プロ野球もこの時期になると、クライマックスシリーズや個人タイトル争いが盛り上がって来るが、同時に解雇通告される選手や引退選手が出てくる。毎年のことではあるが、寂しいものである。ドラフト1位で華々しくプロ野球の世界に足を踏み入れたものの、結果が残せずにひっそりと辞めて行く選手が少なくない。先日とある引退会見で「入団会見は誰もが出来るが、引退会見が出来るのは幸せ」だと言っていた言葉がなかなか深かった。
そんな中、広島カープで28年間、打撃投手を務めた井上卓也氏が今季限りでの退団が決まった。年齢は何と55歳である。愛媛県出身の井上氏は国士舘大―山本鋼材から1980年にドラフト外で広島入り。1軍登板は1試合に終わり、1985年から打撃投手に転身した。「毎日投げても同じ球を投げられるようにしている」ことが信条だったが、8月下旬に心臓の病気で入院し、“引退”を決意した。「衣笠(祥雄)さんや(山本)浩二さんに投げさせてもらったりしたのもいい思い出」と感慨深そうに話した。
55歳まで現役を続けられたのは、強靭な体力の他にも人柄・性格もあったのだろう。
そもそも誰もがなれる訳ではないプロ野球選手になれただけで凄い話なのである。
皆さん本当にお疲れ様でした。