本堂の入り口で美しい婦人が我々の到着を待っておられた。
拝観料を支払った時点で、遠く離れた本堂に知らせがいくしくみなんだろう。
庭園の美しさに魅せられ、お待たせしてしまった。
その老婦人に寺の簡単な説明を聞き、堂内拝観。
本堂や観音堂の内部は写真撮影禁止。
建物内から庭園を写すのはかまわないとの事。
真言宗智山派の名刹である寺の創建は南北朝の1375年。
以来朝倉、柴田、松平氏など越前歴代領主の祈願所として栄えてきた。
改修で手は加えられているが、一度も火災に遭った事がないらしい。
庫裏の裏手に名勝庭園がある。
昭和4年日本名勝庭園の一つとして、文部省より福井県下初の指定を受けた。
私が訪れた翌日あたりから北陸も大雪になった。
この雪吊も多いに活躍しただろう。
庭園の築造年代は定かではないが、徳川中期の作らしい。
つつじの木が多くみられた。
つつじの咲く頃は美しいだろう。
宝物館がありそちらには国宝も展示されているというが、
私はそれらを見るより石庭や諸堂のたたずまいを、もう一度目に納めたかった。
訪れる人は少ない。
拝観料金は、わずか300円。
宝物館にも別料金は必要ない。
これだけの建物や庭園を維持していくには、とても拝観料金などでは
おぼつかないだろう。
県や市から補助はされているのだろうか?
いつまでも、この美しい寺がこのまま残っていくよう願う私の余計な心配。
コケ寺の拝観料金は3000円だった。
人が押し寄せる京都なら3000円で、この片田舎の名刹が300円。
モノの値段は、それ相当・・・と、親から教えられたが
この拝観料金に関しては、それは通用しない。
梅の頃、つつじの頃、もう一度ここへやって来たい。
近くに住んでいるなら、毎日のようにでも通いたい。
そんな大きな宝物を得た気分で瀧谷寺を後にした。