都心の雑貨屋と称すセールスが不定期ながら、事務所にやって来る。取り扱っている商品は通常数千円するものらしいが、今回は特別に!というのがパターンである。今まで購入したことはないのだが、彼らのセールスを毎回楽しみにしていた。
この日は女性のセールスで「ラジオ内蔵型ボールペン」「蛍光ペン30本セット」「万能ドライバー」の三点で1100円とのこと。特にこれと言って目を惹くものの無く「今回はつまらない!」と言いながら、私は彼女の背負っているバックからはみ出していたピンク色の物体が気になった。
するとめげない彼女は「ではこれは?」とバッグからそのピンク色の物体を取り出した。それは豚のぬいぐるみで曲に合わせて口を動かす代物だった。それ自体大して珍しくはなかったが、続けて緑色のカエルのぬいぐるみを取り出して説明を始めると、事務所のカウンターの上には、ピンクの豚と緑のカエルが、それぞれ違う音楽を奏でそれぞれ体を揺している構図の向こうに、彼女があれこれ説明する図になった。
彼女のトークと構図が面白かったが、購入するまでには至らず「残念!次回楽しみにしてますよ♪」と断わると、「わ~そう言われるとやる気が出ましたよ!」と2体のぬいぐるみを強引にバッグに押し込み事務所を後にした。
そしてドアが閉まる寸前に小さく「よしっ!」と言って、外に置いてあった「在庫のブツ」が詰まったバッグを引き摺って帰っていった彼女のやる気には清々しささえ感じた♪
頑張れっ!でもあれは売れないと思う・・・
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