と解釈するようになったようです。

Photo_2 特に禅系の寺院の門前には、「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)と書いた立て札があります。

葷とは五葷(ごくん)といって、陰陽五行(木・火・土・金・水 もっかどこんすい)に基づく、ネギ類でだそうです。葱(ねぎ)・辣韮(らっきょう)・大蒜(にんにく)・韮(にら)・浅葱(あさつき)だといわれています。これを食べることを禁じるということです。

辛味や臭気の強い五種の野菜は、五臓を傷付け、五戒(ごかい:殺・淫・妄・盗・酒)となる恐れがあるためだそうです。

刺激物であり、ある種の興奮作用や、感受性が高まり、心が乱れるのを防ぐために禁止したのです。これらを持ち込んでは禅宗の修行に差し障りがあるということでしょう。

このように、酒を飲むことが激しく戒められていましたが、次第に、薬として身体のために少しぐらい飲むのならよかろう、ということになります。さらに、酒として飲むのではない、という意識から、「智恵のわきいずるお湯」という意味を持った「般若湯」という名をつけたのです。

しかし、江戸時代には不殺生戒や不飲酒戒に対してずいぶん不謹慎な坊さんが多かったらしく、般若湯のような飲食に関する隠語は結構豊富にあるようです。

次の言葉の意味、わかりますか?

    般若湯

    牛の角

1hiroyuki002_13_2    草鞋

    裸足

    踊り子

    金釘

    剃刀

    白茄子

    歎仏

    天蓋

    緋の衣

    伏せ鉦

    赤豆腐

    紫の衣

    山の芋

では、その意味は・・・。

    般若湯(はんにゃとう)=酒:般若とは梵語(ぼんご)で智恵のこと。酒を飲むことの後ろめたさから、これを智恵の湯と称したのである。

    牛の角(うしのつの)=鰹節:形が似ている。

    Photo 草鞋(わらじ)=牛肉:昔、牛に鞍をつけ、荷を運搬するに際し、蹄を傷つけないために履かせていた。爪が痛くないのでせっせと歩いたそうです。牛の爪は二つに分かれているので、わらじを履かせるには都合が良く外れにくかったとのことです。

    裸足(はだし)=鶏肉:牛はわらじを履き、馬は金沓(かなくつ=蹄鉄)をつけているが、鶏は足に何もつけていない。

    踊り子(おどりこ)=泥鰌(どじょう):ぴちぴちと跳ねて踊る。

    金釘(かなくぎ)=煮干:ぴかっと光って細くて固い。

    剃刀(かみそり)=鮎:体が細長いところが似ている。

    白茄子(しろなす)=卵:見た目そのまま。他に、「遠眼鏡」:(腐ってないか見極める際に透かして見る様が似ている。「御所車」:中に黄身(君)が居る)とも。

    歎仏(たんぶつ)=刺身:歎仏(たんぶつ):仏の徳を褒め称えること。鮮魚の造りも嘆賞して味わうため。

    天蓋(てんがい)=蛸(たこ):仏像などの上にかざす笠状の装飾物で瓔珞(ようらく)という装身具を垂れる。茹であがったときの足の丸まった様が似ている。他に、「千手観音(せんじゅかんのん)」:手が多いことから。

    緋の衣(ひのころも)=海老(えび):殻の色。

    伏せ鉦(ふせがね)鮑(あわび):台座に伏せてのせ、念仏のときに撞木でたたきならす鉦。貝を伏せたときの様子が似ている。

    赤豆腐(あかどうふ)=鮪(まぐろ):刺身はまさに赤い豆腐。

    紫の衣(むらさきのころも)=鰯(いわし):魚の色。青森では昔、幼い子が亡くなると紫の衣を 着せて干鰯をくわえさせて埋葬する風習があったそうです。

    山の芋(やまのいも)=鰻(うなぎ):「山の芋が鰻になる」という諺から。山の芋が鰻になることは決してありえないが、そのありえないことが起こるということから、起こるはずのないことが起こることのたとえ。思いもよらないほど変化することのたとえ。また、普通の者が急に出世することのたとえ。

1_2

したっけ。

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10 コメント

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隠語ってどの業界にもあるらしいけど、お坊さんの... (チャコのコーヒータイム)
2011-05-04 09:06:25
隠語ってどの業界にもあるらしいけど、お坊さんの隠語も面白いですね。
坊さんが嫌う五葷は、身体の為にはとてもいいものだけどね。
ニンニクなんか癌予防NO1なんだけど、、、。
返信する
都月さん こんにちは♪ (柴犬ケイ)
2011-05-04 12:12:03
都月さん こんにちは♪

お坊さんは高野山と永平寺で修行している
時は五戒守っていると思います。

多治見市で檀家さんが1番多いお寺の跡取り
息子が酒を飲み消防車を盗み運転して逮捕され
ました。

なまぐさ坊主で、飲食店では有名だったそうです。
返信する
昨日、お坊さんのお話を聞いてきました。 (きままなマーシャ)
2011-05-04 16:10:36
昨日、お坊さんのお話を聞いてきました。
有難いお話のはずなのに
眠くて眠くて。。。(*_*;
眠らないようにするのにとっても辛い時間でした。
返信する
★チャコさん★ (都月満夫)
2011-05-04 17:29:29
★チャコさん★
そうなんですよ。
体によすぎるから避けたのでしょう。
精がつくと邪念が・・・。
したっけ。
返信する
★柴犬ケイさん★ (都月満夫)
2011-05-04 17:32:06
★柴犬ケイさん★
そいつは坊主の風上にも置けない。
頭を丸めて出直して来い・・・・って、もう丸めてるか。
したっけ。
返信する
★きままなマーシャさん★ (都月満夫)
2011-05-04 17:34:27
★きままなマーシャさん★
話の下手な坊主の説教ほどダラダラと長い。
したっけ。
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学生時代に歌舞伎研究会に入ってあくないました。... (いまどき)
2011-05-04 23:04:09
学生時代に歌舞伎研究会に入ってあくないました。年に一度講堂で2演目くらい上演していたのですが、私がいたときには「絵本太功記・十段目」と「娘道成寺」が出ました。私は「太十」では端場の百姓、「娘道成寺」では所化(坊主)のひとりでしたがお決まりのセリフで「愚僧はこれに天蓋を持参いたした。」「愚僧はこれに般若湯を持参いたした。」のところをやりました。でもやっぱり素人がいきなりうまくできるわけもなく、かつらと雑費自分持ちで結構お金がかかるので、それっきり辞めてしまいました。やっぱりわがままに舞台を観ているほうがよいかと、、。
返信する
隠語・・・色々考え出しますねぇ(笑) (ひいち)
2011-05-05 07:44:57
隠語・・・色々考え出しますねぇ(笑)
ネギ類がだめだなんて、知りませんでした。
お坊さんも大変ですね!
返信する
★いまどきさん★ (都月満夫)
2011-05-05 10:35:01
★いまどきさん★
観ていれば、やってみたくなる。
やってみれば、観ている方がいい。
やると観るでは、大違いということでしょうか。
したっけ。
返信する
★ひいちさん★ (都月満夫)
2011-05-05 10:45:00
★ひいちさん★
今はそんなことはないのだと思いますが・・・。
昔はそうだったんでしょうね。
したっけ。
返信する

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