熊本の暑い日差しに車窓から見える木々も青々としている。そしてようやく阿蘇駅に降り立つ。目の前には阿蘇山が大きくそびえ立つ。駅前の予約していた民宿に入る。相部屋にはすでに先客の男性大学生さんが居た。彼ももちろんライブ参加者なので、当然すぐに意気投合する。そのうち翌晩の開演まで抑え切れなくなったのか「会場を視察する」事になった。
坂道を登る登る登る・・・約30分でようやく会場である「熊本県阿蘇郡坊中キャンプ場」へと到着した。キャンプ場と言うだけあり、すでに至る所にテントが設営させており、焚き火の煙があちこちから立ち昇っている。何だか羨ましい光景である。
するとキャンプ場スタッフさんが何か叫んでいる。よく聞くと「あと○名、空きがありますよぉ~」。つまりまだこの羨ましい光景に入れると言う事だ。後先考えずに二人で手を上げていた。すぐさま下山して宿にキャンセルをして、荷物を持ってまた登頂した。10名ほど入れるテントに見知らぬ九州在住の塾の先生夫妻と友人たち、名古屋の学生さんたち、相部屋の大学生さんと私で夜を共に過ごすことになった。
ここでもすぐに意気投合。同じ趣味を持つ人間たちは話が早いものだ。食材調達に夫妻の車で再び下山し、みんなで簡単な食事を作った。満天の星空の下で色々な話をしていると、コンサートスタッフさんからキャンプファイヤーのお誘いが掛かった。
総勢100名ぐらいのキャンパーたちが大きな円を作ると、松明(たいまつ)を持って「明日の主役」が登場した。夢のようなサプライズライブだ。点火の後に彼の奏でるギターと共にみんなで輪になって大声で歌った。私は隣の女子大生の肩に回した手が気になって仕方なかった。17歳だもん・・・
興奮とデコボコした床になかなか寝付けないままテントの夜が明けると、いよいよライブ当日。しかし朝から雨だった。二日間の慣れぬ環境で体のピークは最頂点になっていた。暑い熊本で風呂にも入れない状況。座りながら土砂降りの雨を見ながらついウトウトしてしまう。結局その日は夕方の入場までの間、何をしていたのか全く記憶にない。(つづく)
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